wondere one year ago
俺は落ちていた懐中電灯を拾い上げて美樹の方をむく
「大丈夫か?」
「うん・・・」
美樹は両腕で肩を抱きながら小さくうなずく
「今・・・あいつらに連絡取るから」
「美樹!」
電話をかけようとした瞬間後ろから村上の声がした
俺は振り返り懐中電灯を照らすと二人が立っていた・・・
「こっちの方探しにきたら・・・あいつらに会って・・・ 美樹とすばるはって聞いたら・・・ここやって教えてくれたから・・・・」
「そうか・・・」
「は?」
「ヒナ!」
美樹の声に村上が目を向けて・・・・慌てたように叫ぶ
「お前・・・うあっ!ちょー待って」
村上は美樹に駆け寄ると自分のジャージを脱いで美樹の肩にかけた
「大丈夫か?」
「うん・・・ 大丈夫や・・・渋谷先輩が・・・助けてくれたから・・・」
その声にうなずくと村上はゆっくりと俺のほうにやってきた
「ありがとうな・・・」
「礼言ってもらうようなことはしてへん・・・」
「まあな・・・元はといえばお前がバスケ部にあいつら引き連れてきたからやもんなー」
村上はそう言って一瞬真顔になるといきなり俺の頬に拳を入れた
突然で俺は後ろの木に体を打ちつけた
「ヒナ!」
「村上!」
横山と美樹の声が響く
村上は大きく肩で息すると俺の腕を引っ張り立たせた
「ごめん・・・」
「な・・・なんやねん! 殴ったり謝ったり!」
俺は殴られた右の頬に手を当てて怒鳴った
「いや・・・お前が美樹のこと助けてくれたんは感謝してるねんけど・・・お前のせいでこいつが怖い思いしたんやと思うと・・・その・・・ 怒りの捌け口がやな・・・他になくって・・・」
おれは美樹の顔をチラッと見る・・・ もしかして村上こいつのこと・・・?
「あぁぁぁぁどうしよう・・・手出してしもうたー 俺出場停止か?」
いきなり村上がでかい声で叫ぶので驚いて顔を見る
と、横山も煽るように叫んだ
「えぇぇぇ? おまえおれへんかったら・・・先輩も困るでーーー」
「どうしよう???」
大袈裟な声を出してわざと俺を見る
俺はため息をついた
「もうええって! 俺も悪かったんやから・・・ちょー消しにしたる」
「よかったーーー」
「さすが渋谷さん・・・心が広いわ!!」
そう言って笑うこいつらの顔見てたらなんか急に胸が痛くなってきた・・・
こいつらは一人ぼっちで寂しい思いなんかしたことないんやろうな?
俺とは全然違う道を歩いてきて・・・
俺はどこで間違ってしまったんやろ?
もう・・・やり直されへんのんかな・・・
「じゃあな・・・」
俺はあいつらに背を向ける
「すばる!」
ふと名前を呼ばれて振り向くと村上が笑ってた
「俺ら明日で合宿終わりやねん」
「・・・・・・・・・・」
「でも、又、近々会おうな?」
「もう、会うこともないやろ・・・」
「いや・・・俺らバスケ教えたるから」
横山がそんなアホなことを言う
「だから! 俺はスポーツ興味ないねん!」
「いやいや・・・けっこうはまるねん・・・去年やったな・・・一人生意気な後輩がおってな・・・なんか、すばると感じが似た奴で・・・ 俺がバスケ教えたったら今じゃすっかり『横山君横山君』って慕ってくれるようになってなー」
「なんや・・・それ亮のことか? 別に慕ってるようには見えへんけどな・・・」
村上が小さく突っ込む
「うっさいわ! まあ、とにかく 頭ん中、イライラしてきたら体動かすのが一番やで・・・ 」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「一人でおったらあかん・・・ 悪いことばっか考えてまう・・・そっちから連絡してけえへんのやったらこっちからするわ」
「連絡って・・・俺の居場所なんか知らんやろ?」
そういうと横山はニヤッと笑って携帯を指差した
「これに、すばるの電話番号入ってるもん」
あぁ・・・そうやった・・・さっき交換したんやった・・・
「なんでやねん・・・」
俺はなんかいたたまれなくなってあいつらに向かって叫ぶ
「なんで・・・そんなに俺なんかのことかまうんや?」
「・・・・・・・・・・」
「俺が金持ってるからか? 俺とおるといい思いできるからか?」
「ナニアホな事言ってるねん・・」
村上が俺の顔見てつぶやく
「お前とおってもいいことなんか全然ないやろ?」
「ホンマや・・・ムチャムチャボコられるし・・・ 痛いだけやんケ!」
「それやったら・・・なんで???」
「お前さっき助けてくれたやろ?」
「え・・・・・・?」
「俺たちが探しに行こうとしたとき・・・ 俺らがこの前殴られっぱなしやったこと思い出して・・・俺が探しに行くって・・・助けてくれたやないか・・・」
村上の言葉に俺は首を振った
「それは・・・・そんなん・・・」
そんな俺見て横山が言葉を継いだ
「それだけやない・・・俺らお前の歌聞いて頑張ろうって思えたんや・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「去年の学園祭や・・・」
