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双子とモノノケ

 ――――

 約束の雪原

 えー。ブロッサムのツッコミもそこそこに、俺たちはプリシアナッツの実を(勝手に)手に入れるため、やって来ましたよ、雪原に。

「うわあ♪ 綺麗な真っ白♪」

「綺麗な白……銀世界?」

「……銀世界」

「プリシアナ地方は雪景色も名物だもんね~」

「久しぶりに見たが、やっぱり良い光景だもんなあ」

 三人はシルフィー、ライラと雪景色を楽しんでいた。つーか仲良くなるの早いな、妖精霊コンビ←
 ……しかーし。それとは反対に、真っ暗なオーラを醸し出す男の子が約一名。

「あー……ホントに来ちゃったよ……」

 はい。皆さんわかりますよね?
 言わずもがな、ブロッサムですよ←

「どうしよう……今度こそ校長に殺される……!」

「まだ言ってんのか、それ」

「しかたないだろ!? ってか、誰のせいだと思ってんだ!!」

 フーッ! と威嚇する猫のように睨んでくる。
 ただ校長の恐ろしさをよく知ってるからか、若干涙目になってるけど。
 怖いどころかむしろ可愛い←

「大丈夫大丈夫。最悪の場合、アイツを使えば回避できるから。あまり使いたくない手だけど」

「……え? アイツって?」

「校長限定最終兵器セルシア」

「……ああ。セルシアか……」

 そう言えば、納得、と表情を浮かべた。
 だって弟バカの校長にはセルシアが効くからな←

「…………むぅ……」

 ……とは言え。セルシアに任せることが気に入らないか、そっぽ向いて拗ねちゃった。
 相変わらず可愛い嫉妬よのぅ←

「なんだ。気に入らないか? なら生死を分かつまで殺り合った方がいいか?」

「いや、そうじゃないけど……ただ……」

「……ただ?」

 首を傾げて聞けば、言いにくそうにもごもごと口を動かしている。

「ただ……ただ、俺は……」

「アユミが俺じゃなくて他の男セルシアを頼っているのが気に入らない?」

「そうだよ。俺だって頼られたいのに……って」

 躊躇いながらも答えようとした瞬間、ブロッサムから別の声が聞こえてきました。
 ブロッサムはポロッと本音をこぼして、だけどハッと我に返って後ろを向く。

「まったく……言いたいこと言わないと、逃げられちゃうぞ?」

「な、あっ……! う、うるさあーーーいッ!!!」

 犯人は明鬼でした← 楽しそうににやにやしながら逃げ、それを真っ赤になったブロッサムが追いかける。
 ……ホントに人間っぽいモノノケ様でございますね←

「明鬼……もう、すぐちょっかい出すんだから」

「あはは。面白いね~」

「面白い……ユニークなモノノケさん?」

「……あの男は……っ!!」

 ツキノと月詠は慣れてるから呆れと苛立ちをそれぞれ表し、妖精霊コンビは慣れたらしく、二人の鬼ごっこを傍観している。

(すっかり仲良くなったなー、ホント)

 出会って一、二時間で仲良くなろうとは……いやはや、さすが俺たちだな←

「はいはい、おまえら。今はプリシアナッツの実を確保しようぜ? いつまでもこんな寒いとこにいたら風邪を引くし」

「そうですね。お~い、明鬼~」

「おまえも戻ってこーい。ブロッサムー」

 やっぱツキノも寒いって思ってたか←
 そんなことを思いながら、終わりそうもない鬼ごっこを続けていた二人を呼び寄せた。

「ぜぇ……ぜぇ……い、行くのか……?」

「そうだけど……どんだけ走ってんだよ」

「あうう……だって……」

「とにかくやめろって。崖もあるんだから。鮮やかな滑走なんて嫌だからな」

「鮮やかな滑走ダイビング……地獄逝きゴー・トゥ・ヘル?」

「……はい」

 俺とライラに畳み掛けられ、ブロッサムもようやく諦めついた。
 明鬼は明鬼で双子に説教された(っつってもあんまり聞いてないが)ので、改めて全員、雪原へ足を踏み入れたのだった。

