フェイルアーの恋
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二度目のこい
みんなは何処かへ出かけたらしく、二人きりになったのを図ったかのように003が声をかけてきた。
「ねぇ、フェイ」
「なーに?」
「コハルって…フェイの名前なの?」
「っな、んで」
何処でそれを。と動揺したがアルベルトがペラペラ喋るようには思えない。とすると二人で話してる所を聞かれたのか、もしくは彼女の耳で意図して聞いたのか。
「気を悪くしたならごめんなさい…004が好きか聞いた日、あったじゃない?二人が出てった後ね、」
「聞いてたの!?」
「…えぇ、ごめんなさい。気になっちゃったから…聞こえてしまったの…」
「003なら…いい、けど……は、恥ずかしい…」
かぁっと顔に熱が集まって意味がないと分かりつつもパタパタと扇ぐ。好きがどうとか、キスがどうとか、あんな会話を聞かれていたなんて……この際もう名前なんて二の次だ。
「二人、お似合いだと思うわよ」
「うーん、ありがと…?」
「その話もしたいんだけど、あのね…私もコハルって呼んじゃ駄目かしら」
「…いいよ。その変わり、003の名前も教えて?」
アルベルトのお陰でもうあんまり無いけれど、名前を呼ばれる恐怖心を確実に克服するチャンスだし。少し前の自分ではさぞ吃驚するだろう速さで了承して003の名前を聞き出した。フランソワーズ。うん、しっくりくる。
「どうしてキス、拒んだの?」
「…その話する?」
「えぇ!」
「…分かった。じゃあ聞かれたことには答えれる範囲で答えるから、もう前みたいに聞かないでね?恥ずかしいから」
「もちろんよ!」
両手を合わせてにこにこ笑う彼女の可愛さに軽く目眩がした。いい相談相手ができたと思えば、まぁいいか。どうやら私は恋愛初心者と言うやつらしいし。大抵の事は計算して予測できるし経験しているつもりだったがこればかりはたったの一回しか経験していない。
その…ほっぺたにキスされたのだってあれが初めてだったし…(おじさま方のご挨拶はカウントしないものとする)
「でも、あの場で断る理由無いじゃない。とってもいい雰囲気だったもの」
「んん、で、でもね?好きって気持ち、もっと知りたくて」
「まぁっコハル自分で言ってたじゃない。満たされているのに物足りな」
「あー!あー!あーー!そうだね!!言ったね!!」
「それって好きって気持ちだわ。そもそも二人って付き合ってるんでしょ?」
付き合ってる…?抱き合って…キス、しそうになったけど、好き(意味が違うけど)って言ったのは私だけだし。どちらかと言えばアルベルトは終始私をからかっているかのような態度で…その割には好きと言わせたがる。…ん?…あれ?うそ
「私遊ばれてる!?」
「ちょっと、どうしてそうなるのよ!」
「だって!私アルベルトの気持ち、知らない…」
「え?」
なんだろう、このもやもやした気持ち。アルベルトが私の事を好きじゃないと嫌なの?ふつふつとこみ上げる感情に肩を落とした。そうだ。だって彼には大切な人がいるじゃないか。無くしてしまわぬよう鼓動の止まった彼の手から指輪を抜き取って、改造後に目を覚ましてから指輪を渡したのは…この私だ。
私が彼を忘れられないように、愛しているように。きっと彼も彼女を愛し、忘れられないだろう。
「…やっぱり、からかわれてるだけなのかな」
「どうしてそう思うのかは知らないけど、004に限ってそんな人の気持ちを弄ぶような事しない思うわ。」
「そう、だね…」
何だか悲しくなって来てしまった。こんな感情初めてで、自分が分からないなんて戸惑ってしまう。今アルベルトの顔を見たら泣いてしまいそうだ
「これが好きって気持ちなの…?」
「コハル……」
「ちょっと部屋に戻るね。頭の中整理してくる」
「…えぇ。分かったわ。いつでも相談にのるからね」
フランソワーズにお礼を言って部屋に戻る。ベッドに塞ぎ込むとアルベルトの顔がチラついて胸が痛んだ。…この痛みは彼の時と少し似ている気がした。やっぱり、私はアルベルトが……?
抱き締められるのも、キスされたのも少しも嫌ではなかった。ううん、嬉しかった…?…うん、アルベルトが私の事を好いてくれて居たら、とても嬉しい。
これはやっぱり、恋…なのかな
とんとんとん、
気づけば部屋は夕日に赤く染められていてドアの向こうからはアルベルトの声がする。目頭がじんっと熱をもった。中々返事をしない私にアルベルトが探るように何度も名前を呼んだ。
「アル、べ…ルト…」
きっと聞こえていないだろう。それなのにアルベルトはドアを蹴破る勢いで入ってきてくれた。ぽたりとシーツに染みを作る。体が震えて動かない。息が苦しい。
「コハル!どこか痛むのか!?コハル!俺の声が聞こえるか!?」
「ぁ…あ…る……べ」
聞こえてるよ。胸も頭も酷く痛むの。そう伝えたいのに声が出ない。あれ、おかしいな…まさかこれは…?気がついた時には既に意識は暗闇に落ちていた。
2018/04/19
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