このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

Ifストーリー2

 プリシアナ。ドラッケン。そしてタカチホ。

 それぞれ分かれた三つの学校。

 もし……俺たちがばらばらだったら……。

 ……どうなるのかな?

 ――――

【もし三人がバラバラの学校だったら】
・アユミ→タカチホ義塾
・ブロッサム→プリシアナ学院
・シルフィー→ドラッケン学園

 ――――

「「「あ」」」

 暗き旅路の森。目の前のターゲット、ドラッケンゴーレムをいざ襲撃しようとすると、別方向から二パーティがやってきた。
 ……タイミング悪ィな。

「プリシアナ学院に……ドラッケン学園か。タイミング悪いな……」

「タカチホ義塾……面倒そうだなあ……」

「あわばばば……ど、どうしよう~……」

 三パーティ揃ってため息をついた。
 本日は三学園交流戦。
 ターゲットを倒して魔宝石を手に入れるんだが……よりによって三パーティも鉢合わせるとは……。

「お姉ちゃん、カエデ君……どうしよう?」

「知れたこと。奴ら潰して魔宝石ゲットだ」

「相変わらず、アユミは容赦ねぇな……」

「というか容赦できるか。三学園交流戦なんだぞ?」

「それは……そうだけど~……」

 双子の妹アイナと戦士学科のフェルパー、カエデは揃ってため息をつくが、すぐに気を引き締めた。
 そう……今日は三学園交流戦。手加減なぞしてやるものか!

「あらあらあら……タカチホ義塾の方は血気盛んですわね」

「ゆ、ユリちゃん。どうするの~……?」

「向こうがその気なら、こちらも、それ相応の対応で出迎えるべきですわ」

「そ、その……お心は……?」

「まとめて蹴散らして差し上げますわ。……リンツェ。シルフィー。行きますわよ」

「は、はい……」

「ふぇ~ん……」

 ドラッケン学園も血気盛んじゃねぇか(先頭のエルフの女だけだけど)。
 とはいえ……大剣構えるディアボロスの奴も、本とカードを抱えるフェアリーの奴も要注意だな。

「……あの女二人……怖ェな」

「いや、言ってる場合じゃないでしょう。ブロッサム様」

「そうですよ、坊ちゃま。交流戦なんですから、みんな血走った感は拭えねーんです」

「わ、わかってるよ! ……サポートしろよ。ネフライト、サファイア」

「「御意」」

 セレスティアの男子生徒(どうでもいいが……可愛い顔立ちだな)が杖を構えると同時に、両脇にいた小柄なバハムーンと蒼髪のヒューマンが武器を構えた。
 全員、やる気は十分なご様子ですな。

「グォオオオーーーッ!!!」

 ドラッケンゴーレムが大きな咆哮をあげた。
 それを合図に、三パーティが一斉に突撃する。

「要はこいつらより先に叩けばいいだけの話だ!」

 刀を抜き、いの一番にゴーレムに突撃する。
 ターゲットを倒したパーティに得点が加算するわけだから、この場合、奴らより早く倒せばいいんだ。

「一気に……!!」

「シャイガン(ダクネスガン)!」

 攻撃しようとした瞬間、俺の上空から二つの魔力が溢れ出した。
 俺は即座に横に跳ねた。……が、光と闇の魔法は俺のいた場所で爆発せず、上空で互いを打ち消しあった。
 ……意味なくね?←

「ちょ……何邪魔してんだよ、おまえは!!」

「それは私のセリフですわ。あなたごときに言われる筋合いありませんことよ」

「な……んだとぉ!!?」

「……おい」

「あら、なんです――」

 ドォンッ!!!

