童話のお姫様
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比「リリデレラさん、頼んでいたドレスは取りに行って頂けましたか?」
廊下で床磨きをしていたリリデレラに一番目の姉のヒロシーヌが眼鏡を光らせながら尋ねました
「ヒロシーヌお姉さま…ごめんなさい。まだです」
比「そうでしたか。では私がかわりに」
仁「ヒロシーヌ、待ちんしゃい。それじゃあ意地悪な姉にはならんぜよ」
「マサハールお姉さま!!」
二番目の姉、マサハールが階段の上から言いました
比「ですが」
仁「…」
比「それもそうですね。リリデレラさん、よろしくお願いしますね」
マサハールに睨まれたヒロシーヌは咳払いをすると部屋へ戻って行きました
仁「リリデレラ、キッチンに住み着いとるネズミの始末も頼んだなり」
そう言い残すとマサハールは行ってしまいました
「キッチンのネズミを始末するなんかできひん…だって…」
リリデレラがうずくまっていると小さな足音がしました
切「リリデレラ!!また意地悪されたのかよ?」
「赤也?」
桑「サボってるとまた怒られちまうぜ」
「ジャッカル…」
足元に二匹のネズミが現れました
「二人とも…」
リリデレラは二匹を持ち上げると微笑みました
二匹は大切な友達なのです
幸「マサハール、ヒロシーヌ、リリデレラ!!」
「ん?ユッキーナお義母さんが呼んでる…二人とも、見つからないようにしてね」
リリデレラは二匹をエプロンのポケットにしまうと急いで継母、ユッキーナの元へ行きました
幸「これが家にいる女の子、全員だよ」
比「ユッキーナお母様、この方は?」
幸「彼はお城の使いだよ」
仁「お城?」
ヒロシーヌとマサハールが首を傾げるとお城の使いが顔を上げました
侑「今度、城で王子の婚約者を決める舞踏会があるんや。この国の未婚女性全員を招待した舞踏会や」
幸「へぇ、王子の婚約者…か」
侑「そうや、せやから全員に招待状を持って来た」
比「全員…ですか?」
侑「全員や。みんなに平等にチャンスがあるわけや。出欠は今、ここで聞いて帰るさかい」
仁「おもしろそうやの、もちろん参加するなり」
侑「了解。あんたは?」
比「そうですね、私も参加させていただきます」
幸「二人のどちらかが選ばれれば、この国は俺のモノになるんだね」
侑「俺?!」
幸「ん?何か言った?」
ユッキーナの微笑みにお城の使いは黙り込んでしまった
侑「……あっ、あんたは?」
「へ?」
幸「リリデレラは行かないよ」
侑「何でや?」
幸「こんな身なりじゃ恥をかくだけだからね」
侑「そんなもん関係あらへん。ようはあんたが行きたいか行きたくないかや。どうなん?」
「私は…」
リリデレラが俯くとエプロンに入っていた赤也とジャッカルが頷いているのが見えた
「行きたいです」
侑「ほなあんたも参加やな。おっしゃ、じゃあ当日、遅れんようにな」
お城の使いはそう言い残し去って行きました
幸「リリデレラ」
「はっはい!!」
幸「生きたいなら行かないべきだと思うよ」
ユッキーナはそれだけを言い残し、部屋に帰って行きました
比「舞踏会…ですか」
仁「おもしろくなってきたぜよ」
二人の意地悪な姉達も舞踏会に心踊らせながら部屋に戻って行きました
「行ったら殺される!!」
切「何ビビってんだよ」
桑「いや、ユッキーナならやりかねねぇぜ」
それぞれ思いを巡らせ、舞踏会の日がやってきました
幸「それじゃあリリデレラ、掃除は頼んだよ」
「はい」
比「マサハールさん、少し露出しすぎなのでは…」
仁「王子を射止めるにはこれくらいでちょうどじゃろ」
幸「二人とも、行くよ」
比「はい」
仁「リリデレラの分も楽しんでくるなり」
三人が行き、扉が閉まるとリリデレラは床に倒れ込みました
切「リリデレラ!!」
桑「リリデレラ、落ち込むなよ」
二匹のネズミが心配して駆け寄って行きました
切「リリデレラ、舞踏会なんてきっとつまんねぇよ」
「舞踏会はつまらんくても食事は絶対おいしいやろ?」
桑「は?」
「王子様はグルメ雑誌に取り上げられるくらいやって言うし…行きたかった!!」
切「王子と結婚は?」
「興味ないよ!!巨大タッパー買ったのに…最悪!!」
蓮「可哀想なリリデレラとはお前の事か?」
「ん?」
切「誰だよアンタ?」
桑「どっから入って来た!!」
突然、階段の上に現れた黒ずくめの大男にリリデレラや二匹のネズミ達は怯えます
蓮「俺は魔法使いだ」
「魔法使い?」
切「嘘だろ?」
蓮「信じる、信じないはお前たちの自由だ。リリデレラ」
「はい?」
蓮「お前の願いは舞踏会に行く…だろう?」
魔法使いは自信満々に言い切りました
「まぁ…舞踏会に行くって言うか…おいしい食事が」
桑「リリデレラ!!舞踏会に行きたいんだよな?」
「いや、だから」
切「行きたいんだろ?」
「そう…ですね」
蓮「やはりな!!お前の願い、俺が叶えてやろう」
「えぇ?」
蓮「そうだな…まずは…馬」
魔法使いはキョロキョロすると二匹のネズミに目を付けました
蓮「お前は馬だ」
魔法使いが杖を振るとキラキラとした光がネズミを包みます
桑「俺かよ?!」
「ジャッカル!?」
ジャッカルはみるみる真っ黒な馬になりました
「凄い…」
蓮「当然だ。次は…カボチャはあるか?」
「ジャガイモじゃだめですか?」
切「カボチャあります!!」
赤也が急いでカボチャを取りに行きました
蓮「うむ、いいカボチャだな」
魔法使いは頷くと再び杖を振りました
「うわっ!!カボチャが馬車になった!!」
切「おぉ!!」
二人は歓喜のん声を上げます
蓮「次は…お前だ」
魔法使いが赤也に向け杖を振ると赤也が人間の男の子になりました
切「うわっ!!」
「赤也!!」
リリデレラは笑顔で赤也に抱きつきました
切「俺…人間になった!!」
「うん!!赤也、素敵やで!!」
蓮「最後はリリデレラのドレスだな」
魔法使いが杖を回すとリリデレラの着ていたみすぼらしいワンピースがキラキラ輝く美しいドレスになりました
「わぁ!!」
切「リリデレラ、すごく綺麗だぜ」
赤也が少し照れながら言います
「赤也…」
蓮「お前たち、はしゃぐのは後にしろ」
魔法使いが無表情に言い放ちました
蓮「リリデレラ、この魔法は12時の鐘が鳴れば消えて、お前は元に戻ってしまう。約束しろ、12時には戻ると…」
「わかった!!」
蓮「よし、ならば楽しんでくるんだ」
「でも…掃除しなユッキーナお義母様に」
蓮「心配するな。お前は舞踏会に行け」
「わかった、ありがとう!!」
切「よし、リリデレラ!!行こうぜ!!」
こうしてリリデレラは舞踏会へ向かいました