Ifストーリー2
プリシアナ。ドラッケン。そしてタカチホ。
それぞれ分かれた三つの学校。
もし……俺たちがばらばらだったら……。
……どうなるのかな?
――――
【もし三人がバラバラの学校だったら】
・アユミ→タカチホ義塾
・ブロッサム→プリシアナ学院
・シルフィー→ドラッケン学園
――――
「「「あ」」」
暗き旅路の森。目の前のターゲット、ドラッケンゴーレムをいざ襲撃しようとすると、別方向から二パーティがやってきた。
……タイミング悪ィな。
「プリシアナ学院に……ドラッケン学園か。タイミング悪いな……」
「タカチホ義塾……面倒そうだなあ……」
「あわばばば……ど、どうしよう~……」
三パーティ揃ってため息をついた。
本日は三学園交流戦。
ターゲットを倒して魔宝石を手に入れるんだが……よりによって三パーティも鉢合わせるとは……。
「お姉ちゃん、カエデ君……どうしよう?」
「知れたこと。奴ら潰して魔宝石ゲットだ」
「相変わらず、アユミは容赦ねぇな……」
「というか容赦できるか。三学園交流戦なんだぞ?」
「それは……そうだけど~……」
双子の妹アイナと戦士学科のフェルパー、カエデは揃ってため息をつくが、すぐに気を引き締めた。
そう……今日は三学園交流戦。手加減なぞしてやるものか!
「あらあらあら……タカチホ義塾の方は血気盛んですわね」
「ゆ、ユリちゃん。どうするの~……?」
「向こうがその気なら、こちらも、それ相応の対応で出迎えるべきですわ」
「そ、その……お心は……?」
「まとめて蹴散らして差し上げますわ。……リンツェ。シルフィー。行きますわよ」
「は、はい……」
「ふぇ~ん……」
ドラッケン学園も血気盛んじゃねぇか(先頭のエルフの女だけだけど)。
とはいえ……大剣構えるディアボロスの奴も、本とカードを抱えるフェアリーの奴も要注意だな。
「……あの女二人……怖ェな」
「いや、言ってる場合じゃないでしょう。ブロッサム様」
「そうですよ、坊ちゃま。交流戦なんですから、みんな血走った感は拭えねーんです」
「わ、わかってるよ! ……サポートしろよ。ネフライト、サファイア」
「「御意」」
セレスティアの男子生徒(どうでもいいが……可愛い顔立ちだな)が杖を構えると同時に、両脇にいた小柄なバハムーンと蒼髪のヒューマンが武器を構えた。
全員、やる気は十分なご様子ですな。
「グォオオオーーーッ!!!」
ドラッケンゴーレムが大きな咆哮をあげた。
それを合図に、三パーティが一斉に突撃する。
「要はこいつらより先に叩けばいいだけの話だ!」
刀を抜き、いの一番にゴーレムに突撃する。
ターゲットを倒したパーティに得点が加算するわけだから、この場合、奴らより早く倒せばいいんだ。
「一気に……!!」
「シャイガン(ダクネスガン)!」
攻撃しようとした瞬間、俺の上空から二つの魔力が溢れ出した。
俺は即座に横に跳ねた。……が、光と闇の魔法は俺のいた場所で爆発せず、上空で互いを打ち消しあった。
……意味なくね?←
「ちょ……何邪魔してんだよ、おまえは!!」
「それは私のセリフですわ。あなたごときに言われる筋合いありませんことよ」
「な……んだとぉ!!?」
「……おい」
「あら、なんです――」
ドォンッ!!!
