双子とモノノケ
――――
約束の雪原
えー。ブロッサムのツッコミもそこそこに、俺たちはプリシアナッツの実を(勝手に)手に入れるため、やって来ましたよ、雪原に。
「うわあ♪ 綺麗な真っ白♪」
「綺麗な白……銀世界?」
「……銀世界」
「プリシアナ地方は雪景色も名物だもんね~」
「久しぶりに見たが、やっぱり良い光景だもんなあ」
三人はシルフィー、ライラと雪景色を楽しんでいた。つーか仲良くなるの早いな、妖精霊コンビ←
……しかーし。それとは反対に、真っ暗なオーラを醸し出す男の子が約一名。
「あー……ホントに来ちゃったよ……」
はい。皆さんわかりますよね?
言わずもがな、ブロッサムですよ←
「どうしよう……今度こそ校長に殺される……!」
「まだ言ってんのか、それ」
「しかたないだろ!? ってか、誰のせいだと思ってんだ!!」
フーッ! と威嚇する猫のように睨んでくる。
ただ校長の恐ろしさをよく知ってるからか、若干涙目になってるけど。
怖いどころかむしろ可愛い←
「大丈夫大丈夫。最悪の場合、アイツを使えば回避できるから。あまり使いたくない手だけど」
「……え? アイツって?」
「校長限定最終兵器セルシア」
「……ああ。セルシアか……」
そう言えば、納得、と表情を浮かべた。
だって弟バカの校長にはセルシアが効くからな←
「…………むぅ……」
……とは言え。セルシアに任せることが気に入らないか、そっぽ向いて拗ねちゃった。
相変わらず可愛い嫉妬よのぅ←
「なんだ。気に入らないか? なら生死を分かつまで殺り合った方がいいか?」
「いや、そうじゃないけど……ただ……」
「……ただ?」
首を傾げて聞けば、言いにくそうにもごもごと口を動かしている。
「ただ……ただ、俺は……」
「アユミが俺じゃなくて他の男 を頼っているのが気に入らない?」
「そうだよ。俺だって頼られたいのに……って」
躊躇いながらも答えようとした瞬間、ブロッサムから別の声が聞こえてきました。
ブロッサムはポロッと本音をこぼして、だけどハッと我に返って後ろを向く。
「まったく……言いたいこと言わないと、逃げられちゃうぞ?」
「な、あっ……! う、うるさあーーーいッ!!!」
犯人は明鬼でした← 楽しそうににやにやしながら逃げ、それを真っ赤になったブロッサムが追いかける。
……ホントに人間っぽいモノノケ様でございますね←
「明鬼……もう、すぐちょっかい出すんだから」
「あはは。面白いね~」
「面白い……ユニークなモノノケさん?」
「……あの男は……っ!!」
ツキノと月詠は慣れてるから呆れと苛立ちをそれぞれ表し、妖精霊コンビは慣れたらしく、二人の鬼ごっこを傍観している。
(すっかり仲良くなったなー、ホント)
出会って一、二時間で仲良くなろうとは……いやはや、さすが俺たちだな←
「はいはい、おまえら。今はプリシアナッツの実を確保しようぜ? いつまでもこんな寒いとこにいたら風邪を引くし」
「そうですね。お~い、明鬼~」
「おまえも戻ってこーい。ブロッサムー」
やっぱツキノも寒いって思ってたか←
そんなことを思いながら、終わりそうもない鬼ごっこを続けていた二人を呼び寄せた。
「ぜぇ……ぜぇ……い、行くのか……?」
「そうだけど……どんだけ走ってんだよ」
「あうう……だって……」
「とにかくやめろって。崖もあるんだから。鮮やかな滑走なんて嫌だからな」
「鮮やかな滑走 ……地獄逝き ?」
「……はい」
俺とライラに畳み掛けられ、ブロッサムもようやく諦めついた。
明鬼は明鬼で双子に説教された(っつってもあんまり聞いてないが)ので、改めて全員、雪原へ足を踏み入れたのだった。
――――
「あうぅー……やっぱり寒いぃ……」
「……ぶるぶる」
「大丈夫~? ミコトちゃん、ライラちゃん」
コートを着てても震えてる二人に、寒さに強いのか、ケロッとしてるシルフィーが声をかける。
モンスターとも戦いながら雪原を踏み進むが……、それとはべつで、この寒さはキツイよな……。
「温暖気候に慣れたからなー。寒いのも無理無いだろ」
「だよな。寒いのは俺も苦手だ。……まあでも俺はまだ大丈夫」
「へ? ――みぎゃッ!!!?」
そう言って、ブロッサムの背中にへばり付いた。
正確にはブロッサムの翼にだけど。
「はぁ……♪ もふもふ……♪」
「ちょ、やめ……っ、く、くすぐ……ぎゃーーーっ!!!」
