下手くそに愛を叫べⅠ
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練習試合を終え、駅へと向かっていた。春というにはまだ早い、乾いた空気が頬を撫でる。
仲間と帰る道のりを経て見つめる駅はあの雨の日を思い出させる。彼女と初めてまともに話したあの日、あの時、あの瞬間。意識すればするほど、胸が締め付けられる。会えることができるなら会いたい。今ももしかしたら、を考えては期待するだけ無駄だと悲しみが襲う。
周囲に気付かれないように溜息を吐くと肩をポンと叩かれ、そちらを向いた。
「ん、ああ……謙也か、」
「謙也かってなんやねん。えらい元気ないやんか」
さっきまでは元気やったのに、と付け加えてくる友人に俺の目は揺らいだ。
「ちょっと……思い出してもうて」
何をとは言わなかった。周りに気付かれたくない気持ちもあったから。
しかし、その気持ちも隣の男に空しく砕かれる。
「片想い相手の人か?」
「シッ!」
慌てて口元に人差し指を持っていき、言ってはならないと気付かせる。だが謙也は既に他のことに意識がいってしまったようで、再び俺の肩を叩いた。
「なあ、白石」
「なん?」
「あの人、似てへんか?」
謙也が指差す方に目を凝らす。まさかとは思ったが、十メートルほど先を歩いている彼女は明らかに俺の知るあの人。以前謙也に姉から送られてきた彼女の写真を見せていたおかげだろうか。
あかん、これは嘘や。幻覚見えとるかもしれん。
そう思い、何度も瞬きをするが、どう見ても本人。
「嘘ッ!?」
彼女は買い物帰りか、ビニール袋を持っている。
出来ることなら今すぐ駆け寄っていきたい。だが今の俺には部長としての顔があり、背後には帰宅しようとする部員達がいる。練習試合が終わったとはいえ、ここで追いかけるのはどうかと頭を捻る。
謙也は俺のことをじっと見つめると、周りに聞こえないようにこっそりと囁いた。
「練習試合終わったんやから行ったらええ。後は適当に誤魔化しといたる」
思考が一瞬止まり、謙也を見つめた。友人としての力強い眼差しに数秒迷った挙句、俺は謙也に背中を向け、走り出した。
「っ、すまん、おおきに!」
「名前先生っ、」
季節に不釣り合いな汗が背中をつたう。荒んだ呼吸に、思わず膝に手をついた。
「蔵ノ介くん?」
こちらを向き、名を呼んだ彼女は目を丸くさせている。
「そんな急いでどないしたん?」
「なんかあったとかちゃうんですけど……練習試合で来てて帰りに先生の姿見えたから、つい」
追いかけてきてしまいました。口にするとなんと恥ずかしい言葉だろうか。
尻すぼみになる声に対して彼女はくすくすと小さく笑い始める。
「私、えらい懐かれてるんやなあ」
彼女の言葉のせいで顔に熱が集い、きちんと顔が見ることができない。
「すんません、突然」
「ええよ、ええよ。なんかお姉ちゃんとよう似とるなあって思っただけやから」
一頻り笑った彼女は、ふう、と息を吐いて俺の事を見つめ直した。
あの姉と似ているのは俺自身にとって悪くないと捉えていいのだろうか。
嫌われてはいないのだろうと勝手に安心していると、彼女は左手首に巻いた時計を確認して、少し考える素振りを見せた。
「蔵ノ介くん、時間ある?」
彼女の発言に一度瞬きをしてから頷くが、俺はすぐに首を傾げる。
「どうせやったら少し話してから帰らへん?」
どうしてこうなったのか。彼女の誘いを受け、食い気味に頷いたが二人きりということに体が強ばっている。平静を装いながら近くの喫茶店に入り、対面するように席につくと、同じハーブティーを頼んだ。
「ごめんなあ、突然なのに」
突然なのはこちらの方だと首を横に振った。俺としては思ってもみない幸運で、今日の疲れなど吹っ飛んでしまった。
「いや、全然。むしろ嬉しいです」
「ほんまに? よかった」
安堵して目を細める彼女。その行動一つに体が熱くなる。
すると彼女はまじまじと俺を見つめては、ぽつりと呟いた。
「似てるんよね」
「……何とです?」
「お姉ちゃんと蔵ノ介くん。よう似てるから気軽に誘ってしまうんかな」
普段姉から伝え聞くように、二人の親交が深いのは知っている。俺の抱える思いを知ってから姉は余計に俺に情報を流しているのだから。
「そない似てます?」
「うん。見た目もそうやけど、やっぱ私と話してるときの感じがそっくりやねん」
運ばれてきたハーブティーを受け取る。彼女はふう、と一つ息を吹きかけてから口に運ぶ。
