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二人の休日

 ブロッサムVer.

 ガバッ。

「ブロッサムっ♪」

「うわっ!? で、出会い頭に抱き着くなよ、アユミ……っ」

 ブロッサムの細腰に抱き着き、ニシシッと笑っておく。
 ブロッサムも口では呆れつつも、頬を赤らめてるから可愛いものだ。

「ん。だってさ? 休日に誰にも邪魔されずに二人でいるのって……最高じゃん?」

「……っ。まあ……否定は……しない、けど……」

「……ん♪」

 ブロッサムのツンデレ回路は今日も通常運行です。
 満足した俺はブロッサムの腕を取り、悠々と歩き出す。

「じゃあ行こうか。なっ」

「……はいはい」

 ――――

「ほら……」

「ほぅ……」

 ブロッサムしか知らない秘密の場所……歓迎の森の奥地にある花畑にやってきた。
 ちなみにこの場所は先日ストーカーエデンの襲撃を逃れた際に発見したものらしい。
 ……何してくれとんのじゃい、あのヤンデレは←

「……けどすごいな。まるで絵画じゃね?」

「まあな……俺も、ダンジョンの奥にこんな綺麗なのがあったとは思わなかったし……」

 ブロッサムと一緒に、花畑を一望できる桜の木のある丘に移動する。
 赤や黄、ピンク。白など、様々な色が視界いっぱいに広がる。

「……いいな、ここ」

「気に入った……か? アユミ」

 ブロッサムがそうたずねられ、「おうっ」と返す。

「すっごい綺麗。落ち着く。……見ていて目を奪われる」

 色彩溢れる花は本当に綺麗で。
 そしてそれを見つめることにも飽きが来ない。

「ん……ホントに綺麗……」

「…………」

 風に揺られて踊る花。
 その様子をじっと見ていると、不意に肩を掴まれ、ぐいっと引き寄せられた。

「ブロッサム?」

「……ん」

 掴んだ手は腕に移動し、もう片方の腕で身体を引き寄せられた。
 おかげで密着状態……というか、ブロッサムにしてはちょっと大胆?

「どうした?」

「……最近、エデンとかセルシアとか……勝手にひっついては抱き着いたりしているし……フリージアやスティクスだってアユミに絡んだりするし……バロータも、なんかアレだし……」

 言われ、ぎゅうっと抱きしめられる。
 ……あ。もしかして、これはいわゆる……。

「……ヤキモチってやつか」

「……悪いかよ……っ」

 あ。力が強くなった。
 ……図星か←

「んーん。ちっとも。……つーかむしろ」

 胸元まで擦りつけていた顔をあげ、へにゃりと笑う。

「ヤキモチ妬いてくれるほど好きなんだって……逆に嬉しくなる」

「な……っ!? ……ば、バカ……っ」

 顔を真っ赤にして口では捻くれて。そのくせ抱きしめる腕はますます強くなる。
 とてもわかりやすい、可愛い。

「ブロッサム」

「なん――」

 ブロッサムの言葉が途切れた。
 当然だ。不意打ちのキスをしてやったから。

「――ん♪ 美味しい♪」

「~~~ッ!!! これは普通、男の方だろ!?」

 してやったり、と悪戯っ子のように笑って見る。
 悔しそうに、かつ赤面なブロッサムがドアップで映った。

「まあいいじゃないか。つーかそーいうカビ臭い考え方って嫌いだし」

「……あーもー……ああ言えばこういう……」

 すでにこういう性格だと諦めているか、ため息をつきながら再び密着状態になる。

「……そんでも好きだよ」

「……ん。俺も」

 ブロッサムの温もりは安心できる。
 きっと俺を安心させるのは、おまえだけなんだ。

「ブロッサム」

「アユミ」

「「大好き」」


 桜の夢

 ――――

(例えどんなことがあったって離さない)

(手放したくない、譲れないものだから)
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