甘く、甘く
甘くて、甘くて。
なんか甘く酔いしれる。
今日はちょっぴり特別な日。
――――
「…………」
「ライラ。そんなにそわそわしなくてもできるって」
「うん……でも、待てない……」
「おまえなあ……」
ライラがため息ついてる。
私が、オーブンの前でうろうろしているから。
「心配しなくてもできる。俺が手伝ったんだからな」
「うん……」
「というか、できないと困るんだよ。俺もな」
「ブロッサムにあげるから?」
「おう」
あ……すごいうれしそう。なんか、チョコレートみたいに真っ黒いような笑顔だ←
アユミ、ブロッサムが好きだからかな?
「ほら。焼き上がる前にラッピングの準備をしちゃうぞ。空いた時間は有効に使わないとな」
「うんっ」
今日は特別な日。
だから、頑張る。
――――
シルフィーSide
コンコン。
「シルフィー、いる?」
「あれ? ライラちゃん?」
声からわかった。
あれ? 何か約束してたっけ?
「入っていい?」
「うん。いいよ~」
特に用事も無いからドアを開けた。
開けて、目に映ったのはうれしそうなノームの女の子。
「どうしたの~」
「うん、あのね。今日はバレンタインだから、ガトーショコラ作ってきたの」
「ふぇ?」
思わず目を丸くする。
ライラちゃんが知ってるって思わなかったから。
「ライラちゃん、バレンタイン、知ってたの?」
「うん。今日学院の女の子がうきうきしてたり、男の子がガーンってなってたでしょ? それでアユミに聞いたら、『今日は好きな人にチョコレートを渡す日』だって」
「うん。間違いじゃないよ」
あ、アユミちゃんにしてはまともかも←
「だから、私もシルフィーにあげたいって言ったの。そしたらロッカーから出てきたエデンが、『それなら手作りのチョコレートを渡せ!』って。一番好きな人には手作りのチョコレートを渡すんだね」
「……それも、間違いじゃないけど~……」
「で、そのあと、『そして僕にもチョコを、いや、アユミのすべてを!』って言ったエデンを、アユミが三階から一階へ、窓からたたき落とした」
「…………」
エデン君、なんで毎回ロッカーから出てくるのかな~。
そしてアユミちゃん、毎回ながら容赦ないね~。
「……で。アユミにお願いして、一緒に手伝ってもらった」
「あー、そっか~」
まあ……アユミちゃんなら大丈夫かな~。
少なくとも、まともに教えてくれる時はまともだから。
「……で。作ってきたの。ガトーショコラ」
「そうなんだ。おいしそ~」
いいな~。ライラちゃんのガトーショコラ……。
そう思ってると、「はい」と差し出された。
「あげる」
「……へ? ボク?」
自分に指さしながらつぶやくと「うん」と手渡された。
「一番好きな人には手作りのチョコレート渡すんでしょ? 一番好きなのシルフィーだからあげる」
「いいの?」
「うん」
「……えへへ。ありがと~♪」
ライラちゃんのチョコレートだ~♪
最高のバレンタインだよ~♪
甘く、甘く、
――――
(そう言えばアユミちゃんも作ったんだよね~。なんか珍しい~)
(うん。なんか、“その気”にさせちゃう新作のシロップかけて食べさせるって)
(…………。そのシロップ、見た?)
(うん。桃色っぽかった)
(……そっか~♪ ライラちゃん、それは忘れようね~)
(……? うん)
なんか甘く酔いしれる。
今日はちょっぴり特別な日。
――――
「…………」
「ライラ。そんなにそわそわしなくてもできるって」
「うん……でも、待てない……」
「おまえなあ……」
ライラがため息ついてる。
私が、オーブンの前でうろうろしているから。
「心配しなくてもできる。俺が手伝ったんだからな」
「うん……」
「というか、できないと困るんだよ。俺もな」
「ブロッサムにあげるから?」
「おう」
あ……すごいうれしそう。なんか、チョコレートみたいに真っ黒いような笑顔だ←
アユミ、ブロッサムが好きだからかな?
「ほら。焼き上がる前にラッピングの準備をしちゃうぞ。空いた時間は有効に使わないとな」
「うんっ」
今日は特別な日。
だから、頑張る。
――――
シルフィーSide
コンコン。
「シルフィー、いる?」
「あれ? ライラちゃん?」
声からわかった。
あれ? 何か約束してたっけ?
「入っていい?」
「うん。いいよ~」
特に用事も無いからドアを開けた。
開けて、目に映ったのはうれしそうなノームの女の子。
「どうしたの~」
「うん、あのね。今日はバレンタインだから、ガトーショコラ作ってきたの」
「ふぇ?」
思わず目を丸くする。
ライラちゃんが知ってるって思わなかったから。
「ライラちゃん、バレンタイン、知ってたの?」
「うん。今日学院の女の子がうきうきしてたり、男の子がガーンってなってたでしょ? それでアユミに聞いたら、『今日は好きな人にチョコレートを渡す日』だって」
「うん。間違いじゃないよ」
あ、アユミちゃんにしてはまともかも←
「だから、私もシルフィーにあげたいって言ったの。そしたらロッカーから出てきたエデンが、『それなら手作りのチョコレートを渡せ!』って。一番好きな人には手作りのチョコレートを渡すんだね」
「……それも、間違いじゃないけど~……」
「で、そのあと、『そして僕にもチョコを、いや、アユミのすべてを!』って言ったエデンを、アユミが三階から一階へ、窓からたたき落とした」
「…………」
エデン君、なんで毎回ロッカーから出てくるのかな~。
そしてアユミちゃん、毎回ながら容赦ないね~。
「……で。アユミにお願いして、一緒に手伝ってもらった」
「あー、そっか~」
まあ……アユミちゃんなら大丈夫かな~。
少なくとも、まともに教えてくれる時はまともだから。
「……で。作ってきたの。ガトーショコラ」
「そうなんだ。おいしそ~」
いいな~。ライラちゃんのガトーショコラ……。
そう思ってると、「はい」と差し出された。
「あげる」
「……へ? ボク?」
自分に指さしながらつぶやくと「うん」と手渡された。
「一番好きな人には手作りのチョコレート渡すんでしょ? 一番好きなのシルフィーだからあげる」
「いいの?」
「うん」
「……えへへ。ありがと~♪」
ライラちゃんのチョコレートだ~♪
最高のバレンタインだよ~♪
甘く、甘く、
――――
(そう言えばアユミちゃんも作ったんだよね~。なんか珍しい~)
(うん。なんか、“その気”にさせちゃう新作のシロップかけて食べさせるって)
(…………。そのシロップ、見た?)
(うん。桃色っぽかった)
(……そっか~♪ ライラちゃん、それは忘れようね~)
(……? うん)