二人の甘い時間
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食後の落ち着いたひと時、
別れましょう、と彼女は言った。
何を言われたかわからなかったので、確認のためにもう一度聞いてみる。
「どういうこと?」
動揺していたが、できるだけ落ち着いて問う。
けれど返事は先程と同じく、樹自身を突き離す冷たい言葉だった。
「私とあなたとは生きる世界が違う。もう疲れたの。さようなら」
その言葉だけを残し、彼女が一緒に過ごした家を出ていく。
追いかけたいのに何故か身体が思うように動かない。
早く、早く彼女の手をつかまえておかないと。
思えば思うほど、手足が鉛のように重くなっていく。
虚しくドアが閉まる。
彼女は去った、目の前で。
膝から床に座り込む。
一番大切な人を失ってしまった。
嘆くことしかできない彼を、暗闇が包んで行く。
「……っ、どう、して」
言いようのない空虚感が樹を襲った。
※※※
目が覚める。
辺りは真っ暗で夜だとを理解した。
寝汗がひどい。
そして何より身体が動かない。
身をよじろうとして気がついた。
隣に眠る彼女を。
ああ、《夢》だったんだ。
身動きできなかったのは、彼女が樹を抱き枕のようにして抱きしめて寝ていたからだった。
「……だから動けなかったんだ」
ふふふと笑ってしまう。
そっと抱きしめられている腕や足を解き、樹は彼女の寝顔を見る。
安心しきった無防備な顔で、きっと幸せな夢を見ているのだろう。
口元が笑っている。
一体どんな夢を見ているのやら。
解放された身体を彼女の方に向け、微笑ましく見ていると、何やら寝言を言っている。
「ふふ、松崎さん。お身体お大事に……」
松崎さん?
誰だ?
お大事にという言葉が出たがそれは仕事先の患者の名前か?
一気に不安になる。
「叶斗くん、かっこいいね……」
「……」
このワードはもう男に違いない。ましてや患者でもない。
彼女は浮気をしているのか?
起こして問い詰めたい。
我慢できなくなった樹がまさに彼女を起こそうと肩に手を置いたときだった。
「でもね、私の旦那さまは世界一なの。大好きにゃの……」
むにゃむにゃと寝言を言いながら寝返りをうってきた。掛布が彼女の身体から外れてしまう。
ーああ、そんな可愛いこと言われたら寝込みを襲ってしまいそうになるー
そっと掛布を彼女にかけた。
相変わらず幸せな夢を見続けているのだろう。
「夢の中の登場人物は、俺だけで充分だ」
彼女の額にかかる髪を指先で避け、優しくキスを落とした。
彼の独占欲と執着が、次の日に爆発することになる
なんて彼女は知る由もないだろう。
END