「・・・・・・・・」
「俺らあの日試合やったんや・・・ 1年生やったけど頑張って出してもらえて・・・夏はいいとこまで行ってちょっと浮かれてたとこもあったんやろうな・・・その日なんや思いもよらん負けかたして・・・ 凹んで学校帰ってきたら、学園祭で・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「いつも俺達が練習やってる体育館では・・・お前が歌ってた・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「俺と村上と体育館の一番後ろに立ちながらボーーーっと聞いてたんや・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そこで初めて聞いたお前の歌・・・ それがなんか胸に痛くてなーーー」
「ちょっと二人で凹んでたからな・・・もう、バスケやめようかなんて思ったりして・・・でもなんやお前の歌聞いてたら勇気づけられるっていうか・・・頑張ろう思えて来てな・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「又今年も学祭で聞けるかなって思っててんけどな・・・ 去年の冬・・イロイロな噂耳にして・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「でも、俺らも部活の方忙しかったから、そんなんなんも知れへんかってんや・・・ここで会って、学校休んでるって聞いたときにはホンマにびっくりしてんで」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「なんかヤバそうやったやろ・・・自分・・・」
「ヤバそう?」
「うん・・・学園祭の後、学校でよう見かけたけど、なんや輝いて見えた・・・ちょっと手の届かない存在みたいに・・・いつも前向きで・・・まぶしかったわ・・・」
「・・・・・・・・」
「カッコいいなーって思ってたんや・・・そやけど、合宿に来てすぐあいつらとつるんでる自分見て・・・・なんや胸が痛くなったんや・・・こんなところでくすぶってる人ちゃうやろ! あんなすごい歌歌えたのに・・・って・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「合宿中にいつか声かけたろって思ってたんや・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「又、歌聞かせてや・・・」
歌・・・・・歌か・・・・ 今の俺にはこいつらに聞かせる歌なんてなんもない・・・・
「もう、俺は終わったんや・・・ 」
「すばる?」
俺は拳を握り締めて叫ぶ
「何もかも終わったんや! こんなぬけがらの俺・・・かまわんといてくれ・・・一人にしといてくれ!」
「ふざけんな!」
ふと俺よりもでかい声にさえぎられゆっくりと顔を上げる
「何が終わってんねん! アホか!」
村上は大またで歩いてきて俺の手を握る
「あったかいやろ! この手も・・・ちゃんと息もしてるし・・・ 俺らと同じで生きてるやろ!」
「は・・・離せ!」
俺はその手を振り払おうとしたけど、思った以上に手の力が強くて・・・
村上はさらに手に力を入れて言い放った
「もう決めた! そんなお前ほっとかれへん! お前の心が熱くなるまで俺らがそばにおる!」
「・・・・・・・・・・・・え?」
「そばにおったるから、もうそんなしょうもないこと言うな!」
なんでこいつらは・・・・ なんでこんな俺に・・・・
俺の手から村上の体温が伝わって・・・心の奥底に凍っていた何かに注がれるような気がして・・・・・・
少し・・・・ほんの少しやけど・・・・
俺の中の何かが動いた気がした・・・・
村上はゆっくりと手を離す。その横に横山も来てニヤッと笑った
「大阪帰ったらすぐ連絡するわ! 歌われへんのやったらバスケ教えたるって」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「じゃあ、またなー」
そう言って、村上は、横にいた美樹の肩を引き寄せて軽く手を振った
横山も大袈裟にバイバイを繰り返しながら・・・ 行ってしまった・・・・
人の話を聞け!!!
ナニがバスケやねん!俺はぜったいやれへん言うてるやろ!
どうせ、どうせ・・・口だけやろ? 俺に連絡するなんていうのも・・・
どうせ・・・・
そう思いながらさっき村上に握られた腕に目を落とす・・・
力の加減を知れあほ!
形ついてしまってるやろ!! 俺細いんやから・・・絶対アザになるわ!
どうせ・・・俺のことなんか・・・・
そばにおったるから、もうそんなしょうもないこと言うな!
さっきの村上の声が耳に響いてきた・・・
何やねんこれは!
