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双子とモノノケ

 別の学園からの御来客。

 さあさあ、今度はどうなります?

 ――――

「――なんで僕が……」

「まあまあ月詠ツキヨ。ここは堪えて」

 とある日のとあるダンジョン。
 銀髪と金髪のヒューマンの男女がある場所へ向けて歩いていった。
 ただし、少年はかなり不機嫌である。

「私たちも悪いんだからさ。ここは早く言って終わらせよう? ね?」

「…………。ツキノが言うなら……」

「そーそー。ここはパパーってさ。さっさと終わらせようぜ?」

 と、ここで第三者の声が。
 その声を聞くと、途端に月詠の顔が苛立ちに変わる。

「黙れ、明鬼アキ。誰のせいでこうなったと思ってるんだ!」

「怒るなよぉ、月詠」

 ギッと向ける怒りの眼差しも、彼は涼しい顔で受け流した。

「だって俺――“人間”じゃねぇし!」

 それどころかドヤ顔で、“黒い魔力”を辺りに漂わせながら言い切った。

 ――――

 アユミSide

「……くわぁ……っ」

 校庭の木の下。ぐっすり休んで大きなあくびをする。
 今現在は授業中……なんだけど、こっそりサボってきた。だって面倒なんだもん←

「んー……寝過ぎたかな……」

 気持ちいいんだけど、身体にガタが来るのがアレなんだよなあ……。
 そう思いながら、背筋を伸ばした時だった。

「……っ?」

 あれ……。今、ゾクッて悪寒が背中に来たような……?

「この感覚は……」

 似たようなものを何度も感じてる俺には、むしろ懐かしい感じ。
 神経を研ぎ澄ませ、学院を見渡す。

「……校門か」

 さっきより大分薄れてきたが間違いない。
 確信ついた俺は、ガタが感じる身体を起こし、校門の方へと足を運んだ。

 ――――

「この辺りのはずなんだがな」

 気配を辿り、校門へと着く。
 ……が、移動した後なのか、辺りには誰もいない。

「ここにいたのは間違いない。……となると……」

 再び気配を探り出す。
 ……が、さっきより反応が薄すぎて、ここからでは探知が不可能だった。

「ダメか……ま。ある程度は予想してたが」

 まして神聖力の高いプリシアナ学院に入り込んでんだしな。
 ただ事じゃないな……この“黒い気配”は。

「……しゃーねぇ。こうなりゃ、見つからないように……」

 校内を進むか。
 そう決意し、足を校舎へ向けた時だった。

「――。――――!」

「――――」

「…………」

 はっきりじゃないけど、俺の耳に話し声が入ってきた。
 近くはないが遠くでもない……って感じだな。

「これなら探れるな……よし」

 気配を探り、声の方向へ向かうことにした。

 ――――

「あ……いた」

 大聖堂の方向へ向かうと、予想通り発見することができた。
 プリシアナの制服の男子とタカチホ義塾の制服の女子。
 ……と、非常に見覚えある、目障り極まりない奴がいた。

