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「はあ……」
やっと放課後になった。有難いことに今日は何も無い。早く帰って自分の機嫌でも取ろう。私は荒々しく席を立ち、鞄を手に持つと他の生徒と同じように廊下へ出た。
私は今日、五本の指に入るほどイライラしていた。模試の結果が返ってきて変わらず勉強していたのに順位は落ち、それを先生にたるんでるんじゃないかと指摘された。四天宝寺の先生達は殆どそんな風に勉強への態度を責めることはないのだけれど、その先生だけは赴任してきたばかりなせいか、勉強への指導が一際厳しかった。先生たるものそれが当たり前なのだろうけれど、風土の違う四天宝寺で育った私には最悪の言葉だった。今まで右肩上がりの成績だったせいか、チクチクと針で刺すような言葉は神経を逆撫でするには十分過ぎた。
それだけならまだ良かった。今度はその先生の授業で予習の範囲を間違えてしまった。今度は鼻で笑われ、これだから順位が下がるんじゃないか、なんて言われて開いていた教科書のページをくしゃくしゃにした。
どうしてこんな奴が教師になれたんだ。こんな奴早く他の学校に飛ばされればいいのに。
血管が切れそうなほど怒りが頂点に達していた。普段から勉強していて自分の勉強不足だとは思ってない。でも、それでも足りてないと言われているのが、先生にも、自分にも腹が立ったのだ。悔しかった。高校は府内でも有名な進学校を目指しているからこそ、苛立ちが抑えきれなかった。
それだけなら私と先生の問題だけで済んだ。でも、私は最悪なことに友達に八つ当たりをしてしまったのだ。友達は優しいから「私より全然上やん! 気にすることないって」と励ましてくれたのだが、私は最低なことに「私はあかんねん。このままやと高校でやっていけへん」と冷たく突き放した。すると、友達はそっか、と言い、そのまま去ってしまった。私は口にしてから悪かったと反省したけれど、時すでに遅し。友達は肩を落として席に戻っていた。
最悪だ。自分の存在が憎い。今日の占いは最下位に間違いない。でも、こういうときだけ占いを信じる自分も嫌いだ。
「名字」
背後から私を呼ぶ声がする。聞き馴染んだ、優しい爽やかな声。いつもなら私の心にスっと入り込んで抱き締めてくれるような穏健な性質を持っていたが、今の私にとっては逆効果であった。
私は気だるそうに声の方を振り返る。他の生徒は帰り支度を済ませて帰っているのに、彼だけは立ち止まってこちらに小さく手を振っている。
私はそれを見て、またチリ、と痛みが走った。笑顔なんて作れない。泣き出しそうになるのを堪え、何とか顔を合わせるので精一杯だった。
「なん?」
「なん?って……今日一緒帰ろ言うてたやん」
私を呼び止めたのは白石だった。付き合って半年ほど。三年に上がってから付き合うようになった。お互い夏までは忙しく、部活が落ち着いてからやうやく交際している実感が湧いていた。
そんな白石はきょとん、と目を丸くさせ、私の態度を不思議がった。テニス部はまだ後輩達の面倒を見るという名目でまだ部活に顔を出している。だから部活が休みである今日は滅多にない放課後デートだったはずなのだけれど。
私は一緒に帰る約束と友達に八つ当たりしたことを同時に思い返した。このままやったら白石のことも傷つける。瞬時に判断して、私は精一杯誤魔化そうと画策した。
「あー……ごめん、今日一人で帰りたい」
深く息を吐いて、平静を保とうと励む。せめて理由は聞かずに、さよか、とだけ言って去って欲しい。でも、白石がそんな男ではないことを私はよく知っている。
白石は眉を八の字にさせると、口角を下げた。そして、鞄の取ってを強く握った。
「……なんかあったんか?」
「別に大したことないねんけど、気分的に」
そう言うしか出来なかった。目線を白石から廊下の窓に移動させる。
理由なんて話したら白石のような聖人には理解出来ないだろう。そんなこと誰にでもあるわ、なんて言われたら私は彼の首根っこを掴んでキレ散らかしてしまいそうだ。
「俺にも話せへん?」
恐らく白石は複雑そうに顔を歪めているんだろう。端正な顔立ちをしているから歪ませても綺麗なことに変わりは無い。
白石はこう言いたいんだろう。恋人だから。全て話して欲しい。
でも、私は恋人だから、白石だから話したくなかった。ドロドロとした黒い部分を見せたくなかった。
「……白石にやから話せへん」
萎んでいく声。これ以上は零れてしまいそう。お願いだから、少しだけでいいから理解を示して欲しい。理由は今日じゃなくてもいいでしょう。明日伝えることだって出来るから。
