俺のマドンナ
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12歳の春の日
俺は
恋をした
初めて彼女に会ったのは
テニスコートだった
フェンス越しに食い入るように
俺を見つめていた
その視線に射抜かれたような衝動が身体に走った
真田が声をかけているのを見て
なぜか焦りを感じた
試合を急いで終わらせ
2人に近づく
幸「どうしたの?」
真「幸村、終わったのか?」
真田は俺に気づき、少し安堵の表情を浮かべた
幸「うん、待たせたね。彼女は?」
彼女は少し緊張したような顔で俺を見つめている
真「忍足…リリだったか?」
「へ?あ、うん。どうも」
幸「忍足リリちゃんか…俺は幸村精市。」
そう言って手を差し出す
「よ、よろしく」
俺より少し小さい手が伸びてきて、俺の手を掴んだ
幸「ここの生徒なの?」
「ううん、あたし…下見に来てて…」
下見…か
幸「そうなんだ。じゃあ、また会えるね」
「へ?」
幸「来年。楽しみにしているよ。行こうか」
真「あぁ」
「あっちょっ」
少し、強引だったかな
でも、彼女とはまた会える気がしたんだ
ー入学式ー
幸「彼女、いるかな?」
真「彼女?誰のことだ?」
幸「ほら、前にテニスコートで出逢っただろ?」
真「テニスコート?…あぁ。確か、忍足だったか?」
幸「そうそう」
真「入学してるのか?」
幸「どうだろう?でも、彼女はいる気がする」
真「そうか」
でも、彼女とは会えなかった
人数が多いから、居ても会える確率は低いとは思っていたけど
幸「各クラスの名簿借りて来ようかな…」
さすがに教室を回るのは無理だし
なんて、考えながら
テニス部へ
もしかしたら、テニス部にいるかもしれない
真「どうした?」
キョロキョロしてると、真田が不思議そうに聞いてきた
幸「いや…」
居ない…か
確信が少しずつ揺らぎ始める
こんなことなら、連絡先とか聞いておけばよかった
いや、そんなことできない
幸「はぁ」
真「?」
丸「あぁ!もう始まってんじゃね?」
「ほんまや!てか、人多いな!」
幸「?!」
聞き覚えのある声がして、振り返ると人垣の向こうに彼女の姿があった
赤い髪の男の子と一緒だ
桑「ブン太!」
丸「ジャッカル」
桑「遅かったな」
丸「悪りぃ、悪りぃ」
桑「リリ?何でお前が?お前も入部希望か?」
「あ、えっと…」
丸「マネージャーになるんだと!な!」
「え?あ、うん…募集してたら…」
丸「してなくても頼んでみよーぜ!ジャッカルも頼んでくれるよな?」
桑「俺も?」
知り合い…なのかな?
なんだか、凄く親しそうだな
桑「とにかく、入部届けもらって来い。お前の分は貰ってなかったからな」
「うん」
彼女が近づいてくる
心臓の音がうるさく感じる
「あの…すみません」
「ん?」
「入部届け欲しいんですけど…」
「入部届け?女子はこっちじゃないよ?」
「あの、マネージャー希望で…」
「マネージャー?悪いけど、マネージャーの募集は」
幸「いいじゃないですか」
「?!」
幸「彼女を誘ったのは俺です」
「幸村が?」
幸「ね、リリ。全国制覇を目指すのに、サポートしてくれる人がいた方が俺たちも助かりますし」
「あの…幸村君…」
困ったように俺を見るリリに笑いかける
幸「また、会えたね」
「う、うん」
幸「俺たち専任でも構わないので入部させてあげて下さい。真田もいいよね?」
真「ん?う、うむ…」
「ま、まぁ幸村が言うなら…」
幸「ありがとうございます。はい、入部届け」
「あ、ありがとう。先輩!ありがとうございます!」
リリは頭を深々と下げた
幸「ようこそ、立海テニス部へ。まぁ、俺も今日からだけど」
そう言うと、リリは笑顔になった
「あたし、頑張るから!」
幸「俺達も頑張らないとね」
真「あぁ」
「改めて、よろしく!」
幸「よろしくね」
「うん!あ、桑原くーん!幸村君、後でな!」
リリはそう言って、走って行った
幸「楽しくなりそうだね」
真「ふん」
リリの後ろ姿を見ながら、絶対に全国制覇成し遂げると誓った
first loveー幸村精市ー