「キィィィーーーッ!!! どこまでも私を馬鹿にしてェーーーッ!!!」

「馬鹿にしてないって。アホとは思ったけど」

「ムッキィィィーーーッ!!!」

 銀髪の男子の言葉に、じだんだ踏んで暴れまくるのはイネスだ。
 ……なんでこんなところにいるんだ。あいつは。

「あ、明鬼! もう。ダメだよ、喧嘩しちゃ!」

「だってミコト。なんか変な色の水を持って不気味に笑ってるんだぞ? 怪しむなって言う方が無理だろ」

「うー……っ」

 アキって男子の言い分に返す言葉がないのか、ミコトって女子が唸っている。
 ……まあ……話を聞く限り、確実にイネスが悪いけどな←

「怪しいですと!? 失礼な! 怪しくありませんよ!」

「ほう? あのピンクい液体が怪しくないと?」

 イネス……怪しさMAXじゃないか……。
 他人でもわかって当然だよ。

「当たり前です! これはただの記憶操作剤ですからね!」

「…………」

 色の割にはずいぶんまともそうな名前だな。
 ……って、そうじゃない。

「ハーッハッハッ!! これでブロッサムは私のもの! あの小娘の悔しがる姿が目に浮かびますよぉ!!」

「あの小娘って誰のことだ?」

「それはもちろん、アユミ=イカ、リ……」

 背後からかけられた俺の声に、イネスが固まった。
 イネスだけじゃない。前にいる二人も驚いている。

「テメェ……まだブロッサムを付き纏っているうえ、またブロッサムに変な薬を盛る気だったとはな……?」

「ひ、ヒィィィーーーッ!!?」

 背後から来たのが俺だとわかったか、イネスが盛大なリアクションとともにのけ反った。
 俺は笑顔で拳をバキボキと鳴らす。

「え? ……誰?」

「それは後で。……それより」

 キョトンとなっている明鬼に話し掛けられた。
 それに笑顔で対応し、こそこそと虫のようにはいずって逃げようとするイネスの首根っこを掴む。

「イネス。薬はどうした」

「ひっ……! く、薬なら、そこのヒューマンの男に地面にぶちまけられましたが……?」

「……ホントか?」

「ホントだぜ。ほら、そこ」

 念のため、明鬼にたずねた。
 彼は否定せず、自分の足元を指さす。
 ……たしかに、割れた試験管と水分を吸い込んだ地面が見える。

「そうか……。なら、薬はもうないんだな?」

「は、はい……」

「……そう。なら……」

 それを聞いて安心した。
 俺はあらためて拳を固める。

「――いっぺん死ねや、ゴルァアアアアアアッ!!!」

「ぶっほぉおおおッ!!!」

 思いきり、盛大にぶっ飛ばした。
 ホントに腹立つわ、コイツ!

「まったく……この男って奴は……」

「へぇ……良い拳をしてるじゃないか。おまえ」

 殴った拳をプラプラさせていると、明鬼に声をかけられた。
 振り返り、二人の方に向き直る。

「…………」

「ん? どうした?」

「あ……いや……」

 明鬼の顔を向いた瞬間――違和感を感じた。
 が、話し掛けられて、出しかけた言葉を一旦飲み込む。
 直球で言って怪しまれたらまずいし。

「プリシアナとタカチホの制服……いや、見かけない顔だからな。……ということは――モーディアル学園の生徒だな?」

「へぇ。よくわかったな? 俺らがモーディアル学園の生徒だって」

「まあな。……あ、俺はアユミ。アユミ=イカリ。プリシアナ学院の二年生で侍と盗賊学科だ」

 刀を肩にかけながら、二人に名乗り出た。
 こういうのは人にたずねる前に、自分からたずねるのが筋ってもんだよ←

「あ。はじめまして。私は月命って言うの。モーディアル学園所属で、姫学科と巫女学科に所属してるよ」

 長い金髪を持つヒューマンの女子も、丁寧に挨拶し返してくれた。

「ツキノ、ミコト……? ……長い名前だな……」

「あはは……うん。よく言われる。だから、ツキノとか、ミコトとかで良いよ」

 苦笑しながら、月命(長いからツキノって呼ぶか)は苦笑いでそう答えた。

(名前からして……タカチホで有力な一族かな? いや、しかし、俺の周りでは聞き覚えないような……)

