wondere one year ago
「しかし・・・なんか、ここらへんの女にも飽きてきたなー」
そして又同じ一日がやってきて・・・
あいつらのことは胸の片隅に残ってしまったけど・・・なるべく考えないようにして・・・
俺は今日も又この連中とつるんでる・・・
「あんまりにも簡単すぎるからやろ?」
「たまには嫌がるの無理やりやってしまったり・・・」
みんなが卑猥に笑う・・・
っと・・・快彦が思いだしたように言った
「そういや・・・おっきい女ってどうや?」
「おっきい女?」
「ほら・・・あのバスケ部におった背の高い気の強そうな女・・・」
「あぁ・・・あんなのおもろそうちゃう?」
「やめとけ・・・」
俺は静かに言った
「でも・・・すばる・・・」
「あいつらにはもう手出すな・・・ ウザイ」
みんなちょっと顔を見合わせてたけど、やがて快彦がからかうように言った
「まあ、すばるちっこいからな やっぱ大きいの嫌か?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「やっぱ、何事にもサイズは大切やもんなァァァ」
俺はヘラヘラ笑う快彦の顔にビールをぶっかけたった
「なにすんねん!」
快彦がずぶ濡れになった顔を上げて叫ぶ
「うっさい! 誰のおかげで何日もここでいい思いさせてもらえると思ってんねん! 文句あるんやったら今すぐ出てけ!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
快彦が挑むような目でこっちを見る・・・そしてみんなの目もこっちを見てるのに気づく
「どうすんや?」
俺はあいつらを見回しながら低く言った
「わかったわ・・・」
そう言って、快彦は小さく舌打ちをした・・・
やっぱり・・・違う・・・
みんなただ、俺が金持ってるから・・・都合いいから、暇つぶしで俺に付き合ってるだけなんや・・・
そんなことわかってたし、俺やってそれ以上を望んでたわけやない・・・
俺も、ただ、独りになるのがいややったから・・・
夕暮れの海・・・
すっかり砂浜も熱が引いて・・・海に沈んでいく夕日を見ながらいろんな感情に押しつぶされそうになる・・・
つまらん・・・ 誰も彼も俺のことなんか本気で関わってくれるやつなんておれへん
ふと俺の脳裏にあいつの姿が浮かんできた
俺の事いつも一番に考えてくれたあいつ・・・ そして・・・儚く消えてしまったあいつの顔・・・
でも・・・その顔を思い浮かべるうちに・・・今度は別の顔が浮かんできた・・・
俺の飼い主の彼女・・・ なんで彼女の顔が・・???
あっちはきっと俺のことなんか愛してないのにな・・・ただいっしょにいると心地いいだけで・・・
ふと真上を見ると月が輝いていた・・・
いまごろ彼女はナニしてるんやろ? 今日もまた帰ってきもしない旦那の夕飯作ってるんやろうか?
この前・・・この別荘に来る前に二人で月の道を歩いたのを思い出した。
不思議と満たされた気持ちでいっぱいで・・・幸せやった・・・
でも、そんな気持ちを感じた自分に後から嫌悪した・・・
あいつが死んでそんなに日もたってないのに幸せを感じてる俺って・・・ なんやねん・・・それは
自分が許せなくなる・・・時々・・・
そして俺に幸せを感じさせてくれる彼女にむしょうに腹が立ってきたりする・・・
我がままで勝手やって・・・
わかってるけど・・・・
岩場で小さく歌を歌う・・・
何度も何度も打ちつける波の音がぼんやりと耳に入る
あいつのことを忘れたらあかん・・・ 俺を戒めるためにも・・・俺にはレクイエムしか歌われへん・・・
「なんや・・・まだ歌えるやん?」
ふと、声がして振り向くと、そこには横山と村上がいた・・・
俺はバツが悪くなってそっぽをむいた
「でも・・・なんや悲しい歌やな」
「なんでおるねん?」
俺は吐き出すように言う・・・