アホちゃうか俺・・・・
なんで・・・涙が出てくるねん・・・・
初めて知った
涙って暖かかってんな・・・・
-Fin-
「大丈夫か?」
「うん・・・」
美樹は両腕で肩を抱きながら小さくうなずく
「今・・・あいつらに連絡取るから」
「美樹!」
電話をかけようとした瞬間後ろから村上の声がした
俺は振り返り懐中電灯を照らすと二人が立っていた・・・
「こっちの方探しにきたら・・・あいつらに会って・・・ 美樹とすばるはって聞いたら・・・ここやって教えてくれたから・・・・」
「そうか・・・」
「は?」
「ヒナ!」
美樹の声に村上が目を向けて・・・・慌てたように叫ぶ
「お前・・・うあっ!ちょー待って」
村上は美樹に駆け寄ると自分のジャージを脱いで美樹の肩にかけた
「大丈夫か?」
「うん・・・ 大丈夫や・・・渋谷先輩が・・・助けてくれたから・・・」
その声にうなずくと村上はゆっくりと俺のほうにやってきた
「ありがとうな・・・」
「礼言ってもらうようなことはしてへん・・・」
「まあな・・・元はといえばお前がバスケ部にあいつら引き連れてきたからやもんなー」
村上はそう言って一瞬真顔になるといきなり俺の頬に拳を入れた
突然で俺は後ろの木に体を打ちつけた
「ヒナ!」
「村上!」
横山と美樹の声が響く
村上は大きく肩で息すると俺の腕を引っ張り立たせた
「ごめん・・・」
「な・・・なんやねん! 殴ったり謝ったり!」
俺は殴られた右の頬に手を当てて怒鳴った
「いや・・・お前が美樹のこと助けてくれたんは感謝してるねんけど・・・お前のせいでこいつが怖い思いしたんやと思うと・・・その・・・ 怒りの捌け口がやな・・・他になくって・・・」
おれは美樹の顔をチラッと見る・・・ もしかして村上こいつのこと・・・?
「あぁぁぁぁどうしよう・・・手出してしもうたー 俺出場停止か?」
いきなり村上がでかい声で叫ぶので驚いて顔を見る
と、横山も煽るように叫んだ
「えぇぇぇ? おまえおれへんかったら・・・先輩も困るでーーー」
「どうしよう???」
大袈裟な声を出してわざと俺を見る
俺はため息をついた
「もうええって! 俺も悪かったんやから・・・ちょー消しにしたる」
「よかったーーー」
「さすが渋谷さん・・・心が広いわ!!」
そう言って笑うこいつらの顔見てたらなんか急に胸が痛くなってきた・・・
こいつらは一人ぼっちで寂しい思いなんかしたことないんやろうな?
俺とは全然違う道を歩いてきて・・・
俺はどこで間違ってしまったんやろ?
もう・・・やり直されへんのんかな・・・
「じゃあな・・・」
俺はあいつらに背を向ける
「すばる!」
ふと名前を呼ばれて振り向くと村上が笑ってた
「俺ら明日で合宿終わりやねん」
「・・・・・・・・・・」
「でも、又、近々会おうな?」
「もう、会うこともないやろ・・・」
「いや・・・俺らバスケ教えたるから」
横山がそんなアホなことを言う
「だから! 俺はスポーツ興味ないねん!」
「いやいや・・・けっこうはまるねん・・・去年やったな・・・一人生意気な後輩がおってな・・・なんか、すばると感じが似た奴で・・・ 俺がバスケ教えたったら今じゃすっかり『横山君横山君』って慕ってくれるようになってなー」
「なんや・・・それ亮のことか? 別に慕ってるようには見えへんけどな・・・」
村上が小さく突っ込む
「うっさいわ! まあ、とにかく 頭ん中、イライラしてきたら体動かすのが一番やで・・・ 」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「一人でおったらあかん・・・ 悪いことばっか考えてまう・・・そっちから連絡してけえへんのやったらこっちからするわ」
「連絡って・・・俺の居場所なんか知らんやろ?」
そういうと横山はニヤッと笑って携帯を指差した
「これに、すばるの電話番号入ってるもん」
あぁ・・・そうやった・・・さっき交換したんやった・・・
「なんでやねん・・・」
俺はなんかいたたまれなくなってあいつらに向かって叫ぶ
「なんで・・・そんなに俺なんかのことかまうんや?」
「・・・・・・・・・・」
「俺が金持ってるからか? 俺とおるといい思いできるからか?」
「ナニアホな事言ってるねん・・」
村上が俺の顔見てつぶやく
「お前とおってもいいことなんか全然ないやろ?」
「ホンマや・・・ムチャムチャボコられるし・・・ 痛いだけやんケ!」
「それやったら・・・なんで???」
「お前さっき助けてくれたやろ?」
「え・・・・・・?」
「俺たちが探しに行こうとしたとき・・・ 俺らがこの前殴られっぱなしやったこと思い出して・・・俺が探しに行くって・・・助けてくれたやないか・・・」
村上の言葉に俺は首を振った
「それは・・・・そんなん・・・」
そんな俺見て横山が言葉を継いだ
「それだけやない・・・俺らお前の歌聞いて頑張ろうって思えたんや・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「去年の学園祭や・・・」
「・・・・・・・・」