ヒューマンの男子が何かをつぶやいた瞬間、発砲音がした。
見ればエルフの女子の足元から煙が一筋。
「ブロッサム様に対してごとき、とはなんだ。今すぐ訂正しろ。撃ち殺すぞ」
「すでに撃っていらっしゃるのに……頭がよろしくないようで」
「……おまえに言われたくない」
ヒューマンの男子とエルフの女子がバチバチと火花を散らす。
その後、どちらともなく銃と魔法の合戦開始。
「サファイア!!? ちょ……っ、何やってんすか!?」
「ゆ、ユリ様……」
両サイドともに勝手に勃発した戦争に混乱中。
……よし。ある意味チャンス。
「アイナ、カエデ。一気に行くぞ!」
「う、うん。……なんか、ずるい気もするけど」
「ったく、しかたねぇなあ」
両サイドが勝手に暴れているんだもんね。
俺の責任じゃないもんね!←
「よし。んじゃ一気に……!!」
駆け抜けようとした瞬間、足元に数本のクナイが飛んできた。
足を止め、飛んできた方向に目を向ける。
「ダメですよ~。優勝はプリシアナ学院、兼坊ちゃまのものなんですからね~」
「プリシアナのバハムーンの……えーっと?」
「ネフライト=スノーって言います。執事ですけど、本業は忍者です」
「忍者? バハムーンなのに? いや、たしかに小柄だけど……」
俺がたずねると「そうなんですよ~」と何故か肩を落とした。
「ボク、父親がクラッズなんでして~。身体的特徴はバハムーンで、身体能力がクラッズという異種族体なんです、ハイ」
「え。マジで?」
まさか異種族体と出会うとは……。
いや、違う種族でも恋だの結婚だのするけどさ……。ほとんどはやっぱり同種族同士だもんな。
「という訳でして。いざ、お覚悟! 的な? 女の子相手にゃ、申し訳ないけど」
「チッ……」
面倒だなぁ……、と思った時だった。
……ドラッケンゴーレムにそろそろとと近寄る、ドラッケンのディアボロス。
「……カエデ」
「ん? なん――」
「行って即刻止めてこいやあああ!!!」
「んのぉおおおッ!!!?」
隣にいたカエデの襟首を掴み、そいつに向かって剛速球をかました。
「っ!? う、うひゃあああッ!!!?」
ブォン――ッ!!!
「とぉッ!!?」
ディアボロス少年の大剣を寸前でかわし、(どこかにしまっていた)斧を出して臨戦体勢を取ったカエデ。
……さすがカエデ。アイナの相棒。
「あっぶねーなあ!! あと少しで真っ二つになるところだったぞ!?」
「だ、だって……だって……うわぁあああんッ!!!」
「ちょ、待っ……うわあああッ!!?」
泣きながら大剣を振り回し始めたディアボロス少年に対し、戸惑いながらも斬撃を巨大戦斧でカエデは弾いていく。
……どうでもいいけど、巨大な獲物同士が戦っているのは、めっちゃ怖ェんだけど。
「……よし。これでOK」
「お姉ちゃん……」
「お姉さん、性格悪魔的な?」
「うるせーな。戦略って言えや」
ネフライトに言い返しながら、剣と鞘を構える。
「もう話し合いはいいだろ? 時間もないこったし、そろそろ始めようや、殺し合い」
「いや、そこまでやらなくていい的な?」
ツッコミを入れるネフライトも、両手にクナイを構えている。
戦闘体勢はバッチリらしい。
「いざ、勝負! 的な!」
「やれるものならやってみな!」
ネフライトがクナイを投げてきたのをきっかけに、俺も奴に突撃していった。
繰り出す飛び道具を弾き返しながら、奴を素通りし、ゴーレムに向かって突撃する。
「ってボクは無視的な!?」
「誰がおまえの相手するっつったよ。アイナ、魔法壁で援護、よろしく!」
「んー……しょうがないなあ」
ゴーレム倒せば決着着くしな。
アイナに魔法壁で壁を作っていただき、その隙に退治させていただくとしようか。
「仲間の援護はないけど、これで邪魔は入らな……」
い、と続けようとした。が、できなかった。
「う……っ。前衛の奴かよ」
「あ、あう……っ」
なぜなら、プリシアナ学院のセレスティア、ドラッケン学園のフェアリーもいたからだった。
「げっ……いつの間に……」
「……あいつらが好き勝手暴れ始めた辺りから」
「みーんな自分勝手にやっているもんね~」
……そうだったな。目の前しか集中してなかったから忘れてた←
「天使は杖……妖精は本……魔術系学科か」
遠くから狙われると厄介なんだよなー。
俺、魔法そんな使えないし。
「……くぐり抜けてゴーレム倒せばいいか」
つーか考えんの面倒くせーし。
思考放棄し、勢いに任せるか。
「魔宝石はいただくぜ!」
右足を斬り落とし、ゴーレムのバランスを崩してやる。
「いきなり攻撃かよ、この女!」
「うわぁ。強いね~」
いきなりの俺の動きに驚きながらも、他の二人も動き始めた。ゴーレムの真横から魔法攻撃を開始する。
(トドメは絶対俺が刺さないと……)
俺がやらなきゃ得点は入らない。
イコール勝てないということだ。
「だりゃあああッ!!!」
刀を斜めに斬り払い、左腕を破壊した。
完全にバランスが保てなくなったゴーレムはゴロリン、と転がってじたばたともがく。
「はっ! もらっ――」
高く飛び、刀を突き立ててトドメを刺そうとした時だった。
「ゴォオオオ――!!」
ゴーレムの目(らしき箇所)に光が篭った。
それに気づいた瞬間、視界が白に染まった。
「――ッ!!?」
ドォオオオンッ!!!
