三学園VS闇の学園
闇の生徒会による壮絶な歓迎の後、他の学園の生徒を待つ俺たち。
「大丈夫か? アユミ」
「ああ。平気だ、ブロッサム。十分休んでる」
「無理だけはしないようにしてください。その……あなたがいない戦いは苦戦しますので」
「わかってるって、フリージア。まあ、おまえらなら大丈夫だと思うけど……」
「アユミがそれだけ強いってことだよ。君がいれば百人力だからね」
「いや、セルシア。それはブロッサムとシルフィーがいてこそなんだけど……」
……こんな風に雑談を繰り広げている。
主にブロッサムとフリージアとセルシアに話し掛けられていた。
「「「…………」」」
それをジーッと見つめる残りの面々。かと思いきや、突然話し合ったりしている。
……何を話し合ってんだ?
……ドドドドドド……!!
「ん……?」
なんだ? なんか遠くから足音が……。
「――やったー!! オレらが一番乗りだー!」
……と思ってると、ドラッケン学園の制服を着た赤毛のバハムーンが、到着早々ガッツポーズを取った。
すごい馴染み深い言い回しで。
「おい、おまえ! 一番乗りはボクたちプリシアナ学院だぞ!」
「うるせー! 一番乗りって最初に叫んだオレたちが一番乗りなんだよ!」
レオが赤毛のバハムーンに言うが、そいつはよくわからない言い訳で言い返す。
……どの学校にも似た奴っているのな、うん←
「もう、やめなよ。ジーク」
「他の学校の人とケンカしちゃいけないって言われてるだろう?」
ジークと呼ばれたバハムーンの両隣からヒューマンの女子、ノームの男子が現れた。
……多分この三人は同じパーティだろうな。
「ねぇねぇ。君たち、だあれ?」
「オレはドラッケン学園で勇者を目指すほぼ勇者! ジークムントだ!!」
「ふうん。自称勇者か……ぷぷ、ダサっ」
シルフィーの疑問に自信たっぷりに答えるそいつ――ジークの肩書きに笑いが絶えないレオ。
いや、レオ。おまえにだけは言われたくないと思うんだが←
「私はチューリップ。プリシアナ一の情報通だから、なんでも聞いてね。で、この子はレオノチス。プリシアナ学院の英雄学科の子だよ」
「ビッグ・レオ! って呼んでいいぞ」
「ああ、最後の発言は無視しといていいから」
チューリップがそう言うと「似たような子はどの学校にもいるのね……」と、女子生徒がため息つきながらプリシアナ一同に向き直った。
「私はベルタ。こっちは一緒にパーティを組んでるフォルクスだよ」
「よろしく。君たちには親近感を覚えちゃうな」
「私はブーゲンビリアよ。仲良くしてね!」
「ボクはシルフィネスト! 長いからシルフィーって呼んでね~」
早速ブーゲンビリアとシルフィーが交遊関係を築いた。
相変わらずフレンドリーなこった。
「……あら。皆さん自己紹介は終わりまして?」
ここでゆっくり休んでいたユリやキルシュがやってきた。
クラティウスも完全復活し、元の制服に着替えていた。
「キルシュやユリは、もうこいつらを知ってるのか?」
「わらわはなんでも知っておるぞ? クラティウス、説明してたもれ」
「はい、姫様」
おまえが言えよ←
クラティウス復活により、キルシュのペースはすっかり戻ってきてるらしいな。
「こちらはウィンターコスモス家のご子息、セルシア様。その従兄弟のブロッサムさん。そしてセルシア様の執事でいらっしゃるフリージアさんとご学友のバロータさんでいらっしゃいます」
「へぇ……プリシアナの偉い生徒は、キルシュより人ができてそうだな」
「そうじゃろう、そうじゃろう……」
同級生にも言われたキルシュ。
「ジーク!」とすぐに憤慨した。
「あはは。姫様も言われちゃったね~」
「で、ですが……キルシュトルテ様も、最近頑張ってます!」
「わかってる。キルシュもずいぶん成長したよね」
苦笑いを浮かべるシュトレンの横で、オロオロとリンツェがフォローした。
うん。リンツェ、おまえも少し落ち着け←
「コホン……そして最後に、プリシアナでトップクラスの実力者であります、アユミさんです」
「へぇ、すごいな。トップクラス、て……」
クラティウスの説明に感嘆の声を上げながら、俺に振り返るジーク。
「……あ、あれ……?」
……が、何故だ。俺の姿を見た瞬間、固まってしまった。
「……? おい……」
「あ……ああああああ!! あの、あののの!!?」
「じ、ジーク……?」
な、なんだいきなり!? 突然壊れ出したぞ!?
