放課後のお姫様
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四天宝寺テニス部の
マネージャーだったら
「ハイハーイ!並んで!並んで!」
蔵「リリ、何やっとるんや?」
渡「お!リリー!」
「あ!オサムちゃーん!」
渡「どや?」
「15ってところやな」
渡「15?!白石〜!お前あかんで!」
蔵「え?何が?」
渡「お前ほどの男が15て…もっとやれるはずや!お前ならやれる!俺はそう信じてるんや!」
蔵「え?え?」
「あたしも信じてる!」
オサムちゃんの隣に並んで頷くと、蔵ノ介は眉をしかめる
蔵「何をやれるん?」
「たかだか15人にキャーキャー言われて収まる男やないやろ!蔵ノ介は!」
蔵「な、なんかわからんけど…頑張ってみるわ!」
渡「せや!ファンサービスして来い!」
蔵「わかった!」
蔵ノ介はガッツポーズすると走って女子の集団の所へ行った
渡「これでバレンタインは丸儲けやな」
「あたし、蔵ノ介に悪い気するわ」
そう、もうすぐ訪れるバレンタインデー
蔵ノ介に贈られるであろうバレンタインのプレゼントを我が物にして
食費を浮かす作戦なんや!と、泣きつかれたのは3日前
なんでも、競馬でお給料全部使ったらしく
そーめんの日々を過ごしているとか…
「あ、そやった」
渡「ん?」
忘れてた!
鞄を漁るあたしを横目に見る顧問
「そーめんしか食べてへんねやろ?これ、お弁当」
渡「?!」
オサムちゃんが口にくわえてた爪楊枝を落とした
渡「おっおっおっ」
「ん?」
謙「その弁当は渡さんで!」
あたしの手からお弁当箱を奪う謙也
「あ!ちょっと!」
渡「何すんねん!返せ!」
オサムちゃんが謙也を追いかける
金「なんやの?あの2人」
「知らん。マリちゃんのお弁当なんか謙也毎日食べてんのに謎やわ」
金「え?あれ謙也君のお母さんの手作りなん?」
「せやで。オサムちゃん好きなんやて」
金「何それ!何それ!」
途端に小春が目を輝かせる
「昼顔展開にはならんから」
金「わからへんやないの!いやーん!どないしょー!」
「どないもせんでええわ。あ、そや!小春、バレンタインやけど」
金「なになに?とうとう本命渡すん?!」
千「なんね、なんね?リリ、好ぃとうやつおるん?」
「千里はあっちいってよ!女子トークするんやから!」
千里をシッシッと追い払うと悲しそうに背を向けて歩いて行った
金「ほんで?なんやの?」
「今年は何作るん?」
金「うーん…そやねぇ」
去年は小春と2人でみんなに作ってた
金「あたし…今年は1つかな」
「は?え?1つしか作らんの?」
もじもじしながら頰赤らめる小春
金「だって!出会ってしまったんやもん!運命の彼に!」
一「小春ぅ〜!そや!俺らは出会ってしまったんや!」
「ユウ君、多分違う」
一「違う?」
「現実を聞かされる前に立ち去り」
千里同様、ユウ君を追い払うとまだクネクネしてる小春に向き直る
「運命の彼って?」
金「いやーん!恥ずかしい〜!」
「…あ」
金「あれ?またおるな」
あたしの視線に気づいた小春
最近、毎日見かける女の子
蔵ノ介を囲む女子達から少し離れて
蔵ノ介を見つめてる
「声、かけたらええのに…」
金「声かけられへん内気な子もおるんよ。わかるわぁ…あの子の気持ち!」
「あっそう。でも、黙って見てるだけじゃ手に入らへんで」
金「それは彼氏おる人が言うてええ台詞ちゃう?」
「なっ!彼氏くらい!作ってやるわ!」
金「え?」
「決めた!あたし、バレンタインまでに彼氏作るわ!」
金「ちょっと待って!」
「何?」
金「殺されるからやめて!」
「は?」
金「リリちゃん焚きつけたとか…あかん!血の海しかみえへん!」
あたしの両腕を掴み、訴えてくる小春
血の海って…
「小春」
金「彼氏とか作らんとってーな!みんなのために!世界平和のために!」
「ちょっと待って、世界平和のためって?」
金「え?そんなん言うた?」
「言うた!どういう意味?」
金「やだ〜、怒った顔もカ・ワ・イ・イ♡」
鼻をちょんっとされたあたしは、日が暮れるまで小春を追いかける羽目になった
「あかん…明日絶対筋肉痛や」
謙「小春なんか追いかけるからや」
財「本気で追いかけるとかアホちゃいます?」
「うるさいな!小春が訳わからん事言うからやもん!」
蔵「訳わからんて?」
「あたしに彼氏できひん方が世界平和みたいな事言うねんで?酷くない?」
財「いや、あってますわ」
「え?」
財「先輩の彼氏なんかなったらDVに苦しむ羽目になる」
シレッと言う光
「DVなんかせぇへんもん!」
謙「そうや!リリはDVなんかせん!愛ある鞭や!」
財「謙也さん…ドMすっね」
光から発せられた言葉に、あたしと謙也は固まった
蔵「ま、まぁともかく!リリ、彼氏欲しいん?」
「え?うん」
謙「え?」
財「は?」
蔵「なんやて?」
「え?何?」
聞いてきといてその反応…
財「寝言は寝て言うて下さい」
「おい!財前どういうことや!」
謙「リリ!いらん!いらんで!」
「わっ、なに?」
光に掴みかかろうとしたら、謙也があたしの両手を掴んで喚く
謙「彼氏なんかいらんねん!リリには俺がおるやろ?」
「いや…彼氏と謙也はちゃうやん」
謙「一緒や!」
「何でやねん!」
蔵「も、もしかして…好きなやつおるとかちゃうやんな?」
控えめに言うてくる蔵ノ介に頷いた
「実は…いいひん事もなっ」
謙「聞きとうない!聞かへん!聞かへんで!」
謙也に口を塞がれる
財「謙也さん、かっこ悪すぎるわ」
蔵「誰なん?」
「え?……秘密」
あかん!顔が熱い!
