短編
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阿諛追従
※なんでも許せる方向け
好きな人が居るのだと。結婚したいのだと。震える声を隠しながら祖母に言ったのは記憶に新しい。両親がこの世を去ってからずっと祖母と二人で生きてきた。体が悪い祖母を一人置いて石原の世話になっているがそれは石原の意向であって私の意思ではない。日常生活は問題ないだろうが、祖母には店番もあるのだ。私はどうしてもそれが心配だった。
「い、石原さん…」
「ったく、おまえは何時になったらその他人行儀を直せるんだ?」
「ごめ、なさ…」
強面な顔と擦り込まれた恐怖の所為で石原はいつまでも苦手な存在だった。酷く当たられた事は一度もないし、性交も無理矢理体を開かれたあの日から一度もしていない。愛でるように頭を撫でられ、唇を重ねるだけだがそれでも石原への恐怖心が消えることは無かった。一時の快楽の為に理性も羞恥も人生すらも捧げてしまった自分が悔やまれる。
私を見つめてうっとりと優しく目を細める顔ですら怖くて仕方がない。あの顔で滅茶苦茶にされたのを脳裏に根深く刻まれている。受け入れるのも逃げるのも恐ろしくて身動きが取れない。自分が石原にどう言った感情を向けているのかも分からなかった。
「どうした?こっち来い」
「ぁ…やっ…やだっ!…こわい…っ!」
「怖くねェよ。ほら、大丈夫だろ?いろは、怖くねェ。な?」
手を引かれ反射的に逃げると膝の上で抱きすくめられ逃げ場を無くされる。震える背中を撫でる熱い手のひらがあの日の行為を思い出させ、弾かれたように暴れると苦しいくらいに抱き抑えられた。怖い。抵抗出来ない自分が、私の行動全てを掌握してしまう石原が、とても怖い。
「落ち着け、いろは。首に手、回してみろ……いい子だ」
「ひ、…っ……んっ、や…きすしないでっ…んぅっ!」
言われた通り首に抱きつくとすかさず口付けられ離れようとしたが後頭部を抑えられ涙が溢れた。口の中を味わうようにねっとりと絡みつく舌が思考を奪って行く。ざらざらとした舌を擦り合わされ、そのままちゅうっと吸われればお腹の奥がぴくりと反応してまた涙が溢れた。どうして自分の身体なのに知らない反応を返すのだろう。
「ふぁ…っ…や…ん…!…ん、…!」
感触を覚えさせるようにゆっくりと深まる口付けに私の思考は途切れてしまった。真っ白な頭の中で息を貪ることと快楽を追いかける事に夢中になっていると、腰も無意識に動き出し、気持ち良くしてくれる場所を探し始めた。
それに気が付いた石原が可愛がるように腰を撫でてぎゅっと引き寄せ、固くなった自身に押し付けると私のそこは待ちわびた強い刺激にひくひくと小さく痙攣した。
「んうぅっ…!……ん、…はぁ…はぅ…っ…ふぅ…」
「怖くねェだろ…いろは」
軽く果ててしまった敏感な体を優しく抱き締められ頬擦りをされると怖いのに何故か頷いてしまう。下着が濡れて張り付いて来るのが気持ち悪い。…いや、気持ちいいのだけど、はやく脱がしてお腹を苦しくさせるもので突き通して欲しい。一番奥まで突いてグチュグチュと掻き混ぜられるの、気持ち良かったな…
「いろは、どうした?何か言いかけてただろ」
「…?……ぁ…お店…」
「店?…あぁ、煙草屋か。ばぁさんが心配なのか?」
石原の首筋に額を寄せて頷く。そう言えば、店番をさせてもらうようにお願いする所だったっけ。白くモヤがかかった頭の中でぼうっと考えると「いいぞ」と声が聞こえ思わず顔を上げる。
「ばぁさんも身内になるわけだしな…いろはが彼処を継ぐんだろ?」
「たぶん…」
「俺も随分世話になったからな。好きにしろよ。……その変わり、…逃げようなんて思うんじゃねェぞ」
「ッ!!」
途端に鋭くなった視線に再び恐怖が這い上がってくる。さっきまで自分は何を考えていた?この男に抱かれたいと?あの日のように滅茶苦茶にして欲しいと?冗談じゃない。喉までせり上がってきた悲鳴を何とか飲み込むと何度も頷いた。
「ハハッ怖がんなよ。俺らはもう夫婦だろ?」
額に唇が押し当てられ肩が震える。籍は入れていないとはいえ、もう時間の問題だろう。どんなに拒んでもこの男はきっともうすぐ私の全てをものにしてしまう。何をしても逃げる事はできない。
