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優しい堕天使

「あ……ペリドットさん……」

「ん? ロジェ?」

 放課後。生徒会のお仕事がほぼ終わり、あとは書類を運ぶだけ、という時、廊下でペリドットさんに会いました。

「どうしたの? 今日、生徒会の仕事だったよね?」

「は、はい……えっと、たまたま姿を見かけたので、ちょっと声をかけて……」

「そっか。ありがとう、ロジェ」

「い、いえ……」

 にっこり微笑まれて、思わず私も綻んじゃう……。
 生徒会書記を担当しているこの方、ペリドットさんはすごく優しい。
 正直、なんで堕天使なのか不思議なくらいです……。

「あの……ペリドットさんは、本日は生徒会に来れなかったのでは……?」

 たしか錬金術の課題があるからって、事前に参加できないことを聞いていました。
 だから来れないはずでしたが……。

「あ、うん。思ったより早く終わったんだ。得意科目どころか本業だし」

「あ……、そうなんですか……」

 さすがですね……物理と魔法、両方得意ですし、学業も優秀ですし……。

「ロジェ、仕事は?」

「あ……はい。もう終わって、後は書類を生徒会室に届けるだけです」

「そっか。あ、それ、書類?」

「……? はい、そうですけど……」

 小首を傾げて頷けば「よし」とペリドットさんは書類をひょいっと持ってかれました。

「あ、あの、ペリドットさん……それ、どうするんです?」

「ん? これ、届けるんだよね? だから僕が運ぶよ」

「えっ? で、でも……あと運ぶだけですしっ」

 ペリドットさん、疲れてるのに……。
 書類を取ろうとしても「いいから」と遮られる。

「僕、今日行けなかったし。これぐらい手伝わせて。ね?」

「……ぁぅ」

 ……そんな笑顔で言われると、断りづらいです。
 うぅ……っ。でも……。

(ものすごく嬉しいです……)


 優しい堕天使

 ――――

(……ロジェ? 顔赤いよ?)

(えっ。そ、そうですか……?)

(大丈夫? 風邪引いてない?)

(それは大丈夫……だと思いますが……)

(そう?)
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