短編
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親友同士
真夏のビーチ。親友の久美とトミ子に誘われて、私は海水浴場に強制連行されていた。
「あっつーい」
「ほらいろは、来たからには楽しまないとっ」
足で海水と戯れながら笑いかけてくる久美に勝るものなど何もなく、そのかわいらしい笑顔にいつも流されてしまう。きっとこの子は天然悪女だ。
「がーっはっは!!今年も上玉が勢ぞろいだなあ木村ァ!」
「そうッスねえ鷹村さん!」
後ろで男たちが騒いでる。嫌でも耳につく声だがさして興味もないのでいつもよりテンションが高いトミ子にその理由を問うてみた
「トミ子、なにキョロキョロしてんの?」
「トミ子さんの彼氏もここに来てるんだって」
「ははっどうりで。」
私の声なんかまるで耳に入ってないトミ子の代わりに久美が答えてくれ、その内容に思わず苦笑い。トミ子ののろけ話はよく聞かされていて、もうフルネームを言えるくらい青木さんのことはよく知ってる。
「ん?じゃあ久美の彼氏も来てるんじゃないの?」
「か、彼氏!?一歩さんとはそんなんじゃっ…」
「あぁ、意識はしてるのね。」
「もういろは!」
くすくすと笑ってやれば真っ赤な顔がふくれながら訴えてくる。そんな顔をされたらもっとからかいたくなるのが決して振り払えない人の性だ。
「私も探すの手伝ってあげるよ」
「意地悪ばっかり言わないでよいろはっ」
「素直になったらいいのに久美ちゃーん」
「もう!」
知らない!と真っ赤に染まった顔を下に向け黙り込んでしまった。そんなことはお構いなしに私は一歩くんを探すことにする。何度か久美にお願いされてジムについていった事があるので一歩くんと私は顔馴染みだ
「ん?そう言えば…」
「…いろはどうしたの?」
なかなか言葉の続きを言わない私を不思議に思ったのか久美が顔を覗き込んでくるが、私はそれを気にすることなく振り返って後ろを確認する
「いや、一歩くんと同じジムの人達の声を聞いたような気がして………あ、トミ子ー」
青木さんみっけたよー。とトミ子を呼ぶと数本先を歩いていたはずの姿はなく、私が指で指した方向にもう進んでいて。
「まっさるーーー!!!」
「トミ子オォ!!!」
涙がでそうなくらいに恥ずかしい熱い抱擁をしあっていた
「…ほら久美も、一歩くんいるじゃない。」
「え、あっ」
肩を持って一歩くんがいる方向に体を向けてやると心底緊張している面もちでまた下を向いてしまった
「あ、久美さん!いろはさん!」
「お、向こうも気付いたみたいよ」
こちらに気付いた一歩くんが手を振って私達の名前を呼んでも手を振り返すだけで動こうとしない久美の手首をしっかりもって荷物番らしい一歩くんがいるパラソルまで引っ張っていく
「わ、ちょっといろは!」
「動かないとなにも始まらないよ!頑張んなきゃ。」
「で、でも」
なかなか決心がつかない久美を無視してもう手の届くくらいの位置にいる一歩くんの目の前に久美を押しやった
「さ、仲良くやってくださいなお二人さん」
「ちょっといろは!」
「照れない照れない。私はおとなしく荷物番しとくから楽しんできなさいな」
照れる二人を見ながら笑うと「じ、じゃあお言葉に甘えて」と控えめに一歩くんが発言した。この子にしては珍しく積極的だ。さらに私の頬が緩む
「はい、じゃあバトンタッチ」
「お願いします!」
一歩くんと高らかにハイタッチを交わして私と一歩くんの位置を入れ替えた。
「あれ、いろはさん達の荷物は…?」
「あぁ、私達は車に置いてきてるのよ」
だからこれだけ。と持っていた少し大きめのバッグを見せると納得したようにうなづく
「いーからデートしておいでって」
「で、デートってっ…!」
「ほらほら先輩達が帰ってきちゃうんじゃないのー?」
「い、行ってきます!」
ひらひらと手を振って二人を見送ると私は胸元に引っ掛けていたサングラスをかけて横になることにした
歩いていく二人の姿を横目で見ると初々しくて。親友の恥ずかしそうな後姿を見るとなんだか私まで嬉しくなる
「可愛いなぁあの二人」
「いろはちゃんも負けてないけどね」
「!」
二人の背中から声の方向へ視線を移すと、一歩くんが通っているジムの先輩が立っていた。名前は確か、
「……木村さん?」
「お、名前覚えてくれたんだ」
「それはもう。青木さんの親友ですもん。トミ子から色々聞いてますよ?」
身体を起こしながらサングラスをとるとまっすぐな黒目と目が合い、少し胸騒ぎがしたが無視できる程度だったのでそうすることにする
「親友、か……隣いい?」
「あ、はい。」