この前俺たちがつけた傷跡がまだ痛々しく残ってる・・・
「なんでって・・・ロードワークの途中やん」
そう言い返す村上に俺は目を向けた
「俺に近寄るな言うてるやろ! まだ懲りへんのか?」
「いやーーー痛かったわーー 練習もきついけど、ファイティングはもっとキツイなーー」
「手、出してなくてもきついわーーー」
こいつらは・・・
俺は顔をそむけて立ち上がると別荘への道を歩き出す
「楽しいんか?」
横山の声に俺は足を止める
「なに?」
「ん? あんな奴らとつるんでて楽しいんか?」
「・・・・・・・・・・・」
「なんや、自分ナニやってもおもろなさそうやで・・・」
俺はゆっくりと振り向く
「全てがそんなんやったらつまらんやろ?」
村上が空を指差す
「夕日がキレイやとか・・・月が輝いてるとか・・・波の音が優しいとか・・・ご飯がおいしいとか・・・夏が暑いとか・・・そんなん全部感じられへんかったら・・・つまらんで」
「・・・・・・・・・・・」
「せっかく生きてるのにな・・・せっかくいろんなこと感じる機会与えてもらってるのにな・・・なんにもしなくても時間だけは平等に流れてく・・・ もったいなくないか?」
「・・・・・・二人して説教か・・・」
俺は苦々しく唇を噛み締める
「俺は・・・それでいいねん! 何も感じられなくてもいいんや! この先つまらんことばっかでもかめへん・・・そうやないと・・・俺は俺自身を許されへん!」
「ナニ言うてんねん!」
村上が食い入るように俺を見る
「自分の人生自分のものちゃうんか? いろんなヤツに関わって生きていかなあかんけど・・・ その誰かのために自分の人生が無くなるなんてもんやないやんか! もっと自分の事考えな!」
「うるさい・・・」
「自分が歌ってた時・・・すごいまぶしかったで・・・あん時の渋谷すばるは生きてた・・・ もう一回・・・あのときの歌・・・聞かせてーや・・・」
横山の声に俺は首を振る
「うるさいぃぃぃ!!!!」
俺は大声で叫ぶ
「一体なんやねんお前ら! ウザいんや! 俺に関わるな言ってるやろ? ほっといてくれ! 独りにしてくれ!
何も聞きたくないし見たくない・・・ 一体お前らに何がわかるねん・・・ お前らとおれは違うんや! お前らみたいに夢や目標があって・・・やりたいことわかってるやつとはちがうんや! おまえら見てるとイライラするねん!どんだけ自分つまらないか思い知らされる・・・ お前ら見てると・・・・」
俺は体中で息をして二人を見据える・・・
ホンマは・・・羨ましいんや・・・
やりたいことやってるこいつらが・・・目標目指して毎日生きてるこいつらが・・・
昔は俺もそうやったのに・・・ みんなの心に響く歌を歌いたいって・・・いつかミュージシャンになるんやって・・・
そんな夢で一晩でも二晩でも語り合える仲間がおって・・・
輝いてる日々が手の中にはあったのに・・・・
今はなんもない・・・ もう・・・なんもないんや・・・・
「センパーーーーーーーイ!」
ふと、俺たちの沈黙を破って声がする
あっちから、女子のバスケ部員が走ってきた。
かなりあせってるみたいで・・・
「なんや?」
「た・・・大変・・・美樹が・・・」
「美樹? どうしてん?」
「ロードワークしてたら、この前の男達に連れて行かれて・・・」
「え?」
村上と横山が俺の顔を見る・・・
「お前・・・」
「ちょーーー待て! 俺知れへん」
「でも、あいつらお前の仲間やろ?」
「仲間なんかとちゃう! っていうか今俺ここにおるやろ 美樹のことなんか・・・ あ・・・」
ふとさっきあいつらが、ニヤニヤと卑猥な笑いを浮かべて美樹の話をしていたのを思い出した
まさか・・・・ あいつら・・・
「おい?」
「探してくるわ・・・」
「俺らも行く」
二人の必死な顔を見て俺はハッとなった・・・
この前どんなに殴られてもこいつら抵抗せえへんかったやろ?