 ――――

「あうぅー……やっぱり寒いぃ……」

「……ぶるぶる」

「大丈夫~? ミコトちゃん、ライラちゃん」

 コートを着てても震えてる二人に、寒さに強いのか、ケロッとしてるシルフィーが声をかける。
 モンスターとも戦いながら雪原を踏み進むが……、それとはべつで、この寒さはキツイよな……。

「温暖気候に慣れたからなー。寒いのも無理無いだろ」

「だよな。寒いのは俺も苦手だ。……まあでも俺はまだ大丈夫」

「へ? ――みぎゃッ!!!?」

 そう言って、ブロッサムの背中にへばり付いた。
 正確にはブロッサムの翼にだけど。

「はぁ……♪ もふもふ……♪」

「ちょ、やめ……っ、く、くすぐ……ぎゃーーーっ!!!」

 バタバタと暴れるが、そこは大丈夫。
 関節技を掛ける要領でがっちりしがみついているから、抵抗は無駄に終わっている。

「羽毛かー。なるほど、その手があったか」

「ブロッサムはやめてほしいって言ってるんだ~。うれしそうだけど」

「やめてほしいのにうれしそう……爆発しやがれ?」

 何気ない辛辣なお言葉がライラから聞こえた。
 もちろんブロッサムは聞こえてないし、俺はガン無視だから意味無いが←

「んぎゅぅ……もふもふがたまらん……♪」

「やめろ! そして脇腹を撫でるな、変態! とにかく離れろ!!」

「……チッ。……んう」

「ひゃあっ!?」

 やはり直にやったらばれるか←
 思ったよりもふれなかったので、離れる寸前、首筋に軽く甘噛みして跡をつけてやった。
 身体が跳ね上がって涙目になるという、とても可愛い反応と表情。
 よし、今回はこれでチャラにしてしんぜよう←