「俺は心底おまえに惚れてんだ…一生大事にしてやる。いろは…」
「ひっ!あっだめ…!やめっ…や、あぁ…!」
下着の中に入り込んだ指が気持ちいい所に埋まると直ぐに果てそうになり抵抗する気力を無くしてしまう。ぐにぐにと泳ぐように中に入っていく異物に腰が引けて石原に抱き着いた。
「やだっ…あっ…しないでっ…!ん、ふ…こわいの…!」
「なんでだよ。いろはも俺に惚れてんだろ?」
「ちがっ…」
「あぁ?」
「い゛っ!ああぁ!やっ!んあっ!やら、!あぁっ!」
あの日の事は間違いだったのだと否定しようとすれば三本の指を一気に突き立てられ低い声で教え込まれる。逃げられないように肩を抱かれ耳元に唇をよせられると恐怖と快楽が強まった。
「違う?あの日、言ったじゃねェか。俺の事好きだって。嘘か?いろは、俺に嘘ついたってのか?」
「あっすきぃ!すき、すき…ひゃあっ!ごめ、なさっあっ、す、きぃ…んはぁっ」
「…あぁ、知ってる。いろはは臆病で恥ずかしがり屋だからな、許してやるよ」
濡れた音が大きくなり、指で突き上げられるともっと大きなものの感覚を思い出して果ててしまいそうだった。けれど私はこれ以上の快感を知っている。何も考えられなくなり目の前の男にしか興味がなくなってしまう、きっと死よりも恐ろしいあの感覚。はやく、あれが欲しい
「あっ、…ふ…ど、して…?」
「イきてェなら、可愛く強請ってみろよ。あの時みてェに」
急に指を引き抜かれた喪失感に腰を揺らすと意地悪く笑われ子宮がきゅんと脈打つ。ぼうっとした頭で石原の唇に自分のものを押し付けると少しカサついている唇をぺろりと舐めた。ちゅ、ちゅ、と音を立てながら時折舐めると僅かに唇が開き、その奥に舌が見える。それが無性に嬉しくて私も口を開くと痺れを切らした舌が迎えに来た。
「はん、…んむ、…ふぅ…」
いつも石原がしてくれるように真似するがいつもの快楽は生まれない。仕方ないので石原の舌をちゅうっと吸ってぺろぺろと舐めると少し欲求が満たされた。どうしたら気持ち良くしてくれるんだろう…そう言えば、あの日私はこの人のものになったんだっけ
「…また…わたしを…、…あなたのものにしてぇ……っ」
目を見開いた石原は直ぐににぃっと笑みを浮かべて私を押し倒すとカチャカチャと金属音を立てて己のものを取り出した。下着を剥ぎ取られ熱いくらいの熱が太ももに当たるとお腹の奥が気持ちよくなる。きゅんきゅんと催促する度に腰が揺れ、切なくなり石原を見つめると愉しそうにこちらの様子を観察しているようだった。それにまたきゅんとする。あ、れ……?
「…堕ちたか」
「ちがうの……ぎゅ、して…もっと…おねがい…っ」
くつくつ笑いながら覆い被さる大きな体を抱き締めると体の下に手を回され強く抱き締めてくれる。もう怖いのは沢山だ。拒めば拒むほど怖くされる。求めれば求めるほど石原は底抜けに甘く優しい。股に擦り付けられる熱が私の蜜を纏い段々と音を立てていく。このまま振り切れば楽になれる。怖いことも無くなる。ならもう、選択肢は元より一つだったのだ。堕とされたのではない。私がこの男を選んだ。きっともっと前に。
「やん…っ…ん…はやく…奥、ぐりぐりして…っ石原さんっ…」
「フッおまえ、ただ抱かれるのが好きなんじゃねェのか?」
「ちが…あなたが好きだから、欲しいの…んっ…いじわる、やだぁ……んっ」
零れた涙に口付けられ感じてしまう。流れるように口を塞がれうっとり目を閉じると蜜の溢れるところへ先が宛てがわれ期待をするが上下へ滑って中々快感をくれない。
「俺のどこが好きなんだ?」
「ふぅ…優しく、してくれるところ……だ、から…こわくしないで…もっと優しくして……んぁ…いっぱい、ぎゅってして…っ」
きゅうっと抱きしめる手に力を込めると目を細めた石原の唇がこめかみに触れた。そこで深いため息をつかれ、耳にかかった息でも気持ちよくなってしまう。
「…しょうがねェ、負けてやるよ。…全部俺の所為だ。全部許してやる。…ただし、分かってるな?いろは」
「うん、…ずっと…いっしょ……」
