第二章 本編



その日学校からの帰り道、蓮は気になっていることを龍真に話した。
それは自分の両親のことだ。
龍真のところは幼馴染からの結婚で今は喧嘩もするようだが、でもとにかく一緒に居て賑やかな家族である。
それに比べて蓮の両親は、父は母をそれは大切にしている。
仲の良い夫婦というには度がすぎている、そんな印象を抱く。

「いいじゃん、俺のところなんか結婚した当初より大分変わってるぞ。母親なんか、父親に(毎日残業だなんて、絶対嘘でしょ!わかってるんだから!この、浮気者!!)
とか言って騒ぐし、だからその日は家から避難」
「はは、なんだよそれ」

指で目尻を吊り上げて母親の真似をする友人に笑ってしまう。

「でも……そうだな、浮気とかは絶対、無いな」

家での様子を想像する。喧嘩なんて絶対にあり得ない。

「それだけ母親のことを愛してるんだよ、蓮のお父さんは」

良いことじゃないかと励ましてくれるけど、やはり腑に落ちない。
これも《運命の番》というものが関係しているのかも知れないが……
蓮自身には信じられなかった。
その話題で盛り上がっていると、ちょうど交差点、信号の手前で車が止まった。
しかも立派な黒塗り車。
隣の龍真が息を飲む。

「これってもしかして、ヤバい人たちかな……」

でも蓮はさほど驚きはしなかった。だってこの車には見覚えがあったから。
付き人と思われる人がガチャリと車の後部座席のドアを開けると、一人の男性が出て来た。
白髪の初老ではあるが、その姿から誰にも寄せ付けないオーラがあった。

「久しぶりだね、蓮」

龍真がハッとこちらに目を向けるのがわかった。

「お久しぶりです……お祖父様」





     ※※※

蓮が車に乗って去った後、龍真は焦っていた。
祖父、と言っていたがあれが孫に向ける態度だろうか?

(何かよくないことが起こりそうな気がする)

ポケットに入れていたスマホを取り出すと、ちょうど親からメッセージが入っていた。

‘’帰りスーパーでトイレットペーパー買ってきて‘’

いつもならはいはいと返信して買いに行くのだか、今日は違う。
メッセージ画面を消して、アドレス帳を開く。
以前、電話番号を聞いたことがあったので、このときばかりは良かったと思う。
スクロールして、目当ての名前にいきつく。
そして、発信ボタンを押した。
呼び出し音が鳴る。
3回呼び出したあと、相手は出た。

「もしもし、龍真さん?」
友人の声によく似た声質。

龍真はゆっくりと名前を口にした。

「蒼、蓮が連れて行かれた……」
「なっ、誰に」
「蓮のお祖父さんって人に……」

電話の向こうの彼も、驚きを隠せないでいるようだった。















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