「あんま好きやない?お姉ちゃんと似てるって言われるの」
姉との近況を思い返すが、嫌悪感を抱くことは無い。むしろ仲がいいと言われる部類なのだろう。
「そういう気持ちはないですね。なんやかんや好きやし……」
そう言うと、彼女は柔らかく微笑んでいた。
「ええやん。姉弟関係良好なの」
「先生は兄弟おるんですか?」
「ん?ああ、お兄ちゃんと妹。お兄ちゃんが同じ大学の院生で、妹が高一やな。もうすぐ高二やから蔵ノ介くんのお姉ちゃんと同い年やわ」
小さくとも増える彼女の情報を忘れないようにと何度か繰り返す。すると彼女は、ああ、と声をあげた。
「私、蔵ノ介くんと同じで真ん中っ子やね」
同じ。相手が何とも思っていないだろうけれど、それでも自分にとってはそれが特別になる。
初めての共通点に心和らいでいると、再び彼女は何かを思い出したように、そうだと声をあげた。
「私のこと先生って呼ばんくてええよ」
じゃあ何と呼べば、と一瞬、口を一文字に結んだ。
「私ってお姉ちゃんの先生やし……まあ、呼びやすいように呼んでくれたらええわ」
それもそうだと理解を示しつつ、改めて彼女を呼んでみる。
「ほな、名前さん……?」
おどおどしながら名を呼ぶと、へらりと笑って小さく手を挙げた。
「はぁい」
ほんの少しだけ垣間見えた素の表情に胸を高鳴らせる。俺は両膝の上に拳をつくり、こう尋ねた。
「なんで誘うてくれたんですか。突然声かけただけやのに、」
彼女はカップから手を離すと、指を交差に組んで机の上に置いた。
「わざわざあないに走ってきてくれたのに、あれでバイバイじゃあ寂しいかなって思って……」
眉を八の字にする彼女に俺は慌てた。誘ってくれたことが嬉しかったのだと伝えなければならない。
「その、俺でええんかなって」
姉から恋人の有無は聞いた。だからこそ、今自分が彼女の中でどの位置にいるかを知りたい。どうせまだまだなんやろうけど、少しでも前進していることを願ってしまう。
「ふふ、そんなん私の台詞やわ。だって蔵ノ介くんの彼女に申し訳ないやろ?」
彼女に申し訳ないやろ?もしかして名前さん、勘違いしとるんやろか?
俯きかけていた顔をあげ、小さく告げた。
「彼女おらへん、のです……」
鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をした彼女。目を泳がせて謝罪を口にする。
「ごめん。勝手におるもんやと思ってたわ」
「おったら今名前さんと二人でおりませんよ」
「それもそうやな」
いつもの優しい顔に戻り、俺は胸を撫で下ろす。そこで気が抜けたせいか、口を滑らせてしまった。
「俺は名前さんとやから二人でおるんです」
「……え?」
時すでに遅し。滑り落ちた言葉は既に彼女に届いている。
「ちゃいます!いや、ちゃうことないんやけど、その、」
一人で顔を赤くして慌てふためいては、上手く言葉が出ないせいで余計に焦りが生じてしまう。そんな俺に助け舟を出したのは他でもない名前さん。
「話しやすい?」
「そ、そんなとこです……」
ようやく明確な言葉を見つけたところで自分の焦燥感は消えた。
「ふふ、ありがとうね」
この時、彼女の頬がほんのりと赤く染まっていたのを俺は見逃さなかった。
翌日、気分良く部活へと向かった。今日はミーティングのみであることを改めて確認して謙也と部室へ。すると、珍しく一番乗りは財前だったようで一人でスマホをいじっていた。
「財前、珍しいな」
「俺より早いとはな!」
隣に座る謙也を適当にあしらった財前は、突然立ち上がると俺の元に近づいてきた。
「部長、彼女おったんすね」
「え?」
彼女?と俺と謙也は顔を見合わせた。財前の言葉を理解できずにいると、財前は俺にスマホの画面を見せた。
「ほら」
見せられた画面には、昨日の俺と名前さんの姿。
「っ、え、あ、ちゃう!それは、ちゃう!」
スマホを持つ財前の腕ごと自身の胸で抱きしめた。顔が熱くなっていくのが嫌でもわかる。
「どないしましょうか」
ニマニマといやらしく笑う財前。
話を聞くとどうやら昨日俺と謙也がコソコソとしていたことが気になり、こっそりと俺の後をついてきていたらしい。
見られてしまったものは仕方がない。俺は黙っておいて欲しいと懇願した後、もう一つ付け加えた。
「……その写真くれへん?」
「さすがちゃっかりしとりますね」
財前は苦笑しながらも写真を送る約束をしてくれた。ちゃんと保存しとこ。
「あ、やば」