「な……なんでここに、アイナさんが!? ってかいつの間にこちらへ!!?」
「……は?」
こいつ……今、なんつった?
なんでアイナを知ってんだ、オイ。
「……なんでアイナを――俺の妹を知ってんだ。こいつは」
「交流戦の時にちょっとね……」
ベルタとフォルクスに視線を向けると、二人は同時にため息をついた。
わたわたと慌てているジークにユリが近づく。
「ジーク、落ち着きなさい。クラティウスの話聞いてまして?」
「き、聞いてたけど!! で、でも! アイナさんが目の前に!」
「彼女はアイナちゃんの双子の姉ですわ」
「だから双子の……って……双子?」
ようやく脳に理解がいったらしいな。
ジークが俺の足から頭までじっくりと見ている。
「俺はアユミ。アイナの双子の姉だ、コラ」
「え…………ええええええ!!? ふ、双子のお姉さんんん!?」
「ようやくジークも理解したみたいだね……」
ベルタとフォルクスが揃ってため息をついた。
苦労しているんだな、おい。
「アハハ。すごい驚いてるなー」
「まあアユミとアイナちゃん、顔はそっくりだからな。無理もないだろ」
「性格は180度違うからわかりそうな気もするけど……」
レオ、バロータ、ブロッサム……そんなに俺に殴れたいのか? こいつら←
「いつどこで妹と知り合ったか知らんが……ジーク、だっけ?」
「は、はい……?」
「俺の妹に何かしてみろ……」
素晴らしく笑みを浮かべながらジークムントの肩を掴み、そしてにっこり笑って一言。
「――殺すぞ」
めちゃくちゃドスの効いた低い声でつぶやいた。
が、たったそれだけで辺りがシン……、と静かになった。
間近でコレを聞いたジークは顔から血の気を引かせながら、コクコクと無言で頷く。
「……あの。この人、ホントにアイナのお姉さん……?」
「全然、似てないね……中身が」
「ごめん……こいつは素からこんな奴なんだ……」
二人が誰に問わずたずね、それにブロッサムががっくりとうなだれながら答える。
失礼な……俺は素からコレなんだ!!←
――ドドドドドド……!!
「……んあ?」
そうこうしてる内に再び大勢の足音。
全員でその音の方向を見ると、俺にとっては馴染み深い面々の連中が。
「なんやなんや。ここはお祭り会場かいな」
「プリシアナ学院とドラッケン学園ね」
「みんな無事に着いてよかったの!」
現れたのは、カータロたちタカチホ義塾の生徒だった。
「おー! スモウマン! 今場所の成績はどう?」
「誰がスモウマンじゃ! まったく、相変わらずアホの子やなあ」
出会い早々改心のツッコミを決めたカータロ。
うん、変わりはないってことで勘弁してくれ←
「あらン? もうみんな着いてたのね」
「私たちが、一番遅れて着いたみたいだね~」
その後からネコマパーティ。そして先程の話の中心人物、アイナと彼女の護衛兼パーティメンバーのカエデがやってきた。
――つーか、アイナも代表かよ……。
「よぉ。交流戦以来だな」
「あ! お姉ちゃん!」
「にゃ! やっぱりいたわねン、アユミ!」
「まぁ、実力を考えたら、いない方がおかしいか……」
「ノッペとヌッペは超ひさしぶり、だな。元気だったか?」
「もっちろん! アユミさんも、元気そうで何よりです!」
「ほ、ほほ、ホント、なんだな」
ひさしぶりのタカチホの友人たち。
全員変わってなくて何よりだ。
「一応自己紹介しておいた方がいいわね……私はロクロ。タカチホの中じゃ一番まともな生徒よ」
「む。ぼくだって普通なの!」
「アンタみたいに男か女かわかってない子は普通じゃないでしょ」
ロクロの紹介が気に入らなかったか、トウフッコが割り込んできた。
即一蹴されたけど←
「あら! どういうことなの? 詳しく聞きたいわ!」
「ボクも知りたい~♪ どういうこと?」
乙女な男(?)のブーゲンビリアと同じフェアリーのシルフィーがトウフッコに聞き出した。
人懐っこいトウフッコは「ぼくは雌雄同体なの」と笑って答える。
「もうちょっと大きくなったら、男になるか女になるかを決めることになってて、今はそのお試し期間なの」
「まあ! 自分で性別を決められるの!?」
「羨ましい……」とトウフッコをジーッと見るブーゲンビリア。
……無いものねだりするんじゃない←