「ん。可愛い」

「ちょ、な……首……っ」

「そんな目で見るな。襲いたくなる」

「襲う? つまりデキてるってことかい?」

「なっ!? 明鬼!!」

「当たり前だ!!」

「やかましい!!」

 俺と明鬼の連携に、もはや茹蛸みたいに顔を赤くさせたブロッサム。
 ダメだ。可愛い。可愛いよ、ブロッサム←

「デキてるって……二人は恋人関係なのです!?」

「だからさっきから何度も言ってるだろう、ツキノちゃん。言わせんな、恥ずかしくない当たり前なことを」

「多分、それはアユミちゃんしか思ってないと思うよ~。というか、リア充爆発しろ?」

 何故か目を輝かせるツキノの横で、苦笑混じりのツッコミをシルフィーが言い切った。
 何気におまえも毒を吐くよな。うん。

「…………」

「……? なんだ。月詠」

「……いや。ちょっと、な」

 目を丸くして俺らを凝視……つまり、はっきりと驚いた表情で見ていた月詠に話しかける。
 そして……おおっ。ようやくしゃべってくれたか←

「ちょっとって……」

「いや……気にす「ああ。月詠ってば、故郷のお父さんとお母さんを思い出したのか?」……明鬼……」

「は……?」

 横から補足(というか茶々?)を入れた明鬼。ギロッと欝陶しく月詠が睨む横で、ツキノが苦笑混じりで話す。

「えっとね? アユミとブロッサムを見て、両親のことを思い出したんだと思うの。私たちの両親、ヒューマンとセレスティアだから」

「そう……え?」

「なんだと」

 ヒューマンとセレスティア……つまり、異種族婚?
 そしてそれが二人の両親ってことは……。

「二人は、ヒューマンとセレスティアのハーフってこと~?」

「うんっ。姿はヒューマンだけど、能力的にはセレスティア寄りかな? 魔法が得意だし。私」

「……僕は反対だけど。剣術……ヒューマン寄り能力。魔法はそこそこ」

「あー、たしかにな。なるほどなるほど」

 まさか異種族体とはな。それもヒューマンとセレスティアの。
 まあ探せばいるだろうけど。

「だから俺らのじゃれつきに、つい?」

「うん。お父さんとお母さん以外、ヒューマンとセレスティアのカップルって見たことなかったし……」

「……僕も」

「まさか目の前に両親以外のヒュセレがいるとはなー」

「あう……その……」

 さりげなく仲を指摘され、熱の篭った顔を隠そうと両手で被うブロッサム。

「ま。二人の場合、ブロッサムが受けだけどね~」

「ブロッサムが受け……アユミは攻め?」

「しかもまさかの女性攻めか」

「……受け? 攻め?」

「気にするな」

 妖精と精霊とモノノケのトリオの会話にブロッサムが首を傾げた。
 いいんだ。ブロッサムは知らなくて。知ったら絶対憤死する←

「それより、プリシアナッツの実を取っちゃおうぜ? 冗談抜きで寒くなってきたし」

「そうだな。俺にはあまり関係ないけど」

 ……明鬼君、腹立つわ。寒くないなんて。
 いつの間にか無言になった一同の中、ぷつりと湧いた怒りを胸に、ザクザクと雪道を進むのだった。

 ――――

 ……毎回毎回思うんだけどさ。
 なんで必ずって付くくらい……。

「――こうも戦闘フラグが成立してくるんだろーなー」

「いや、これはもう言ってる場合じゃないだろ!!」

 目の前の光景を見て、軽く現実逃避を起こす。
 ……だってさ……。

「グルルル……ッ!」

「シュロロロ……」

「ゲロッパ!」

 プリシアナッツの木の前に、魔物の大群がいるんだけど。ザッと見……50体前後かな……←
 ……おかしいな。俺の目だけチャンネルが違うぞ? 目にゴミでも入ったかね?

「やめろ、アユミ。ナイフでえぐり取ろうとするな。おまえの目は正常だ」

 ブロッサムに阻止された。
 やだな、冗談だよ。えぐり取る行動だけは←

「……モンスターの大量発生?」

「そんな情報は無いはずだよ~。……まあモンスターの行動、100%わかるわけじゃないけど」

「それはこの際後だ。……問題は目の前の現状だ」

「だよな……あれを何とかしないと、いざって時に他の生徒が困るよな」

「プリシアナッツの実も……確保できない」

 ……ブロッサムと月詠の言う通りだ。
 目的のプリシアナッツの実も取れないし、こんなの放置して人里とかに襲撃されたら……そして放置したのをセントウレアに知られたら――。

(……ぜってー留年される)

 ただでさえギャンブルで借りた借金があるのに、このうえ下手な真似したら……。
 というか、セントウレアを説得(セルシア経由で)出来ても、今度は悪魔執事ネメシアが黙っちゃいないし←

「世の為、人の為、俺(の進級)の為だ。……面倒だが、奴らには退散してもらおう」

「今アユミから、邪な考えを感知した気がしたが……まあいいや。間違ってはないし」

 ブロッサム君、なんでわかったんだい!?←
 どこまでも隠し事できないね、君には!

「そんじゃ、ま。さっさと終わらせますか!」

「よっしゃ! さァて……一丁派手に!!」

「派手には行かない。サッと戦ってサッと終わらせるぞ!」

「ノリが悪いなぁ、月詠君」

 皆さん好き勝手言い合いながら、それぞれ武器を構えた。
 そしてモンスターどもも俺らの戦意に気づいたか、全員敵意剥き出しでこちらを睨んでくる。

「退く気はないか。……ならば蹴散らすまで!!」

 刀と鞘を構え、突っ込んできた狼二匹をそれぞれ返り討ちにした。
 ダメージを受け、狼は二匹とも倒れる。

(……ん?)