私は無言を突き通した。
「俺ら付き合うてんのに、あかんの」
ああ、ほら出た。やっぱりそうだ。予想通り過ぎて余計イライラする。
「付き合うてても全部知らなあかん決まりなんてないやろ」
思わず少しだけ溢れてしまった。もう限界だ。私はその場から逃げようとした瞬間、手首を掴まれた。
「俺は名字の傍におって、悩みとか不安とか出来るだけ拭ってやりたい思うてるだけで、」
それ以上は言わないで。言ったら私は。
「それが今は迷惑やねん。分からんかな。分からんよな、白石には」
ああ。もう限界だ。我慢してしたものが全て溢れた。
早口で捲し立てた後、私ははっとして目を見開いては白石を見た。呆然とする白石の手を振り払ってその場から逃げ出した。
「名字!」
逃げるように通学路を駆け抜け、住宅街へと入り込んだ。あんな態度を取れば白石も追いかけてこないだろう。
秋なのに暑くて、かいた汗が背中をつたって気持ち悪い。髪の毛も項に張り付いて嫌だ。
「最悪……」
住宅街の道の中でしゃがみこめば、夕焼けが体に刺さる。まるで私を責めているみたいで、またもや気分が悪くなり吐き気を催した。最悪だ。今日は厄日だ。絶対にそうだ。
ふらり、ふらりとやっとの思いで体を起こす。明日謝ろう。白石にも、友達にも。今日は無理だから明日。明日お願いします。
そう願って帰路に戻ると、また数分前まで聞いていた声がした。
「名字!」
振り返ると息を切らした白石がそこに立っていた。どうして、とじわり。涙が込み上げる。
「……白石、」
聞こえるか聞こえないかの瀬戸際。彼に届いたかどうかなんて知らないけれど、白石は私の元へ来ると黙ったまま右手を握った。手のひらを揉むようにゆっくりと握った。
「何で追いかけて来たん。今日一緒に帰れへん言うたよな」
俯いたまま尋ねた。語気は強いのに、態度は弱々しい。
すると、白石は声を固くして言った。
「心配やねん。彼氏なんやから当たり前やろ」
出た、彼氏やから。じゃあ何なら良いのか。それは分からない。冷静でない頭では何が何だか正解は導けない。
「それが邪魔や言うてんの」
「っ、邪魔でもええ。俺は、自分が何と言おうと追いかける。どこへだって行ったる。中途半端な気持ちでお前と付き合ったりしてへん」
アスファルトに雫がはたはたと落ちそうになる。
白石の顔を見ずに対峙するローファーとスニーカーを見た。一歩、二歩と近づくスニーカー。あ、と何が起こるか脳が判断したときには彼の腕の中にいた。
「言われへんくてもええ。ただ、こうする権利だけは俺に貰えへんやろか」
「……」
震える声が懇願する。
どうして。どうしてそんなに私なんかを想ってくれるんだろう。私の何が、どこが、そんなに。優しくて、苦しくて、吐きそうになる。
「……なんで、そないに優しいん。突き放して、頼ったりせえへん人間やで。愛想尽かして普通やろ」
私は抱き締められたまま、自分の思う一般論を振りかざした。白石は一体何と答えるんだろう。でも、この腕を離された時、私はいよいよ立ち直れなくなるかもしれない。恐れを抱いた瞬間だった。白石の腕が強まった。
「それやったら俺は普通やなくてええ。名字が好きで仕方ないから傍におって、少しでも嫌な事減らしてやりたい思てる」
ずるい。ずるい、ずるい、ずるい。
がくん、と体から力が抜けそうになった。それほどに私は今、彼の言葉に、この腕に、安心感を覚えてしまっている。話を聞いてもらった訳でもない。味方をしてもらったわけでもない。ただ、抱き締めて体温を分け与えてもらっただけなのに、それが嫌な程私の心を、尖った心を溶かして丸くしてしまう。
「あほやな……」
私は鼻をすすった。なんだか全てに対して呆れてしまった。白石がアホなほど私のことが好きで、私も私で白石のことをアホなぐらい好きらしい。今はそれが分かっただけで十分だと思った。
「名字に関してはそうかもしれへん」
耳元でくつくつと笑う白石は嬉しそうだ。私もそれにつられてくすりと笑った。
「趣味悪」
「趣味悪い男選んだん、自分やで」
「それもそうや」
白石は私を離すと、頬を拭った。気付かないうちに涙を流していたらしい。
泣いていたのを知られてしまったけれど、彼相手なら悪くないかなと思ってしまった。私も私だな、と肩を一度上下に動かして口角を上げた。
すると、白石は、あ、と声を漏らすと、私に尋ねた。
「それで何があったんかは……」
「教えへん」
「えっ、」
「もう忘れてもうた」
