このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

wondere one year ago

 


「あぁぁぁぁぁ 暇やなーーー」

今日はホンマに暇やったから、潮風が嫌いな俺も(笑)たまにはって言うことで海に降りてきた・・・
イロイロ品定めをするけど、今日はなんやパッとした子らおれへんし・・・
男五人浜辺で戯れるのも気持悪いしな(爆)

暇や・・・暇でたまらん・・・ っていうか・・・なんも心に残れへん・・・
ただ、時間を無駄に使って・・・その過ぎてく時間に身を委ねて・・・ 一体俺は何を待ってるんやろ・・・


「なんかおもろいことないんか?」


なんか、おもろいことを探して探して・・・
又上の刺激を求めて・・・ 行き着く先はどこなんやろうな・・・


ふと、この前に見た青いランニングが目に入った
浪華学園バスケ部の夕方のロードワークか・・・



「し・ぶ・た・に・せ・ん・ぱ・い~」

俺はうつむく 又、あいつらか・・・ ホンマに懲りんと・・・アホか!!!
ロードワークをしてる列の後ろから、横山が手を振る

「なにしてるんですか?」

「別に・・・お前らに関係ないやろ!」

「うわっ! 怒ってはるわ」

「ヨコの声が耳につくねん!」

横から村上が顔をのぞかす

「なんでや? 俺ふつーーーーーにしゃべってるだけやで・・」

「さっさと消えろアホ!」

「ひどいぃぃぃ  アホやってー」

「だってあんたアホやもん」

「ひどっ!」

俺はウザくなって吐き捨てる

「あっち行け言うてるやろ!」

「ほら行くで!」

隣にいた背の高い女が二人に声をかける

「はいはいーーーホンマに女バスは真面目やなぁぁぁ」

「渋谷先輩もバスケやりに来て下さいねー」

そう言って横山と村上は手を振って走っていく・・・・






「なんやねんあいつら?」

俺の隣にいた快彦がウザそうに俺に耳打ちする

「俺の高校の後輩や・・バスケ部で・・・そこの階段上がったところに合宿所があるらしいわ」

「なんや、調子にのって・・・あいつらムカつくなー」

なんや・・みんな同じ気持ちか・・・
なんや知らんけどあいつら見てると無性に腹立つのは・・・俺だけやないんか
あいつらは・・・こんな暇を持て余したりせえへんねんやろうな・・・
来る日も来る日もボール追っかけて・・・アホみたいに・・・
人のことや・・・・でも、なんでこんなにイライラするんやろ・・・


「俺、昔バスケやっててんで」

快彦が細い目をもっと細めて言う(笑)

「へぇ? そうなんか?」

「練習厳しかったでーー あんなヘラヘラした奴らなんかすぐに勝てるわ・・・」

「やってみるか?」

俺の声に快彦が目を向ける

「なに?」

「いや・・・あいつら言ってたんや 暇やったらバスケやりに来いって」

「へぇぇぇぇぇぇ」

快彦の目が面白そうに輝いた

「暇やしなーーー俺行ったるわ・・・お前らどうする?」

「行く行く! いい暇つぶしや!!!」

火に油を注いで・・・ 俺は階段を駆け上って行くあいつらの後姿を見ていた・・・
俺なんかに近づこうとするからや・・・ 俺に近づいた奴は痛い目にあうねん・・・誰も彼も・・・
自業自得ヤナ・・・







そして・・・俺達はそのまま合宿所に乗り込んだ・・・久しぶりに見つけたおもちゃで遊ぶように・・・
みんなドロドロの靴で体育館に上がり、手当たり次第ボール取り出して、好き勝手にパスしたりシュートしまっくったり・・・ 壁に思いっきりボールぶつけたり、ゴールにぶら下がったり・・・

もちろん体育館にはロードワーク終わったばっかりのあいつらがおって・・・みんなびっくりしたように乱入してきた俺達を見ている
そりゃびっくりするわな・・・ 俺らどこをどう見ても輩の集団やもん(苦笑)

「渋谷先輩どうしたんです?」

横山が俺に声をかける。俺は唇を歪めてニヤッと笑った

「バスケやりに来い言うたんはお前やろ?」

「こんなんバスケちゃいますやん!!」

「うるさいわ!」

「渋谷・・・」

俺は顔をあげる・・・そこには俺の同級生の顔があった・・・

「なんでこんなこと・・・」

「知らんわ! お前らのアホな後輩が俺をバスケに誘ってくれたから遊びに来ただけや・・・」

「ヨコもヒナも遊びに来いなんて言えへんかったやん! バスケやりに来いって言っただけや」

ひときわは高い声が響いて顔を上げるとさっきの背の高い女が立っていた・・・
あぁ・・・・思い出したわ・・・こいつは・・・美樹とかいったな・・・廃部寸前の女バスに何でか入部した奴・・・女バスは救世主やと喜んでたみたいやった・・・去年一年どうにか盛り返して府内ベスト8までひっぱてきたんやって・・そんな話を聞いた

「それともバスケじゃ自信ないの?」

やったこともないのに当たり前やろ!
俺は美樹を睨む・・・ と横から横山が割って入ってきた

「じゃあ、こうしよう。俺ら2人対お前ら5人でな10回やって一本でもシュート入ったらおれらの負けや・・・」

「何してくれるねん?」

「自分らの気のすむように・・・なんでもしたるわ」

その自信満々の横山の顔が妙に鼻についた 

「そのかわり、自分ら負けたらこのまま帰ってくれ。」

「・・・・・・・・・・」

「バスケやったら相手になるけど・・・これはあかん」

憮然とした顔の快彦を見ると、あいつはうなずいた・・・みんな後にはひかれへんわな・・・

「わかったわ・・・」

いくら現役バスケ部言うたって・・こっちは5人や・・・しかも快彦経験者やし・・・実は俺も中学の時やってたんや・・・
10回で1本のシュート? 嘗めるなアホ!