 まあタカチホ出身の俺も、全部知っているわけじゃないし。
 そう思い直し、俺はもう一人の方へ顔を向ける。

「で、おまえは? 確か、明鬼って呼ばれてたよな?」

「あ、聞いてた? うん、俺は明鬼。まあ、“こっち”は違うけど」

 俺の言葉に、明鬼が異様ににやにやと笑いながら答えた。
 トンッ。と自分の胸を軽く叩き、悪戯めいた表情を浮かべている。

「あ、明鬼ッ! ……あ。えっと、たしかに彼は明鬼って名前なんだけど……」

 それを聞いて、あたふた仕出すツキノ。
 ……ああ。やっぱり間違いないな。

「――なるほど、な。そういうことか」

「え?」

 二人の様子を見て確信した。
 俺のつぶやきを聞き、ツキノが目を丸くする。

「……あ~! いたよ~」

「アユミーーーッ!!! テメェ、なんで授業サボってんだよぉぉぉッ!!!」

 その時だ。背後から怒りに満ちた大声を出し、俺に突撃してくる人物がやってきた。
 言わずもがな、ブロッサムだ。その後ろにはシルフィー。そしてライラだ。
 ……うん。ブロッサムはものすごーく怒ってるけどね←

「友達か? ものすごく怒ってるけど」

「多分授業サボったからだな。あいつ、頭は残念だから、出席日数で補おうとするし」

「黙れ、この馬鹿! おかげで先生には当てられるし、散々だったんだからな!」

 ……どうやらリリィ先生の授業だったらしいな。
 相当荒れながら、ガクガクと肩を揺さ振ってるのが証拠だ。

「アユミ……誰?」

「あ? ……あー、そいつら?」

 クイクイ、と裾を引っ張りながらライラがツキノ、明鬼を指さしながらたずねた。
 それにシルフィー。そして怒りに満ちてたブロッサムも二人に気づいたらしく、二人に顔を向ける。

「…………。誰だ、そいつは」

「うん。誰? 君」

 途端に無表情になる二人。
 視線の先にいるのは……明鬼。

「女子は月命。にやにや笑う男の方は明鬼って名前だ」

「明鬼……“今、喋ってる”奴が?」

「ああ。多分な」

「へ~。こういう人もいるんだ~。世の中広いね~」

 ブロッサムの問いに頷くと、横でシルフィーがマジマジと明鬼を見つめた。
 さすが天才魔術師コンビ。良い勘してるぜ←

「……こりゃ驚いた。“気づいてたんだ”?」

「え……気づいてって……ええっ!?」

 そのやり取りに明鬼が面白そうに、ツキノがものすごく驚いてのけ反る。

「気づいてた……どういうこと?」

「あー、つまりな? 明鬼は彼……そのヒューマンに“取り憑いてしゃべってる”。……と言えばわかるか?」

「……おおっ」

(魔王以外の)魔力の感知に乏しいライラにわかりやすく説明した。
 それで納得したか、ライラは目を真ん丸にする。
 うーん……多分わかったかな?← まあ頭は悪くないからな。ただ天然なだけで←

「……もうばれてんだから出てこい。結界内だし、大丈夫だろ」

「そうだな。校長先生も留守みたいだし……ばれてるなら、そうさせてもらうか」

 再び明鬼がにやっと笑った。
 そのすぐ後に身体がわずかに光り、身体からするりと抜け出ていき、光は人の形を取っていく。

「……なるほど。それがおまえの姿か」

「なんか……本体と似ているな」

「そう? まあ俺はこいつらの先祖だから似てるかもな」

「え。マジで?」

「……黙れ、明鬼」

 俺とブロッサムが言うと、長い白髪のポニーテールの男――明鬼がにやにやと笑いながら答えた。
 反対に乗り移られていた彼は無表情だが、超不機嫌な声音でつぶやく。

「こっちが明鬼……じゃ、この人は?」

「…………。……月詠」

「ツキヨ……あ、月詠か。よろしくな」

「…………(コクン)」

「……あれ……?」

 え……ちょ。頷くだけ?
 何、この無言と無表情の圧力。
 まだ何もやってない……はずだよな!?

「えーっと……」

「大丈夫ですよ。月詠、こちらこそよろしくって」

「よくわかったな!?」

 困ってツキノに視線を向けると、彼女は笑顔で訳してくれた。
 ……というか、何故わかった! ブロッサム並にすごいぞ!? エスパーかよ!

