このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

三学園VS闇の学園

 闇の生徒会による壮絶な歓迎の後、他の学園の生徒を待つ俺たち。

「大丈夫か? アユミ」

「ああ。平気だ、ブロッサム。十分休んでる」

「無理だけはしないようにしてください。その……あなたがいない戦いは苦戦しますので」

「わかってるって、フリージア。まあ、おまえらなら大丈夫だと思うけど……」

「アユミがそれだけ強いってことだよ。君がいれば百人力だからね」

「いや、セルシア。それはブロッサムとシルフィーがいてこそなんだけど……」

 ……こんな風に雑談を繰り広げている。
 主にブロッサムとフリージアとセルシアに話し掛けられていた。

「「「…………」」」

 それをジーッと見つめる残りの面々。かと思いきや、突然話し合ったりしている。
 ……何を話し合ってんだ?

 ……ドドドドドド……!!

「ん……?」

 なんだ? なんか遠くから足音が……。

「――やったー!! オレらが一番乗りだー!」

 ……と思ってると、ドラッケン学園の制服を着た赤毛のバハムーンが、到着早々ガッツポーズを取った。
 すごい馴染み深い言い回しで。

「おい、おまえ! 一番乗りはボクたちプリシアナ学院だぞ!」

「うるせー! 一番乗りって最初に叫んだオレたちが一番乗りなんだよ!」

 レオが赤毛のバハムーンに言うが、そいつはよくわからない言い訳で言い返す。
 ……どの学校にも似た奴っているのな、うん←

「もう、やめなよ。ジーク」

「他の学校の人とケンカしちゃいけないって言われてるだろう?」

 ジークと呼ばれたバハムーンの両隣からヒューマンの女子、ノームの男子が現れた。
 ……多分この三人は同じパーティだろうな。

「ねぇねぇ。君たち、だあれ?」

「オレはドラッケン学園で勇者を目指すほぼ勇者! ジークムントだ!!」

「ふうん。自称勇者か……ぷぷ、ダサっ」

 シルフィーの疑問に自信たっぷりに答えるそいつ――ジークの肩書きに笑いが絶えないレオ。
 いや、レオ。おまえにだけは言われたくないと思うんだが←

「私はチューリップ。プリシアナ一の情報通だから、なんでも聞いてね。で、この子はレオノチス。プリシアナ学院の英雄学科の子だよ」

「ビッグ・レオ! って呼んでいいぞ」

「ああ、最後の発言は無視しといていいから」

 チューリップがそう言うと「似たような子はどの学校にもいるのね……」と、女子生徒がため息つきながらプリシアナ一同に向き直った。

「私はベルタ。こっちは一緒にパーティを組んでるフォルクスだよ」

「よろしく。君たちには親近感を覚えちゃうな」

「私はブーゲンビリアよ。仲良くしてね!」

「ボクはシルフィネスト! 長いからシルフィーって呼んでね~」

 早速ブーゲンビリアとシルフィーが交遊関係を築いた。
 相変わらずフレンドリーなこった。

「……あら。皆さん自己紹介は終わりまして?」

 ここでゆっくり休んでいたユリやキルシュがやってきた。
 クラティウスも完全復活し、元の制服に着替えていた。

「キルシュやユリは、もうこいつらを知ってるのか?」

「わらわはなんでも知っておるぞ? クラティウス、説明してたもれ」

「はい、姫様」

 おまえが言えよ←
 クラティウス復活により、キルシュのペースはすっかり戻ってきてるらしいな。

「こちらはウィンターコスモス家のご子息、セルシア様。その従兄弟のブロッサムさん。そしてセルシア様の執事でいらっしゃるフリージアさんとご学友のバロータさんでいらっしゃいます」

「へぇ……プリシアナの偉い生徒は、キルシュより人ができてそうだな」

「そうじゃろう、そうじゃろう……」

 同級生にも言われたキルシュ。
「ジーク!」とすぐに憤慨した。

「あはは。姫様も言われちゃったね~」

「で、ですが……キルシュトルテ様も、最近頑張ってます!」

「わかってる。キルシュもずいぶん成長したよね」

 苦笑いを浮かべるシュトレンの横で、オロオロとリンツェがフォローした。
 うん。リンツェ、おまえも少し落ち着け←

「コホン……そして最後に、プリシアナでトップクラスの実力者であります、アユミさんです」

「へぇ、すごいな。トップクラス、て……」

 クラティウスの説明に感嘆の声を上げながら、俺に振り返るジーク。

「……あ、あれ……?」

 ……が、何故だ。俺の姿を見た瞬間、固まってしまった。

「……? おい……」

「あ……ああああああ!! あの、あののの!!?」

「じ、ジーク……?」

 な、なんだいきなり!? 突然壊れ出したぞ!?