バタバタと暴れるが、そこは大丈夫。
関節技を掛ける要領でがっちりしがみついているから、抵抗は無駄に終わっている。
「羽毛かー。なるほど、その手があったか」
「ブロッサムはやめてほしいって言ってるんだ~。うれしそうだけど」
「やめてほしいのにうれしそう……爆発しやがれ?」
何気ない辛辣なお言葉がライラから聞こえた。
もちろんブロッサムは聞こえてないし、俺はガン無視だから意味無いが←
「んぎゅぅ……もふもふがたまらん……♪」
「やめろ! そして脇腹を撫でるな、変態! とにかく離れろ!!」
「……チッ。……んう」
「ひゃあっ!?」
やはり直にやったらばれるか←
思ったよりもふれなかったので、離れる寸前、首筋に軽く甘噛みして跡をつけてやった。
身体が跳ね上がって涙目になるという、とても可愛い反応と表情。
よし、今回はこれでチャラにしてしんぜよう←
「ん。可愛い」
「ちょ、な……首……っ」
「そんな目で見るな。襲いたくなる」
「襲う? つまりデキてるってことかい?」
「なっ!? 明鬼!!」
「当たり前だ!!」
「やかましい!!」
俺と明鬼の連携に、もはや茹蛸みたいに顔を赤くさせたブロッサム。
ダメだ。可愛い。可愛いよ、ブロッサム←
「デキてるって……二人は恋人関係なのです!?」
「だからさっきから何度も言ってるだろう、ツキノちゃん。言わせんな、恥ずかしくない当たり前なことを」
「多分、それはアユミちゃんしか思ってないと思うよ~。というか、リア充爆発しろ?」
何故か目を輝かせるツキノの横で、苦笑混じりのツッコミをシルフィーが言い切った。
何気におまえも毒を吐くよな。うん。
「…………」
「……? なんだ。月詠」
「……いや。ちょっと、な」
目を丸くして俺らを凝視……つまり、はっきりと驚いた表情で見ていた月詠に話しかける。
そして……おおっ。ようやくしゃべってくれたか←
「ちょっとって……」
「いや……気にす「ああ。月詠ってば、故郷のお父さんとお母さんを思い出したのか?」……明鬼……」
「は……?」
横から補足(というか茶々?)を入れた明鬼。ギロッと欝陶しく月詠が睨む横で、ツキノが苦笑混じりで話す。
「えっとね? アユミとブロッサムを見て、両親のことを思い出したんだと思うの。私たちの両親、ヒューマンとセレスティアだから」
「そう……え?」
「なんだと」
ヒューマンとセレスティア……つまり、異種族婚?
そしてそれが二人の両親ってことは……。
「二人は、ヒューマンとセレスティアのハーフってこと~?」
「うんっ。姿はヒューマンだけど、能力的にはセレスティア寄りかな? 魔法が得意だし。私」
「……僕は反対だけど。剣術……ヒューマン寄り能力。魔法はそこそこ」
「あー、たしかにな。なるほどなるほど」
まさか異種族体とはな。それもヒューマンとセレスティアの。
まあ探せばいるだろうけど。
「だから俺らのじゃれつきに、つい?」
「うん。お父さんとお母さん以外、ヒューマンとセレスティアのカップルって見たことなかったし……」
「……僕も」
「まさか目の前に両親以外のヒュセレがいるとはなー」
「あう……その……」
さりげなく仲を指摘され、熱の篭った顔を隠そうと両手で被うブロッサム。
「ま。二人の場合、ブロッサムが受けだけどね~」
「ブロッサムが受け……アユミは攻め?」
「しかもまさかの女性攻めか」
「……受け? 攻め?」
「気にするな」
妖精と精霊とモノノケのトリオの会話にブロッサムが首を傾げた。
いいんだ。ブロッサムは知らなくて。知ったら絶対憤死する←
「それより、プリシアナッツの実を取っちゃおうぜ? 冗談抜きで寒くなってきたし」
「そうだな。俺にはあまり関係ないけど」
……明鬼君、腹立つわ。寒くないなんて。
いつの間にか無言になった一同の中、ぷつりと湧いた怒りを胸に、ザクザクと雪道を進むのだった。
――――
……毎回毎回思うんだけどさ。
なんで必ずって付くくらい……。
「――こうも戦闘フラグが成立してくるんだろーなー」
「いや、これはもう言ってる場合じゃないだろ!!」
目の前の光景を見て、軽く現実逃避を起こす。
……だってさ……。
「グルルル……ッ!」
「シュロロロ……」
「ゲロッパ!」
プリシアナッツの木の前に、魔物の大群がいるんだけど。ザッと見……50体前後かな……←
……おかしいな。俺の目だけチャンネルが違うぞ? 目にゴミでも入ったかね?