今回行っても又同じちゃうんか? それよかもっとひどい目に・・・
そして、もし手だしたりしたら・・・バスケ・・・できへんようになるんや・・・
「俺が行く」
俺の声に二人は目を向ける
「でも・・・」
「俺が探すから・・・ あいつら止められるの俺だけや・・・ お前ら手出すな!」
ムシがいい話やってことはわかってる・・・
こんな俺のことを信じられるわけないよな・・・
そう思ってたのに・・・
なぜか村上はうなずいた
「じゃあ・・・早く探してやってくれ」
「俺らも、じっと待ってるの無理やから探す・・・でも、見つけたら、すぐにお前の事呼ぶから・・・」
横山の声に俺はうなずく・・・そして携帯の番号を交換してすぐに走り出した・・・
そして又同じ一日がやってきて・・・
あいつらのことは胸の片隅に残ってしまったけど・・・なるべく考えないようにして・・・
俺は今日も又この連中とつるんでる・・・
「あんまりにも簡単すぎるからやろ?」
「たまには嫌がるの無理やりやってしまったり・・・」
みんなが卑猥に笑う・・・
っと・・・快彦が思いだしたように言った
「そういや・・・おっきい女ってどうや?」
「おっきい女?」
「ほら・・・あのバスケ部におった背の高い気の強そうな女・・・」
「あぁ・・・あんなのおもろそうちゃう?」
「やめとけ・・・」
俺は静かに言った
「でも・・・すばる・・・」
「あいつらにはもう手出すな・・・ ウザイ」
みんなちょっと顔を見合わせてたけど、やがて快彦がからかうように言った
「まあ、すばるちっこいからな やっぱ大きいの嫌か?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「やっぱ、何事にもサイズは大切やもんなァァァ」
俺はヘラヘラ笑う快彦の顔にビールをぶっかけたった
「なにすんねん!」
快彦がずぶ濡れになった顔を上げて叫ぶ
「うっさい! 誰のおかげで何日もここでいい思いさせてもらえると思ってんねん! 文句あるんやったら今すぐ出てけ!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
快彦が挑むような目でこっちを見る・・・そしてみんなの目もこっちを見てるのに気づく
「どうすんや?」
俺はあいつらを見回しながら低く言った
「わかったわ・・・」
そう言って、快彦は小さく舌打ちをした・・・
やっぱり・・・違う・・・
みんなただ、俺が金持ってるから・・・都合いいから、暇つぶしで俺に付き合ってるだけなんや・・・
そんなことわかってたし、俺やってそれ以上を望んでたわけやない・・・
俺も、ただ、独りになるのがいややったから・・・
夕暮れの海・・・
すっかり砂浜も熱が引いて・・・海に沈んでいく夕日を見ながらいろんな感情に押しつぶされそうになる・・・
つまらん・・・ 誰も彼も俺のことなんか本気で関わってくれるやつなんておれへん
ふと俺の脳裏にあいつの姿が浮かんできた
俺の事いつも一番に考えてくれたあいつ・・・ そして・・・儚く消えてしまったあいつの顔・・・
でも・・・その顔を思い浮かべるうちに・・・今度は別の顔が浮かんできた・・・
俺の飼い主の彼女・・・ なんで彼女の顔が・・???
あっちはきっと俺のことなんか愛してないのにな・・・ただいっしょにいると心地いいだけで・・・
ふと真上を見ると月が輝いていた・・・
いまごろ彼女はナニしてるんやろ? 今日もまた帰ってきもしない旦那の夕飯作ってるんやろうか?
この前・・・この別荘に来る前に二人で月の道を歩いたのを思い出した。
不思議と満たされた気持ちでいっぱいで・・・幸せやった・・・
でも、そんな気持ちを感じた自分に後から嫌悪した・・・
あいつが死んでそんなに日もたってないのに幸せを感じてる俺って・・・ なんやねん・・・それは
自分が許せなくなる・・・時々・・・
そして俺に幸せを感じさせてくれる彼女にむしょうに腹が立ってきたりする・・・
我がままで勝手やって・・・
わかってるけど・・・・
岩場で小さく歌を歌う・・・
何度も何度も打ちつける波の音がぼんやりと耳に入る
あいつのことを忘れたらあかん・・・ 俺を戒めるためにも・・・俺にはレクイエムしか歌われへん・・・
「なんや・・・まだ歌えるやん?」
ふと、声がして振り向くと、そこには横山と村上がいた・・・
俺はバツが悪くなってそっぽをむいた
「でも・・・なんや悲しい歌やな」
「なんでおるねん?」
俺は吐き出すように言う・・・
この前俺たちがつけた傷跡がまだ痛々しく残ってる・・・