 ……が、奇妙なことに気づく。
 モンスターがまた起き上がった。だが問題はこれじゃない。

(なんだ……何か、違う……)

 普通のモンスターに比べ、コイツらはそれなりに硬い。普通と思っていつもの力加減で振るったせいで傷が浅く、倒しきれなかったせいだ。

「……気をつけろ。コイツら……普通のより強い」

「え」

「よりガチでやらないと、ちょっと押し切られそうだ」

 嘗めてかかると痛い目を見る。
 本能的にそう感じた俺は注意を促した。モンスターを嘗めたら、一瞬であの世逝きだからな。

「じゃあ……多少派手にいっちゃっても?」

「それくらいあってもいいな。じゃないとさっきみたいに、倒しきれないかも」

「OK。なら……久々に暴れちまおうか!?」

 俺の言葉に舌なめずりしながら、明鬼がうれしそうに両手の刀を振り回した。
 コイツ……相当戦闘凶らしいな。

「……まあいい。とりあえず! 野郎ども!! 一丁派手に行きますかあ!!」

「了解したぜ! アユミの姐御ぉ!!」

「え。アユミちゃん、姐御に昇格?」

「……なんと驚き?」

「明鬼……アユミが気に入ったみたいだね」

「気に、入った……だと!?」

「……すまない。ブロッサム」

 ……ホントに好き勝手言っちゃってますね、おまえら←
 そんな俺らの掛け声(ノったの明鬼だけだけど)を皮切りに、モンスターが怒涛の如く攻めはじめた。
 雪崩のようにこちらへ向かってくる。

「邪魔すんな! そらぁ!!」

「おらぁあああッ!!!」

 先頭を駆ける狼の群れへと斬り込む俺と明鬼。
 一体一体に一撃を叩き込むが、やはり異常な生命力と硬さで、一撃では倒せない。

「なるほどな。たしかに硬ェや」

「体力や力には自信あるが、これじゃ厳しいな」

 改めて再確認し、「というワケで~」と後ろへ振り返る。

「行けェ! シルフィー!! 我らが破滅の妖精賢者よッ!!!」

「アユミちゃん。その呼び方は勘弁してほしいな~」

 カードでミミックを追い払いつつ、橙色の魔力をシルフィーが集約させた。

「古代より受け継がれし神聖なる炎! ノヴァ!!」

 爆発系の古代魔法ノヴァ。
 空に舞う鳥形モンスターの中心で火球が爆発し、そのいくつかはボタボタと地面へ落下していった。もちろん炭になってな。

「うわあ……すご~い!」

「…………。なんて破壊力だ」

 双子もシルフィーの魔法に驚いてる。ま、普通を自分流に変えるところも原因だけどな。

「ゲロゲロゲロ……ゲロッパァァァァァァッ!!!」

「きゃ……ッ!?」

 おっとー。今度はミミックが突っ込んだァァァッ!!!
 ってツキノが危ない!!

「――やぁっ!!」

 と、ここでライラが光の速さで、強烈な踵落しでミミックを殻ごと叩き潰した。
 ……相変わらず、凄まじい脚力だこと。

「……大丈夫?」

「う、うん……ありがと」

「ううん……どういたしました」

 やや無表情だが、まあ戦闘中だし。
 拳と蹴りでモンスターを黙らせるライラを横目で見つつ、今度は精霊系モンスターに囲まれたあの二人を発見する。

「……ツキノを攻撃した……ツキノを狙いやがって……」

「お、おい! 月詠、落ち着けって!! ミコトはほら、無事だし……」

「潰す……一体残らず消し潰してくれる……!!」

「……ダメだ、こりゃ……」

 ……あっちはあっちで大変なことになってた。
 ツキノを攻撃したことに激怒したらしい、月詠が目茶苦茶ドス黒いオーラを膨らませながらモンスターを睨みつけていた。
 それを傍にいるブロッサムがびくつくという図。……完全に子兎状態のブロッサムを弄りたい! 今すぐ!!←

「――消え失せろ、貴様らぁあああッ!!!」

 そうこう見てる内に、キレた月詠が刀を持って突っ込んでいった。
 両手の刀で走り抜きつつ斬撃を与えていく。しかも物理の効きにくい精霊系が相手にも関わらず、強固な一撃を叩き込んでいた。

