フェイルアーの恋
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きゅすみっひ
あれからやけに004と一緒にいることが増えた。隙あらばキスしようとしてくるのでお陰でちっとも気が休まらないでいる。
「コハル、」
「ぁっ…や…待って」
「ダメだ」
「ん、」
と。まぁこんな感じなのである。こんなペースじゃ心臓が幾つあっても足らない!だいたい距離が近すぎる!キス魔め!
「はひ…しぬ…」
「キスで死なれちゃ困るな」
「だ、だからね?私のペースで」
「いつだって、今が最良の時だお嬢さん。それに充分コハルに合わせてる」
「どこが!?」
アルベルトに口では勝てない。しかしどうにかしないと私の心臓が持たない。別にキス自体が嫌だとか言ってるんじゃないんだからちょっとくらい加減してくれたっていいのに!
「アルベルト、私…その…こういうの初めてだから…」
「知ってる」
「…数を減らして」
「既に最小限だ」
隙あらば口付けてくる癖になにを!と思ったが子供みたいなキスと言う言葉を思い出した。あれが子供扱い…外国人のあれそれはどうなってんだ!ドイツ人はパーソナルスペースを守るんじゃなかったのか!
「…子供のキスってやつ?」
「あぁ、そうだ」
「そんなに違うの?」
「なんだ、興味あるのか」
「ないよ!今のところは!」
急に身を乗り出して来たので慌てて否定する。あれ以上のキスなんて想像すら出来ないけどきっとそのままでいいんだ。あの先を考えると…実は少し怖い。だってアルベルトはキスを終える時必ず下唇に噛み付いてくる。そうするとぞわりと知らない感覚が頭を擡げて怖くなる。
「……アルベルトが噛み付いてくるのに意味はあるの?」
「…やっぱり興味あるんじゃないか」
「少し…でもちょっと怖いの。知るのも、知らないのも怖いの」
「怖くないだろ?俺がいる」
「そう、なんだけど…」
なら、と腰を抱かれて距離を詰められる。怖くないってこと、教えてやる。そう言われて唇を寄せられ体に力が入る。触れた温もりに手に力を込めるとアルベルトの手がそれを咎めるように開かせた。そうして絡んだ指先に胸の奥がきゅうっとする。
「怖くないように俺が抱き締めてるから、力を抜くんだ」
「ん、ぅ…ふ」
「気持ちい、だろ」
「…ん、ふ…っ…」
優しく響くアルベルトの声にあっという間に力が抜けてなんだか気持ちいような気がしてくる。唇から溶けてしまいそうな、そんな感覚だ。何度も角度を変えながら時折息継ぎの時間をくれていつもより長いキスを受ける。
「…は、ふっ…ん、っぁ、やっ!」
「…大丈夫だ」
慣れた頃に不意に唇を甘噛みされ距離を取ろうとするがぎゅっと抱き込まれて叶わなかった。アルベルトが柔らかく歯を立てる度にぞわり、ぞわりと這い上がってくるそれから助けて欲しくて握り締めた手に力を込めた。
噛まれて舐められる。それに体が反応する度にアルベルトは強く抱き締めてくれた。
「は、んぅ、!ふぁ…んうぅ!」
息を吸い込んだ瞬間口の中にアルベルトの舌が入ってくる。ざらりと舌を舐められると初めての感覚に飛び上がりそうになった。すっかり涙目になり怖気づいた私を逃がすまいと舌に吸い付いてそこにも甘噛みをしてくる。
「んふぅ!んっ、んぅ…ッ」
アルベルトが与えてくる刺激に合わせて腰がぴくり、ぴくりと疼いた。なんだ、これ…
歯列をなぞられ上顎を舐め上げられると益々それは強くなって。口ごと飲み込まれそうな口付けに私の脳味噌は完全に蕩かされてしまった。
「んうっ…んく、………ふぁ」
最後に一層強く舌を吸われそのまま離れるとちゅうっとなんだかいやらしい感じの音が響いた。力が入らなくなった体を完全に預けてアルベルトの首筋に額を寄せる。
「大人のキスの感想は?」
「は、ったべ…られる、かと…おもった」
「食べてやってもいいんだが…それはまた今度だな」
「た、たべないでよ!」
「………」
「え?食べないでしょ?」
はぁ、と息を整えてアルベルトを控え目に見上げるといつもと変わらない涼し気な表情をしている。どうして私はこんななのにアルベルトは何ともないんだろう。
「アルベルトは平気そうね」
「そりゃあ大人だからな」
「今ばかにしたでしょ!」
そっぽ向いてやりたいが涙を拭ってくれているから動けない。二十歳過ぎで経験ないの、そんなにおかしい事なのか。そりゃあ周りの子はどんどん結婚して、子供がいたけど私は彼以外では考えられなかったし…んむむ…いや、年齢的にはまだギリギリセーフでしょ!
「いいや、コハルはそれくらい初心で素直な方が魅力的だ」
「初心…無知ってこと…?私そんなに世間知らず?」
「そういう意味じゃないさ」
「うーん…」
キスに大人とか子供とかがあったのはそりゃあ知らなかったけど男女のあれそれはもちろん知ってるし。…経験ないけど。そういうのが初心なの?…分からん
思考を巡らせているとスキありと言わんばかりアルベルトがキスをしてきた。
「、もう!そんな息するみたいにする!?普通!」
「するだろ?」
「しない!しないよ!日本人しない!ヤマトナデシコ!009に聞いてきなよ!」
「009はこんなに気軽にキスしないって?」
「…うん!…あれ?寧ろ気軽にしそう」
「今、009のキスを誰で想像した?」
「へ?」
「お仕置きが必要だな、コハル」
「え!?違う!違うよ!?」
「俺の腕の中で違う男のキスを想像するなんて」
「あ、アルベルトが話振ったんでしょ!?」
近づいてくる薄ら笑いに精一杯抵抗したが呆気なく口付けられると私は直ぐに諦めた。
2018/06/19
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