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俺の生徒会長

「生徒会長ー」

「…………」

「なあ、生徒会長ってばー」

「………………」

 学生寮のコハクの部屋。
 自分の自由時間すらもお堅く真面目に仕事する生徒会長――もとい、コハクに話しかけている。
 けど仕事に関しては一切妥協しないコハクは、俺の呼びかけをことごとく無視してる。
 せっかく二人でいるのに、無視はねぇよな!? 無視は!!

「生徒会長~~~!!!」

「うるさい、モーリア。ちょっと黙ってちょうだい」

「酷っ!!」

 なんでそんな冷たい言い方なんだよ……。
 せっかく貴重な時間ゆったり過ごそうって思ったのに、ひっでーな……。

「その貴重な時間を潰す原因がモーリアだって気づきなよ。これ全部アンタの書類なんだからね」

「ちょ!! 考えを読むなよ!」

「文句あるの?」

「う……スミマセン」

 ギロッと不機嫌全開の目で睨まれたから、ここは素直に謝った。
 下手に言い返すと口聞いてくれなくなるし、最悪の場合、病んで短刀を向けられかねないからな。

「やらなかったから私がやってんのよ。自業自得」

「うう……っ」

 ……事実とは言え、それはすごくぐっさり来るんだけど。
 あーもう、そんなに睨むなよな。

(はぁ……)

 心の中でため息をつきながら、ぼふっと生徒会長の枕に顔を突っ伏した。
 生徒会長は今も着々と生徒会の書類を捌いている。

(んだよ……せっかく遊びにきたのに)

 生徒会長は責任感が強すぎる。
 だから自分の時間削ってまで仕事をする。
 ……けどさ、生徒会長だからって、そこまでやる必要ないじゃん。

(たまには俺に甘えてくれたっていいじゃん……)

 せっかくの休みなのに……。
 いや、サボっておいてなんだけどさ……。

「…………。モーリア」

「ん? なんだよ、生徒会長」

 急に呼ばれて、ごろんと寝転がりながら顔を向ける。

「…………」

「……生徒会長? ちょ、呼んどいてだんまり!?」

「……呼び方」

「……へ?」

 呼び方……?
 意味がわからず首を傾げていると、小さなため息をつかれた。

「……。……“生徒会長”は学校とみんなの前だけでいいのよ」

「……え。それって……」

「わかるでしょ。つか気づけよ、バカモーリア」

 俺から顔を背けたまま、スゲー辛辣な言葉を吐かれる。
 けど言われたことは最低だけど、俺の顔の表情が緩んでいった。

「悪い悪い。ごめんな、コハク」

「…………」

 だってさ。コハクの耳、すっごい真っ赤だからさ♪


 俺の生徒会長

 ――――

(ホント素直じゃねぇなあ、コハクは)

(そんなんじゃ……)

(まあそんなとこもスゲー可愛いけど♪)

(な……っ、ば、バカっ)
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