短編
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焼印
「……痛みますか?」
人のものとは思えないほど赤黒い肌に指を這わせると今ではもう慣れた熱い体温に目を細める
「いや…心地いいくらいだ」
そう言って妖しく微笑む志々雄さんに言い知れぬ愛しさが込み上げ、右手の包帯を手首まで解いて指先に口づけを送った
「クク、誘ってんのか」
「だって…触って欲しくて」
志々雄さんの楽しげな声に私も笑って熱い右手に頬を擦り寄せると熱が優しく、激しく心を満たしてくれる
「貸してやるよ」
す、と親指で唇に熱を届けると志々雄さんはまた妖しく微笑んだ
それを合図に人差し指の先を控えめに舐め上げる
「…あつい」
苦しくなるほど熱い。
だけどそれが癖になってすぐに私は夢中になった。もっと熱くなりたい。もっと貴方の熱を感じたい。
そんな事を考えていると志々雄さんは何を思ったのか、丹念に舌を這わしていた私の口に少々強引に二本の指を差し込んだ
「んむ、…」
そのまま口の中を犯す様にして動き回る指に段々と興奮を覚え、体が熱を持った。時折くる喉の苦しさも口の端をだらしなく伝う唾液も、私を高潮させる道具でしかない
「ふ…んぐ、ぁ…」
「良い顔してんじゃねぇか、いろは」
涙で霞む視界の端で口を開いた志々雄さんを見つけると直ぐに首が熱くなり、体が揺れる。私が溢す液を追いかけるように何度も甘噛みしてその度に快楽と熱が攻め立て狂わしていく。嗚呼、食われてしまいたい
「ぁ、やっ…」
口から離れていってしまった指を赤子のように求めると顎に口づけた志々雄さんと視線が絡む
「し、志々雄さ、」
ゆっくりと押し倒され今度は柔らかい舌が私を支配するらしい。卒倒してしまいそうな程官能的な接吻に耐えながら限界を感じる体とは裏腹に、このまま壊されてしまいたいと本能がのた打ち回る
「今日は一段と感度が良いな」
「あ、んっ…」
舌から解放されても尚、快楽が脳を揺らす。着物の間を割って乱すと志々雄さんはそこに顔を埋めた
「ふっ、あ!」
逃げることすら叶わない快楽の波と何とか距離を保とうと手を動かすが直ぐに捕まれ両方の手を左右に開かされる。たったそれだけなのに全ての逃げ場を奪われてしまった気分になりその恐怖ですら気持ちがいい
胸を好きなように弄ばれながら太ももに絡み付く熱が触れるのを感じてぴくり、反応する
「…こっちの方が好きか?」
左手の包帯を口で破り、同じように触れられると思わず声が漏れた。熱い。私の肌は貴方に触れられた所全部が志々雄さんに火傷しているだろう。だってこんなにも気持ちがいい
「んやぁっ…あつ、」
「望み通り焼き尽くしてやるよ」
そのまま容赦なく蜜に埋もれる熱に頭が真っ白になるがこのまま落ちるだなんてこと、志々雄さんが許してくれる筈もなく。貪るような口づけで何とか意識を保ち、高まっていく欲求を差し出した
「し、しおさ…も、ほし…」
「まだやらねぇ」
「…!、んやあ!」
急に姿が見えなくなったかと思えばねっとりとした舌が太ももを這い回る。それに加え蜜に埋まる本数が増え、更に激しさを増して私を攻め立てた
「ひっ、あ!」
果てた余韻にびくびくと震える足をしっかりと持って、入れた指はそのままにぷっくりと赤く充血した突起に舌を当てがわれ体が大きく捩れる。いつもよりも時間をかけて行われる前戯に気づかぬうちに私は意識を手放していた
―――身体中が熱い。先程まで志々雄さんに舐めとられていた蜜はぐちゅぐちゅと卑猥な水音をあげ、それに合わせて体が振動する。背筋をかけ上がる快楽に目を開けば包帯越しに襖が見えた
「ん、あっ…ふ、しし…おさ…?」
「…勝手に寝てんじゃねぇよ」
私が目覚めたのを知ると強く抱きしめ、志々雄さんが突き上げる度にぬちぬちと気持ちいい。腰を押さえつけられ更に深く埋まったものに繋がっていることを知らされた
「ふあ、やっ…きもち…、あぁ!」
志々雄さんの首にいつの間にか回していた腕に力を込めてすがり付くと我慢すら難しい程の熱に包まれたがそれすら幸せへと変わる
「チッ…そろそろ限界か…」
それはきっと私の事だ。志々雄さんはいつも汗が蒸発し始める前には行為を止めてしまう。急に激しくなった振動に終わりを感じて藍色の着流しにしがみついた
「ひう、あっ…や、嫌ぁ…やぁ…」
隙間ができない程強く抱きついて強制的に上り詰める感覚に身をよじる。志々雄さんの手が頭を押し付けて髪の毛をくしゃくしゃにするのを嬉しく思い、顔を歪めると無理矢理視線を合わされ口を奪われる。身体中の感覚が志々雄さんを感じるためにあるのだと思うと酷く興奮した
「す、き…あっ…好きぃっ!」
耳元で囁かれた声にうっとりして秘部から溢れ出た熱に再び意識を手放した
「……、」
重い瞼を開いて志々雄さんを探すとしっかりと事後処理をしたのだろう、綺麗な包帯が目に入る。しかし私は乱れたままで、少し肌寒さを感じて着物を手繰り寄せると凛々しい腕に閉じ込められた
そんな些細な事なのに愛を感じて志々雄さんの胸におでこを擦り寄せた。そうすると行為中にも似た幸せがやってくる。
髪を撫でる手が私を狂わすほど欲情させる。焼き爛れたのは、きっともっと奥深く。
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