フェイルアーの恋
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あなたとわたし
「あれからどうなの?」
「うーん」
「あら?惚気が聞けると思ったのに」
お茶を飲みながらおやつを食べて、フランソワーズに根掘り葉掘り聞かれる。というのが日常になりつつある。それはもう恥ずかしい事この上ないが耳を欹てられるよりはよっぽどマシなので話をする。
「国でね?恋愛観って違うじゃない?」
「んー、まぁそうね」
「それでね?色々調べたの。…日本人はね、この人と決めた人としかキスも、…セックスもしないのよ」
「へぇ。日本人ってやっぱり義理堅いのね?」
「だから私としては付き合ってもないのに…こう、過度なスキンシップは困っちゃうというか…」
「あら、まだしてなかったのね?あんまり二人が仲いいものだから私ったらてっきりもう」
「するって何!?」
「なにってセ」
「やっぱり言わなくていいよ!!」
クッキーを食べて紅茶を飲む。この手の話になると顔が赤くなってしまう。恋人として思われていなくても沢山キスされるのは、その可能性があるという事って言うのはわかるけれど。日本人としての強固な固定観念が曖昧な関係で口付けを許すなんて!と悲鳴をあげる。
「なるほどね…この前はコハルがなんで悩んでたのか分からなかったけど解決したわ」
「うぅ…私としてはやっぱり一番好きな人のために操を守り通したいし、相手にもそうであって欲しいって思ってしまうの。でも向こうはキスも…それ以上の事も…そこに辿り着くための大切な過程って事も理解してるの。理解してるけど!」
「ごめんなさい、みさおって何?」
「へ?…あぁ、そうだな…純潔、というか、うーん。生涯貴方だけにしか体を許しませんっていう誓いみたいな」
「じゃあ004にもその誓いを立てて欲しいの?」
「それは…」
そうだ。と言いたいが、歩み寄れない私が歩み寄ってくれ!なんて言えない。自分勝手に主張してしまうのも違う気がする…
「そもそも思想が違うのに、強要なんてできない…」
「ふふっコハルは真面目ね」
「え?」
「沢山迷って悩んで004に歩み寄ろうとしてる。彼の気持ちも、きちんと大切にしてる。それで十分よ。」
「そう、なのかな…」
「あぁ、でもあんまりぼーっとしてるとあっという間にベッドの中かもね」
「それは困る!」
ベッドの中にいるのを想像してしまって慌てて首を振る。彼に抱き締められるのも、キスをされるのも…その、…嫌いではない…ただもしその先を望まれるのなら恋人でありたいと思ってしまう。
「これって変なこだわりなのかな…」
「いいえ。人それぞれ大切にしているものは違うもの。自分の大切なものを相手にも大切にして欲しいと思うのは当然の事よ」
「…うん。ありがとう。話したら楽になった」
「いいのよ。いつでも相談に乗るって言ったでしょ?」
ぱちりとウインクをするフランソワーズはとても絵になる。彼女に相談して良かった、と私も微笑みを漏らした。
すると開いた戸にゾロゾロと皆が入ってくる。002がドカリと隣に座って私の目の前にあったティーカップに口を付けた
「あ、ちょっとそれ私の!」
「良いだろちょっとくらい」
「もー」
別に気にしていないが一応不満を口に出しておく。するとくしゃくしゃと手荒に髪の毛を撫でられる。髪の毛が絡まるのが嫌で慌ててその手を捕まえた
「ちょっとちょっと!髪の毛絡まる!」
素直に辞めてくれた手をぺちちちっと軽く叩いて彼の膝に戻した。昔はもっとつんつんしていて、取っ付きにくかったけどそれでも可愛げがあったのに今ではそれも息を潜めている。ちょっぴり意地悪だ。
「昔はあんなに可愛かったのに」
「はぁ!?」
「ほら、産まれたての小鹿みたいで」
「ッ!あれは科学者共の整備が下手くそで俺のせいじゃッ」
「あっはっは!」
「笑うんじゃねぇ!」
「ごめんごめん」
改造後に足をぷるぷるさせて必死で立っていた002を思い出し笑い過ぎて吹き出た涙を拭いながら謝った。名前を呼んでもこっちを見てくれない002にクッキーを餌付けして何とか機嫌を取る。
フランソワーズはいつの間にか席を立ってアルベルトと…ってちょっと待て何話してんの!?このタイミングで!!話を中断させてやりたかったけど声をかけようにも内容が思い付かない。
私の視線に気付いたのかフランソワーズがウインクをくれた。いや!そうじゃなくて!何を話しているのアルヌールさん!
「…はぁ」
「…どうしたんだよ」
「なんか疲れちゃった」
「身体、良くなったんじゃ無かったのか」
「そっちは大丈夫。んと、気疲れ?」
全てを諦めてソファにだらりと身体を投げ出して天井を見る。もうどうにでもなれ…
心配してくれる002に少しだけ胸を痛めながら目を閉じる
「…横になるか」
「え?膝枕してくれるって?」
「、…あぁ、いいぜ」
「ははっごめんごめん……え?わっ」
「休んでろ。まだ新しいパーツ、馴染んでないんだろ」
「ん…ありがとう」
無理矢理腕を引かれて002の膝に倒れ込んだ。どういう風の吹き回しかと思ったが眠気がやってきたので甘える事にする。優しく梳かれる髪が気持ちが良い。なんだ、ちゃんと優しくできるじゃないか。
「あら?フェイ眠っちゃったネェ。夕飯手伝ってもらう思てたのに」
「おや、002の膝の上とはまた怖いもの知らずな姫さんだ」
「うっせー」
「(いいの?あれ)」
「(いいと思うか?全く何考えてんだか)」
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