「俺らあの日試合やったんや・・・ 1年生やったけど頑張って出してもらえて・・・夏はいいとこまで行ってちょっと浮かれてたとこもあったんやろうな・・・その日なんや思いもよらん負けかたして・・・ 凹んで学校帰ってきたら、学園祭で・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「いつも俺達が練習やってる体育館では・・・お前が歌ってた・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「俺と村上と体育館の一番後ろに立ちながらボーーーっと聞いてたんや・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そこで初めて聞いたお前の歌・・・ それがなんか胸に痛くてなーーー」
「ちょっと二人で凹んでたからな・・・もう、バスケやめようかなんて思ったりして・・・でもなんやお前の歌聞いてたら勇気づけられるっていうか・・・頑張ろう思えて来てな・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「又今年も学祭で聞けるかなって思っててんけどな・・・ 去年の冬・・イロイロな噂耳にして・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「でも、俺らも部活の方忙しかったから、そんなんなんも知れへんかってんや・・・ここで会って、学校休んでるって聞いたときにはホンマにびっくりしてんで」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「なんかヤバそうやったやろ・・・自分・・・」
「ヤバそう?」
「うん・・・学園祭の後、学校でよう見かけたけど、なんや輝いて見えた・・・ちょっと手の届かない存在みたいに・・・いつも前向きで・・・まぶしかったわ・・・」
「・・・・・・・・」
「カッコいいなーって思ってたんや・・・そやけど、合宿に来てすぐあいつらとつるんでる自分見て・・・・なんや胸が痛くなったんや・・・こんなところでくすぶってる人ちゃうやろ! あんなすごい歌歌えたのに・・・って・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「合宿中にいつか声かけたろって思ってたんや・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「又、歌聞かせてや・・・」
歌・・・・・歌か・・・・ 今の俺にはこいつらに聞かせる歌なんてなんもない・・・・
「もう、俺は終わったんや・・・ 」
「すばる?」
俺は拳を握り締めて叫ぶ
「何もかも終わったんや! こんなぬけがらの俺・・・かまわんといてくれ・・・一人にしといてくれ!」
「ふざけんな!」
ふと俺よりもでかい声にさえぎられゆっくりと顔を上げる
「何が終わってんねん! アホか!」
村上は大またで歩いてきて俺の手を握る
「あったかいやろ! この手も・・・ちゃんと息もしてるし・・・ 俺らと同じで生きてるやろ!」
「は・・・離せ!」
俺はその手を振り払おうとしたけど、思った以上に手の力が強くて・・・
村上はさらに手に力を入れて言い放った
「もう決めた! そんなお前ほっとかれへん! お前の心が熱くなるまで俺らがそばにおる!」
「・・・・・・・・・・・・え?」
「そばにおったるから、もうそんなしょうもないこと言うな!」
なんでこいつらは・・・・ なんでこんな俺に・・・・
俺の手から村上の体温が伝わって・・・心の奥底に凍っていた何かに注がれるような気がして・・・・・・
少し・・・・ほんの少しやけど・・・・
俺の中の何かが動いた気がした・・・・
村上はゆっくりと手を離す。その横に横山も来てニヤッと笑った
「大阪帰ったらすぐ連絡するわ! 歌われへんのやったらバスケ教えたるって」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「じゃあ、またなー」
そう言って、村上は、横にいた美樹の肩を引き寄せて軽く手を振った
横山も大袈裟にバイバイを繰り返しながら・・・ 行ってしまった・・・・
人の話を聞け!!!
ナニがバスケやねん!俺はぜったいやれへん言うてるやろ!
どうせ、どうせ・・・口だけやろ? 俺に連絡するなんていうのも・・・
どうせ・・・・
そう思いながらさっき村上に握られた腕に目を落とす・・・
力の加減を知れあほ!
形ついてしまってるやろ!! 俺細いんやから・・・絶対アザになるわ!
どうせ・・・俺のことなんか・・・・
そばにおったるから、もうそんなしょうもないこと言うな!
さっきの村上の声が耳に響いてきた・・・
何やねんこれは!
アホちゃうか俺・・・・
なんで・・・涙が出てくるねん・・・・
初めて知った
涙って暖かかってんな・・・・
-Fin-
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