「……でッ!!!」
ド派手に背中やら尻やら打ち付けたみたいだな……。
耳鳴りもひどくて音が聞こえないし……。
「……ん?」
待てよ。破壊光線を浴びた割には、思ったよりダメージが少ないような……。
「……っつ……。間に合った、か……」
「な……っ」
突然身体が軽くなった。
顔を横に向ければ、可愛い顔を歪めているセレスティアの顔があった。
「おまえ……怪我は……」
「いや、打ち身だけで俺はべつに……って、まさか……」
まさか、俺を庇った?
そんな考えに呆然としていると、「お~い」とパタパタとフェアリーの少年が慌てて飛んできた。
「大丈夫~!? 急に抱き着いたと思ったら、ビームに当たってびっくりしたよ~……」
「抱き着いた……あ、やっぱり、俺のこと庇ったんだ」
「べつに……ただ、当たったらやばいって思っただけで……痛っ」
セレスティア君の背中……翼の付け根辺りだな。に火傷跡が。
白い肌だから余計目立つな……。
「悪い……俺のせいで」
「べつにいいって。……それよりさ……」
「……?」
「……あれ。第二撃撃とうとしてないか?」
「「――え?」」
フェアリーと声が揃いながらゴーレムの方を見た。
……あいつ。身体をこっちに向けてまた撃とうとしやがる!
「嘘ォォォォォォ!!? ちょ……、しぶとさだけは素晴らしいな、ドラッケン!」
「しぶとさだけの学園みたいに言わないでよ~!」
「言ってる場合か! このままじゃ俺ら、全滅だろ!!」
セレスティア君の言う通りだ。
残る六人はそれぞれバトっているし……喰らったらアウトじゃないか!
(どうするか……!?)
フェアリーはともかく、セレスティア君は怪我をしている。
彼一人を捨て置く訳にはいかない。
「グォオオオ!!」
「……!!」
光が溜まり、再び発射される光線。
ちょ……ここで俺の人生ジ・エンド!?
「――え、えーいっ!」
あれよあれよと考えてたら、突然目の前に光の障壁が現れた。
それも飛びっ切り頑丈なやつで、攻撃受けてもひび割れ程度で済んだ。
それぞれ分かれた三つの学校。
もし……俺たちがばらばらだったら……。
……どうなるのかな?
――――
【もし三人がバラバラの学校だったら】
・アユミ→タカチホ義塾
・ブロッサム→プリシアナ学院
・シルフィー→ドラッケン学園
――――
「「「あ」」」
暗き旅路の森。目の前のターゲット、ドラッケンゴーレムをいざ襲撃しようとすると、別方向から二パーティがやってきた。
……タイミング悪ィな。
「プリシアナ学院に……ドラッケン学園か。タイミング悪いな……」
「タカチホ義塾……面倒そうだなあ……」
「あわばばば……ど、どうしよう~……」
三パーティ揃ってため息をついた。
本日は三学園交流戦。
ターゲットを倒して魔宝石を手に入れるんだが……よりによって三パーティも鉢合わせるとは……。
「お姉ちゃん、カエデ君……どうしよう?」
「知れたこと。奴ら潰して魔宝石ゲットだ」
「相変わらず、アユミは容赦ねぇな……」
「というか容赦できるか。三学園交流戦なんだぞ?」
「それは……そうだけど~……」
双子の妹アイナと戦士学科のフェルパー、カエデは揃ってため息をつくが、すぐに気を引き締めた。
そう……今日は三学園交流戦。手加減なぞしてやるものか!