「月詠って……普段から?」

「はい。ごめんなさい……。月詠は初対面だと頷くか首を振るか……必要以上には話さなくて……」

「ミコトはそんな彼のフォロー役ってわけ。わずかな表情の変化も見極められるからね。ま、双子だから成せることかもだけど」

「ああ。双子だから……」

 全員で頷き、が、すぐにピタッと止まった。

「……双子?」

「そうだよ。彼らは双子の兄妹なんだ」

「はい! 月詠は私のお兄ちゃんなの! ね?」

「…………(コクッ)」

 超満面の笑みで言い切ったツキノに、月詠は無表情で頷くのみ。

(……あー。でもたしかに……)

 そんな二人を交互に見ながら、たしかに二人が似ていることに気づく。
 あともう一つ。……二人は同じ紅の瞳を持っている。
 銀髪と金髪に栄えるなー。程度しか思ってなかったけど……なるほどな。
 ちなみに明鬼も二人の先祖というだけあり、彼も同じ紅瞳を持っていた。

「いろんな双子がいるんだな……ホントに」

「そこで俺を見ながら言うな。ブロッサム」

 たしかに俺とアイツも、顔だけは似てるけどな。
 だがしかし、一緒にはするな。うん。

「双子の話はどうでもいい。それよりも……」

「それより……こっちの双子の用件?」

 俺がちらっと横目で見ると、釣られるようにライラも視線の先へ。

「そうだった。なんだかんだで忘れかけてたけど……」

「月詠とミコトちゃんたちは何しにここに来たの~?」

 ブロッサムとシルフィーも向き直る。
 色々脱線しちまったけどまずはこれだ。
 モーディアル学園の生徒である二人がなぜここに来たのか……それは気になるところだし。

「えっと……実はプリシアナッツの実を、一つ分けていただきたくて……」

「プリシアナッツの実を?」

「はい……ソフィアール先生のクエストに必要なことで……」

 歯切れ悪そうにしながら答えるツキノ。それになんか不自然に感じる。
 プリシアナッツの実はたしかに貴重な物。だけどちゃんとした理由があれば、べつにあげないわけでもない。
 まして校長からのクエストならば、私利私欲のために使うはずもないだろうに。