 ヒューマンの男子が何かをつぶやいた瞬間、発砲音がした。
 見ればエルフの女子の足元から煙が一筋。

「ブロッサム様に対してごとき、とはなんだ。今すぐ訂正しろ。撃ち殺すぞ」

「すでに撃っていらっしゃるのに……頭がよろしくないようで」

「……おまえに言われたくない」

 ヒューマンの男子とエルフの女子がバチバチと火花を散らす。
 その後、どちらともなく銃と魔法の合戦開始。

「サファイア!!? ちょ……っ、何やってんすか!?」

「ゆ、ユリ様……」

 両サイドともに勝手に勃発した戦争に混乱中。
 ……よし。ある意味チャンス。

「アイナ、カエデ。一気に行くぞ!」

「う、うん。……なんか、ずるい気もするけど」

「ったく、しかたねぇなあ」

 両サイドが勝手に暴れているんだもんね。
 俺の責任じゃないもんね!←

「よし。んじゃ一気に……!!」

 駆け抜けようとした瞬間、足元に数本のクナイが飛んできた。
 足を止め、飛んできた方向に目を向ける。

「ダメですよ~。優勝はプリシアナ学院、兼坊ちゃまのものなんですからね~」

「プリシアナのバハムーンの……えーっと?」

「ネフライト=スノーって言います。執事ですけど、本業は忍者です」

「忍者? バハムーンなのに? いや、たしかに小柄だけど……」

 俺がたずねると「そうなんですよ~」と何故か肩を落とした。

「ボク、父親がクラッズなんでして~。身体的特徴はバハムーンで、身体能力がクラッズという異種族体なんです、ハイ」

「え。マジで?」

 まさか異種族体と出会うとは……。
 いや、違う種族でも恋だの結婚だのするけどさ……。ほとんどはやっぱり同種族同士だもんな。

「という訳でして。いざ、お覚悟! 的な? 女の子相手にゃ、申し訳ないけど」

「チッ……」

 面倒だなぁ……、と思った時だった。
 ……ドラッケンゴーレムにそろそろとと近寄る、ドラッケンのディアボロス。

「……カエデ」

「ん? なん――」

「行って即刻止めてこいやあああ!!!」

「んのぉおおおッ!!!?」

 隣にいたカエデの襟首を掴み、そいつに向かって剛速球をかました。

「っ!? う、うひゃあああッ!!!?」

 ブォン――ッ!!!

「とぉッ!!?」

 ディアボロス少年の大剣を寸前でかわし、(どこかにしまっていた)斧を出して臨戦体勢を取ったカエデ。
 ……さすがカエデ。アイナの相棒。

「あっぶねーなあ!! あと少しで真っ二つになるところだったぞ!?」

「だ、だって……だって……うわぁあああんッ!!!」

「ちょ、待っ……うわあああッ!!?」

 泣きながら大剣を振り回し始めたディアボロス少年に対し、戸惑いながらも斬撃を巨大戦斧でカエデは弾いていく。
 ……どうでもいいけど、巨大な獲物同士が戦っているのは、めっちゃ怖ェんだけど。

