【新・世界樹の迷宮2】
【君に恋した五秒間】
※フラヴィオ夢
調査隊の依頼を受け、ハイ・ラガート公国にやってきた俺、フラヴィオと幼なじみのジェダイト。
まずは入国試験という訳で、現在俺たちは迷宮――樹海にいた。
「しかしすごいなー。これが危険とか信じられないな……」
「ああ。これほど綺麗な森は、確かに見たことがない」
「空気も美味しいですし、魔物さんがいなかったら、ピクニックしたいですね」
俺、ジェダイト、アリアンナが周りを見ながらつぶやく。
木漏れ日の美しさ。吹き抜ける風。それらすべてが普通の森より綺麗だった。
まあ、魔物はいるから、うかうかはできないけど。
「……ん? ジェダイト、ちょっと待ってくれ!」
地図を書きながら探索する中、木からぶら下がった何かを見つけた。
多分、鞭かな? 木に絡まってるけど。
「あらまあ……ずいぶん背の高い方が落としていかれたみたいですね?」
「いやいや、何メートルの人間だよ!」
大真面目に言わないで、アリアンナ! かえって怖いって!
前々から思ってたが……アリアンナは結構――いや、かなり天然過ぎる。
「そう言えば、酒場にいた冒険者が鞭を無くしたって言ってたな……。もしかしたら、これかもしれない」
「あー……」
ショックで酒飲んでたっけ……。そう思うと、なんか気の毒だな……。
「んー……」
鞭の絡まった木を見る。しっかりしてるし、これなら登れるかも……。
「ジェダイト、アリアンナ。ちょっと待っててくれ。俺、取ってくる」
二人に声をかけてから木を登る。
子供の頃から木登りしてからな。登るのは大得意だ!
「まあ! フラヴィオ様、すごいです!」
「へへっ。ミズガルズ仕込みってね」
「……? ミズガルズで木登りを教えた覚えはなかったような……」
目を輝かせるアリアンナの隣で、ジェダイトが首を傾げる。
おいおい、真面目に受け取んなよ……。
「まあいいや。とりあえず、絡まりを取ってみるか……」
自慢じゃないが手先はそこそこ器用な方だし、この位だったら取れると思う。
枝の方に近寄り、鞭に手を伸ばす。
「――! フラヴィオ! 後ろ!」
「え?」
が、伸ばした瞬間、下からジェダイトが叫んだ。
それに釣られるように後ろを見ると、後ろから樹海の魔物――蝸牛の魔物が二匹もいた。
「げっ!? ――あ゙」
明らかに俺に敵意を向けて咆哮を上げる蝸牛に気を取られ、うっかり木から足を踏み外した。
「フラヴィオ!!」
「フラヴィオ様!」
「うわぁあああッ!!?」
下からジェダイトとアリアンナの声。
身体が宙に浮き、落下していく感覚に恐怖した俺は思わず叫ぶ。
嘘――俺、死ぬのか……?
「――危ないッ!!」
そう思った瞬間、樹海の奥から声が響いた。
聞こえた瞬間、俺の身体がまったくの別の方向へと引っ張られる。
「うぉあっ!?」
ぐいっ、と身体が引っ張られ、けれどすぐに地面に降ろされた。
何が起こったかわからない俺は、数秒思考が回らなかった。
「危ないところだったな……なあ、君。大丈夫か?」
「えっ? あ、ああ。大丈、夫――」
真横から聞こえた声に我に返る。
そっか。この人が助けてくれたんだ……。
お礼を言おうと顔を上げ――が、再び固まった。
「ケガも無さそうだな……間に合うかわからなかったから、良かったよ」
俺を見てホッとした表情を浮かべる、槍を持った女の子。
ふわふわした柔らかいクリーム色の髪。金色の真ん丸の目。
「かっ……」
かっ……可愛い……っ。
状況も何もかも頭からすっぽ抜けた俺は、完全に女の子に釘付けになった。
「フラヴィオ、無事か?」
「大丈夫ですか? フラヴィオ様」
「え、あ、うん……」
二人への言葉も空返事になる。
そのくらい目の前の女の子に夢中だ。
「フラヴィオを助けてくれてありがとう。君は、冒険者か?」
「うん。ボクはルシェ。ル・ルシェって言うんだ」
ジェダイトの問いに、にこりと笑いかけてくるルシェ。
五秒程の短い挨拶の笑みに、完全に撃ち落とされた瞬間だった。
君に恋した五秒間
――――
(む? フラヴィオ、だったか? 顔が赤いぞ)
(ぴぃえっ!?(ち、近いっ!))
(まあ。フラヴィオ様、大丈夫ですか?)