「やめろ、アユミ。ナイフでえぐり取ろうとするな。おまえの目は正常だ」
ブロッサムに阻止された。
やだな、冗談だよ。えぐり取る行動だけは←
「……モンスターの大量発生?」
「そんな情報は無いはずだよ~。……まあモンスターの行動、100%わかるわけじゃないけど」
「それはこの際後だ。……問題は目の前の現状だ」
「だよな……あれを何とかしないと、いざって時に他の生徒が困るよな」
「プリシアナッツの実も……確保できない」
……ブロッサムと月詠の言う通りだ。
目的のプリシアナッツの実も取れないし、こんなの放置して人里とかに襲撃されたら……そして放置したのをセントウレアに知られたら――。
(……ぜってー留年される)
ただでさえギャンブルで借りた借金があるのに、このうえ下手な真似したら……。
というか、セントウレアを説得(セルシア経由で)出来ても、今度は悪魔執事ネメシアが黙っちゃいないし←
「世の為、人の為、俺(の進級)の為だ。……面倒だが、奴らには退散してもらおう」
「今アユミから、邪な考えを感知した気がしたが……まあいいや。間違ってはないし」
ブロッサム君、なんでわかったんだい!?←
どこまでも隠し事できないね、君には!
「そんじゃ、ま。さっさと終わらせますか!」
「よっしゃ! さァて……一丁派手に!!」
「派手には行かない。サッと戦ってサッと終わらせるぞ!」
「ノリが悪いなぁ、月詠君」
皆さん好き勝手言い合いながら、それぞれ武器を構えた。
そしてモンスターどもも俺らの戦意に気づいたか、全員敵意剥き出しでこちらを睨んでくる。
「退く気はないか。……ならば蹴散らすまで!!」
刀と鞘を構え、突っ込んできた狼二匹をそれぞれ返り討ちにした。
ダメージを受け、狼は二匹とも倒れる。
(……ん?)
……が、奇妙なことに気づく。
モンスターがまた起き上がった。だが問題はこれじゃない。
(なんだ……何か、違う……)
普通のモンスターに比べ、コイツらはそれなりに硬い。普通と思っていつもの力加減で振るったせいで傷が浅く、倒しきれなかったせいだ。
「……気をつけろ。コイツら……普通のより強い」
「え」
「よりガチでやらないと、ちょっと押し切られそうだ」
嘗めてかかると痛い目を見る。
本能的にそう感じた俺は注意を促した。モンスターを嘗めたら、一瞬であの世逝きだからな。
「じゃあ……多少派手にいっちゃっても?」
「それくらいあってもいいな。じゃないとさっきみたいに、倒しきれないかも」
「OK。なら……久々に暴れちまおうか!?」
俺の言葉に舌なめずりしながら、明鬼がうれしそうに両手の刀を振り回した。
コイツ……相当戦闘凶らしいな。
「……まあいい。とりあえず! 野郎ども!! 一丁派手に行きますかあ!!」
「了解したぜ! アユミの姐御ぉ!!」
「え。アユミちゃん、姐御に昇格?」
「……なんと驚き?」
「明鬼……アユミが気に入ったみたいだね」
「気に、入った……だと!?」
「……すまない。ブロッサム」
……ホントに好き勝手言っちゃってますね、おまえら←
そんな俺らの掛け声(ノったの明鬼だけだけど)を皮切りに、モンスターが怒涛の如く攻めはじめた。
雪崩のようにこちらへ向かってくる。
「邪魔すんな! そらぁ!!」
「おらぁあああッ!!!」
先頭を駆ける狼の群れへと斬り込む俺と明鬼。
一体一体に一撃を叩き込むが、やはり異常な生命力と硬さで、一撃では倒せない。
「なるほどな。たしかに硬ェや」
「体力や力には自信あるが、これじゃ厳しいな」
改めて再確認し、「というワケで~」と後ろへ振り返る。
「行けェ! シルフィー!! 我らが破滅の妖精賢者よッ!!!」
「アユミちゃん。その呼び方は勘弁してほしいな~」
カードでミミックを追い払いつつ、橙色の魔力をシルフィーが集約させた。
「古代より受け継がれし神聖なる炎! ノヴァ!!」
爆発系の古代魔法ノヴァ。
空に舞う鳥形モンスターの中心で火球が爆発し、そのいくつかはボタボタと地面へ落下していった。もちろん炭になってな。
「うわあ……すご~い!」
「…………。なんて破壊力だ」
双子もシルフィーの魔法に驚いてる。ま、普通を自分流に変えるところも原因だけどな。
「ゲロゲロゲロ……ゲロッパァァァァァァッ!!!」
「きゃ……ッ!?」
おっとー。今度はミミックが突っ込んだァァァッ!!!
ってツキノが危ない!!