「あー……キレまくってるな、アイツ」

「怒りでパワーアップか……もはや鬼だろ、ありゃ」

 般若の幻影が見えるくらいだしな←
 ありゃ、俺らが何もせずとも勝てそうだな。勢い的に←

『……! ……!!』

 と、ここで鳥形モンスターと精霊モンスターが同時に月詠に突っ込んでいった。
 それもやけに統率の取れた動きで。

「避けろ、月詠!!」

「……!?」

 周りに気がつくがすでに遅い。
 モンスターの牙が月詠に食い込む――!!

『眠れッ!!!』

 ……寸前、マイク越しにブロッサムの声が周りに響いた。
 その影響か、月詠に襲いかかるモンスターたちが、みなバタバタと倒れていく。

「子守歌? ……の割には俺らには効いてないが」

「ああ。子守歌の魔力を一点集中させて、一気に放出させただけだ。短縮技だし、効果もぐっと低くなる……あくまで“歌”じゃないからな」

「なるほど」

 それを聞いて納得した。
 要はシルフィーのアレンジ魔法と一緒なんだ。ただ“歌魔法”だからアレンジが難しいうえ、効力が通常通りに発動できないはず。
 ……ま、それでも中々の効力を発揮してるのは、やっぱ奴の超両極端の才能故なのだろうな。

「やっぱりおまえは天才だよな……音楽関係は」

「やめろ! その含みのある言い方!」

 だって事実じゃないか。
 音楽関係は全部才能を発揮しまくってるし←

「それより! 効果は長くもたない! 早く決めないと、倒れたモンスターが起きてくるぞ!」

「む。それはいかんな」

「……ブロッサムが助けてくれたのに、な」

 ああ。せっかくの好意が無駄にするわけにはいかないしな。
 再度刀を構え、ふらふらとなっているモンスターに向き直る。

「一気に攻めるぞ! おまえら! 準備はいいな!」

「いつでもいいぞ!!」

「はいは~い」

「OK……どうぞ?」

 ブロッサム、シルフィー、ライラ。さすがの三人はすぐに頷いた。
 よしよし、いい子たちだ。

「……さあ。行くぞ!」

 三人が頷いたことを合図に、俺らの攻撃が開始された。
 俺の白刃一閃が敵のモンスターを薙ぎ払い、ブロッサムのウィスプが追撃し、ライラの蹴りが援護し、シルフィーのウィンディーが敵を巻き上げる。

「いいか、シルフィー?」

「OKだよ~♪」

 後方にいる術師二人が魔力を揃え、それが天へ放たれた。

「「落ちろ!!」」

 セントウレア並の強力な雷が敵の中心に落っこちた。
 超強力なトールは瞬く間に大地を、敵ともろともやけ野原へ変える。

「やった~♪ ブロッサム、うまくいったよ~♪」

「ああ。……ホントにいくとは思わなかったけど……」

 兎のようにぴょんこぴょんこと跳ねるシルフィーに対し、ブロッサムは目を反らしながらボソッとつぶやいた。
 ……まさか、初めてやったのか?

「おい。どんだけ危険な掛けをやったんだ。というか威力を考えろ! プリシアナッツごと燃えたらどうすんだよ!!」

 そんなことになったら留年どころか殺される!
 いくら俺でもマジギレ起こした校長に勝てる気はしねぇよ!!

「まあまあ。ちゃんとプリシアナッツの木に落とさないようにはしたから~。とりあえず今は無事だから問題無くな~い?」

「今は無事……ならば、今後に期待?」

「たしかにそれには俺も大いに頷くがな。使いこなせれば大きな力だ」

「おまえらな……」

 ブロッサムが呆れ顔を浮かべる。が、俺らは気にしません。
 またいつぞやみたいに予定外の魔王と戦うかわからないしな。
 魔王とか神様とかに何人喧嘩吹っ掛けたやら……←
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