「なんでって・・・ロードワークの途中やん」
そう言い返す村上に俺は目を向けた
「俺に近寄るな言うてるやろ! まだ懲りへんのか?」
「いやーーー痛かったわーー 練習もきついけど、ファイティングはもっとキツイなーー」
「手、出してなくてもきついわーーー」
こいつらは・・・
俺は顔をそむけて立ち上がると別荘への道を歩き出す
「楽しいんか?」
横山の声に俺は足を止める
「なに?」
「ん? あんな奴らとつるんでて楽しいんか?」
「・・・・・・・・・・・」
「なんや、自分ナニやってもおもろなさそうやで・・・」
俺はゆっくりと振り向く
「全てがそんなんやったらつまらんやろ?」
村上が空を指差す
「夕日がキレイやとか・・・月が輝いてるとか・・・波の音が優しいとか・・・ご飯がおいしいとか・・・夏が暑いとか・・・そんなん全部感じられへんかったら・・・つまらんで」
「・・・・・・・・・・・」
「せっかく生きてるのにな・・・せっかくいろんなこと感じる機会与えてもらってるのにな・・・なんにもしなくても時間だけは平等に流れてく・・・ もったいなくないか?」
「・・・・・・二人して説教か・・・」
俺は苦々しく唇を噛み締める
「俺は・・・それでいいねん! 何も感じられなくてもいいんや! この先つまらんことばっかでもかめへん・・・そうやないと・・・俺は俺自身を許されへん!」
「ナニ言うてんねん!」
村上が食い入るように俺を見る
「自分の人生自分のものちゃうんか? いろんなヤツに関わって生きていかなあかんけど・・・ その誰かのために自分の人生が無くなるなんてもんやないやんか! もっと自分の事考えな!」
「うるさい・・・」
「自分が歌ってた時・・・すごいまぶしかったで・・・あん時の渋谷すばるは生きてた・・・ もう一回・・・あのときの歌・・・聞かせてーや・・・」
横山の声に俺は首を振る
「うるさいぃぃぃ!!!!」
俺は大声で叫ぶ
「一体なんやねんお前ら! ウザいんや! 俺に関わるな言ってるやろ? ほっといてくれ! 独りにしてくれ!
何も聞きたくないし見たくない・・・ 一体お前らに何がわかるねん・・・ お前らとおれは違うんや! お前らみたいに夢や目標があって・・・やりたいことわかってるやつとはちがうんや! おまえら見てるとイライラするねん!どんだけ自分つまらないか思い知らされる・・・ お前ら見てると・・・・」
俺は体中で息をして二人を見据える・・・
ホンマは・・・羨ましいんや・・・
やりたいことやってるこいつらが・・・目標目指して毎日生きてるこいつらが・・・
昔は俺もそうやったのに・・・ みんなの心に響く歌を歌いたいって・・・いつかミュージシャンになるんやって・・・
そんな夢で一晩でも二晩でも語り合える仲間がおって・・・
輝いてる日々が手の中にはあったのに・・・・
今はなんもない・・・ もう・・・なんもないんや・・・・
「センパーーーーーーーイ!」
ふと、俺たちの沈黙を破って声がする
あっちから、女子のバスケ部員が走ってきた。
かなりあせってるみたいで・・・
「なんや?」
「た・・・大変・・・美樹が・・・」
「美樹? どうしてん?」
「ロードワークしてたら、この前の男達に連れて行かれて・・・」
「え?」
村上と横山が俺の顔を見る・・・
「お前・・・」
「ちょーーー待て! 俺知れへん」
「でも、あいつらお前の仲間やろ?」
「仲間なんかとちゃう! っていうか今俺ここにおるやろ 美樹のことなんか・・・ あ・・・」
ふとさっきあいつらが、ニヤニヤと卑猥な笑いを浮かべて美樹の話をしていたのを思い出した
まさか・・・・ あいつら・・・
「おい?」
「探してくるわ・・・」
「俺らも行く」
二人の必死な顔を見て俺はハッとなった・・・
この前どんなに殴られてもこいつら抵抗せえへんかったやろ?
今回行っても又同じちゃうんか? それよかもっとひどい目に・・・
そして、もし手だしたりしたら・・・バスケ・・・できへんようになるんや・・・
「俺が行く」
俺の声に二人は目を向ける
「でも・・・」
「俺が探すから・・・ あいつら止められるの俺だけや・・・ お前ら手出すな!」
ムシがいい話やってことはわかってる・・・
こんな俺のことを信じられるわけないよな・・・
そう思ってたのに・・・
なぜか村上はうなずいた
「じゃあ・・・早く探してやってくれ」
「俺らも、じっと待ってるの無理やから探す・・・でも、見つけたら、すぐにお前の事呼ぶから・・・」
横山の声に俺はうなずく・・・そして携帯の番号を交換してすぐに走り出した・・・