「――やぁっ!!」
と、ここでライラが光の速さで、強烈な踵落しでミミックを殻ごと叩き潰した。
……相変わらず、凄まじい脚力だこと。
「……大丈夫?」
「う、うん……ありがと」
「ううん……どういたしました」
やや無表情だが、まあ戦闘中だし。
拳と蹴りでモンスターを黙らせるライラを横目で見つつ、今度は精霊系モンスターに囲まれたあの二人を発見する。
「……ツキノを攻撃した……ツキノを狙いやがって……」
「お、おい! 月詠、落ち着けって!! ミコトはほら、無事だし……」
「潰す……一体残らず消し潰してくれる……!!」
「……ダメだ、こりゃ……」
……あっちはあっちで大変なことになってた。
ツキノを攻撃したことに激怒したらしい、月詠が目茶苦茶ドス黒いオーラを膨らませながらモンスターを睨みつけていた。
それを傍にいるブロッサムがびくつくという図。……完全に子兎状態のブロッサムを弄りたい! 今すぐ!!←
「――消え失せろ、貴様らぁあああッ!!!」
そうこう見てる内に、キレた月詠が刀を持って突っ込んでいった。
両手の刀で走り抜きつつ斬撃を与えていく。しかも物理の効きにくい精霊系が相手にも関わらず、強固な一撃を叩き込んでいた。
「あー……キレまくってるな、アイツ」
「怒りでパワーアップか……もはや鬼だろ、ありゃ」
般若の幻影が見えるくらいだしな←
ありゃ、俺らが何もせずとも勝てそうだな。勢い的に←
『……! ……!!』
と、ここで鳥形モンスターと精霊モンスターが同時に月詠に突っ込んでいった。
それもやけに統率の取れた動きで。
「避けろ、月詠!!」
「……!?」
周りに気がつくがすでに遅い。
モンスターの牙が月詠に食い込む――!!
『眠れッ!!!』
……寸前、マイク越しにブロッサムの声が周りに響いた。
その影響か、月詠に襲いかかるモンスターたちが、みなバタバタと倒れていく。
「子守歌? ……の割には俺らには効いてないが」
「ああ。子守歌の魔力を一点集中させて、一気に放出させただけだ。短縮技だし、効果もぐっと低くなる……あくまで“歌”じゃないからな」
「なるほど」
それを聞いて納得した。
要はシルフィーのアレンジ魔法と一緒なんだ。ただ“歌魔法”だからアレンジが難しいうえ、効力が通常通りに発動できないはず。
……ま、それでも中々の効力を発揮してるのは、やっぱ奴の超両極端の才能故なのだろうな。
「やっぱりおまえは天才だよな……音楽関係は」
「やめろ! その含みのある言い方!」
だって事実じゃないか。
音楽関係は全部才能を発揮しまくってるし←
「それより! 効果は長くもたない! 早く決めないと、倒れたモンスターが起きてくるぞ!」
「む。それはいかんな」
「……ブロッサムが助けてくれたのに、な」
ああ。せっかくの好意が無駄にするわけにはいかないしな。
再度刀を構え、ふらふらとなっているモンスターに向き直る。
「一気に攻めるぞ! おまえら! 準備はいいな!」
「いつでもいいぞ!!」
「はいは~い」
「OK……どうぞ?」
ブロッサム、シルフィー、ライラ。さすがの三人はすぐに頷いた。
よしよし、いい子たちだ。
「……さあ。行くぞ!」
三人が頷いたことを合図に、俺らの攻撃が開始された。
俺の白刃一閃が敵のモンスターを薙ぎ払い、ブロッサムのウィスプが追撃し、ライラの蹴りが援護し、シルフィーのウィンディーが敵を巻き上げる。
「いいか、シルフィー?」
「OKだよ~♪」
後方にいる術師二人が魔力を揃え、それが天へ放たれた。
「「落ちろ!!」」
セントウレア並の強力な雷が敵の中心に落っこちた。
超強力なトールは瞬く間に大地を、敵ともろともやけ野原へ変える。
「やった~♪ ブロッサム、うまくいったよ~♪」
「ああ。……ホントにいくとは思わなかったけど……」
兎のようにぴょんこぴょんこと跳ねるシルフィーに対し、ブロッサムは目を反らしながらボソッとつぶやいた。
……まさか、初めてやったのか?
「おい。どんだけ危険な掛けをやったんだ。というか威力を考えろ! プリシアナッツごと燃えたらどうすんだよ!!」
そんなことになったら留年どころか殺される!
いくら俺でもマジギレ起こした校長に勝てる気はしねぇよ!!