「変わった体質なんだね~。ボク、シルフィネスト! シルフィーでよろしくね♪」
「うん! よろしくお願いしますなの♪」
フェアリー同士、どうやら気があったらしい。
にこにことほのぼのした空気が二人の周りに漂っていた。
「コホン……それで、こっちがカータロ。自称タカチホの番長よ」
「ひどいなあ、ロクロちゃん。わいは立派なタカチホの番長でっせ? それを自称とか……」
ロクロの紹介が気に入らないカータロが苦笑いで訂正にかかる。
カータロ……残念ながら、みんなはおまえを番長と認識してないから。俺を筆頭に←
「……どこの学校にも、一人はいるんだなあ」
「そうね……」
チューリップとベルタが揃って呆れたような顔をした。
まあな……気持ちはわかる。
「それじゃあ、今度はこっちの紹介ニャ。あたしはネコマ。タカチホのアイドルよン」
「それも自称だけどね」
「ニャ? 何か言った?」
一々割り込んでくるロクロにギロッと睨むネコマ。
ロクロは気にせず、かつ楽しそうに首を横に振ってるけど。
「ま、いいわン……それで、こっちがノッペとヌッペ。あたしの親衛隊ってところねン」
「ど、ども、ヌッペです。よ、よ、よろしく」
「は、はい……ヌッペさん……」
ヌッペの独特の喋り方におっかなびっくりで頷き返すリンツェ。
……ああ。そういえばこの二人、すごい気が合ってたっけな←
「よろしく。ぼくの特技は他人の顔マネ。時々君たちの顔マネもさせてもらうからね?」
「えー! ホントに? すごい、すごい! ボクの顔やって!」
「あ! レオ、ずるい! ボクもやって~!」
「ハハ……そんな風に言われるのは新鮮だな。後でやってあげるからね」
「「やったー!」」
お子様コンビがノッペの特技に食いついたな……。
まあ……ノッペも満更じゃないみたいだからいいか。
「じゃあ最後に……知ってる方もいますけど、私はアイナって言います。微力ながら、精一杯頑張りますね!」
「はっ、はいっ! アイナさん! こちらこそ、よろしくお願いしますッ!!!」
アイナの挨拶にジークがビシッ! と硬直しながら敬礼した。
どこの中二だ、己は←
「……おい。あいつとアイナに何があったんだ」
「ああ。アユミは知らないわよね……実はトウフッコってば、ドラッケン学園でも、間違って腐った豆腐を出して……」
ドラッケン学園にもかッ!!←
「……で、その腐った豆腐食ったんがジークで、わいらと一緒に行動してたアイナが治療したんや」
「それが原因かわからないけど、アイナのファンになったってことなの」
「……あ、そう」
……もうつっこむのもめんどくせぇな。
つーかファンって……。
「んじゃ、最後に……俺はカエデ=コウヨウ。アイナの護衛兼幼馴染だ。戦術系学科を一通り齧ってるから前衛なら任せてくれ」
「多分ぼくたちの中では一番まともなの」
「一番まともというか、一番普通でしょ」
「せやな。一番普通や」
「うぉいっ!!?」
最後に幼馴染のカエデ。フェルパーながらデカい戦斧を片手にニカッと笑ってる。
ロクロとカータロに普通呼ばわりされて大声でツッコミを入れたが。
「……もういい。んじゃ、プリシアナ学院の紹介をするか……つーことでブロッサム、よろしく」
「やっぱり俺かよ……」
何をいまさら。おまえは説明係決定なんだ。
肩をがっくり落としながら、ブロッサムがプリシアナの紹介をするのだった。
「ではわらわがドラッケン学園の紹介をしてしんぜよう」
ドラッケン学園はキルシュが自ら説明した。
……なんか珍しいな。
「大丈夫か? アユミ」
「ああ。平気だ、ブロッサム。十分休んでる」
「無理だけはしないようにしてください。その……あなたがいない戦いは苦戦しますので」
「わかってるって、フリージア。まあ、おまえらなら大丈夫だと思うけど……」
「アユミがそれだけ強いってことだよ。君がいれば百人力だからね」
「いや、セルシア。それはブロッサムとシルフィーがいてこそなんだけど……」
……こんな風に雑談を繰り広げている。
主にブロッサムとフリージアとセルシアに話し掛けられていた。
「「「…………」」」
それをジーッと見つめる残りの面々。かと思いきや、突然話し合ったりしている。
……何を話し合ってんだ?
