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最初のクエスト

「な……!?」

「おい、早く下がれっ!」

 バキッ! とアユミはモンスターを蹴っ飛ばした。
 蹴られたモンスターは転がるが、それでも平気そうな顔で起き上がる。
 名前こそ可愛らしいが、この森に出るモンスターと比べれば、このモンスターの方が圧倒的に強い。
 ……つかこの森にこいつは生息していないはずだ!

「……ッ! この!」

 キンッ、ガキッ! と、刀と鎌がぶつかり合う音が響く。
 さすが上級学科の侍なだけに、その腕前は武術に疎い俺でもなかなかだとわかる。
 ……けど。

「ギギギ……ッ!」

「う、ぐ……ッ!」

 やっぱりそこは女。力の押し合いではやはり勝てないみたいだ……。

「……ッ!」

 とっさに魔法で援護に出よう、と構えた。
 ……けど。

「……そらよッ!」

 瞬間、目を疑った。
 攻撃を受け流し、即座に刀で懐に叩き込んだんだ。
 無論、モンスターはばらばらに砕け散った。
 ……正直言って、動きが鮮やか過ぎて驚いた。

「い……っちちち……きっつー……」

 モンスターを倒したあいつは草むらに座り込んだ。
 ……でも表情は全然余裕そうに見えるんだが。

「……あ。え、お、おい……」

「んあ?」

 声をかけたらそいつは首だけをこちらに向けてきた。
 よく見れば、頬や首に斬り傷ができてるし……。

「あ、えと……少し怪我してるから、治して、やる」

 ……こういう時、自分の口下手がすごく恨みがましく思う、うん。

「そっか? ……さんきゅ」

 ――にもかかわらず、こいつはニカッと笑って礼を述べた。
 ってか、笑うと意外と……。
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