謙「照れた顔が可愛すぎる!」
財「ちょ、鼻血とかやめろや!ベタやねん!」
蔵「あれ?」
財「ほんで?それ誰やねん?」
何でこいつ偉そうに聞いてくんの?
「だから、秘密やってば!」
蔵「…秘密の割にその鞄についとるキーホルダーでダダ漏れやないか」
蔵ノ介があたしのカバンについてるキーホルダーを指差した
謙「ん?!なんやこれ!いつの間に?!」
財「ほんまや。いつつけたん?てか、これ…氷帝のあの派手な部長っすよね?」
「がっくんにもらってん!いいやろー!」
がっくんが3Dプリンターがある!って言うから跡部君のキーホルダーを作ってもらった
謙也 「リリ…ま、まさかと思うけど」
謙也がワナワナ震えながら跡部君のキーホルダーを指差す
謙「跡部ちゃうやんな?」
「え?」
謙「跡部が好きとか言わへんやんな?!」
「やだー!照れるー!」
謙也の背中をバシバシ叩く
財「あんな規格外…規格内にしか収まれへん部長は相手にされへんから、諦めた方がええっすよ」
蔵「規格内てなんやねん!」
「今年は侑士、何個もらうんやろ!」
侑士は毎年、結構な数をもらってくる
しかも氷帝はお嬢様多いからいいチョコが多い!
それを分けてもらうのが楽しみ!
「今年はあたし、跡部君にあげるねん!」
謙「え?いや…手渡しもでけへんねんから、あげんでええんちゃう?それに跡部ってめっちゃもろてるやろ?いらんと思うで?」
「そっか…埋もれて食べてもらえん確率高いな…」
謙「そや!その点俺はリリからしかもらわんで!」
「いや、あんたにはあげへん」
謙「なんでや!なんでなんや!」
謙也には失敗作を食べさすねんからわざわざあげる必要ないやん…
「うーん」
蔵「どないしたん?唸って」
「跡部君の印象に残るチョコは何か考えてんねん」
蔵「え?あげるん?」
「あげるよ!」
蔵「リリ」
あたしの正面の席に座る蔵ノ介
「どしたん?」
蔵「俺、今年はリリからしか受けとらへんから」
「え?」
蔵「せやし、待ってる」
「あかん!あかんで!」
蔵「え?」
「えらいこっちゃ!」
オサムちゃんに教えな!
あたしを呼ぶ蔵ノ介を無視してオサムちゃんとこに急いだ
小「蔵りん、あれじゃリリちゃん気づかんで」
蔵「結構、勇気出したんやけど…」
小「はっきり言わんと、リリちゃんには伝わらへんよ」
蔵「そうやんなぁ…はぁ〜」
小「悩めるイケメンもええもんやね」
蔵「なんとかしてや」
小「なんとかって?」
蔵「わからん」
なんて会話を知らない私はオサムちゃんと2人、作戦会議を開いた
けど、結局いい作戦は思いつかず…
オサムちゃんに役立つと罵られた
役立つはお前もやろが!!
「えっと…」
謙「うわぁ…」
配送業者の手違いで、1日早く大量のバラが家に届いた
あたしと謙也は驚いて固まってる
「どうしよう?おすそ分けするから謙也も手伝って!」
謙「こんないる?こんなにバラいる?頭おかしいんか?」
謙也はブツブツ文句言いながらも凄い速さで近所にバラをおすそ分けしに行った
そのせいで謙也はバラの人と呼ばれる羽目になったと侑士に言ったら珍しく爆笑してた
「謙也〜、どうしたらいいの?これ、どうしたらええの?」
謙「ちょい待ちや」
レシピ本を謙也が読んでくれる
小春が手伝ってくれへんから、あたしはテニス部のみんな用にチョコ作りをしてたけど
量が多いから、謙也に手伝ってもらうことにした
「できたー!これを明日みんなに配る!」
謙「しんど…しばらくチョコ見たない」
ソファでグターッとなる謙也
「ありがとう、謙也」
謙「女子も大変なんやな…てか、まだ作るん?」
「謙也の分、謙也に手伝わす訳にいかんやん」
謙「リリ…」
「顔がウザい!なんなんその顔!」
嬉しいのか泣きたいのかどっちかにせーよ!
