本編
研究室についた樹は瑠偉に促され、部屋にある椅子に腰掛けた。
瑠偉は研究室の一番奥の棚から大きめの瓶を持ってくる。
中には乳白色で楕円形の錠剤が入っていた。
カタンと音を立てて瓶を机の上に置く。
「これは僕が独自で研究し開発した、番の解消薬だ。番を解消するには、その躰に張り付いた番同士の絡み合う根、つまり繋がりを解かなければならない」
これはその解くための薬だと晴人はいう。
治験者はいないのでどれくらいで効果があるかわからないが、長ければ一年以上かかるかも知れないとのこと。
一日一回、必ず服用することで、徐々に躰から番の絡みを紐解くことができるのだという。
そしてもう一つ彼が手にしたのは、小さな白の錠剤の入った小瓶だった。
「これは?」
樹が問うと、瑠偉は話す。
「こちらは番相手に飲んでもらう分になる。片方だけが紐解けても、絡み会う繋がりは容易には解除できない。この薬は緩やかに紐解く効果がある」
つまり樹と似たかたちで番の、相手側の繋がりも解いていくようだった。
「だが、番の相手に君がどうやって飲ませるかが問題だ」
瑠偉はそこが難点だと頭を悩ます。
樹は考え、そして一つの策を晴人に伝えた。
「番の相手には、躰が休まり、子ができやすくなる薬だと言い聞かせます」
きっと樹の言葉に、番の相手も耳を傾けてくれるだろう。
そして、番解消薬と同じく避妊薬も晴人から受け取った。
「二つある薬の服用方法は、用法、容量をきちんと守って欲しい。守ったとしても、リスクは避けられないが」
つまり副作用が大きいとのことだった。
番相手の方は緩やかな為、さほど気にしなくても大丈夫だとのこと。
樹は二つの瓶を手にする。
「樹くん、定期的に僕のところに様子を伝えに来て欲しいが構わないかい?」
「はい、わかりました」
瑠偉に告げ、樹は本日からその薬を番相手に飲ませるようであった。
樹の長い、番の解消方法が始まったのだ。
彼が研究室を去ったあと、瑠偉はスマホを開いた。
そこには幸せそうに映る瑠偉と華の写真。
樹くんの実験が成功したら……
「必ず迎えにゆくから、華、待っていて」
瑠偉はスマホ越しに愛しい彼女に口付けをするのだった。
続く。