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ドS侍少女VSストーカー忍者少女

 ――――

 アユミSide

 遡ること10分前。

 ベギッ!!!

「「!?」」

 バキ! バキッ!!

「お……おのれ……!!」

「え……お、桶の封印が……?」

「ま、まさか……自力で破壊したんですか!? これはエルマータ家で作られた特殊な封印術ですよ!?」

 はっ……この程度の封印ごときで、俺を封じた気か……?
 俺はアガシオンの呪いすら跳ね返せんだぞ、コラ。

「貴様ら……もう許さんぞ……!!」

「げっ!? 腕が出てきた!」

 当然だ……縄など中でぶっちぎってやったからな。

「誘拐されたあげくこの仕打ち……さらに人をあんな目で見ていたとは……!! もう……!! 絶対に!!!」

 バギィイイインッ!!!

「絶対に!!! 許っさあぁあああんッ!!!!!」

「ぎゃあぁあああ!!! 封印がぁあああ!!?」

「ま、魔王ですか!? あなたは!!」

「幼女よりはマジじゃボケェエエエッ!!!」

 叫び、アンズと傍にいるフェルパー(多分こいつがシノブだな)に刀を突き付ける。

「覚悟しろ……! 生まれてきたことを後悔させてやる……!」

「えっ! 何その低い声!?」

「もしかして……相当怒ってますか……?」

「ったりめーだ!!」

 人のコンプレックスを言われて、我慢できるわきゃねーだろ!!

「アンズとシノブ、だったな……貴様らまとめて無に還してやらぁぁぁあああッ!!!」

「「ちょ、待っ……ぎゃあぁあああッ!!!」」

 ――――

「テメェェェ……死ぬ覚悟できてんだろうなぁ? あ゙あ゙!?」

「ちょっ……お姉さん、タイム! タイム!! もうこっち限か……ぎゃあぁああああああ!!!」

「待って! 私が悪かったです! だから許し「許すかぁあああッ!!!」ぎゃふん!!」

 ――そして現在に至る。
 アンズがパラライズやらストムやらカオスドなんか使ってきたり、その隙にシノブが攻撃してきたりしたが、完全にリミッターが外れた俺には全く通用せず、むしろ跳ね返して真っ正面からボコボコにしてやった。
 ――もちろん素手と帯刀術で。斬り殺すなんざ生温いわッ!!

「さぁ……吐いてもらおうか。テメェらの親玉の名前をよォ!?」

 二人の胸倉を掴み、首を絞め上げながらたずねる。
 吐かせて目的を聞いて、リーダーもぶん殴ってやらないと気が済まねぇ!!

「おら、とっとと吐きやが「おーい……」なんだよ!? こちとら今取り込み中だゴルァ!!」

 叫んだ後、ふと声に聞き覚えがある気がしたので振り返る。

「……あれ」

「あー……無事、みたいだな」

 いたのは、やっぱりブロッサムだった。
 こいつの後ろでシルフィーががたがたと震えている。

「おお。おまえらは無事か」

「ま、まあな……おまえも無事で何よりだよ……ホント」

「そうか……そんなにうれしそうに頷かれたら、俺もうれしくなるな」

「!!? バッ……た、ただ、おまえだって女だし……べつにうれしくなんてないからな!」

 赤くなってそっぽを向いたブロッサム。
 うん、こいつのツンデレ回路は通常運転だな。

「……だけど」

「?」

 にこり、と笑って一言。

「ちょっと見ねぇ間に、なんで俺の知らねぇ女がそこにい・る・の・か・なあ?」

「い゙ッ!?」

「はっ!!」

 胸倉掴んでたずねる。
 ……そうだ。そこにいる紫髪のクラッズの女は誰なんだ?