謙「てか、そのバラの形したのチョコ?」
「凄いやろ!跡部君にこれあげるんや!」
謙「どんなけバラ好きやねん」
「あたしは別にバラ好きちゃうけど、あんなにバラ送ってくるんやからバラ好きなんちゃうの?」
謙「知らん。その横のは何?キモい…」
蔵ノ介にあげるカブトムシの形をしたチョコを見て謙也が苦い顔した
「蔵ノ介、好きやん?カブ。やから、これあげるねん。今年はあたしのチョコしかもらわへんって言うからさ」
謙「なんやて?!」
「あたしあげへんかったら蔵ノ介一個もないやんか」
せやし、頑張ってみた
謙「蔵のやつ…ほな、俺も」
「謙也はいっぱいもらってや!侑士になんか負けたあかんで!」
謙「そや…あいつには負けたない!」
謙也は何か葛藤しながらも、今年こそは打倒!侑士で頑張るらしい。
そして迎えてバレンタインデー
いつもより早く部室に向かう
「あー!1番やと思ってたのに!」
蔵「おはよーさん」
部室にはすでに蔵ノ介がいた
「どうせいるなら教えてくれたらいいやん。これめっちゃ重いのに…」
みんなへのチョコが入った紙袋を机に置く
蔵「えらい数やな」
「そやろ?今年も平等にみんなに作ったんやから!」
どや!優しさの塊やろ!と、自慢気に言うと蔵ノ介は笑った
「今年一番最初に渡すのは蔵ノ介やで」
そう言って箱を差し出す
蔵「おおきに」
「蔵ノ介のは特別なんやで!」
蔵「え?」
「開けてからのお楽しみ!」
わくわくして箱を開けるの待ってると、蔵ノ介が近づいてきた
蔵「これからも、リリのしかもらわんから…次も、その次も俺にだけ特別なチョコくれへんか?」
ち、近い…
あまりにも近づいてくるから、心臓がドキドキしだす
「えっと…蔵ノ介?」
蔵「他のやつにあげるのはええけど、本命チョコは俺にちょうだい」
蔵ノ介のまつ毛長い…
「あの…」
蔵「リリ、好きや」
「ん?すき家?」
え?すき家?
蔵「え?」
「え?すき家って何?お腹空いてんの?」
蔵「なんでやねん!」
「こっちがなんでやねん!この流れですき家って何?意味わからんねんけど!」
蔵「こっちの台詞や。なんですき家やねん。好きって言うてんねん!」
なんか切れてるー!
なんで?
「なんでそんな怒って好きとか言うの?全然不明!」
蔵「俺が不明や!どんな耳してたら告白聞き間違えんねん。あーもう!」
「?!」
蔵ノ介はあたしを引っ張ると抱きしめた
蔵「俺の彼女なって。嫌って言うてもなって」
「なにそれ…選択制ちゃうの?」
蔵「みんなでおる時はマネージャーでええから。2人の時は俺の彼女でおって」
ぎゅーっとされて、蔵ノ介の顔が見えへん
「蔵ノ介」
蔵「好き」
「いや、あの」
蔵「好きやねん」
「強引すぎて混乱してるんやけど…」
蔵「俺のこと嫌い?」
やっとあたしを見た蔵ノ介
「その質問はせこくない?嫌いな訳ないやん」
蔵「ほな、付き合ってくれるやろ?」
「無理強いしてくる女子苦手な割にめっちゃ強引やな」
蔵「リリにはこれくらいでいかなあかんて小春に言われた」
「小春…」
相談する相手まちがってる
「あのさ、どうせならちゃんと告白して欲しいんやけど」
蔵「ちゃんとって?」
「ちゃんとやん」
蔵「好き」
「いや…うん」
蔵「リリ、好きやで?」
「うん」
あかん、照れる
蔵「俺のもんなって」
頷くより先に、蔵ノ介の顔が近づいてきて目を閉じた
一「ハッピーエンドか?」
小「ユウ君!最後まで見届けさせてよ!」
突然、ドアが開いてユウ君と小春、その他もろもろのみんなが居た
蔵「あー」
蔵ノ介が肩を落とす
謙「蔵!リリは渡さんからな!」
小春に押さえつけられてた謙也が意気揚々と入ってきた
一「リリ、蔵でええんか?今ならまだ間に合うで?」
小「ちょっとユウ君!何言うてんのよ!」
光「部室で何しとんねん」
「蔵ノ介」
蔵「ん?」
「よろしくお願いします」
そう言って微笑んだら、謙也は暴れ出すし
銀ちゃんはお経あげ出すし
てんやわんやで大変やった
〜もしマドンナが〜
四天宝寺テニス部のマネージャーだったら
ー終ー