「な……なんでここに、アイナさんが!? ってかいつの間にこちらへ!!?」

「……は?」

 こいつ……今、なんつった?
 なんでアイナを知ってんだ、オイ。

「……なんでアイナを――俺の妹を知ってんだ。こいつは」

「交流戦の時にちょっとね……」

 ベルタとフォルクスに視線を向けると、二人は同時にため息をついた。
 わたわたと慌てているジークにユリが近づく。

「ジーク、落ち着きなさい。クラティウスの話聞いてまして?」

「き、聞いてたけど!! で、でも! アイナさんが目の前に!」

「彼女はアイナちゃんの双子の姉ですわ」

「だから双子の……って……双子?」

 ようやく脳に理解がいったらしいな。
 ジークが俺の足から頭までじっくりと見ている。

「俺はアユミ。アイナの双子の姉だ、コラ」

「え…………ええええええ!!? ふ、双子のお姉さんんん!?」

「ようやくジークも理解したみたいだね……」

 ベルタとフォルクスが揃ってため息をついた。
 苦労しているんだな、おい。

「アハハ。すごい驚いてるなー」

「まあアユミとアイナちゃん、顔はそっくりだからな。無理もないだろ」

「性格は180度違うからわかりそうな気もするけど……」

 レオ、バロータ、ブロッサム……そんなに俺に殴れたいのか? こいつら←

「いつどこで妹と知り合ったか知らんが……ジーク、だっけ?」

「は、はい……?」

「俺の妹に何かしてみろ……」

 素晴らしく笑みを浮かべながらジークムントの肩を掴み、そしてにっこり笑って一言。

「――殺すぞ」

 めちゃくちゃドスの効いた低い声でつぶやいた。
 が、たったそれだけで辺りがシン……、と静かになった。
 間近でコレを聞いたジークは顔から血の気を引かせながら、コクコクと無言で頷く。

「……あの。この人、ホントにアイナのお姉さん……?」

「全然、似てないね……中身が」

「ごめん……こいつは素からこんな奴なんだ……」

 二人が誰に問わずたずね、それにブロッサムががっくりとうなだれながら答える。
 失礼な……俺は素からコレなんだ!!←

 ――ドドドドドド……!!