含みがある言い方だ。違う情報だったのかと顔色を伺うが、特に大きな問題ではなかった様なので私も気にしないでおこう。
「一歩も偉くなったなぁ。いろはちゃんに荷物番を頼むなんて」
「いえ私が無理に言ったんですよ。二人をくっつけるのも一苦労で。」
「確かに。一歩がもう少し男だったらなにか変わるんだろうが……」
あいつじゃ無理か。そう言って笑う姿に不覚にもときめいてしまった。鴨川ジムの面々はどうしてこんなにも色男が勢ぞろいなんだか。
「その分サポートしてあげないと。久美のお兄さんってゆう強敵もいますしね」
頭の隅でそんなことを考えながら、それでも久美と一歩くんの恋を応援をする自分を今は心底褒め称えたい
「はは、ありゃ勝機が見えねぇわ」
「そうですね。…でもなんか」
「ん?」
「それでも一途なんて、一歩くんらしいなぁなんて」
にっこり笑ってそう伝えると驚いた顔をした木村さんと目があう。なんだか無意識に顔色を伺いながら話をしていることに気付いた。まだ木村さんに馴れてないのかな
「あれ、なんか悪いこと言っちゃいました?」
「いや、そうじゃねぇけど」
ばつの悪そうな顔をして視線を宙へ持っていく姿はどうみても私が空気を濁したとしか思えない。
「……いろはちゃんさ、恋人とか好きな奴とかいる?」
「え、なんか唐突ですね」
「いやぁいろはちゃん可愛いし気になってさ」
「……そんなこと言っても何も出ませんよ」
「お世辞じゃないよ」
にっこり笑う木村さんはどこからどう見たって女心を知り尽くしているプレイボーイだ。それでも私に向ける笑顔は勘違いしてしまいそうなほどまっすぐだから、その気になってしまう女の子の気持ちが痛いくらいに分かる
「…残念ながら私には恋人も好きな人もいませんよ」
「ホントに!?」
「え、えぇ。ホントに。」
心底意外そうに荒げられた声に少々戸惑いながら答えるとふふんと上機嫌に鼻を鳴らして立ち上がると私のほうを向いてそっと手を差し出してきた
「じゃ、俺にもまだチャンスはあるってことだよな」
「え?」
「いろはー!木村ー!ビーチバレーしようぜー!!」
どういう意味か聞きなおそうと口を開いたらトミ子と一緒に青木さんが騒いでいる。いつの間にか久美と一歩くんも混ざってコートでこちらを見つめていた
あぁ、私、
燦々と照りつける太陽にくらくら目眩を感じながら私は反射的に木村さんの手をとった
「あっつーい」
「ほらいろは、来たからには楽しまないとっ」
足で海水と戯れながら笑いかけてくる久美に勝るものなど何もなく、そのかわいらしい笑顔にいつも流されてしまう。きっとこの子は天然悪女だ。
「がーっはっは!!今年も上玉が勢ぞろいだなあ木村ァ!」
「そうッスねえ鷹村さん!」
後ろで男たちが騒いでる。嫌でも耳につく声だがさして興味もないのでいつもよりテンションが高いトミ子にその理由を問うてみた
「トミ子、なにキョロキョロしてんの?」
「トミ子さんの彼氏もここに来てるんだって」
「ははっどうりで。」
私の声なんかまるで耳に入ってないトミ子の代わりに久美が答えてくれ、その内容に思わず苦笑い。トミ子ののろけ話はよく聞かされていて、もうフルネームを言えるくらい青木さんのことはよく知ってる。
「ん?じゃあ久美の彼氏も来てるんじゃないの?」
「か、彼氏!?一歩さんとはそんなんじゃっ…」
「あぁ、意識はしてるのね。」
「もういろは!」
くすくすと笑ってやれば真っ赤な顔がふくれながら訴えてくる。そんな顔をされたらもっとからかいたくなるのが決して振り払えない人の性だ。
「私も探すの手伝ってあげるよ」
「意地悪ばっかり言わないでよいろはっ」
「素直になったらいいのに久美ちゃーん」
「もう!」
知らない!と真っ赤に染まった顔を下に向け黙り込んでしまった。そんなことはお構いなしに私は一歩くんを探すことにする。何度か久美にお願いされてジムについていった事があるので一歩くんと私は顔馴染みだ
「ん?そう言えば…」
「…いろはどうしたの?」
なかなか言葉の続きを言わない私を不思議に思ったのか久美が顔を覗き込んでくるが、私はそれを気にすることなく振り返って後ろを確認する
「いや、一歩くんと同じジムの人達の声を聞いたような気がして………あ、トミ子ー」
青木さんみっけたよー。とトミ子を呼ぶと数本先を歩いていたはずの姿はなく、私が指で指した方向にもう進んでいて。
「まっさるーーー!!!」
「トミ子オォ!!!」
涙がでそうなくらいに恥ずかしい熱い抱擁をしあっていた
「…ほら久美も、一歩くんいるじゃない。」
「え、あっ」
肩を持って一歩くんがいる方向に体を向けてやると心底緊張している面もちでまた下を向いてしまった