……ドドドドドド……!!
「ん……?」
なんだ? なんか遠くから足音が……。
「――やったー!! オレらが一番乗りだー!」
……と思ってると、ドラッケン学園の制服を着た赤毛のバハムーンが、到着早々ガッツポーズを取った。
すごい馴染み深い言い回しで。
「おい、おまえ! 一番乗りはボクたちプリシアナ学院だぞ!」
「うるせー! 一番乗りって最初に叫んだオレたちが一番乗りなんだよ!」
レオが赤毛のバハムーンに言うが、そいつはよくわからない言い訳で言い返す。
……どの学校にも似た奴っているのな、うん←
「もう、やめなよ。ジーク」
「他の学校の人とケンカしちゃいけないって言われてるだろう?」
ジークと呼ばれたバハムーンの両隣からヒューマンの女子、ノームの男子が現れた。
……多分この三人は同じパーティだろうな。
「ねぇねぇ。君たち、だあれ?」
「オレはドラッケン学園で勇者を目指すほぼ勇者! ジークムントだ!!」
「ふうん。自称勇者か……ぷぷ、ダサっ」
シルフィーの疑問に自信たっぷりに答えるそいつ――ジークの肩書きに笑いが絶えないレオ。
いや、レオ。おまえにだけは言われたくないと思うんだが←
「私はチューリップ。プリシアナ一の情報通だから、なんでも聞いてね。で、この子はレオノチス。プリシアナ学院の英雄学科の子だよ」
「ビッグ・レオ! って呼んでいいぞ」
「ああ、最後の発言は無視しといていいから」
チューリップがそう言うと「似たような子はどの学校にもいるのね……」と、女子生徒がため息つきながらプリシアナ一同に向き直った。
「私はベルタ。こっちは一緒にパーティを組んでるフォルクスだよ」
「よろしく。君たちには親近感を覚えちゃうな」
「私はブーゲンビリアよ。仲良くしてね!」
「ボクはシルフィネスト! 長いからシルフィーって呼んでね~」
早速ブーゲンビリアとシルフィーが交遊関係を築いた。
相変わらずフレンドリーなこった。
「……あら。皆さん自己紹介は終わりまして?」
ここでゆっくり休んでいたユリやキルシュがやってきた。
クラティウスも完全復活し、元の制服に着替えていた。
「キルシュやユリは、もうこいつらを知ってるのか?」
「わらわはなんでも知っておるぞ? クラティウス、説明してたもれ」
「はい、姫様」
おまえが言えよ←
クラティウス復活により、キルシュのペースはすっかり戻ってきてるらしいな。
「こちらはウィンターコスモス家のご子息、セルシア様。その従兄弟のブロッサムさん。そしてセルシア様の執事でいらっしゃるフリージアさんとご学友のバロータさんでいらっしゃいます」
「へぇ……プリシアナの偉い生徒は、キルシュより人ができてそうだな」
「そうじゃろう、そうじゃろう……」
同級生にも言われたキルシュ。
「ジーク!」とすぐに憤慨した。
「あはは。姫様も言われちゃったね~」
「で、ですが……キルシュトルテ様も、最近頑張ってます!」
「わかってる。キルシュもずいぶん成長したよね」
苦笑いを浮かべるシュトレンの横で、オロオロとリンツェがフォローした。
うん。リンツェ、おまえも少し落ち着け←
「コホン……そして最後に、プリシアナでトップクラスの実力者であります、アユミさんです」
「へぇ、すごいな。トップクラス、て……」
クラティウスの説明に感嘆の声を上げながら、俺に振り返るジーク。
「……あ、あれ……?」
……が、何故だ。俺の姿を見た瞬間、固まってしまった。
「……? おい……」
「あ……ああああああ!! あの、あののの!!?」
「じ、ジーク……?」
な、なんだいきなり!? 突然壊れ出したぞ!?