「……んあ?」

 そうこうしてる内に再び大勢の足音。
 全員でその音の方向を見ると、俺にとっては馴染み深い面々の連中が。

「なんやなんや。ここはお祭り会場かいな」

「プリシアナ学院とドラッケン学園ね」

「みんな無事に着いてよかったの!」

 現れたのは、カータロたちタカチホ義塾の生徒だった。

「おー! スモウマン! 今場所の成績はどう?」

「誰がスモウマンじゃ! まったく、相変わらずアホの子やなあ」

 出会い早々改心のツッコミを決めたカータロ。
 うん、変わりはないってことで勘弁してくれ←

「あらン? もうみんな着いてたのね」

「私たちが、一番遅れて着いたみたいだね~」

 その後からネコマパーティ。そして先程の話の中心人物、アイナと彼女の護衛兼パーティメンバーのカエデがやってきた。
 ――つーか、アイナも代表かよ……。

「よぉ。交流戦以来だな」

「あ! お姉ちゃん!」

「にゃ! やっぱりいたわねン、アユミ!」

「まぁ、実力を考えたら、いない方がおかしいか……」

「ノッペとヌッペは超ひさしぶり、だな。元気だったか?」

「もっちろん! アユミさんも、元気そうで何よりです!」

「ほ、ほほ、ホント、なんだな」

 ひさしぶりのタカチホの友人たち。
 全員変わってなくて何よりだ。

「一応自己紹介しておいた方がいいわね……私はロクロ。タカチホの中じゃ一番まともな生徒よ」

「む。ぼくだって普通なの!」

「アンタみたいに男か女かわかってない子は普通じゃないでしょ」

 ロクロの紹介が気に入らなかったか、トウフッコが割り込んできた。
 即一蹴されたけど←

「あら! どういうことなの? 詳しく聞きたいわ!」

「ボクも知りたい~♪ どういうこと?」

 乙女な男(?)のブーゲンビリアと同じフェアリーのシルフィーがトウフッコに聞き出した。
 人懐っこいトウフッコは「ぼくは雌雄同体なの」と笑って答える。

「もうちょっと大きくなったら、男になるか女になるかを決めることになってて、今はそのお試し期間なの」

「まあ! 自分で性別を決められるの!?」

「羨ましい……」とトウフッコをジーッと見るブーゲンビリア。
 ……無いものねだりするんじゃない←

「変わった体質なんだね~。ボク、シルフィネスト! シルフィーでよろしくね♪」

「うん! よろしくお願いしますなの♪」

 フェアリー同士、どうやら気があったらしい。
 にこにことほのぼのした空気が二人の周りに漂っていた。

「コホン……それで、こっちがカータロ。自称タカチホの番長よ」

「ひどいなあ、ロクロちゃん。わいは立派なタカチホの番長でっせ? それを自称とか……」

 ロクロの紹介が気に入らないカータロが苦笑いで訂正にかかる。
 カータロ……残念ながら、みんなはおまえを番長と認識してないから。俺を筆頭に←

「……どこの学校にも、一人はいるんだなあ」

「そうね……」

 チューリップとベルタが揃って呆れたような顔をした。
 まあな……気持ちはわかる。

「それじゃあ、今度はこっちの紹介ニャ。あたしはネコマ。タカチホのアイドルよン」

「それも自称だけどね」

「ニャ? 何か言った?」

 一々割り込んでくるロクロにギロッと睨むネコマ。
 ロクロは気にせず、かつ楽しそうに首を横に振ってるけど。

「ま、いいわン……それで、こっちがノッペとヌッペ。あたしの親衛隊ってところねン」

「ど、ども、ヌッペです。よ、よ、よろしく」

「は、はい……ヌッペさん……」

 ヌッペの独特の喋り方におっかなびっくりで頷き返すリンツェ。
 ……ああ。そういえばこの二人、すごい気が合ってたっけな←

「よろしく。ぼくの特技は他人の顔マネ。時々君たちの顔マネもさせてもらうからね?」

「えー! ホントに? すごい、すごい! ボクの顔やって!」

「あ! レオ、ずるい! ボクもやって~!」

「ハハ……そんな風に言われるのは新鮮だな。後でやってあげるからね」

「「やったー!」」

 お子様コンビがノッペの特技に食いついたな……。
 まあ……ノッペも満更じゃないみたいだからいいか。

「じゃあ最後に……知ってる方もいますけど、私はアイナって言います。微力ながら、精一杯頑張りますね!」

「はっ、はいっ! アイナさん! こちらこそ、よろしくお願いしますッ!!!」

 アイナの挨拶にジークがビシッ! と硬直しながら敬礼した。
 どこの中二だ、己は←

「……おい。あいつとアイナに何があったんだ」

「ああ。アユミは知らないわよね……実はトウフッコってば、ドラッケン学園でも、間違って腐った豆腐を出して……」

 ドラッケン学園にもかッ!!←

「……で、その腐った豆腐食ったんがジークで、わいらと一緒に行動してたアイナが治療したんや」

「それが原因かわからないけど、アイナのファンになったってことなの」

「……あ、そう」

 ……もうつっこむのもめんどくせぇな。
 つーかファンって……。

「んじゃ、最後に……俺はカエデ=コウヨウ。アイナの護衛兼幼馴染だ。戦術系学科を一通り齧ってるから前衛なら任せてくれ」

「多分ぼくたちの中では一番まともなの」

「一番まともというか、一番普通でしょ」

「せやな。一番普通や」

「うぉいっ!!?」

 最後に幼馴染のカエデ。フェルパーながらデカい戦斧を片手にニカッと笑ってる。
 ロクロとカータロに普通呼ばわりされて大声でツッコミを入れたが。

「……もういい。んじゃ、プリシアナ学院の紹介をするか……つーことでブロッサム、よろしく」

「やっぱり俺かよ……」

 何をいまさら。おまえは説明係決定なんだ。
 肩をがっくり落としながら、ブロッサムがプリシアナの紹介をするのだった。

「ではわらわがドラッケン学園の紹介をしてしんぜよう」

 ドラッケン学園はキルシュが自ら説明した。
 ……なんか珍しいな。
1/2ページ
スキ