「あ、久美さん!いろはさん!」
「お、向こうも気付いたみたいよ」
こちらに気付いた一歩くんが手を振って私達の名前を呼んでも手を振り返すだけで動こうとしない久美の手首をしっかりもって荷物番らしい一歩くんがいるパラソルまで引っ張っていく
「わ、ちょっといろは!」
「動かないとなにも始まらないよ!頑張んなきゃ。」
「で、でも」
なかなか決心がつかない久美を無視してもう手の届くくらいの位置にいる一歩くんの目の前に久美を押しやった
「さ、仲良くやってくださいなお二人さん」
「ちょっといろは!」
「照れない照れない。私はおとなしく荷物番しとくから楽しんできなさいな」
照れる二人を見ながら笑うと「じ、じゃあお言葉に甘えて」と控えめに一歩くんが発言した。この子にしては珍しく積極的だ。さらに私の頬が緩む
「はい、じゃあバトンタッチ」
「お願いします!」
一歩くんと高らかにハイタッチを交わして私と一歩くんの位置を入れ替えた。
「あれ、いろはさん達の荷物は…?」
「あぁ、私達は車に置いてきてるのよ」
だからこれだけ。と持っていた少し大きめのバッグを見せると納得したようにうなづく
「いーからデートしておいでって」
「で、デートってっ…!」
「ほらほら先輩達が帰ってきちゃうんじゃないのー?」
「い、行ってきます!」
ひらひらと手を振って二人を見送ると私は胸元に引っ掛けていたサングラスをかけて横になることにした
歩いていく二人の姿を横目で見ると初々しくて。親友の恥ずかしそうな後姿を見るとなんだか私まで嬉しくなる
「可愛いなぁあの二人」
「いろはちゃんも負けてないけどね」
「!」
二人の背中から声の方向へ視線を移すと、一歩くんが通っているジムの先輩が立っていた。名前は確か、
「……木村さん?」
「お、名前覚えてくれたんだ」
「それはもう。青木さんの親友ですもん。トミ子から色々聞いてますよ?」
身体を起こしながらサングラスをとるとまっすぐな黒目と目が合い、少し胸騒ぎがしたが無視できる程度だったのでそうすることにする
「親友、か……隣いい?」
「あ、はい。」
含みがある言い方だ。違う情報だったのかと顔色を伺うが、特に大きな問題ではなかった様なので私も気にしないでおこう。
「一歩も偉くなったなぁ。いろはちゃんに荷物番を頼むなんて」
「いえ私が無理に言ったんですよ。二人をくっつけるのも一苦労で。」
「確かに。一歩がもう少し男だったらなにか変わるんだろうが……」
あいつじゃ無理か。そう言って笑う姿に不覚にもときめいてしまった。鴨川ジムの面々はどうしてこんなにも色男が勢ぞろいなんだか。
「その分サポートしてあげないと。久美のお兄さんってゆう強敵もいますしね」
頭の隅でそんなことを考えながら、それでも久美と一歩くんの恋を応援をする自分を今は心底褒め称えたい
「はは、ありゃ勝機が見えねぇわ」
「そうですね。…でもなんか」
「ん?」
「それでも一途なんて、一歩くんらしいなぁなんて」
にっこり笑ってそう伝えると驚いた顔をした木村さんと目があう。なんだか無意識に顔色を伺いながら話をしていることに気付いた。まだ木村さんに馴れてないのかな
「あれ、なんか悪いこと言っちゃいました?」
「いや、そうじゃねぇけど」
ばつの悪そうな顔をして視線を宙へ持っていく姿はどうみても私が空気を濁したとしか思えない。
「……いろはちゃんさ、恋人とか好きな奴とかいる?」
「え、なんか唐突ですね」
「いやぁいろはちゃん可愛いし気になってさ」
「……そんなこと言っても何も出ませんよ」
「お世辞じゃないよ」
にっこり笑う木村さんはどこからどう見たって女心を知り尽くしているプレイボーイだ。それでも私に向ける笑顔は勘違いしてしまいそうなほどまっすぐだから、その気になってしまう女の子の気持ちが痛いくらいに分かる
「…残念ながら私には恋人も好きな人もいませんよ」
「ホントに!?」
「え、えぇ。ホントに。」
心底意外そうに荒げられた声に少々戸惑いながら答えるとふふんと上機嫌に鼻を鳴らして立ち上がると私のほうを向いてそっと手を差し出してきた
「じゃ、俺にもまだチャンスはあるってことだよな」
「え?」
「いろはー!木村ー!ビーチバレーしようぜー!!」
どういう意味か聞きなおそうと口を開いたらトミ子と一緒に青木さんが騒いでいる。いつの間にか久美と一歩くんも混ざってコートでこちらを見つめていた
あぁ、私、
燦々と照りつける太陽にくらくら目眩を感じながら私は反射的に木村さんの手をとった
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