「あらあらあら……タカチホ義塾の方は血気盛んですわね」
「ゆ、ユリちゃん。どうするの~……?」
「向こうがその気なら、こちらも、それ相応の対応で出迎えるべきですわ」
「そ、その……お心は……?」
「まとめて蹴散らして差し上げますわ。……リンツェ。シルフィー。行きますわよ」
「は、はい……」
「ふぇ~ん……」
ドラッケン学園も血気盛んじゃねぇか(先頭のエルフの女だけだけど)。
とはいえ……大剣構えるディアボロスの奴も、本とカードを抱えるフェアリーの奴も要注意だな。
「……あの女二人……怖ェな」
「いや、言ってる場合じゃないでしょう。ブロッサム様」
「そうですよ、坊ちゃま。交流戦なんですから、みんな血走った感は拭えねーんです」
「わ、わかってるよ! ……サポートしろよ。ネフライト、サファイア」
「「御意」」
セレスティアの男子生徒(どうでもいいが……可愛い顔立ちだな)が杖を構えると同時に、両脇にいた小柄なバハムーンと蒼髪のヒューマンが武器を構えた。
全員、やる気は十分なご様子ですな。
「グォオオオーーーッ!!!」
ドラッケンゴーレムが大きな咆哮をあげた。
それを合図に、三パーティが一斉に突撃する。
「要はこいつらより先に叩けばいいだけの話だ!」
刀を抜き、いの一番にゴーレムに突撃する。
ターゲットを倒したパーティに得点が加算するわけだから、この場合、奴らより早く倒せばいいんだ。
「一気に……!!」
「シャイガン(ダクネスガン)!」
攻撃しようとした瞬間、俺の上空から二つの魔力が溢れ出した。
俺は即座に横に跳ねた。……が、光と闇の魔法は俺のいた場所で爆発せず、上空で互いを打ち消しあった。
……意味なくね?←
「ちょ……何邪魔してんだよ、おまえは!!」
「それは私のセリフですわ。あなたごときに言われる筋合いありませんことよ」
「な……んだとぉ!!?」
「……おい」
「あら、なんです――」
ドォンッ!!!
ヒューマンの男子が何かをつぶやいた瞬間、発砲音がした。
見ればエルフの女子の足元から煙が一筋。
「ブロッサム様に対してごとき、とはなんだ。今すぐ訂正しろ。撃ち殺すぞ」
「すでに撃っていらっしゃるのに……頭がよろしくないようで」
「……おまえに言われたくない」
ヒューマンの男子とエルフの女子がバチバチと火花を散らす。
その後、どちらともなく銃と魔法の合戦開始。
「サファイア!!? ちょ……っ、何やってんすか!?」
「ゆ、ユリ様……」
両サイドともに勝手に勃発した戦争に混乱中。
……よし。ある意味チャンス。
「アイナ、カエデ。一気に行くぞ!」
「う、うん。……なんか、ずるい気もするけど」
「ったく、しかたねぇなあ」
両サイドが勝手に暴れているんだもんね。
俺の責任じゃないもんね!←
「よし。んじゃ一気に……!!」
駆け抜けようとした瞬間、足元に数本のクナイが飛んできた。
足を止め、飛んできた方向に目を向ける。
「ダメですよ~。優勝はプリシアナ学院、兼坊ちゃまのものなんですからね~」
「プリシアナのバハムーンの……えーっと?」
「ネフライト=スノーって言います。執事ですけど、本業は忍者です」
「忍者? バハムーンなのに? いや、たしかに小柄だけど……」
俺がたずねると「そうなんですよ~」と何故か肩を落とした。
「ボク、父親がクラッズなんでして~。身体的特徴はバハムーンで、身体能力がクラッズという異種族体なんです、ハイ」
「え。マジで?」
まさか異種族体と出会うとは……。
いや、違う種族でも恋だの結婚だのするけどさ……。ほとんどはやっぱり同種族同士だもんな。
「という訳でして。いざ、お覚悟! 的な? 女の子相手にゃ、申し訳ないけど」
「チッ……」
面倒だなぁ……、と思った時だった。
……ドラッケンゴーレムにそろそろとと近寄る、ドラッケンのディアボロス。
「……カエデ」
「ん? なん――」
「行って即刻止めてこいやあああ!!!」
「んのぉおおおッ!!!?」
隣にいたカエデの襟首を掴み、そいつに向かって剛速球をかました。
「っ!? う、うひゃあああッ!!!?」
ブォン――ッ!!!
