wondere one year ago
暑いなーーー
夏やもんなー
俺の体からすっかり熱さがなくなって・・どれくらい経つんやろ?
こいつらアホやな・・・ そんな一生懸命ボール追っかけて・・・ナニが楽しいねん?
あいつらの体ムチャ熱いんやろうな・・・
・・・・・変や・・・・ なんで、こんなにイライラするねん!!!
Wanderers one year ago
部屋の中はタバコとアルコールの匂い。それに混じって女の香水も・・・
ゆっくりと体を起こす・・・部屋の中はすごい状態やった・・・
そこかしこに空き缶が散らばってるし、向こうのソファーでは殆ど全裸の女が俺の連れと絡まるように寝てるし・・・後何人かは上の部屋にいったんかな・・・
「・・・・ん」
ふと俺の足元から声がして横を見るとここにもおったわ・・・(溜息)
ホンマに・・・なんやねんこれは・・・
なんか興醒めして、テーブルに置いてあるタバコとライターを取って火をつける・・・
ゆらゆら昇っていく煙を見ながらなんか頭が痛くなってくる・・・
連れをこの別荘に連れ込んで一週間が過ぎる・・・毎日海に降りて女達を誘ってパーティーや・・・
俺自身は・・・ナンパするのも面倒くさくて・・・潮風に当たるのも気持ち悪いから、別荘にこもって・・・連れがお持帰りする女達を相手に・・・
うざいのにな・・・一人になるのが怖くって・・・
好きでもない奴らとつるんで・・・・ アホみたいや・・・
確か昨日も、ソファーで寝ようと思ったらこの女がやってきたんや・・・
面倒くさいからそのまま無視しとったら、
「遊べへんの?」
って言われて、
「だるいから好きにしろ!」
言うたら・・・好きにされた(爆)
あーーーなんや余計な体力使って体がだるい・・・・心もだるい・・・
ホンマに・・・何してるんやろ俺?
イロイロ混じった匂いに気持ち悪くなって・・・俺は服を着ると別荘を抜け出した・・・・
大きく深呼吸をしてみる
なんか・・・・ちゃんと息をするのも久しぶりのような気がして・・・
なんか、俺は壊れてしまってるんかな・・・
でも、自分が壊れてるって自覚できるほどは壊れてないって事か・・・・
冬は酷かったから・・・・ 自分が何をしてるのかどこにいるのかもよう分からんかった・・・
ふと下の階段から青いランニングシャツを来た団体が階段をかけ上ってくる
朝からからロードワークか・・・ご苦労ヤナ・・・・
なんや冷めた目で俺は奴らをチラッと見る・・・・
15人ぐらいおったかな・・・その背の高いのん・・男かと思ったら女みたいや・・・ 女子も混じってんのか・・・ っていうか・・・・あれ? 通り過ぎるあいつらをボーーーッと見て・・・不意にハッとなる
こいつらって・・・
一番後ろを走っていた白い奴が止まって俺の顔をじっと見て・・・声をかけてきた
「もしかして・・・渋谷すばる?」
もしかしなくても渋谷やけど・・・・ 何でこいつにいきなり呼び捨てされなあかんねん!
「なんや? ヨコ?」
そう言ってもう一人が寄ってくる
「ほら・・・この人、渋谷先輩やろ?」
「え? あぁ・・・・ほんまや」
俺はうざくなって横を向く
思い出した・・・・こいつら同じ学校の男子バスケット部やんけ・・・確かいっこ下やったな
うちの男バス去年にこの横山と村上が入ってからどんどん強くなって・・・ まだ、優勝はしてへんけど、毎年いいところまでいってると聞いた.
まあ、俺はスポーツに全く興味ないから、知識として知ってるだけで・・・ こんな風に面と向かってしゃべったこともない
「こんなところで会えるなんてなーーー 何でこんなところにおるん?」
横山がなれなれしく声をかける お前は友達かい!
「お前らこそ・・・って言うかなんでバスケ部が・・・」
「俺らの合宿所すぐそこやねん」
村上がそう言って階段の上を指差す・・・
「へーーーここ自分の別荘?」
横山が感心したように別荘を見上げる・・・
だからなれなれしいねん! 俺はお前らのことなんか知らん!
そんな俺の気持ちにも気づかずに横山は嬉しそうに話しかけてくる
「俺・・・学園祭で自分の歌聞いてムチャ感動してん・・・ ムチャ歌うまいな・・・」
「ヨコそれは失礼やろ・・・俺らに比べたらたいてい誰でもうまいで!」
「そりゃそうやなーーー」
顔見合わせて笑ってるアホ面見てると昨日のアルコールが頭に響いてマジ痛くなってくるわ・・・
「あんなに感動できる歌歌える人他にはおらんで! 今年も楽しみにしてるねん」
その声に胸が苦くなってくる・・・ 脳天気なこいつらの顔をも全て頭に響く・・・
俺は二人を睨みつけて冷たく言い放った
「それは残念やな・・・俺はもう歌えへんねん」
「そっか・・・それはホンマに残念やな」
あっさりとした言い方になんか力が抜ける・・・
今までの奴やったら大概「なんで?」「理由は?」なんて聞いてきたんやけどな・・・
「でも、そういえばこの学年になってから自分のこと全然学校で見かけへんかったけど?」
その横で村上がそんなすっとぼけたことを言う
「俺学校行ってへんからな」
「え?」
二人がびっくりしたように顔を見合す
村上が恐る恐るというように聞く
「やめたん?」
「いや・・休学中」
それを聞いて横山がため息をつく
「そっか・・・そうやったんか・・・自分ちっこいもんな・・・細いし・・・体弱かってんな」
は?
「そやから学校休学してこんなすごい別荘で過ごしてたんか・・・羨ましいなー」
「羨ましい言うたらあかんやろ! 病気療養中やねんから・・・」
「あ・・・そっか・・・」
あほかこいつら・・・俺は行くとこないからこんなとこに来てるんやろ!
ナンカ、疲れてきて俺は別荘の中に入ろうとした
「暇やったらバスケやりにけえへん?」
横山の声に俺は目を見張る・・・
「なに言うてんねん・・・俺、スポーツ嫌いや」
「そうなんか? リハビリになるで? 歌歌うのも結構体力いると思ってたのにな・・・」
「もしよかったらやりにきいや! じゃあな!」
そう言って二人は階段を駆け上がっていく・・・
その後姿を見ながらなんか妙な気分が広がっていった・・・・
何やねんあいつら・・・ 何がバスケやりに来いやねん・・・しかも病気療養中言うてたんちゃうんか?
俺の噂なんも知らんのか? それとも知っててあんな事言ってるんやろか?
どっちにしても・・・・・俺とは無縁や・・・ 俺には関係ない世界の住人達や・・・
気まぐれでこっちに踏み込もうとするなアホ! 後で痛い目にあっても知らんからな!
なんか、真夏の太陽が目にしみて・・・俺はため息をつくと、又別荘に戻って行った
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