フェイルアーの恋
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Küss mich
「もう時期目を覚ますじゃろう」
遠くにギルモア博士の声が聞こえる。あれ?なんで私眠ってるの?ゆっくりと目を開けるといつもよりクリアな視界に首を傾げる。あれ?こんなに良く見えたっけ?
「フェイ!」
「おぉ、目を覚ましたか。フェイ」
「ギルモア博士……私は…?」
「基地で爆風を何度も間近で浴びたせいじゃろう。ネジが数本飛んでおった。ついでに動きやすいよう新しいパーツを試してみたんじゃが…気分はどうかな?」
「視界も頭も、なんだかすっきりしています」
「それは良かった。004が気付かなければとんでもない事になっとったわい。彼にお礼を言っておくんじゃな」
「はい、ありがとうございます」
博士が去った後ふぅ、息を吐いて額に手を当てる。すっきりしすぎて逆に疲れる。早くなれないと。フランソワーズを見ると心配気に瞳が揺れている。
「コハル、ごめんなさい。私全然気が付かなくて…苦しかったでしょう?」
「んーん。私も気づいたのはアルベルトが来てからだから。寧ろそっちのが奇跡かもね」
何でもないと言うように笑って見せればフランソワーズも笑ってくれた。ベッドから降りようとするとまだ寝ているように言われたが体の調子を知りたかった私はフランソワーズを押しきって床に足をついた。
何だか体も軽い気がする。歩いて確認してみるとまるで別人のように動くものだからつい調子に乗っていると足が縺れて体が傾いた。
「ひゃッ」
「コハル!」
「、おいおい。頼むからこれ以上寿命を縮めないでくれ」
「ア、アルベルト…ありがとう…」
柔らかい衝撃に収まった先は丁度部屋に入ってきたアルベルトの腕の中だった。この前までは平気だったのになんだかちょっとドキドキとくすぐったい…じゃあ昨日も感じたドキドキはネジが外れていたからじゃ無いのか…
「じゃあ私は皆に知らせてくるわね」
「うん、ありがとうフランソワーズ」
戸がしまった途端はぁーと大袈裟なため息が降ってきた。未だに離してくれない腕を見つめて顔を見られないようにする。ダメだ…ドキドキしておかしくなりそうだ
「あの、部屋に飛び込んで来てくれてありがとう。も、もう大丈夫だから」
「何が大丈夫だ、全く。コハルを置いてっちゃあおちおち出かけてもいられない」
ぎゅうっと力強く抱き締められる。うわ、なんだこれ…ドキドキでクラクラして、気持ちが良い。思わず抱き返すと頭を撫でられる。擦り寄りそうになってハッと我に返った。
「!あのね?新しいパーツとの相性がよかったのかとっても体が軽いの!試してみたいから離してく」
「コハル、」
「な、に」
言葉を遮られて真顔で見つめられる。あれ、あれ?アルベルトがかっこいい。なんで?いつも見てたのに急にこんな風に思うなんて。
「顔が真っ赤だ」
「っ!?いやっあの、えっと!!」
「……照れてるのか」
「照れてないよ!!」
「抱き締められて?」
「照れてないよ!!」
「……へぇ。照れてるのか」
「照れて!!ないよ!!」
アルベルトの視線に耐えれずにそっぽを向くが楽しげな声が増すばかりで逃げられない。仕方なくアルベルトの胸に顔を押し付けた。
「003から聞いた」
「なにを」
「俺の事が好きで好きで堪らなくて悩んでるって」
「何聞いたの!?言ってないよ!!??」
勢いで顔を上げてしまったのがいけなかった。アルベルトの顔がぼやけるくらい近くにあって。彼の唇が私のそれに掠めた。
「!!!!!」
「おっと。逃がさないぜ」
「まってっ」
「待てないな」
「っ」
「…コハル、目を開けてみろ」
「?、っ!!!!!」
また唇が触れると思った瞬間目を力いっぱい閉じれば優しい声で名前を呼ばれて、言う通り目を開けると唇を奪われた。なんて男だ!不慣れな女の子に対してする事か!声を大にして言いたかったが開こうとした瞬間また口付けられる。
「ん、ゃ…まっ…」
「待ったら、コハルから…してくれるのか?」
「ぅ…ん、…ふ、っ!」
器用に喋りながら降ってくるキスにこなれ感があってちょっとムカついたがそんなのにいちいち構ってられない。こっちは息をするのも精一杯で。アルベルトの歯が下唇を噛んだ時、背筋がぴくりと震えてようやく甘い雨から解放された。
「は、っ…ふ…ぅ…」
「こんな子供みたいなキスで息が上がってちゃいつまで経っても大人にはなれそうにないな」
「こ、こどもも、こんな事…するの…?」
「ククク、」
「わらうなっ」
頭がぼーっとして一人で立っていられない。身体の欠陥でこうなる事は良くあったが、キスで疑似体験出来るなんて知らなかった。…要らない情報だ。とりあえず息を整えるのに集中しよう。
「満身創痍な所悪いが、そろそろ他の奴らがくる」
「うそ!ど、しよ」
「?なんだ、足も立たないのか」
「………」
「クッ…」
「もういっそ声出して笑ってよ!」
「あっはっは!」
「それはそれでむかつく!!!!」
2018/05/14
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