石原の頬を撫でるとお返しのように頬にキスをされなんだかおかしくなった。鋭い目は怖いけれど、きっとこの人と離れる方がもっと怖いことになる。もしかすると私だけではなく祖母も無事では済まされないかもしれない。そんな恐怖がずっと私を追い立てていた。けれどもっと恐ろしいのは、
「んっ…ああぁ!!ひっ…く、るし…!」
「力抜け…っ、入んねェ…!イくンなら奥まで入ってからにしろ…!」
そんなことを言われても。やっと入り込んできた熱を受け入れようとすると散々焦らされたそこは石原を締め付けて悦んだ。少し入っただけでこんなに気持ちいいなんて、もっと奥を期待してまう。恋人みたいに口付けながら浅くゆっくり動くのでふわふわとした気持ちよさで溶けてしまいそうだ。しかし急に目の前が真っ白になり、頭の中が混乱する。
「んぐぅっ!!?」
お腹の奥まで届く熱と、意に反して痙攣する体に果てたのだと理解する。いきなり奥まで貫かれ、待ち望んでいた快楽を味わう前に絶頂してしまった。じくじくとした痛みを覆い隠すように快楽を感じ、その度に中がうねる。
「悪ィ、大丈夫か?」
「しんじゃっ、たとおも……っ…」
頭を撫でながらゆっくり動く石原の腰に足をかけてしがみつく。気持ちいい。気持ちいいけど、そうじゃない。怖いくらい揺さぶられて石原さんと私の液がお尻まで垂れるくらいに、繋がっている感覚が無くなるくらいまで無茶苦茶にして欲しい。もっと一つになって、溶けて無くなるくらいまでかき混ぜて欲しい。
「もっと…!いし、は…っさ、もっとぉ!あっあっんあっ!ずっと、いっしょに…!ふあっ!…もう、一人に…しないで…ひぁっ…!」
「お、まえ…」
「やっ…とまらないで…きもちくしてっ…ン…石原さん、すきっ…あっ、き…もちぃ…!んひゃ、あぁっ…すきぃ…いしは、さっ…石原さんっ」
優しく突いてくれる石原の頬に擦り寄ってキスをすると応えるように唇を塞いでくれる。薄ら目を開けると目元を緩ませてこちらをじっと見ていて嬉しくなった。石原の愉悦の表情が、私にはなんでも許してくれそうな、優しい目に見えた。
「あ、あぁっ!いしは…んはっ、ひぅっ!ずっと、そばにっんあぁっ!」
「あぁ…っ」
「んふっ、んぁっあっ、あ!…こわ、のっ…も…あ、んっ!ひとり、は…やら、ふゃっ!あっあっあ!」
「…ンな心配、俺が無くしてやるっ…!」
段々と速まる律動に、私は呆気なく果てると恐怖が一つ埋まった気がした。腰を打ち付ける男がどんなに恐ろしくとも、もうすぐ訪れるだろう感情の方が何よりも怖かった。心臓を悪くしている祖母はきっともうすぐ私を一人にする。
底なしに彼を求めるのは、愛では無いだろう。誰に理解されることもないのも知っている。でも、石原さんが悪いんだ。だって、本人がそう言ったのだから。
「ひぁっ!あっ、またっくるっ…!あっき、もちぃ…!ン、あっあっ!イっちゃ…!いしはらさんっ…わ、たし…あ、はぅっ!すき…、」
「、あぁ…っ…!」
奥までガツガツと突かれ、視界がくらむ。また登りつめる快楽を味わう前に果ててしまったようだ。石原の腰に掛けていた足も力が入らなくなり、彼が出入りを繰り返すとその度に頼りなく宙で揺れる。頭の奥まで突き抜ける快楽が、石原が動く度に蓄積され、恐ろしくて逃げたくなる。顔に唇を寄せて口付けを強請ると中が大きく収縮し、直ぐに石原も脈を打って一番奥に精液を注いだ。
私はこの感覚が好きだった。虚脱して他の刺激に敏感になっている最中にどくどくと吐き出されお腹の奥が熱くなる。それがとても興奮した。
「すき…」
ぎゅうっとしがみつくと石原の体がぴく、と震えたが構わず腰を揺らして催促した。奥をゆっくり掻き混ぜるような動きに、果てたばかりの体はもう果てへと向かっている。グチュグチュと音が増すと結合部から熱い液が漏れ出してうっとりと目を細めた。
「ふぁ…ん、…あぁ…もっとしてっ…なにも、かんがえたくないの…っ」
「安心しろ。…どっちみちもう逃げらンねェよ」
「ふっ」
石原の言葉に思わず声を出して笑うと額にキスをくれた。その表情は心なし嬉しそうに見え、とても安心した。この人も私と同じだ。もしかして、石原さんはずっと知ってたのかな…
「あの時…みたいに、こわいの…して?」