「まあまあ。ちゃんとプリシアナッツの木に落とさないようにはしたから~。とりあえず今は無事だから問題無くな~い?」
「今は無事……ならば、今後に期待?」
「たしかにそれには俺も大いに頷くがな。使いこなせれば大きな力だ」
「おまえらな……」
ブロッサムが呆れ顔を浮かべる。が、俺らは気にしません。
またいつぞやみたいに予定外の魔王と戦うかわからないしな。
魔王とか神様とかに何人喧嘩吹っ掛けたやら……←
約束の雪原
えー。ブロッサムのツッコミもそこそこに、俺たちはプリシアナッツの実を(勝手に)手に入れるため、やって来ましたよ、雪原に。
「うわあ♪ 綺麗な真っ白♪」
「綺麗な白……銀世界?」
「……銀世界」
「プリシアナ地方は雪景色も名物だもんね~」
「久しぶりに見たが、やっぱり良い光景だもんなあ」
三人はシルフィー、ライラと雪景色を楽しんでいた。つーか仲良くなるの早いな、妖精霊コンビ←
……しかーし。それとは反対に、真っ暗なオーラを醸し出す男の子が約一名。
「あー……ホントに来ちゃったよ……」
はい。皆さんわかりますよね?
言わずもがな、ブロッサムですよ←
「どうしよう……今度こそ校長に殺される……!」
「まだ言ってんのか、それ」
「しかたないだろ!? ってか、誰のせいだと思ってんだ!!」
フーッ! と威嚇する猫のように睨んでくる。
ただ校長の恐ろしさをよく知ってるからか、若干涙目になってるけど。
怖いどころかむしろ可愛い←
「大丈夫大丈夫。最悪の場合、アイツを使えば回避できるから。あまり使いたくない手だけど」
「……え? アイツって?」
「校長限定最終兵器セルシア」
「……ああ。セルシアか……」
そう言えば、納得、と表情を浮かべた。
だって弟バカの校長にはセルシアが効くからな←
「…………むぅ……」
……とは言え。セルシアに任せることが気に入らないか、そっぽ向いて拗ねちゃった。
相変わらず可愛い嫉妬よのぅ←
「なんだ。気に入らないか? なら生死を分かつまで殺り合った方がいいか?」
「いや、そうじゃないけど……ただ……」
「……ただ?」
首を傾げて聞けば、言いにくそうにもごもごと口を動かしている。
「ただ……ただ、俺は……」
「アユミが俺じゃなくて
「そうだよ。俺だって頼られたいのに……って」
躊躇いながらも答えようとした瞬間、ブロッサムから別の声が聞こえてきました。
ブロッサムはポロッと本音をこぼして、だけどハッと我に返って後ろを向く。
「まったく……言いたいこと言わないと、逃げられちゃうぞ?」
「な、あっ……! う、うるさあーーーいッ!!!」
犯人は明鬼でした← 楽しそうににやにやしながら逃げ、それを真っ赤になったブロッサムが追いかける。
……ホントに人間っぽいモノノケ様でございますね←
「明鬼……もう、すぐちょっかい出すんだから」
「あはは。面白いね~」
「面白い……ユニークなモノノケさん?」
「……あの男は……っ!!」
ツキノと月詠は慣れてるから呆れと苛立ちをそれぞれ表し、妖精霊コンビは慣れたらしく、二人の鬼ごっこを傍観している。
(すっかり仲良くなったなー、ホント)
出会って一、二時間で仲良くなろうとは……いやはや、さすが俺たちだな←
「はいはい、おまえら。今はプリシアナッツの実を確保しようぜ? いつまでもこんな寒いとこにいたら風邪を引くし」
「そうですね。お~い、明鬼~」
「おまえも戻ってこーい。ブロッサムー」
やっぱツキノも寒いって思ってたか←
そんなことを思いながら、終わりそうもない鬼ごっこを続けていた二人を呼び寄せた。
「ぜぇ……ぜぇ……い、行くのか……?」
「そうだけど……どんだけ走ってんだよ」
「あうう……だって……」
「とにかくやめろって。崖もあるんだから。鮮やかな滑走なんて嫌だからな」
「鮮やかな
「……はい」
俺とライラに畳み掛けられ、ブロッサムもようやく諦めついた。
明鬼は明鬼で双子に説教された(っつってもあんまり聞いてないが)ので、改めて全員、雪原へ足を踏み入れたのだった。
――――
「あうぅー……やっぱり寒いぃ……」
「……ぶるぶる」
「大丈夫~? ミコトちゃん、ライラちゃん」
コートを着てても震えてる二人に、寒さに強いのか、ケロッとしてるシルフィーが声をかける。
モンスターとも戦いながら雪原を踏み進むが……、それとはべつで、この寒さはキツイよな……。
「温暖気候に慣れたからなー。寒いのも無理無いだろ」
「だよな。寒いのは俺も苦手だ。……まあでも俺はまだ大丈夫」
「へ? ――みぎゃッ!!!?」
そう言って、ブロッサムの背中にへばり付いた。
