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二人の休日

 アマリリスVer.

「アマリリス」

「ちょ……アンタ先に来てたの!?」

 来たのはなんとアマリリス。
 ……意外? まあそうだろ。なにせ今日はこいつから誘われたからな。

「いいのか? 俺で」

「アイドルにも休みは必要なの! アンタなら……まあ、いざって時にはトンデモな閃きで機転が聞くだろうし?」

 要するに俺は貴様の我が儘に駆り出されたってワケか。

「はいはい、了解しましたよ。行き先は自分で決めるっつーからおまえに任せたけど……大丈夫?」

「まあね。その点は安心してよ」

 アマリリスが自信満々にそう言うで、「そうか」と頷いておく。

「じゃあ任せておこうか」

「ふん……」

 アマリリスに手を引かれ、ぐいぐいって引っ張られる。
 ……うん、弟って思えば可愛いもの……かな?

 ――――

「ほら! 着いたよ!」

「へぇ……」

 着いたのは歓迎の森の奥地。そこにある一面の花畑だ。
 様々な色の花が風に揺られている。

「ダンジョンの奥地にこんなもんがあるとは……」

「へへっ♪ 闇の生徒会時代で見つけた場所なんだ♪ 誰も来ないっぽいし、息抜きにはぴったりなんだよ」

「ほー……」

 たしかに裏道やら獣道やら通るからな……知ってないと行こうともしないな。

「ほら! あっちの木陰に行くよ!」

「はいはい」

 再びアマリリスに手を引かれ、ぐいぐいと連れてかれた。

 ――――

 連れてかれたのは花畑を一望できる丘だった。
 丘には大きな桜の木が長老様のごとくどっしり咲き誇っている。

「いいじゃねぇか、ここ。最高だぞ♪」

「ボクの秘密の場所なんだ。感謝してよねっ」

「はいはい、感謝感謝」

 たしかにアマリリスが連れていってくれなきゃ、こんな景色が知らなかったな。
 アマリリスの頭を撫でながら、うんうんと一人頷く。

「ちょっ……アユミ、子供扱いしないでよ!」

 ……と、突然アマリリスが手を払った。
 ……いったい何故じゃ。

「なんだよ」

「あ……っ。えっと……同じ学年なのに頭撫でられるのって、なんか……子供扱いっぽくてヤだから……」

 いや。俺、おまえらより一個年上(17歳)なんだけど。

「俺から見ればアマリリスは年下っぽい(つーか年下)んだけど……」

「そ! それでも年下扱いやめてよ! ……ボクが困るんだから」

 困るって何? いったい何が困るの?

「わ、悪かったってば……嫌ならもうやらないから」

「わかったなら、いいよ」

 そっぽ向いて膨れっ面なアマリリス。
 やれやれ、と思いながら、小さくため息をつく。

(そりゃアマリリスも男の子なワケだし……やっぱそれなりに扱わなきゃダメなのかな?)

 身長も(ムカつくことに)アマリリスの方が少し高いし……。
 ……男ってメンドイ←

 ――――

「――ねぇ」

 どれくらい花畑を見つめていたんだろ。
 服の裾を引っ張られ、アマリリスの方へ向き直る。

「なんだ?」

「アンタ、さ……ボクのこと、どう思ってるの?」

「……は?」

 一瞬質問の意味がわからなかった。
 キョトンとすると「か、勘違いしないでよ!?」とツンデレ気味に言われる。

「その……昔は敵対してたから……ちょっとはイメージアップはしてるかな……って」

「あ、ああ……そういうことか……」

 びっくりしたー……←
 とりあえずアマリリスは真剣なので、こっちも真面目に考える。

「兄想いのいい子ってことはわかってるぞ? たまにわがままがアレだけど……アイドルの勉強は真面目にやっているっぽいし」

「ふ、ふーん……それで?」

「え、まだ? んー……えっと……可愛い、弟? ブーゲンビリアが自慢したくなるのもわかるような?」

 いや、これ以上感想ないんですケド。
 そう言えばアマリリスは「あー……」と何故か肩を落とす。

「え? おい……」

「もうッ! 結局そこに行き着くワケ!?」

「は!?」

 なんでキレんだよ!?
 わからずにいると、突然アマリリスが身を乗り出してくる。

「ん……ッ!?」

 と、同時に顔がドアップで映り、唇にも柔らかい感触。

「……~~~ッ!! これに懲りたら、弟扱いしないでよ!?」

 放心する俺とは余所に、顔を真っ赤にしてアマリリスが走り去った。
 ……そろそろ帰る時間だからいいけど←

「あ、アマリリス……?」

 俺は何が何だか頭が追いつかず、しばらくポカンとするだけだった。


 天邪鬼

 ――――

(ホンットーにあいつは鈍感なんだから!)

(ボクだって悪いけど……あいつもいい加減気づいてよ……)
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