放課後のお姫様
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氷帝テニス部の
マネージャーだったら
ー卒業編ー
「…」
いつもより
念入りにチェックをした
侑士「リリ、用意できたか?」
洗面所のドアを開けて、侑士が顔を覗かせた
「うん。行こう」
侑士「そやな」
「侑士と…」
靴を履き、玄関のドアを開ける
侑士「ん?」
「こうして、登校するのも最後やな」
侑士「そやな…」
侑士は少し眉を下げて笑った
3年前、大阪から東京へ引っ越してきた
大嫌いやった
東京なんか…
何で東京なん?
何回もお父さんに突っかかった
侑士「桜、もう咲いてるわ」
「ん?ほんまや」
満開とは言えへんけど、桜が咲いてた
侑士「今日でここ歩くのも最後やなぁ」
「そやな」
岳人「おーい!侑士!リリ!」
「ん?」
侑士「岳人、おはようさん」
岳人「おはよ!」
亮「おはよう」
「おはよ、あれ?ジロー?!珍しいな」
慈郎「当然だCー!」
満面の笑みのジローに、亮ちゃんが呆れた顔をする
亮「俺と岳人が起こしに行ってやったんだよ」
「なるほど」
岳人「にしてもよぉ、もう卒業だぜ?」
「そやな」
侑士「なんや、岳人。寂しいんかいな?」
岳人「ちげーし!俺はただ…早かったなって…」
顔を赤くしながら、がっくんが言う
亮「確かになぁ…」
亮ちゃんが頭の後ろで手を組む
「3年前はみんな可愛かったのにな!」
亮「はぁ?!」
岳人「どこがだよ!」
「がっくんとジローは今も可愛いか」
慈郎「嬉しくないC!」
ほんまの事やのに…
景吾「遅かったな!」
岳人「跡部?」
前方に跡部と樺ちゃんが立ってる
亮「お前、車はどうしたんだよ?」
景吾「アーン?卒業式だぜ?」
侑士「卒業式が関係あるんかいな?」
慈郎「なになに?」
「もしかして、跡部歩いて登校するん?」
岳人「はぁ?」
亮「跡部がぁ?」
驚くみんなに、不敵な笑みを浮かべる跡部
景吾「最後くらい、お前達と登校してやろうと思ってな」
侑士「へぇ。跡部がそんな事考えるなんて意外やわ」
「ほんまやで!樺ちゃん、おはよう!」
崇弘「ウス」
「萩之助はおらんのか…」
残念
侑士「リリ、頭に桜の花びらついとるわ」
「ほんま?」
侑士が花びらをとって見せてくれた
亮「卒業ってもよー、実感湧かねぇーよなぁ」
岳人「だよなぁ」
慈郎「でもでも!早くテニスしたいC〜!」
「そやな!高等部の新人戦あるもんな」
慈郎「そうそう!次も丸井君と試合当たんないかなぁ!」
嬉しそうに言うジロー
景吾「慈郎、次は負けんじゃねぇぞ」
慈郎「当然だC!」
「フフフ」
侑士「まだ入学もしてへんのに、えらい気が早いなぁ」
岳人「俺だって菊丸には負けねぇし!」
亮「お、長太郎!」
長太郎「宍戸さん!」
校門に長太郎と若
「おはよう!」
長太郎「おはようございます!」
若「…」
「若?おはよ!」
若「フン」
「テンション低!」
若「別に低くないですよ」
侑士「日吉、寂しいんやろ?」
若「俺が?!」
目を見開く若
岳人「何だよ、若ー!そうだったんかよ!」
がっくんが嬉しそうに若に飛びついた
若「違いますよ!何で俺が!」
長太郎「日吉、顔にかいてあるよ」
長太郎がニッコリする
長太郎「ね、樺地」
崇弘「ウス」
亮「そーいや、リリ」
「ん?」
亮「お前、いつ行くんだ?」
「あぁ、明後日」
岳人「明後日?!」
慈郎「マジマジ?!」
侑士「手続きもあるさかいな」
若「…」
長太郎「そっか…明後日なんですね」
景吾「何て顔してやがる。一生の別れでもねぇだろう。そうだろ?樺地」
崇弘「…ウス」
「そーや、そーや!ほら、行こう!跡部、答辞楽しみにしてるで!」
景吾「当然だ」
岳人「あんまなげぇと慈郎のヤツ寝ちまうから、短めに頼むぜ」
何でジロー基準…
式が終わり、テニスコートに来た
「まだ、誰も来てないんや」
3年間、色々あったな…
関東大会で負けて泣いたこと
全国大会出場が決まったこと
青学に負けて跡部が坊主になったな…
「あれは驚いたなぁ」
景吾「何がだ?」
「げ…」
跡部…
景吾「何だ、その顔は」
「いや、別に…」
あれ?跡部1人?