正確にはブロッサムの翼にだけど。
「はぁ……♪ もふもふ……♪」
「ちょ、やめ……っ、く、くすぐ……ぎゃーーーっ!!!」
バタバタと暴れるが、そこは大丈夫。
関節技を掛ける要領でがっちりしがみついているから、抵抗は無駄に終わっている。
「羽毛かー。なるほど、その手があったか」
「ブロッサムはやめてほしいって言ってるんだ~。うれしそうだけど」
「やめてほしいのにうれしそう……爆発しやがれ?」
何気ない辛辣なお言葉がライラから聞こえた。
もちろんブロッサムは聞こえてないし、俺はガン無視だから意味無いが←
「んぎゅぅ……もふもふがたまらん……♪」
「やめろ! そして脇腹を撫でるな、変態! とにかく離れろ!!」
「……チッ。……んう」
「ひゃあっ!?」
やはり直にやったらばれるか←
思ったよりもふれなかったので、離れる寸前、首筋に軽く甘噛みして跡をつけてやった。
身体が跳ね上がって涙目になるという、とても可愛い反応と表情。
よし、今回はこれでチャラにしてしんぜよう←
「ん。可愛い」
「ちょ、な……首……っ」
「そんな目で見るな。襲いたくなる」
「襲う? つまりデキてるってことかい?」
「なっ!? 明鬼!!」
「当たり前だ!!」
「やかましい!!」
俺と明鬼の連携に、もはや茹蛸みたいに顔を赤くさせたブロッサム。
ダメだ。可愛い。可愛いよ、ブロッサム←
「デキてるって……二人は恋人関係なのです!?」
「だからさっきから何度も言ってるだろう、ツキノちゃん。言わせんな、恥ずかしくない当たり前なことを」
「多分、それはアユミちゃんしか思ってないと思うよ~。というか、リア充爆発しろ?」
何故か目を輝かせるツキノの横で、苦笑混じりのツッコミをシルフィーが言い切った。
何気におまえも毒を吐くよな。うん。
「…………」
「……? なんだ。月詠」
「……いや。ちょっと、な」
目を丸くして俺らを凝視……つまり、はっきりと驚いた表情で見ていた月詠に話しかける。
そして……おおっ。ようやくしゃべってくれたか←
「ちょっとって……」
「いや……気にす「ああ。月詠ってば、故郷のお父さんとお母さんを思い出したのか?」……明鬼……」
「は……?」
横から補足(というか茶々?)を入れた明鬼。ギロッと欝陶しく月詠が睨む横で、ツキノが苦笑混じりで話す。
「えっとね? アユミとブロッサムを見て、両親のことを思い出したんだと思うの。私たちの両親、ヒューマンとセレスティアだから」
「そう……え?」
「なんだと」
ヒューマンとセレスティア……つまり、異種族婚?
そしてそれが二人の両親ってことは……。
「二人は、ヒューマンとセレスティアのハーフってこと~?」
「うんっ。姿はヒューマンだけど、能力的にはセレスティア寄りかな? 魔法が得意だし。私」
「……僕は反対だけど。剣術……ヒューマン寄り能力。魔法はそこそこ」
「あー、たしかにな。なるほどなるほど」
まさか異種族体とはな。それもヒューマンとセレスティアの。
まあ探せばいるだろうけど。
「だから俺らのじゃれつきに、つい?」
「うん。お父さんとお母さん以外、ヒューマンとセレスティアのカップルって見たことなかったし……」
「……僕も」
「まさか目の前に両親以外のヒュセレがいるとはなー」
「あう……その……」
さりげなく仲を指摘され、熱の篭った顔を隠そうと両手で被うブロッサム。
「ま。二人の場合、ブロッサムが受けだけどね~」
「ブロッサムが受け……アユミは攻め?」
「しかもまさかの女性攻めか」
「……受け? 攻め?」
「気にするな」
妖精と精霊とモノノケのトリオの会話にブロッサムが首を傾げた。
いいんだ。ブロッサムは知らなくて。知ったら絶対憤死する←
「それより、プリシアナッツの実を取っちゃおうぜ? 冗談抜きで寒くなってきたし」
「そうだな。俺にはあまり関係ないけど」
……明鬼君、腹立つわ。寒くないなんて。
いつの間にか無言になった一同の中、ぷつりと湧いた怒りを胸に、ザクザクと雪道を進むのだった。
――――
……毎回毎回思うんだけどさ。
なんで必ずって付くくらい……。
「――こうも戦闘フラグが成立してくるんだろーなー」
「いや、これはもう言ってる場合じゃないだろ!!」
目の前の光景を見て、軽く現実逃避を起こす。
……だってさ……。
「グルルル……ッ!」
「シュロロロ……」
「ゲロッパ!」
プリシアナッツの木の前に、魔物の大群がいるんだけど。ザッと見……50体前後かな……←
……おかしいな。俺の目だけチャンネルが違うぞ? 目にゴミでも入ったかね?