「校長からのクエストなら大丈夫だろうけど……なんでそんな緊張気味なわけ?」

「う。それは……」

「…………」

「……もしかして。何か学園でトラブルあったのか?」

 口ごもる双子にブロッサムがたずねた。
『トラブル』という単語に、思い当たる節があるのか、ツキノの表情がビシッ。と強張った。

「あー……やっぱり……」

「やっぱり? 何か知ってんのか?」

「ああ。だって一週間前に、ルドベキア先生がプリシアナッツの実を借りたのを見たからな。なのにまた取りにくるなんて……」

「また取りに……何かある?」

「そっか~。たしかに、プリシアナッツの実はそう何個も渡せないもんね~」

「……どうなんだ。おまえら」

 ブロッサムの推測に、俺たち三人納得して頷いた。さすが勘の良さNo.1の男だ。
 そしてその推測を確認すべく、再び三人に振り向いてたずねる。

「うん。すごいな。当たってるぞ、それ」

 明鬼がにやにやと楽しそうにしながら頷いた。
 やっぱり当たりか……。

「何があったんだ? まさか無くした、なんてオチじゃないだろうな」

「んー……無くした、と言えば無くしたんだけど……」

 俺の問いに、これまた歯切れ悪くツキノがつぶやく。
 ……何なんだ、いったい。

「ったく……アレか? 誰かが戦闘レベルの壮大な大喧嘩でもしてぶっ壊したとか?」

 クレーエとシズル辺りを思い浮かべながら、何気なく言ってみた。
 あの二人ならやり取りの最中に壊しかねないし。

『…………』

 俺の言葉に……ツキノは固まり、月詠はさらに黙り込み、明鬼に至っては今にも笑い出しそうな表情だった。
 ……え。まさか。

「……当たったの? え。嘘? 適当だぞ?」

「……あうう……っ」

 ツキノがガクッと肩を落とした。
 ……どうやら当たりっぽいな。

「マジかよ……」

「プリシアナッツは木の実だからね~。衝撃与えれば壊れちゃうかな~」

「だよなあ。俺の一撃を受けたとは言え、あんなに粉々に割れるなんて……」

「へぇ。意外と脆いんだな……」

 明鬼の言葉に頷き、だけどすぐに言葉を止めた。

「……ちょっと待て。“俺の一撃を受けた”ってことは……」

「プリシアナッツの実を壊したのはおまえか!?」

「壊したって言うか、壊しちゃったって感じだけど……」

「月詠とガチバトルになった際にぶっ壊しちまってな。まあ、たまにあることだから気にするな」

「そういう問題じゃないだろ!」

「……おまえは少し反省しろ、明鬼」

「だって俺、人間じゃねぇし!」

 明鬼のドヤ顔+あっさりした発言に、ブロッサムのツッコミ後、月詠がギロッと睨みながら機嫌悪い低い声で返した。
 うーん……原因の一つでもあるみたいだから、相当怒ってるな。こりゃ。

「あー……わかったわかった。つまり、自分たちが壊しちまったもんだから、反省として自分たちが貰いに来た。そういうことでいいんだな?」

「……うん。そうなの」

「まあ壊しちゃったんだからしかたないよね~」

「そうなんだよ~。しかたないんだよ~」

「黙れ、明鬼」

 シルフィーと同じようににこにこと頷く明鬼。しかも反省の色が見えない。
 ますます月詠の顔の苛立ちが強くなっていく。
 ……苦労するな、少年←

「とりあえず行き先はわかった。……で。おまえらとしては、プリシアナッツの実をもう一度分けてほしいんだろ」

「まあな。次の歴史の授業で現物を見せるから、どうしてもな」

「三大陸から集うモーディアル学園だからな。三大陸の文化や勉強を学ぶのに、やっぱり何かと資料も多くなるか」

 加えて新学校だからな。新築した今でも、色々と足りない部分や手が必要なところもあるし……。

「……ま。経緯はどうあれ、困ってるのは確かだしな。……とりあえず行ってみるか?」

「え……行くって、どこにだ?」

「プリシアナッツの実がある雪原に」

 俺が言えば、ブロッサム含め、全員が目を丸くした。
 一瞬だけど、時間が止まった気がする。

「……なんで全員固まるんだよ」

「……いや、当たり前だろ! 何サラっと言ってんだ、おまえは!」

 一番先に我に返ったブロッサムに胸倉を掴まれ、ガクガクと揺さ振られた。
 何言ってんだコイツ、と表情で言われながら。

「わかってるのか? プリシアナッツの実は、校長の許可無しじゃ取れないんだぞ? 勝手に取ったら怒られるだけじゃ済まされないぞ!!」

「知ってるさ。知った上で言ってます」

「相手が神出鬼没の最凶校長でもか!?」

「当たり前だ。今度こそ勝つ。むしろ倒す!」

「いや、勝ち負けとかそういう問題じゃなくて!!」

 言い切った発言に、胸倉を掴む手に力が強くなった。さらにだんだん顔も青ざめてく。
 だって校長相手ならガチバトルできるんだし←

「……ご、ごめんね。私たちが無理を言ったせいで」

「あ~。大丈夫だよ。校長先生がいてもいなくても、同じことしたと思うから。多分」

「なあなあ。校長と戦ってるって……あのアユミって女。結構強いのか?」

「結構強い……校長と互角?」

「おおっ。それはスゲェや」

「言ってる場合か、明鬼……!」

「そうだな。ばれる前に行かないと」

「そうじゃないだろ!」

 ワイワイと雑談し始めたブロッサムたちに一つ頷き、校門に行くよう促した。
 だってあの校長油断ならないから、いつばれるかなんてわからないし。

「じゃ、レッツゴー♪」

「待て、コラーーーッ!!!」
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