「みんなは?」
景吾「さぁな」
「跡部、ドイツ行くの?」
景吾「ん?」
「ほら、手塚君に言ってたやん?」
景吾「あぁ」
「そっか」
景吾「リリ」
「ん?」
景吾「なぜ高等部に進学しなかった?」
「言ってなかったっけ?」
ベンチに座ると、跡部も隣に腰掛けた
「あたしが居なくても、侑士はもう大丈夫やと思ってん」
景吾「アーン?」
「ほら、あたしと侑士って転校多くてさ。侑士って大人しいやん?姉としてはいつも心配でさ」
転校の多かった私たち姉弟
社交的な私と違い、侑士は大人しくて
なかなか新しい学校に馴染めへんかった
いつもいつも転校の度にお父さんに突っかかってる私と、何も言わへん侑士
『俺はリリがおるから、どこ行っても平気やで?』
東京への引っ越しが決まった時
侑士が言った
でも、本当は侑士だって寂しかったはずや
毎日、謙也に電話してた
「そんな侑士が、氷帝入って謙也への電話の回数も減って…みんなとテニスしてるのみて、侑士にも仲間ができたんやって思ってさ」
跡部は黙って話を聞いてくれてる
「お父さんはいつ転勤なるかわからへんくて、3年も異動なかった事自体珍しかってんけどさ、侑士がお父さんに初めて俺は氷帝の高等部に行きたいって言うてさ。あたし、嬉しかった」
あ、何か視界がぼやけてきた
「離れたくない…そんな仲間が侑士にできたって思ったら嬉しかった。この3年間はあたし達姉弟にとったら、凄く濃い3年間やった。部長は跡部やし」
景吾「どういう意味だ」
笑顔だけ返して立ち上がると、後ろにみんなが立ってた
「しょっちゅう家出して、家に入り浸たる岳人」
岳人「な、何だよ…」
「亮には無茶苦茶な特訓して怪我する度に手当てさせられたな」
亮「わ、悪かったよ」
「慈郎とは授業サボって一緒に昼寝したり、立海まで連れてかれたり」
慈郎「あはは…そうだったかなぁ」
「跡部にはいつも振り回されっぱなしやったし」
景吾「アーン?」
「長太郎とはピアノで連弾したよな」
長太郎「はい!楽しかったです!」
「樺ちゃんとはボトルシップ作ったり、バレンタインのチョコ作り手伝ってもらったり」
樺地「ウス!」
「若は生意気ばっかで、でも…次期部長として、凄く期待に応えようとしてるのが嬉しかった」
若「別に俺はそんな事してませんよ」
「これが、侑士の大切な仲間」
侑士「俺の仲間?」
景吾「お前だって仲間だろうが」
「うん。でも…ありがとう」
亮「はぁ?」
岳人「何言ってんだよ?」
慈郎「意味わかんないC」
「侑士をよろしくお願いします!」
頭を下げる
侑士「やめてや。そんなん…リリかて3年一緒におった仲間やん」
「侑士が心配で入ったテニス部やから」
侑士「?!」
「でも、侑士のおかげで…みんなのおかげで最高の学園生活やった。感謝してる。ありがとう」
若「リリさん」
「ん?」
若「俺は…」
若はそこまで言って黙る
「次は樺ちゃん、長太郎、若がこの氷帝学園中等部、テニス部を全国大会優勝させてな!」
長太郎「もちろんです!」
樺地「優勝するのは氷帝です」
「うん!みんなは高等部やな!」
亮「当然だ」
岳人「おう」
慈郎「リリはもうマネージャーしねぇの?」
「するよ!だから、次は敵やな」
景吾「お前の学校が全国大会出れればの話だろうが」
「するよ、バイブルがいるもん」
侑士「なんやて?!」
岳人「何だよ侑士?」
侑士「いや、リリ!女子校やなかったんかいな!」
あ…黙ってたん忘れてた
「実は…共学やねんな。バイブルだけじゃなくて…謙也もいたりして…」
侑士「はぁ?!」
景吾「知らなかったのか?」
侑士「だって!女子校やって!謙也の高校行くんかいな!」
「うん。謙也に約束したから。引っ越す時、高校は同じ高校行くからって」
侑士「なっ…」
「ごめん、侑士。二次推薦やったから謙也もまだ知らんねん」
侑士「な、なっ」
侑士の卒業写真は笑った顔が1枚もないという事は数年経った今でもネタにされている。
~もし、マドンナが~
氷帝のマネージャーだったら
ー終ー