「やめろ、アユミ。ナイフでえぐり取ろうとするな。おまえの目は正常だ」
ブロッサムに阻止された。
やだな、冗談だよ。えぐり取る行動だけは←
「……モンスターの大量発生?」
「そんな情報は無いはずだよ~。……まあモンスターの行動、100%わかるわけじゃないけど」
「それはこの際後だ。……問題は目の前の現状だ」
「だよな……あれを何とかしないと、いざって時に他の生徒が困るよな」
「プリシアナッツの実も……確保できない」
……ブロッサムと月詠の言う通りだ。
目的のプリシアナッツの実も取れないし、こんなの放置して人里とかに襲撃されたら……そして放置したのをセントウレアに知られたら――。
(……ぜってー留年される)
ただでさえギャンブルで借りた借金があるのに、このうえ下手な真似したら……。
というか、セントウレアを説得(セルシア経由で)出来ても、今度は悪魔執事ネメシアが黙っちゃいないし←
「世の為、人の為、俺(の進級)の為だ。……面倒だが、奴らには退散してもらおう」
「今アユミから、邪な考えを感知した気がしたが……まあいいや。間違ってはないし」
ブロッサム君、なんでわかったんだい!?←
どこまでも隠し事できないね、君には!
「そんじゃ、ま。さっさと終わらせますか!」
「よっしゃ! さァて……一丁派手に!!」
「派手には行かない。サッと戦ってサッと終わらせるぞ!」
「ノリが悪いなぁ、月詠君」
皆さん好き勝手言い合いながら、それぞれ武器を構えた。
そしてモンスターどもも俺らの戦意に気づいたか、全員敵意剥き出しでこちらを睨んでくる。
「退く気はないか。……ならば蹴散らすまで!!」
刀と鞘を構え、突っ込んできた狼二匹をそれぞれ返り討ちにした。
ダメージを受け、狼は二匹とも倒れる。
(……ん?)
……が、奇妙なことに気づく。
モンスターがまた起き上がった。だが問題はこれじゃない。
(なんだ……何か、違う……)
普通のモンスターに比べ、コイツらはそれなりに硬い。普通と思っていつもの力加減で振るったせいで傷が浅く、倒しきれなかったせいだ。
「……気をつけろ。コイツら……普通のより強い」
「え」
「よりガチでやらないと、ちょっと押し切られそうだ」
嘗めてかかると痛い目を見る。
本能的にそう感じた俺は注意を促した。モンスターを嘗めたら、一瞬であの世逝きだからな。
「じゃあ……多少派手にいっちゃっても?」
「それくらいあってもいいな。じゃないとさっきみたいに、倒しきれないかも」
「OK。なら……久々に暴れちまおうか!?」
俺の言葉に舌なめずりしながら、明鬼がうれしそうに両手の刀を振り回した。
コイツ……相当戦闘凶らしいな。
「……まあいい。とりあえず! 野郎ども!! 一丁派手に行きますかあ!!」
「了解したぜ! アユミの姐御ぉ!!」
「え。アユミちゃん、姐御に昇格?」
「……なんと驚き?」
「明鬼……アユミが気に入ったみたいだね」
「気に、入った……だと!?」
「……すまない。ブロッサム」
……ホントに好き勝手言っちゃってますね、おまえら←
そんな俺らの掛け声(ノったの明鬼だけだけど)を皮切りに、モンスターが怒涛の如く攻めはじめた。
雪崩のようにこちらへ向かってくる。
「邪魔すんな! そらぁ!!」
「おらぁあああッ!!!」
先頭を駆ける狼の群れへと斬り込む俺と明鬼。
一体一体に一撃を叩き込むが、やはり異常な生命力と硬さで、一撃では倒せない。
「なるほどな。たしかに硬ェや」
「体力や力には自信あるが、これじゃ厳しいな」
改めて再確認し、「というワケで~」と後ろへ振り返る。
「行けェ! シルフィー!! 我らが破滅の妖精賢者よッ!!!」
「アユミちゃん。その呼び方は勘弁してほしいな~」
カードでミミックを追い払いつつ、橙色の魔力をシルフィーが集約させた。
「古代より受け継がれし神聖なる炎! ノヴァ!!」
爆発系の古代魔法ノヴァ。
空に舞う鳥形モンスターの中心で火球が爆発し、そのいくつかはボタボタと地面へ落下していった。もちろん炭になってな。
「うわあ……すご~い!」
「…………。なんて破壊力だ」
双子もシルフィーの魔法に驚いてる。ま、普通を自分流に変えるところも原因だけどな。
「ゲロゲロゲロ……ゲロッパァァァァァァッ!!!」
「きゃ……ッ!?」
おっとー。今度はミミックが突っ込んだァァァッ!!!
ってツキノが危ない!!