「な……なんでここに、アイナさんが!? ってかいつの間にこちらへ!!?」
「……は?」
こいつ……今、なんつった?
なんでアイナを知ってんだ、オイ。
「……なんでアイナを――俺の妹を知ってんだ。こいつは」
「交流戦の時にちょっとね……」
ベルタとフォルクスに視線を向けると、二人は同時にため息をついた。
わたわたと慌てているジークにユリが近づく。
「ジーク、落ち着きなさい。クラティウスの話聞いてまして?」
「き、聞いてたけど!! で、でも! アイナさんが目の前に!」
「彼女はアイナちゃんの双子の姉ですわ」
「だから双子の……って……双子?」
ようやく脳に理解がいったらしいな。
ジークが俺の足から頭までじっくりと見ている。
「俺はアユミ。アイナの双子の姉だ、コラ」
「え…………ええええええ!!? ふ、双子のお姉さんんん!?」
「ようやくジークも理解したみたいだね……」
ベルタとフォルクスが揃ってため息をついた。
苦労しているんだな、おい。
「アハハ。すごい驚いてるなー」
「まあアユミとアイナちゃん、顔はそっくりだからな。無理もないだろ」
「性格は180度違うからわかりそうな気もするけど……」
レオ、バロータ、ブロッサム……そんなに俺に殴れたいのか? こいつら←
「いつどこで妹と知り合ったか知らんが……ジーク、だっけ?」
「は、はい……?」
「俺の妹に何かしてみろ……」
素晴らしく笑みを浮かべながらジークムントの肩を掴み、そしてにっこり笑って一言。
「――殺すぞ」
めちゃくちゃドスの効いた低い声でつぶやいた。
が、たったそれだけで辺りがシン……、と静かになった。
間近でコレを聞いたジークは顔から血の気を引かせながら、コクコクと無言で頷く。
「……あの。この人、ホントにアイナのお姉さん……?」
「全然、似てないね……中身が」
「ごめん……こいつは素からこんな奴なんだ……」
二人が誰に問わずたずね、それにブロッサムががっくりとうなだれながら答える。
失礼な……俺は素からコレなんだ!!←
――ドドドドドド……!!
「……んあ?」
そうこうしてる内に再び大勢の足音。
全員でその音の方向を見ると、俺にとっては馴染み深い面々の連中が。
「なんやなんや。ここはお祭り会場かいな」
「プリシアナ学院とドラッケン学園ね」
「みんな無事に着いてよかったの!」
現れたのは、カータロたちタカチホ義塾の生徒だった。
「おー! スモウマン! 今場所の成績はどう?」
「誰がスモウマンじゃ! まったく、相変わらずアホの子やなあ」
出会い早々改心のツッコミを決めたカータロ。
うん、変わりはないってことで勘弁してくれ←
「あらン? もうみんな着いてたのね」
「私たちが、一番遅れて着いたみたいだね~」
その後からネコマパーティ。そして先程の話の中心人物、アイナと彼女の護衛兼パーティメンバーのカエデがやってきた。
――つーか、アイナも代表かよ……。
「よぉ。交流戦以来だな」
「あ! お姉ちゃん!」
「にゃ! やっぱりいたわねン、アユミ!」
「まぁ、実力を考えたら、いない方がおかしいか……」
「ノッペとヌッペは超ひさしぶり、だな。元気だったか?」
「もっちろん! アユミさんも、元気そうで何よりです!」
「ほ、ほほ、ホント、なんだな」
ひさしぶりのタカチホの友人たち。
全員変わってなくて何よりだ。
「一応自己紹介しておいた方がいいわね……私はロクロ。タカチホの中じゃ一番まともな生徒よ」
「む。ぼくだって普通なの!」
「アンタみたいに男か女かわかってない子は普通じゃないでしょ」
ロクロの紹介が気に入らなかったか、トウフッコが割り込んできた。
即一蹴されたけど←
「あら! どういうことなの? 詳しく聞きたいわ!」
「ボクも知りたい~♪ どういうこと?」
乙女な男(?)のブーゲンビリアと同じフェアリーのシルフィーがトウフッコに聞き出した。