(…………。フラヴィオ、奥手だったっけ)
※フラヴィオ夢
調査隊の依頼を受け、ハイ・ラガート公国にやってきた俺、フラヴィオと幼なじみのジェダイト。
まずは入国試験という訳で、現在俺たちは迷宮――樹海にいた。
「しかしすごいなー。これが危険とか信じられないな……」
「ああ。これほど綺麗な森は、確かに見たことがない」
「空気も美味しいですし、魔物さんがいなかったら、ピクニックしたいですね」
俺、ジェダイト、アリアンナが周りを見ながらつぶやく。
木漏れ日の美しさ。吹き抜ける風。それらすべてが普通の森より綺麗だった。
まあ、魔物はいるから、うかうかはできないけど。
「……ん? ジェダイト、ちょっと待ってくれ!」
地図を書きながら探索する中、木からぶら下がった何かを見つけた。
多分、鞭かな? 木に絡まってるけど。
「あらまあ……ずいぶん背の高い方が落としていかれたみたいですね?」
「いやいや、何メートルの人間だよ!」
大真面目に言わないで、アリアンナ! かえって怖いって!
前々から思ってたが……アリアンナは結構――いや、かなり天然過ぎる。
「そう言えば、酒場にいた冒険者が鞭を無くしたって言ってたな……。もしかしたら、これかもしれない」
「あー……」
ショックで酒飲んでたっけ……。そう思うと、なんか気の毒だな……。
「んー……」
鞭の絡まった木を見る。しっかりしてるし、これなら登れるかも……。
「ジェダイト、アリアンナ。ちょっと待っててくれ。俺、取ってくる」
二人に声をかけてから木を登る。
子供の頃から木登りしてからな。登るのは大得意だ!
「まあ! フラヴィオ様、すごいです!」
「へへっ。ミズガルズ仕込みってね」
「……? ミズガルズで木登りを教えた覚えはなかったような……」
目を輝かせるアリアンナの隣で、ジェダイトが首を傾げる。
おいおい、真面目に受け取んなよ……。
「まあいいや。とりあえず、絡まりを取ってみるか……」
自慢じゃないが手先はそこそこ器用な方だし、この位だったら取れると思う。
枝の方に近寄り、鞭に手を伸ばす。
「――! フラヴィオ! 後ろ!」
「え?」
が、伸ばした瞬間、下からジェダイトが叫んだ。
それに釣られるように後ろを見ると、後ろから樹海の魔物――蝸牛の魔物が二匹もいた。
「げっ!? ――あ゙」
明らかに俺に敵意を向けて咆哮を上げる蝸牛に気を取られ、うっかり木から足を踏み外した。
「フラヴィオ!!」
「フラヴィオ様!」
「うわぁあああッ!!?」
下からジェダイトとアリアンナの声。
身体が宙に浮き、落下していく感覚に恐怖した俺は思わず叫ぶ。
嘘――俺、死ぬのか……?
「――危ないッ!!」
そう思った瞬間、樹海の奥から声が響いた。
聞こえた瞬間、俺の身体がまったくの別の方向へと引っ張られる。
「うぉあっ!?」
ぐいっ、と身体が引っ張られ、けれどすぐに地面に降ろされた。
何が起こったかわからない俺は、数秒思考が回らなかった。
「危ないところだったな……なあ、君。大丈夫か?」
「えっ? あ、ああ。大丈、夫――」
真横から聞こえた声に我に返る。
そっか。この人が助けてくれたんだ……。
お礼を言おうと顔を上げ――が、再び固まった。
「ケガも無さそうだな……間に合うかわからなかったから、良かったよ」
俺を見てホッとした表情を浮かべる、槍を持った女の子。
ふわふわした柔らかいクリーム色の髪。金色の真ん丸の目。
「かっ……」
かっ……可愛い……っ。
状況も何もかも頭からすっぽ抜けた俺は、完全に女の子に釘付けになった。
「フラヴィオ、無事か?」
「大丈夫ですか? フラヴィオ様」
「え、あ、うん……」
二人への言葉も空返事になる。
そのくらい目の前の女の子に夢中だ。
「フラヴィオを助けてくれてありがとう。君は、冒険者か?」
「うん。ボクはルシェ。ル・ルシェって言うんだ」
ジェダイトの問いに、にこりと笑いかけてくるルシェ。
五秒程の短い挨拶の笑みに、完全に撃ち落とされた瞬間だった。
君に恋した五秒間
――――
(む? フラヴィオ、だったか? 顔が赤いぞ)
(ぴぃえっ!?(ち、近いっ!))
(まあ。フラヴィオ様、大丈夫ですか?)
(…………。フラヴィオ、奥手だったっけ)