「どないしたんや、財前」
「写真、部活のに送ってもうた」
その瞬間、部室内に俺の叫び声が響いたのは言うまでもない。
仲間と帰る道のりを経て見つめる駅はあの雨の日を思い出させる。彼女と初めてまともに話したあの日、あの時、あの瞬間。意識すればするほど、胸が締め付けられる。会えることができるなら会いたい。今ももしかしたら、を考えては期待するだけ無駄だと悲しみが襲う。
周囲に気付かれないように溜息を吐くと肩をポンと叩かれ、そちらを向いた。
「ん、ああ……謙也か、」
「謙也かってなんやねん。えらい元気ないやんか」
さっきまでは元気やったのに、と付け加えてくる友人に俺の目は揺らいだ。
「ちょっと……思い出してもうて」
何をとは言わなかった。周りに気付かれたくない気持ちもあったから。
しかし、その気持ちも隣の男に空しく砕かれる。
「片想い相手の人か?」
「シッ!」
慌てて口元に人差し指を持っていき、言ってはならないと気付かせる。だが謙也は既に他のことに意識がいってしまったようで、再び俺の肩を叩いた。
「なあ、白石」
「なん?」
「あの人、似てへんか?」
謙也が指差す方に目を凝らす。まさかとは思ったが、十メートルほど先を歩いている彼女は明らかに俺の知るあの人。以前謙也に姉から送られてきた彼女の写真を見せていたおかげだろうか。
あかん、これは嘘や。幻覚見えとるかもしれん。
そう思い、何度も瞬きをするが、どう見ても本人。
「嘘ッ!?」
彼女は買い物帰りか、ビニール袋を持っている。
出来ることなら今すぐ駆け寄っていきたい。だが今の俺には部長としての顔があり、背後には帰宅しようとする部員達がいる。練習試合が終わったとはいえ、ここで追いかけるのはどうかと頭を捻る。
謙也は俺のことをじっと見つめると、周りに聞こえないようにこっそりと囁いた。
「練習試合終わったんやから行ったらええ。後は適当に誤魔化しといたる」
思考が一瞬止まり、謙也を見つめた。友人としての力強い眼差しに数秒迷った挙句、俺は謙也に背中を向け、走り出した。
「っ、すまん、おおきに!」
「名前先生っ、」
季節に不釣り合いな汗が背中をつたう。荒んだ呼吸に、思わず膝に手をついた。
「蔵ノ介くん?」
こちらを向き、名を呼んだ彼女は目を丸くさせている。
「そんな急いでどないしたん?」
「なんかあったとかちゃうんですけど……練習試合で来てて帰りに先生の姿見えたから、つい」
追いかけてきてしまいました。口にするとなんと恥ずかしい言葉だろうか。
尻すぼみになる声に対して彼女はくすくすと小さく笑い始める。
「私、えらい懐かれてるんやなあ」
彼女の言葉のせいで顔に熱が集い、きちんと顔が見ることができない。
「すんません、突然」
「ええよ、ええよ。なんかお姉ちゃんとよう似とるなあって思っただけやから」
一頻り笑った彼女は、ふう、と息を吐いて俺の事を見つめ直した。
あの姉と似ているのは俺自身にとって悪くないと捉えていいのだろうか。
嫌われてはいないのだろうと勝手に安心していると、彼女は左手首に巻いた時計を確認して、少し考える素振りを見せた。
「蔵ノ介くん、時間ある?」
彼女の発言に一度瞬きをしてから頷くが、俺はすぐに首を傾げる。
「どうせやったら少し話してから帰らへん?」
どうしてこうなったのか。彼女の誘いを受け、食い気味に頷いたが二人きりということに体が強ばっている。平静を装いながら近くの喫茶店に入り、対面するように席につくと、同じハーブティーを頼んだ。
「ごめんなあ、突然なのに」
突然なのはこちらの方だと首を横に振った。俺としては思ってもみない幸運で、今日の疲れなど吹っ飛んでしまった。
「いや、全然。むしろ嬉しいです」
「ほんまに? よかった」
安堵して目を細める彼女。その行動一つに体が熱くなる。
すると彼女はまじまじと俺を見つめては、ぽつりと呟いた。
「似てるんよね」
「……何とです?」
「お姉ちゃんと蔵ノ介くん。よう似てるから気軽に誘ってしまうんかな」
普段姉から伝え聞くように、二人の親交が深いのは知っている。俺の抱える思いを知ってから姉は余計に俺に情報を流しているのだから。
「そない似てます?」
「うん。見た目もそうやけど、やっぱ私と話してるときの感じがそっくりやねん」
運ばれてきたハーブティーを受け取る。彼女はふう、と一つ息を吹きかけてから口に運ぶ。
「あんま好きやない?お姉ちゃんと似てるって言われるの」