そう思って始まったゲームやった・・・けど・・・甘く見てた・・・
全然決まれへん・・・全てのシュートが外される
どんなにシュートを決めようとしても高い位置でカットされて・・・なんや・・・段々苛立ってきたのか快彦の目が怪しく輝いた・・・
やる気やな・・ 俺も無言でうなずくと、快彦にパスを通した・・・あいつはどドリブルで切り込んで行って、シュートを打とうとする・・・と、その時後ろに村上が来た・・快彦はさり気なく腕をひいて、肘を村上の顎にくらわせた・・

「うわっ」

小さく叫んで村上がバランスを崩す・・・その隙にジャンプしてシュートを放った・・・


やった!


そう思った瞬間、リング上でボールを叩き落とされた・・・
顔を上げると横山が着地したとこやった・・・


「大丈夫か?」

横山の声に村上はちょっと痛そうに顎をさすって立ち上がった

「平気や・・・」

「なんやねんあれ・・・」

「やると思ってたけどな・・・」

周りで見ている奴らがこそこそ囁くのが聞こえる

「先輩・・・」

横山がこっちを向く

「あんまりラフプレイは無しにしましょう。」

「は? 何のことやねん・・・たまたま腕が当たっただけやろ?」

悪びれずに言う俺に横山はため息をついた・・・

「じゃあ・・・いいけどね・・・俺らは絶対使えへんから・・・かっこ悪いで」

「ナニがやねん!」

「ラフプレイ使ってまでも負けたら・・・かっこ悪いって話や」

「うるさいわ! 」

俺は一括して快彦を見るとあいつは不敵に笑って辺りを見回した


ゲームが再開された・・・・
隙を見て快彦や、他の連中もあいつらに足引っ掛けたり、殆どモロ殴りに行ったり・・・
でも、あいつらは寸前のところでそれを交わして・・・俺らにシュートの1本も許さなかった・・・
さいごに俺が放ったボールは村上の手でカットされた・・・

「と言うわけで。俺らの勝ちやな?」

横山の声がムカつく・・・

「調子にのんなよ・・・」

俺は威嚇するように小さくうめく

「約束や・・・このまま帰ってくれ」

「う・・・うるさいわ!!!」

仲間がつみかかろうとするのを俺は抑えた

「やめとけ・・・」

ふと、扉を見るとこいつらの顧問が外から帰ってきて叫ぶ

「なんやお前ら?」

「別に・・・練習相手になってもらってただけです」

そんな言葉を村上が言うのが逆に口惜しくって・・・
俺はみんなに目で合図して体育館から出て行った














でも、俺の気はそれではおさまれへんかった・・・
それは俺だけやない・・・みんな同じやったようで・・・
次の日ロードワークに出てきた横山と村上を俺たちは取り囲んだ・・・

「なんやねん?」

横山がゆっくりと俺たちを見回す

「バスケで負けて当たり前や! でも、こっちやったら絶対俺のほうが強いねん!」

そう言って横山に殴りかかると、あっさりとその拳はあいつの頬に当たってあいつは後ろに倒れこむ
俺はなんか、自分がしたことやのにびっくりしてもうて・・・

「返す返すもかっこ悪いで」

座り込みながら横山が俺に言う

「チャント自分の負け認められへんのって・・・かっこ悪いって」

「うっさいわ!」

仲間たちが横山の体に蹴りを入れる 

「ちょーやめろって!」

横で止めに入る村上にも容赦なく俺たちの制裁は続く





「なんでかかってけえへんねん?」

昨日、バスケではあんなに反撃してきたくせに・・・今日はどんなに殴られても蹴られてもこいつらされるがままや・・・なんの抵抗もせえへん・・・
横山と村上は肩で息をしながら、黙って顔を見合わせてそして俺を見る

「次が先輩・・・最後の試合やからな・・・」

「え?」

「こんなとこで喧嘩してもうたら出場できへんようになるやろ?」

「・・・・・・・・・・・・・」

「野球だけやない スポーツの世界ってどこでも結構厳しいねんで」

「なにかっこつけてんねん!」

横からみんながさらに二人をボコる
でも、二人とも絶対手を出さない・・・砂浜に転がってうめきながらも、その執ような攻撃を受けながらも、・・・
やっぱりアホや・・・ こいつら・・・





「やめとけ!」

なんやたまらなくなって、転がってる横山を抱え起こし、さらに殴ろうとしている快彦の腕を押さえた

「なんや! こいつらムカつくんや!」

「やめろ言うてるやろ!」

俺はみんなに怒鳴った

「こんな根性ない無抵抗な奴らやったってちっともおもろないわ・・・ 行こ!」

快彦は小さく舌打ちすると、横山の体をそのまま砂浜に投げ出した
みんな軽蔑したように村上と横山に目をくれると俺の後ろについて歩き出した



2/5ページ