「ありゃあもっとイッてからだ。じゃねェと辛ェだけだぞ」
「…………」
真顔で見下ろされしゅんとすると鼻で笑われた。抱き起こされ口付けられると堪らず腰を押し付けて音を鳴らして動かす。気持ちいいけれど、やっぱり上手くいかず首に縋り付いた。
「石原さんの、奥でグチュグチュされるの…好きなの…」
「…こうか?」
「あぁっ…そ、れぇ…んあっ…あっ…音、やらし、…きもちぃ…ふあぁっ…いっぱいだして、もっとして…っ」
擦れると中から液が溢れ出し、視線を落とすとスカートの中からぬちゅぬちゅといやらしい音がして子宮がきゅんとする。繋がってるところが見たかったのに少し残念だ。
「どうした?」
「んあっ…はいってるとこ、…っ…みたくて…あっ…なに…っ」
「こうすりゃ見える」
再び押し倒されたかと思ったら膝の裏を持たれ顔の横まで押されるとお尻が持ち上がり繋がっているところが良く見えた。溢れ出した精液で汚れており、石原が動くと太くて長いものが出入りを繰り返す。それがくちゅくちゅと音をたてるのがとてもいやらしくて恥ずかしくなる。
「こ、な…おっきいのが…」
「……………」
「んんっ…あっ…や、らし…ふ、…くっ…ひゃあっ」
何故か急に中に埋まったものがドクリと脈を打って思わず肩を窄める。いつもと違うところに擦れて気持ちいいが、息苦しくて少し痛い。でも気持ちいからいいかと思ったのに直ぐに抱き起こされ首を傾げた。
「もういいだろ、苦しそうな顔見てたんじゃ気分が乗らねェ」
「やさしい…」
「それが良いんだろ?」
「うん、だいすき」
小さく音を立てて口付けると腰をぐりぐり押し付けて石原の顔をじっと見つめる。やっぱり少し怖いが、気持ちよさでそんなことどうでも良くなってきた。こんな事が毎日できるなら、はやく結婚したいなんて思ってしまう。これが普通の思考じゃ無いなんて事、本当は分かっている。きっとまた後悔してしまうことも。
「ね…ん、…いっぱいしよ…?石原さん、…こわくてもいいの…、ふぁ…ここ、突いて…」
下手くそに動いても体重をかけて気持ちいいところを目掛ければ直ぐに果ててしまう。動いてくれない石原に抱き着いてキスをすればなんとも言えない顔をしていた。
「…二年もかかった…」
「………いしはらさんが…こわいせいだもん……うちは親がいないし…沢山、お話して…すきって言ってくれたら、…きっと恋人になれてた」
「……悪かったな」
「いいの……もう、いいの。…ひっ、んあっ!やっ…急に、ふあぁっ!やん、あっあっあっ!はげしっ…!やぁっ!こわっ…!こわいっ!あっあぁっ!」
腰を掴んで手荒く揺さぶられると気持ちよすぎて頭がおかしくなりそうだった。ビクビクと体が痙攣するとぎゅっと抱きしめながら突き上げられ、石原を好きな気持ちでいっぱいになる。
「いろはっ!」
「ひゃあっ!あっしゅご!あっあぁ!ふぅっ…く…!…~イッてう!イッてうのっ!~~っ!き、もぢ…っ!あっ、!あっ!すきっ!こわいのっ、きもちいっすき、すきすきぃ…っ!」
何度も果てて体中から力が抜けてくたりとした所で石原は漸く精を吐き出した。肺が破れそうなほど荒く呼吸を乱す私の顎を持ち上げて口付けるととろりと笑った頬に涙が伝った。
「もっと……」
「分かってる。急かすなよ」
頬を撫でる熱い手が愛おしい。息が落ち着くまで背を撫でてくれる優しさが愛おしい。どうしてこんな風に思うようになったのか、考えても分からない。だけど私はこの人が好きだ。どうしようもなく不器用で、自分勝手な愛しい人。
「ちゃんと、優しく抱いてやる」
囁くようにかけられた言葉にきゅうっとする。首筋に擦り寄って抱き着くと抱き締め返してくれてとても安心した。
「すき…ありがとう、いしはらさん」
同じ恐怖なら、温もりがある方がいい。また降りてきた唇を受け入れる前に見えた顔はとても満足そうだった。きっと、私も同じ顔をしているんだろう。小さく鼻を鳴らして溶け合う温度をただ噛み締めた。服を脱がされていくのをぼうっと眺めながらこの人とは思ったより、上手くやれそうだと思った。
2018/05/11
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