下手くそに笑って見せた。白石は驚いた顔からすぐに優しい顔になって笑っていた。そして私の手を攫って強く握った。
やっと放課後になった。有難いことに今日は何も無い。早く帰って自分の機嫌でも取ろう。私は荒々しく席を立ち、鞄を手に持つと他の生徒と同じように廊下へ出た。
私は今日、五本の指に入るほどイライラしていた。模試の結果が返ってきて変わらず勉強していたのに順位は落ち、それを先生にたるんでるんじゃないかと指摘された。四天宝寺の先生達は殆どそんな風に勉強への態度を責めることはないのだけれど、その先生だけは赴任してきたばかりなせいか、勉強への指導が一際厳しかった。先生たるものそれが当たり前なのだろうけれど、風土の違う四天宝寺で育った私には最悪の言葉だった。今まで右肩上がりの成績だったせいか、チクチクと針で刺すような言葉は神経を逆撫でするには十分過ぎた。
それだけならまだ良かった。今度はその先生の授業で予習の範囲を間違えてしまった。今度は鼻で笑われ、これだから順位が下がるんじゃないか、なんて言われて開いていた教科書のページをくしゃくしゃにした。
どうしてこんな奴が教師になれたんだ。こんな奴早く他の学校に飛ばされればいいのに。
血管が切れそうなほど怒りが頂点に達していた。普段から勉強していて自分の勉強不足だとは思ってない。でも、それでも足りてないと言われているのが、先生にも、自分にも腹が立ったのだ。悔しかった。高校は府内でも有名な進学校を目指しているからこそ、苛立ちが抑えきれなかった。
それだけなら私と先生の問題だけで済んだ。でも、私は最悪なことに友達に八つ当たりをしてしまったのだ。友達は優しいから「私より全然上やん! 気にすることないって」と励ましてくれたのだが、私は最低なことに「私はあかんねん。このままやと高校でやっていけへん」と冷たく突き放した。すると、友達はそっか、と言い、そのまま去ってしまった。私は口にしてから悪かったと反省したけれど、時すでに遅し。友達は肩を落として席に戻っていた。
最悪だ。自分の存在が憎い。今日の占いは最下位に間違いない。でも、こういうときだけ占いを信じる自分も嫌いだ。
「名字」
背後から私を呼ぶ声がする。聞き馴染んだ、優しい爽やかな声。いつもなら私の心にスっと入り込んで抱き締めてくれるような穏健な性質を持っていたが、今の私にとっては逆効果であった。
私は気だるそうに声の方を振り返る。他の生徒は帰り支度を済ませて帰っているのに、彼だけは立ち止まってこちらに小さく手を振っている。
私はそれを見て、またチリ、と痛みが走った。笑顔なんて作れない。泣き出しそうになるのを堪え、何とか顔を合わせるので精一杯だった。
「なん?」
「なん?って……今日一緒帰ろ言うてたやん」
私を呼び止めたのは白石だった。付き合って半年ほど。三年に上がってから付き合うようになった。お互い夏までは忙しく、部活が落ち着いてからやうやく交際している実感が湧いていた。
そんな白石はきょとん、と目を丸くさせ、私の態度を不思議がった。テニス部はまだ後輩達の面倒を見るという名目でまだ部活に顔を出している。だから部活が休みである今日は滅多にない放課後デートだったはずなのだけれど。
私は一緒に帰る約束と友達に八つ当たりしたことを同時に思い返した。このままやったら白石のことも傷つける。瞬時に判断して、私は精一杯誤魔化そうと画策した。
「あー……ごめん、今日一人で帰りたい」
深く息を吐いて、平静を保とうと励む。せめて理由は聞かずに、さよか、とだけ言って去って欲しい。でも、白石がそんな男ではないことを私はよく知っている。
白石は眉を八の字にさせると、口角を下げた。そして、鞄の取ってを強く握った。
「……なんかあったんか?」
「別に大したことないねんけど、気分的に」
そう言うしか出来なかった。目線を白石から廊下の窓に移動させる。
理由なんて話したら白石のような聖人には理解出来ないだろう。そんなこと誰にでもあるわ、なんて言われたら私は彼の首根っこを掴んでキレ散らかしてしまいそうだ。
「俺にも話せへん?」
恐らく白石は複雑そうに顔を歪めているんだろう。端正な顔立ちをしているから歪ませても綺麗なことに変わりは無い。
白石はこう言いたいんだろう。恋人だから。全て話して欲しい。
でも、私は恋人だから、白石だから話したくなかった。ドロドロとした黒い部分を見せたくなかった。
「……白石にやから話せへん」
萎んでいく声。これ以上は零れてしまいそう。お願いだから、少しだけでいいから理解を示して欲しい。理由は今日じゃなくてもいいでしょう。明日伝えることだって出来るから。