「……よし。これでOK」

「お姉ちゃん……」

「お姉さん、性格悪魔的な?」

「うるせーな。戦略って言えや」

 ネフライトに言い返しながら、剣と鞘を構える。

「もう話し合いはいいだろ? 時間もないこったし、そろそろ始めようや、殺し合い」

「いや、そこまでやらなくていい的な?」

 ツッコミを入れるネフライトも、両手にクナイを構えている。
 戦闘体勢はバッチリらしい。

「いざ、勝負! 的な!」

「やれるものならやってみな!」

 ネフライトがクナイを投げてきたのをきっかけに、俺も奴に突撃していった。
 繰り出す飛び道具を弾き返しながら、奴を素通りし、ゴーレムに向かって突撃する。

「ってボクは無視的な!?」

「誰がおまえの相手するっつったよ。アイナ、魔法壁で援護、よろしく!」

「んー……しょうがないなあ」

 ゴーレム倒せば決着着くしな。
 アイナに魔法壁で壁を作っていただき、その隙に退治させていただくとしようか。

「仲間の援護はないけど、これで邪魔は入らな……」

 い、と続けようとした。が、できなかった。

「う……っ。前衛の奴かよ」

「あ、あう……っ」

 なぜなら、プリシアナ学院のセレスティア、ドラッケン学園のフェアリーもいたからだった。

「げっ……いつの間に……」

「……あいつらが好き勝手暴れ始めた辺りから」

「みーんな自分勝手にやっているもんね~」

 ……そうだったな。目の前しか集中してなかったから忘れてた←

「天使は杖……妖精は本……魔術系学科か」

 遠くから狙われると厄介なんだよなー。
 俺、魔法そんな使えないし。

「……くぐり抜けてゴーレム倒せばいいか」

 つーか考えんの面倒くせーし。
 思考放棄し、勢いに任せるか。

「魔宝石はいただくぜ!」

 右足を斬り落とし、ゴーレムのバランスを崩してやる。

「いきなり攻撃かよ、この女!」

「うわぁ。強いね~」

 いきなりの俺の動きに驚きながらも、他の二人も動き始めた。ゴーレムの真横から魔法攻撃を開始する。

(トドメは絶対俺が刺さないと……)

 俺がやらなきゃ得点は入らない。
 イコール勝てないということだ。

「だりゃあああッ!!!」

 刀を斜めに斬り払い、左腕を破壊した。
 完全にバランスが保てなくなったゴーレムはゴロリン、と転がってじたばたともがく。

「はっ! もらっ――」

 高く飛び、刀を突き立ててトドメを刺そうとした時だった。

「ゴォオオオ――!!」

 ゴーレムの目(らしき箇所)に光が篭った。
 それに気づいた瞬間、視界が白に染まった。

「――ッ!!?」

 ドォオオオンッ!!!

「……でッ!!!」

 ド派手に背中やら尻やら打ち付けたみたいだな……。
 耳鳴りもひどくて音が聞こえないし……。

「……ん?」

 待てよ。破壊光線を浴びた割には、思ったよりダメージが少ないような……。

「……っつ……。間に合った、か……」

「な……っ」

 突然身体が軽くなった。
 顔を横に向ければ、可愛い顔を歪めているセレスティアの顔があった。

「おまえ……怪我は……」

「いや、打ち身だけで俺はべつに……って、まさか……」

 まさか、俺を庇った?
 そんな考えに呆然としていると、「お~い」とパタパタとフェアリーの少年が慌てて飛んできた。

「大丈夫~!? 急に抱き着いたと思ったら、ビームに当たってびっくりしたよ~……」

「抱き着いた……あ、やっぱり、俺のこと庇ったんだ」

「べつに……ただ、当たったらやばいって思っただけで……痛っ」

 セレスティア君の背中……翼の付け根辺りだな。に火傷跡が。
 白い肌だから余計目立つな……。

「悪い……俺のせいで」

「べつにいいって。……それよりさ……」

「……?」

「……あれ。第二撃撃とうとしてないか?」

「「――え?」」

 フェアリーと声が揃いながらゴーレムの方を見た。
 ……あいつ。身体をこっちに向けてまた撃とうとしやがる!

「嘘ォォォォォォ!!? ちょ……、しぶとさだけは素晴らしいな、ドラッケン!」

「しぶとさだけの学園みたいに言わないでよ~!」

「言ってる場合か! このままじゃ俺ら、全滅だろ!!」

 セレスティア君の言う通りだ。
 残る六人はそれぞれバトっているし……喰らったらアウトじゃないか!

(どうするか……!?)

 フェアリーはともかく、セレスティア君は怪我をしている。
 彼一人を捨て置く訳にはいかない。

「グォオオオ!!」

「……!!」

 光が溜まり、再び発射される光線。
 ちょ……ここで俺の人生ジ・エンド!?

「――え、えーいっ!」

 あれよあれよと考えてたら、突然目の前に光の障壁が現れた。
 それも飛びっ切り頑丈なやつで、攻撃受けてもひび割れ程度で済んだ。
1/2ページ
スキ