姉との近況を思い返すが、嫌悪感を抱くことは無い。むしろ仲がいいと言われる部類なのだろう。
「そういう気持ちはないですね。なんやかんや好きやし……」
そう言うと、彼女は柔らかく微笑んでいた。
「ええやん。姉弟関係良好なの」
「先生は兄弟おるんですか?」
「ん?ああ、お兄ちゃんと妹。お兄ちゃんが同じ大学の院生で、妹が高一やな。もうすぐ高二やから蔵ノ介くんのお姉ちゃんと同い年やわ」
小さくとも増える彼女の情報を忘れないようにと何度か繰り返す。すると彼女は、ああ、と声をあげた。
「私、蔵ノ介くんと同じで真ん中っ子やね」
同じ。相手が何とも思っていないだろうけれど、それでも自分にとってはそれが特別になる。
初めての共通点に心和らいでいると、再び彼女は何かを思い出したように、そうだと声をあげた。
「私のこと先生って呼ばんくてええよ」
じゃあ何と呼べば、と一瞬、口を一文字に結んだ。
「私ってお姉ちゃんの先生やし……まあ、呼びやすいように呼んでくれたらええわ」
それもそうだと理解を示しつつ、改めて彼女を呼んでみる。
「ほな、名前さん……?」
おどおどしながら名を呼ぶと、へらりと笑って小さく手を挙げた。
「はぁい」
ほんの少しだけ垣間見えた素の表情に胸を高鳴らせる。俺は両膝の上に拳をつくり、こう尋ねた。
「なんで誘うてくれたんですか。突然声かけただけやのに、」
彼女はカップから手を離すと、指を交差に組んで机の上に置いた。
「わざわざあないに走ってきてくれたのに、あれでバイバイじゃあ寂しいかなって思って……」
眉を八の字にする彼女に俺は慌てた。誘ってくれたことが嬉しかったのだと伝えなければならない。
「その、俺でええんかなって」
姉から恋人の有無は聞いた。だからこそ、今自分が彼女の中でどの位置にいるかを知りたい。どうせまだまだなんやろうけど、少しでも前進していることを願ってしまう。
「ふふ、そんなん私の台詞やわ。だって蔵ノ介くんの彼女に申し訳ないやろ?」
彼女に申し訳ないやろ?もしかして名前さん、勘違いしとるんやろか?
俯きかけていた顔をあげ、小さく告げた。
「彼女おらへん、のです……」
鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をした彼女。目を泳がせて謝罪を口にする。
「ごめん。勝手におるもんやと思ってたわ」
「おったら今名前さんと二人でおりませんよ」
「それもそうやな」
いつもの優しい顔に戻り、俺は胸を撫で下ろす。そこで気が抜けたせいか、口を滑らせてしまった。
「俺は名前さんとやから二人でおるんです」
「……え?」
時すでに遅し。滑り落ちた言葉は既に彼女に届いている。
「ちゃいます!いや、ちゃうことないんやけど、その、」
一人で顔を赤くして慌てふためいては、上手く言葉が出ないせいで余計に焦りが生じてしまう。そんな俺に助け舟を出したのは他でもない名前さん。
「話しやすい?」
「そ、そんなとこです……」
ようやく明確な言葉を見つけたところで自分の焦燥感は消えた。
「ふふ、ありがとうね」
この時、彼女の頬がほんのりと赤く染まっていたのを俺は見逃さなかった。
翌日、気分良く部活へと向かった。今日はミーティングのみであることを改めて確認して謙也と部室へ。すると、珍しく一番乗りは財前だったようで一人でスマホをいじっていた。
「財前、珍しいな」
「俺より早いとはな!」
隣に座る謙也を適当にあしらった財前は、突然立ち上がると俺の元に近づいてきた。
「部長、彼女おったんすね」
「え?」
彼女?と俺と謙也は顔を見合わせた。財前の言葉を理解できずにいると、財前は俺にスマホの画面を見せた。
「ほら」
見せられた画面には、昨日の俺と名前さんの姿。
「っ、え、あ、ちゃう!それは、ちゃう!」
スマホを持つ財前の腕ごと自身の胸で抱きしめた。顔が熱くなっていくのが嫌でもわかる。
「どないしましょうか」
ニマニマといやらしく笑う財前。
話を聞くとどうやら昨日俺と謙也がコソコソとしていたことが気になり、こっそりと俺の後をついてきていたらしい。
見られてしまったものは仕方がない。俺は黙っておいて欲しいと懇願した後、もう一つ付け加えた。
「……その写真くれへん?」
「さすがちゃっかりしとりますね」
財前は苦笑しながらも写真を送る約束をしてくれた。ちゃんと保存しとこ。
「あ、やば」
「どないしたんや、財前」
「写真、部活のに送ってもうた」
その瞬間、部室内に俺の叫び声が響いたのは言うまでもない。