「とぉッ!!?」
ディアボロス少年の大剣を寸前でかわし、(どこかにしまっていた)斧を出して臨戦体勢を取ったカエデ。
……さすがカエデ。アイナの相棒。
「あっぶねーなあ!! あと少しで真っ二つになるところだったぞ!?」
「だ、だって……だって……うわぁあああんッ!!!」
「ちょ、待っ……うわあああッ!!?」
泣きながら大剣を振り回し始めたディアボロス少年に対し、戸惑いながらも斬撃を巨大戦斧でカエデは弾いていく。
……どうでもいいけど、巨大な獲物同士が戦っているのは、めっちゃ怖ェんだけど。
「……よし。これでOK」
「お姉ちゃん……」
「お姉さん、性格悪魔的な?」
「うるせーな。戦略って言えや」
ネフライトに言い返しながら、剣と鞘を構える。
「もう話し合いはいいだろ? 時間もないこったし、そろそろ始めようや、殺し合い」
「いや、そこまでやらなくていい的な?」
ツッコミを入れるネフライトも、両手にクナイを構えている。
戦闘体勢はバッチリらしい。
「いざ、勝負! 的な!」
「やれるものならやってみな!」
ネフライトがクナイを投げてきたのをきっかけに、俺も奴に突撃していった。
繰り出す飛び道具を弾き返しながら、奴を素通りし、ゴーレムに向かって突撃する。
「ってボクは無視的な!?」
「誰がおまえの相手するっつったよ。アイナ、魔法壁で援護、よろしく!」
「んー……しょうがないなあ」
ゴーレム倒せば決着着くしな。
アイナに魔法壁で壁を作っていただき、その隙に退治させていただくとしようか。
「仲間の援護はないけど、これで邪魔は入らな……」
い、と続けようとした。が、できなかった。
「う……っ。前衛の奴かよ」
「あ、あう……っ」
なぜなら、プリシアナ学院のセレスティア、ドラッケン学園のフェアリーもいたからだった。
「げっ……いつの間に……」
「……あいつらが好き勝手暴れ始めた辺りから」
「みーんな自分勝手にやっているもんね~」
……そうだったな。目の前しか集中してなかったから忘れてた←
「天使は杖……妖精は本……魔術系学科か」
遠くから狙われると厄介なんだよなー。
俺、魔法そんな使えないし。
「……くぐり抜けてゴーレム倒せばいいか」
つーか考えんの面倒くせーし。
思考放棄し、勢いに任せるか。
「魔宝石はいただくぜ!」
右足を斬り落とし、ゴーレムのバランスを崩してやる。
「いきなり攻撃かよ、この女!」
「うわぁ。強いね~」
いきなりの俺の動きに驚きながらも、他の二人も動き始めた。ゴーレムの真横から魔法攻撃を開始する。
(トドメは絶対俺が刺さないと……)
俺がやらなきゃ得点は入らない。
イコール勝てないということだ。
「だりゃあああッ!!!」
刀を斜めに斬り払い、左腕を破壊した。
完全にバランスが保てなくなったゴーレムはゴロリン、と転がってじたばたともがく。
「はっ! もらっ――」
高く飛び、刀を突き立ててトドメを刺そうとした時だった。
「ゴォオオオ――!!」
ゴーレムの目(らしき箇所)に光が篭った。
それに気づいた瞬間、視界が白に染まった。
「――ッ!!?」
ドォオオオンッ!!!
「……でッ!!!」
ド派手に背中やら尻やら打ち付けたみたいだな……。
耳鳴りもひどくて音が聞こえないし……。
「……ん?」
待てよ。破壊光線を浴びた割には、思ったよりダメージが少ないような……。
「……っつ……。間に合った、か……」
「な……っ」
突然身体が軽くなった。
顔を横に向ければ、可愛い顔を歪めているセレスティアの顔があった。
「おまえ……怪我は……」
「いや、打ち身だけで俺はべつに……って、まさか……」
まさか、俺を庇った?
そんな考えに呆然としていると、「お~い」とパタパタとフェアリーの少年が慌てて飛んできた。
「大丈夫~!? 急に抱き着いたと思ったら、ビームに当たってびっくりしたよ~……」
「抱き着いた……あ、やっぱり、俺のこと庇ったんだ」
「べつに……ただ、当たったらやばいって思っただけで……痛っ」
セレスティア君の背中……翼の付け根辺りだな。に火傷跡が。
白い肌だから余計目立つな……。
「悪い……俺のせいで」
「べつにいいって。……それよりさ……」
「……?」
「……あれ。第二撃撃とうとしてないか?」
「「――え?」」
フェアリーと声が揃いながらゴーレムの方を見た。
……あいつ。身体をこっちに向けてまた撃とうとしやがる!
「嘘ォォォォォォ!!? ちょ……、しぶとさだけは素晴らしいな、ドラッケン!」
「しぶとさだけの学園みたいに言わないでよ~!」
「言ってる場合か! このままじゃ俺ら、全滅だろ!!」
セレスティア君の言う通りだ。
残る六人はそれぞれバトっているし……喰らったらアウトじゃないか!
(どうするか……!?)
フェアリーはともかく、セレスティア君は怪我をしている。
彼一人を捨て置く訳にはいかない。
「グォオオオ!!」
「……!!」
光が溜まり、再び発射される光線。
ちょ……ここで俺の人生ジ・エンド!?
「――え、えーいっ!」
あれよあれよと考えてたら、突然目の前に光の障壁が現れた。
それも飛びっ切り頑丈なやつで、攻撃受けてもひび割れ程度で済んだ。