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「不二の手ってさあ、結構大きいね」
休み時間、ふと隣の席の不二に声をかけた。成長期だからとは言え、まだ差が出にくいだろう時期。確かに男女差があるといえばそうなのだけれど、と思いながら私は自分の手を見ていた。すると、不二も同じようにまじまじと手の甲や手のひらを眺めると、こちらを向いた。
「そうかな?」
「うん。私より全然大きい」
ほら、なんて無邪気に不二の前に広げてみせる。女子の中でも比較的小さい方に入る私は当たり前に不二より小さいわけで、男子の不二に最初から勝てるわけがない。
すると、不二の手がするりと私の手に擦り寄ってきた。
「比べてみよっか」
「え?」
互いの体温を分け与えるように手のひらを擦りあっては、硬い表面が柔い表面を攻める。引こうとすれば追いかけられ、ついには指の股に不二の指が入ってくる。交互に編み込まれた指が上下運動をして、実態を確かめる。なんだかいけないことをしているようで、私は唖然とした。
「ふふ、小さいね」
満足そうな不二に対し、私は徐々に熱を帯び始めた。体全体が熱く、次は何をされるのだろうかと心臓がバクバクと煩い。それなのに不二はニコニコといつも通りの笑みを浮かべていて、その余裕が狡いと感じてしまう。
「ね、ねえ……やめない? なんか恥ずかしくなってきた」
「なんで? ボクは楽しくて仕方がないけど」
密かに隠れてやるならまだしも、休み時間に教室の中で堂々とするのはいたたまれない。誰がどう見ているのか分からないのに、その胆力はどこから作られるのだろう。
私は熱い頬を知らぬふりして、手を繋いだまま不二に告げた。
「不二って意地悪だよね」
「褒め言葉として受け取っておくね」
ああ言えばこう言う。さらりと躱せるのが羨ましい。私が手を替え品を替え、嫌味事を言ったとしても無駄なんだろう。
私は無理矢理手を剥がすように不二と手を離した。
「も、もう終わり!」
「残念」
不二はクス、とお淑やかに笑った。先程までの行動とは差がありすぎて頭痛がしそうだ。やはり不二周助は読めない。私は次の授業の準備に意識を向けた。
休み時間、ふと隣の席の不二に声をかけた。成長期だからとは言え、まだ差が出にくいだろう時期。確かに男女差があるといえばそうなのだけれど、と思いながら私は自分の手を見ていた。すると、不二も同じようにまじまじと手の甲や手のひらを眺めると、こちらを向いた。
「そうかな?」
「うん。私より全然大きい」
ほら、なんて無邪気に不二の前に広げてみせる。女子の中でも比較的小さい方に入る私は当たり前に不二より小さいわけで、男子の不二に最初から勝てるわけがない。
すると、不二の手がするりと私の手に擦り寄ってきた。
「比べてみよっか」
「え?」
互いの体温を分け与えるように手のひらを擦りあっては、硬い表面が柔い表面を攻める。引こうとすれば追いかけられ、ついには指の股に不二の指が入ってくる。交互に編み込まれた指が上下運動をして、実態を確かめる。なんだかいけないことをしているようで、私は唖然とした。
「ふふ、小さいね」
満足そうな不二に対し、私は徐々に熱を帯び始めた。体全体が熱く、次は何をされるのだろうかと心臓がバクバクと煩い。それなのに不二はニコニコといつも通りの笑みを浮かべていて、その余裕が狡いと感じてしまう。
「ね、ねえ……やめない? なんか恥ずかしくなってきた」
「なんで? ボクは楽しくて仕方がないけど」
密かに隠れてやるならまだしも、休み時間に教室の中で堂々とするのはいたたまれない。誰がどう見ているのか分からないのに、その胆力はどこから作られるのだろう。
私は熱い頬を知らぬふりして、手を繋いだまま不二に告げた。
「不二って意地悪だよね」
「褒め言葉として受け取っておくね」
ああ言えばこう言う。さらりと躱せるのが羨ましい。私が手を替え品を替え、嫌味事を言ったとしても無駄なんだろう。
私は無理矢理手を剥がすように不二と手を離した。
「も、もう終わり!」
「残念」
不二はクス、とお淑やかに笑った。先程までの行動とは差がありすぎて頭痛がしそうだ。やはり不二周助は読めない。私は次の授業の準備に意識を向けた。