人懐っこいトウフッコは「ぼくは雌雄同体なの」と笑って答える。
「もうちょっと大きくなったら、男になるか女になるかを決めることになってて、今はそのお試し期間なの」
「まあ! 自分で性別を決められるの!?」
「羨ましい……」とトウフッコをジーッと見るブーゲンビリア。
……無いものねだりするんじゃない←
「変わった体質なんだね~。ボク、シルフィネスト! シルフィーでよろしくね♪」
「うん! よろしくお願いしますなの♪」
フェアリー同士、どうやら気があったらしい。
にこにことほのぼのした空気が二人の周りに漂っていた。
「コホン……それで、こっちがカータロ。自称タカチホの番長よ」
「ひどいなあ、ロクロちゃん。わいは立派なタカチホの番長でっせ? それを自称とか……」
ロクロの紹介が気に入らないカータロが苦笑いで訂正にかかる。
カータロ……残念ながら、みんなはおまえを番長と認識してないから。俺を筆頭に←
「……どこの学校にも、一人はいるんだなあ」
「そうね……」
チューリップとベルタが揃って呆れたような顔をした。
まあな……気持ちはわかる。
「それじゃあ、今度はこっちの紹介ニャ。あたしはネコマ。タカチホのアイドルよン」
「それも自称だけどね」
「ニャ? 何か言った?」
一々割り込んでくるロクロにギロッと睨むネコマ。
ロクロは気にせず、かつ楽しそうに首を横に振ってるけど。
「ま、いいわン……それで、こっちがノッペとヌッペ。あたしの親衛隊ってところねン」
「ど、ども、ヌッペです。よ、よ、よろしく」
「は、はい……ヌッペさん……」
ヌッペの独特の喋り方におっかなびっくりで頷き返すリンツェ。
……ああ。そういえばこの二人、すごい気が合ってたっけな←
「よろしく。ぼくの特技は他人の顔マネ。時々君たちの顔マネもさせてもらうからね?」
「えー! ホントに? すごい、すごい! ボクの顔やって!」
「あ! レオ、ずるい! ボクもやって~!」
「ハハ……そんな風に言われるのは新鮮だな。後でやってあげるからね」
「「やったー!」」
お子様コンビがノッペの特技に食いついたな……。
まあ……ノッペも満更じゃないみたいだからいいか。
「じゃあ最後に……知ってる方もいますけど、私はアイナって言います。微力ながら、精一杯頑張りますね!」
「はっ、はいっ! アイナさん! こちらこそ、よろしくお願いしますッ!!!」
アイナの挨拶にジークがビシッ! と硬直しながら敬礼した。
どこの中二だ、己は←
「……おい。あいつとアイナに何があったんだ」
「ああ。アユミは知らないわよね……実はトウフッコってば、ドラッケン学園でも、間違って腐った豆腐を出して……」
ドラッケン学園にもかッ!!←
「……で、その腐った豆腐食ったんがジークで、わいらと一緒に行動してたアイナが治療したんや」
「それが原因かわからないけど、アイナのファンになったってことなの」
「……あ、そう」
……もうつっこむのもめんどくせぇな。
つーかファンって……。
「んじゃ、最後に……俺はカエデ=コウヨウ。アイナの護衛兼幼馴染だ。戦術系学科を一通り齧ってるから前衛なら任せてくれ」
「多分ぼくたちの中では一番まともなの」
「一番まともというか、一番普通でしょ」
「せやな。一番普通や」
「うぉいっ!!?」
最後に幼馴染のカエデ。フェルパーながらデカい戦斧を片手にニカッと笑ってる。
ロクロとカータロに普通呼ばわりされて大声でツッコミを入れたが。
「……もういい。んじゃ、プリシアナ学院の紹介をするか……つーことでブロッサム、よろしく」
「やっぱり俺かよ……」
何をいまさら。おまえは説明係決定なんだ。
肩をがっくり落としながら、ブロッサムがプリシアナの紹介をするのだった。
「ではわらわがドラッケン学園の紹介をしてしんぜよう」
ドラッケン学園はキルシュが自ら説明した。
……なんか珍しいな。