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二人の休日

 フリージアVer.

「フリージアっ!」

「なっ……や、やめなさい! 恥ずかしい!」

 フリージアだ。見つけた瞬間、エルフ族特有の細腰に抱き着く。
 うーん……ブロッサムに勝るとも劣らないナイスライン←

「離れなさい! 変態ですか、あなたは!」

「残念ながらそれは自覚済み。かつ周知の事実なのでノープロブレム」

「あ、あなたという人は……」

 フリージアが頭を押さえながら、それでも立つよう促す。

「今日は無理を言って他の図書委員に替わっていただいたんですからね。……いまさら、あなたから撤回するような真似はしないでくださいよ」

「わーってるって。せっかくリージーが時間を作ってくれたんだし。潰す真似だけはしないって」

「……っ。わ、わかっているなら結構です」

 俺が上目使いにそう言えば、リージーはすぐに真っ赤になって片手で顔を隠す。
 ……うん。ブロッサムとは違う可愛さだ。

「なあ。場所はそっちに任せたんだけど……どこに連れていってくれるんだ?」

「……ローズガーデンの、あるお店に予約を入れてあります」

「店……? 俺、堅苦しいのは嫌いだぞ……」

 不安そうにそう言えば、「大丈夫ですよ」とフリージアが微笑む。

「バロータを通じて知った店なんです。セルシア様も知っていますよ」

「あ、そうなんだ」

 セルも知ってるんだ……じゃあ大丈夫かな?

「……よし。じゃあ案内してよ」

「……! は、はい……っ」

 リージーの左腕に絡むと、手を通じてリージーがわずかに震えたのがわかった。
 ブロッサムならここで超パニクるんだが……それを必死で平気そうに振る舞うリージーもなかなか可愛いものだな←

「い、行きますよ……っ」

「はいはーいっ♪」

 ――――

「へぇ……なかなか良い趣味してるな」

「せめて趣向と言ってくださいよ……」

 案内された店は、何と個別ルーム式だった。
 なるほど。入口にはシャットアウト用のカーテン付き。……バロータが好みそうな店だ。

「メニューも……おお、酒もあるのか」

「アユミさん」

「いや、わかってるから! おまえの前で飲まないから!」

 眼鏡がキラン、と危険信号を出した。
 瞬発的に両手を合わせ、すぐに謝る。

「――本当ですか?」

「はいッ! だってせっかくリージーとデートなんだし!? それを台なしにするなんて俺にはとても……」

「わかってるなら結構で――」

 眼鏡を押し上げ……そして、固まった。
 ちょうど片手で顔が隠れ、表情が見えない。

「……リージー?」

 固まったまま動かない。
 思いきって近寄り、その顔を覗いてみる。

「デートって……いや、これはべつにそういうのじゃ……」

「……あれま」

「な……っ!? み、見ないでくださいッ!!」

 ……わーぉ。なんて真っ赤な顔ですの、フリージア君。そしてその顔を見せないよう、片手で隠しながら顔を背けている。
 ……な、なんだこの可愛い少年は! 普段はクールなくせに、突然可愛くなるんだからたまらないんだよ、もうっ!!

「フリージア」

「ちょっ……こっちに来ないでくださいってば……っ」

「やーだっ♪ ……ん、かーわいー♪」

「わっ……!?」

 ちょこちょこと詰め寄り、壁まで追い詰めた。逃げられないよう両手で退路を塞ぎ止め、密着状態となる。

「その表情可愛い……やっぱりフリージアも良い顔するな」

「あ、顎……撫でないでください……っ」

「緊張してる? 身体、すごい固まってるし」

「せ、セクハラで訴えますよ!」

「赤面で言われても説得力ない的な?」

「ゔっ……」

 鼻の先がくっつきそうなほど距離が縮まり、フリージアも顔を隠せないから赤面なのがわかる。
 ……やっばーい。俺の加虐心がウズウズしてきちゃう←

「リージー、か・わ・い・い♪」

「なっ……!?」

 頬に軽くリップ音を発てながら唇で触れた。
 そのあとこめかみ、耳元、目尻と触れていく。

「……ん。可愛すぎ」

「……っ! ~~~ッ!?」

 一通り反応を楽しみ、少しだけ顔を離す。
 うーん……もう耳まで真っ赤。脳内沸騰で熱出るんじゃないかな?

「な、なんで……」

「だって途端に赤面するんだし。可愛くってしかたない」

「う……」

 口ごもるリージーに、勝利! と言わんばかりに抱き着いた。
 緊張、赤面で硬直するリージーは、ただ黙ってされるがままだった。


 クールorキュート?

 ――――

(あんなことをされても嬉しい、だなんて)

(私はいったい何を考えているんだ……)
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