私は無言を突き通した。
「俺ら付き合うてんのに、あかんの」
ああ、ほら出た。やっぱりそうだ。予想通り過ぎて余計イライラする。
「付き合うてても全部知らなあかん決まりなんてないやろ」
思わず少しだけ溢れてしまった。もう限界だ。私はその場から逃げようとした瞬間、手首を掴まれた。
「俺は名字の傍におって、悩みとか不安とか出来るだけ拭ってやりたい思うてるだけで、」
それ以上は言わないで。言ったら私は。
「それが今は迷惑やねん。分からんかな。分からんよな、白石には」
ああ。もう限界だ。我慢してしたものが全て溢れた。
早口で捲し立てた後、私ははっとして目を見開いては白石を見た。呆然とする白石の手を振り払ってその場から逃げ出した。
「名字!」
逃げるように通学路を駆け抜け、住宅街へと入り込んだ。あんな態度を取れば白石も追いかけてこないだろう。
秋なのに暑くて、かいた汗が背中をつたって気持ち悪い。髪の毛も項に張り付いて嫌だ。
「最悪……」
住宅街の道の中でしゃがみこめば、夕焼けが体に刺さる。まるで私を責めているみたいで、またもや気分が悪くなり吐き気を催した。最悪だ。今日は厄日だ。絶対にそうだ。
ふらり、ふらりとやっとの思いで体を起こす。明日謝ろう。白石にも、友達にも。今日は無理だから明日。明日お願いします。
そう願って帰路に戻ると、また数分前まで聞いていた声がした。
「名字!」
振り返ると息を切らした白石がそこに立っていた。どうして、とじわり。涙が込み上げる。
「……白石、」
聞こえるか聞こえないかの瀬戸際。彼に届いたかどうかなんて知らないけれど、白石は私の元へ来ると黙ったまま右手を握った。手のひらを揉むようにゆっくりと握った。
「何で追いかけて来たん。今日一緒に帰れへん言うたよな」
俯いたまま尋ねた。語気は強いのに、態度は弱々しい。
すると、白石は声を固くして言った。
「心配やねん。彼氏なんやから当たり前やろ」
出た、彼氏やから。じゃあ何なら良いのか。それは分からない。冷静でない頭では何が何だか正解は導けない。
「それが邪魔や言うてんの」
「っ、邪魔でもええ。俺は、自分が何と言おうと追いかける。どこへだって行ったる。中途半端な気持ちでお前と付き合ったりしてへん」
アスファルトに雫がはたはたと落ちそうになる。
白石の顔を見ずに対峙するローファーとスニーカーを見た。一歩、二歩と近づくスニーカー。あ、と何が起こるか脳が判断したときには彼の腕の中にいた。
「言われへんくてもええ。ただ、こうする権利だけは俺に貰えへんやろか」
「……」
震える声が懇願する。
どうして。どうしてそんなに私なんかを想ってくれるんだろう。私の何が、どこが、そんなに。優しくて、苦しくて、吐きそうになる。
「……なんで、そないに優しいん。突き放して、頼ったりせえへん人間やで。愛想尽かして普通やろ」
私は抱き締められたまま、自分の思う一般論を振りかざした。白石は一体何と答えるんだろう。でも、この腕を離された時、私はいよいよ立ち直れなくなるかもしれない。恐れを抱いた瞬間だった。白石の腕が強まった。
「それやったら俺は普通やなくてええ。名字が好きで仕方ないから傍におって、少しでも嫌な事減らしてやりたい思てる」
ずるい。ずるい、ずるい、ずるい。
がくん、と体から力が抜けそうになった。それほどに私は今、彼の言葉に、この腕に、安心感を覚えてしまっている。話を聞いてもらった訳でもない。味方をしてもらったわけでもない。ただ、抱き締めて体温を分け与えてもらっただけなのに、それが嫌な程私の心を、尖った心を溶かして丸くしてしまう。
「あほやな……」
私は鼻をすすった。なんだか全てに対して呆れてしまった。白石がアホなほど私のことが好きで、私も私で白石のことをアホなぐらい好きらしい。今はそれが分かっただけで十分だと思った。
「名字に関してはそうかもしれへん」
耳元でくつくつと笑う白石は嬉しそうだ。私もそれにつられてくすりと笑った。
「趣味悪」
「趣味悪い男選んだん、自分やで」
「それもそうや」
白石は私を離すと、頬を拭った。気付かないうちに涙を流していたらしい。
泣いていたのを知られてしまったけれど、彼相手なら悪くないかなと思ってしまった。私も私だな、と肩を一度上下に動かして口角を上げた。
すると、白石は、あ、と声を漏らすと、私に尋ねた。
「それで何があったんかは……」
「教えへん」
「えっ、」
「もう忘れてもうた」
下手くそに笑って見せた。白石は驚いた顔からすぐに優しい顔になって笑っていた。そして私の手を攫って強く握った。