「――やぁっ!!」
と、ここでライラが光の速さで、強烈な踵落しでミミックを殻ごと叩き潰した。
……相変わらず、凄まじい脚力だこと。
「……大丈夫?」
「う、うん……ありがと」
「ううん……どういたしました」
やや無表情だが、まあ戦闘中だし。
拳と蹴りでモンスターを黙らせるライラを横目で見つつ、今度は精霊系モンスターに囲まれたあの二人を発見する。
「……ツキノを攻撃した……ツキノを狙いやがって……」
「お、おい! 月詠、落ち着けって!! ミコトはほら、無事だし……」
「潰す……一体残らず消し潰してくれる……!!」
「……ダメだ、こりゃ……」
……あっちはあっちで大変なことになってた。
ツキノを攻撃したことに激怒したらしい、月詠が目茶苦茶ドス黒いオーラを膨らませながらモンスターを睨みつけていた。
それを傍にいるブロッサムがびくつくという図。……完全に子兎状態のブロッサムを弄りたい! 今すぐ!!←
「――消え失せろ、貴様らぁあああッ!!!」
そうこう見てる内に、キレた月詠が刀を持って突っ込んでいった。
両手の刀で走り抜きつつ斬撃を与えていく。しかも物理の効きにくい精霊系が相手にも関わらず、強固な一撃を叩き込んでいた。
「あー……キレまくってるな、アイツ」
「怒りでパワーアップか……もはや鬼だろ、ありゃ」
般若の幻影が見えるくらいだしな←
ありゃ、俺らが何もせずとも勝てそうだな。勢い的に←
『……! ……!!』
と、ここで鳥形モンスターと精霊モンスターが同時に月詠に突っ込んでいった。
それもやけに統率の取れた動きで。
「避けろ、月詠!!」
「……!?」
周りに気がつくがすでに遅い。
モンスターの牙が月詠に食い込む――!!
『眠れッ!!!』
……寸前、マイク越しにブロッサムの声が周りに響いた。
その影響か、月詠に襲いかかるモンスターたちが、みなバタバタと倒れていく。
「子守歌? ……の割には俺らには効いてないが」
「ああ。子守歌の魔力を一点集中させて、一気に放出させただけだ。短縮技だし、効果もぐっと低くなる……あくまで“歌”じゃないからな」
「なるほど」
それを聞いて納得した。
要はシルフィーのアレンジ魔法と一緒なんだ。ただ“歌魔法”だからアレンジが難しいうえ、効力が通常通りに発動できないはず。
……ま、それでも中々の効力を発揮してるのは、やっぱ奴の超両極端の才能故なのだろうな。
「やっぱりおまえは天才だよな……音楽関係は」
「やめろ! その含みのある言い方!」
だって事実じゃないか。
音楽関係は全部才能を発揮しまくってるし←
「それより! 効果は長くもたない! 早く決めないと、倒れたモンスターが起きてくるぞ!」
「む。それはいかんな」
「……ブロッサムが助けてくれたのに、な」
ああ。せっかくの好意が無駄にするわけにはいかないしな。
再度刀を構え、ふらふらとなっているモンスターに向き直る。
「一気に攻めるぞ! おまえら! 準備はいいな!」
「いつでもいいぞ!!」
「はいは~い」
「OK……どうぞ?」
ブロッサム、シルフィー、ライラ。さすがの三人はすぐに頷いた。
よしよし、いい子たちだ。
「……さあ。行くぞ!」
三人が頷いたことを合図に、俺らの攻撃が開始された。
俺の白刃一閃が敵のモンスターを薙ぎ払い、ブロッサムのウィスプが追撃し、ライラの蹴りが援護し、シルフィーのウィンディーが敵を巻き上げる。
「いいか、シルフィー?」
「OKだよ~♪」
後方にいる術師二人が魔力を揃え、それが天へ放たれた。
「「落ちろ!!」」
セントウレア並の強力な雷が敵の中心に落っこちた。
超強力なトールは瞬く間に大地を、敵ともろともやけ野原へ変える。
「やった~♪ ブロッサム、うまくいったよ~♪」
「ああ。……ホントにいくとは思わなかったけど……」
兎のようにぴょんこぴょんこと跳ねるシルフィーに対し、ブロッサムは目を反らしながらボソッとつぶやいた。
……まさか、初めてやったのか?
「おい。どんだけ危険な掛けをやったんだ。というか威力を考えろ! プリシアナッツごと燃えたらどうすんだよ!!」
そんなことになったら留年どころか殺される!
いくら俺でもマジギレ起こした校長に勝てる気はしねぇよ!!
「まあまあ。ちゃんとプリシアナッツの木に落とさないようにはしたから~。とりあえず今は無事だから問題無くな~い?」
「今は無事……ならば、今後に期待?」
「たしかにそれには俺も大いに頷くがな。使いこなせれば大きな力だ」
「おまえらな……」
ブロッサムが呆れ顔を浮かべる。が、俺らは気にしません。
またいつぞやみたいに予定外の魔王と戦うかわからないしな。
魔王とか神様とかに何人喧嘩吹っ掛けたやら……←