「ブロッサム……俺のいない間に、一体何があったんだ?」

「え゙っ。いや、これは……その……」

「なんでそんなにうろたえているのカナ? カナ?」

「(怖わッ!!!)話す! 話すから刀しまえ!! しまってください!」

 おっと……無意識に刀を出して首に当てちゃってたみたい♪
 よかった~……殺さなくて。

「……で。誰だ、こいつは」

「えっと、同じクラスの」

「こ、こいつとは失礼な!! 私はウィンターコスモス家と並ぶ程のトップクラスの大貴族、エルマータ家長女! ナデシコ・ルル・エルマータですわ!!」

 ……典型的なお嬢様キャラか。
 そのうち「オーホッホッホ」って高笑いするな←

「で、なんでここに……あ、さては今回の件はアンタが主犯か?」

「「え」」

「……!!」

 ぴくり、と反応した。
 なるほど……こいつが主犯か。

「何が目的かは知らないが……一体何ガ目的カナ?」

「お、落ち着いてアユミちゃん~!」

「か、刀を突き付けて言うのはおやめなさい!!」

 向けられた刀に怯えながら、ちらちらとブロッサムを見る。
 …………。まさかこいつ……。

「……おい、ブロッサム」

「え……な、なん――」

 手招きで呼び、やってきたブロッサムの唇を塞いでやった。ナデシコの目の前で。

「んッ!!?」

「な゙っ!!?」

「は、はう~っ」

 あー、三人とも面白いリアクション……じゃなくって。

「見ての通り――ブロッサムは俺のものだ」

「~~~!! こ、この泥棒猫!! ブロッサム様から離れなさい!」

 言うと短剣を両手に、ナデシコは俺に斬りかかってきた。
 やっぱりな……こいつ、ブロッサムのことが好きなんだ。

「覚悟なさーーーい!!」

「おっと」

 素早く斬りかかってきたのをかわし、そのまま両手を掴む。

「せーの」

 メキッ。

「いだだだだっ!!? 痛い痛い痛いィィィッ!!!」

「はい終了ー」

「いや、終了じゃねぇだろぉぉぉ!!!」

 軽く、か・る・く! 手首を捻ってやった。
 ホントは関節技かけてやりたかったけど。

「だ、大丈夫~……?」

「うぇ……ええええ……うぇええええ……」

「泣くほどか……アユミ、やり過ぎだっつの」

 知るか。幼女に間違われたうえ、ブロッサムを付け狙う女だと?
 ……冷静になれるか! そんなん!

「……はあ。ナデシコ、両手ゴメンな」

「ふぇ……?」

 ナデシコの両手を取り、ヒーリングをかける。
 最強の回復魔法のヒーリングはあっという間に両手を治していった。

「とりあえず捻りは治ったけど……大丈夫か?」

「は、はい……! 完全に大丈夫ですわ!」

 うれしそうな顔だこと。
 ……なんかイライラしてきた。

「……両手は治ったか」

「え、そりゃ……」

 ブロッサムが頷いたのを「そうか」と頷き返す。
 そしてナデシコの襟首をむんずと掴む。

「じゃあテメェも沈んでろやあぁあああッ!!!」

「きゃああああッ!!!」

 そのままシノブとアンズ目掛けて、思いきりぶん投げてやった。
 ズドォンッ!!! と派手に土煙を上げ、ナデシコはそのまま二人の上で気絶した。

「よし、片付いたな」

「お、おまえって奴は……」

「なんだよ」

 ギロリと睨み返す。
 ブロッサムは呆れ顔でため息をつくと「ホントにごめん……」とナデシコたちに両手を合わせる。

「ブロッサム……」

「な、なんだよ?」

「とっとと来い、鈍感」

「はい!? っていだっ!!」

「シルフィーも来い」

「あ~ん! 待って~!!」

 ネクタイをぐいっと引っ張りながら、さっさと授業を終わらせるべくポイントへ目指していく。

(あー、くそっ! ……イライラする)

 なんでこんなにイライラしなくちゃいけないんだ! くそっ!!
 収まりきれない怒りを抱えながら、ズンズンと進んでいくのだった。

 ――――

 ナデシコSide

「く、うぅっ……おのれ、アユミ……!」

 油断しましたわ……!
 封印を破るといい、二人を倒すといい……! 思ったよりやりますわね!

「もう絶対に許しませんわ……容赦なんてしなくてよ!」

 このくらいで諦めてたまるものですか!!

「覚えてらっしゃい……絶対に、絶対に!!」

 ブロッサム様は渡しませんわ!!!

 ――――

 ブロッサムSide

「だぁあああッ!!! 先越されたあああッ!!!」

「アユミちゃん、落ち着いて~!!」

 余談だけど、やっぱり別パーティに先を越されました。
 まあ当然かもしれないが……。

「ナデシコめ……! 次あったら叩きのめす!!」

「お、落ち着けって! なんでそんなに怒ってるんだよ!」

 ナデシコのことがあってから、なぜかアユミはずっとイライラしている。
 それもものすごく。

「そりゃ、ナデシコの妨害が気にいらないのはわかるけどよ……」

「うるせぇえええ!! 俺の前でそいつの名前を出すんじゃねぇえええええ!!!」

「なんでだよ!!?」

 名前も出すなって、どんだけ怒ってんだよ! おい!

「ブロッサム~……今のアユミちゃんには言っちゃダメだよ~」

「な、なんでだよ!?」

 聞き返すが、シルフィーはなぜか何とも言い難いような顔で俺を見ている。アユミも同じだ。

「鈍感~……」

「自分限定で鈍いのかよ……」

 鈍いってなんだよ?
 一体何が鈍いっての!?

「なあ、アユミ――」

「……まあいい……逆に言えば、ナデシコに希望はないみたいだし」

 だから何が!?
 アユミやシルフィーに聞くが、二人とも答えてくれない。
 それどころか呆れた顔をされる。

「な、なんなんだよ、一体……」

 俺、何かしたか……?
 しばらくの間、俺はずっとそう悩むようになるのだった。



 恋暴動発動

 ――――

(アユミめ……! 覚えてらっしゃい!)

(ナデシコ、か……注意しないとな……)
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