エス光
居眠りをしているエスのところに光がやってくる。周りを確認したあと、こっそりキスをしていた。
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このお題ガチャから
―――
「寝てやがる。めずらし」
あたしの視線の先には、目を閉じてベッドに全体重を預けて眠っているエスティニアン。
こうも無防備に寝るなんて、そうそうお目にかかれねぇんだがな、と思いながら耳を軽く引っ張ってみる。ピクリともしねぇ。
まぁ確かに、今日の戦いは大分激しかったしなぁ。
あたしは後衛だし弓を使うから、槍を振り回してあちこち飛び回るこいつとは体力の使う量が違う。
そりゃあの元・蒼の竜騎士様も疲れて寝落ちもすっか。
「…じゃねぇよ、ここはあたしの部屋なんだが?」
そう、ここは紛れもないあたしの部屋だ。ど真ん中で堂々と寝転んでやがるから、一瞬あたしが間違えたのかと錯覚しちまっただろうがゴラァ!何我が物顔で人のベッドで寝てんだ?アァ?
これからあたしも寝るっつーのに、部屋間違えてんのか?転げ落としてやろうか?
……とも、まぁ、思いはしたが。
一緒のベッドで寝ても構わない関係では一応あるっちゃ、ある。から、正直な所そこまで邪険にするつもりはねぇ。
「………ったくよ」
それに、今回の戦いではあたしの一瞬の不注意で余計な手間と体力を使わせちまったってのも、負い目として感じてもいる。
ので、仕方ねぇから寝かしといてやる。仕方ねぇから。
あぁ、そういや…傷の手当やら武器の手入れやらその他諸々バタついててお礼も言えてなかったな。
お礼はちゃんと言えって、師匠も言ってたし。
寝てる相手に向けて言うのもどうなんだと思いもしたが、起きてからまた言えばいいだろ。
まずは今、この場で『言葉』にしてぇ。そう思った。
「……手間かけさせて悪かった。ありがとう」
勢いをつけすぎて、角をぶつけないようにゆっくりと顔を寄せ、エレゼン特有の細く尖った耳の先に、前に伸びるあたしの角を擦り付ける。
硬さのないその長い耳は、押し付ける力に合わせて動くものだから、不思議なものだとあたしは口に笑みを浮かべた。
「…気にするな、別にあれくらいどうということは無い」
「うおっ!起きたのかよ!」
てっきり爆睡してるもんだと思っていたら、そんな事を言ってきやがったもんだから、思わず後ずさっちまった。
閉じられていた目を薄らと開いたエスティニアンは、そのまま目を優しく細めてこっちを見てくる。むず痒いったらありゃしねぇ。
忙しなく揺れる尾を、後ろ手で掴んで動きを止める。
そんなあたしに気づいてるのかいないのか、まだ少し夢の中に足を踏み込ませてるこいつは、ゆっくりと瞬きをして片手をこっちに伸ばし、指を数回曲げてあたしを呼ぶ。
それに応えて再びベッドの近くに足を運べば、大きな手があたしの腕をやわく引き寄せその長い腕の中に閉じ込められた。
「どうせ礼をするのなら、共寝を頼む」
「はっ、また角刺さっても知らねぇぞ」
ついこの間、その胸に角を突き立てて呻いた声を、あたしはまだ忘れていねぇ。
とは言うが、あたしもエスティニアンと一緒に寝る事は嫌じゃねぇ。
すっぽりと包まれる感覚も、暖かな体温も、疲れた体を眠りに誘うには効果的過ぎて、意識が少しずつぼやけてくる。
男の胸にそっと触れた角に、小さくて低い笑い声が心地よく響く。
「目が覚めたら、耳と角じゃなくて今度は口と口で頼む」
頭を撫で、首の後ろをなぞられる感覚を最後に、あたしの意識はぷつりと途切れた。
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「寝てやがる。めずらし」
あたしの視線の先には、目を閉じてベッドに全体重を預けて眠っているエスティニアン。
こうも無防備に寝るなんて、そうそうお目にかかれねぇんだがな、と思いながら耳を軽く引っ張ってみる。ピクリともしねぇ。
まぁ確かに、今日の戦いは大分激しかったしなぁ。
あたしは後衛だし弓を使うから、槍を振り回してあちこち飛び回るこいつとは体力の使う量が違う。
そりゃあの元・蒼の竜騎士様も疲れて寝落ちもすっか。
「…じゃねぇよ、ここはあたしの部屋なんだが?」
そう、ここは紛れもないあたしの部屋だ。ど真ん中で堂々と寝転んでやがるから、一瞬あたしが間違えたのかと錯覚しちまっただろうがゴラァ!何我が物顔で人のベッドで寝てんだ?アァ?
これからあたしも寝るっつーのに、部屋間違えてんのか?転げ落としてやろうか?
……とも、まぁ、思いはしたが。
一緒のベッドで寝ても構わない関係では一応あるっちゃ、ある。から、正直な所そこまで邪険にするつもりはねぇ。
「………ったくよ」
それに、今回の戦いではあたしの一瞬の不注意で余計な手間と体力を使わせちまったってのも、負い目として感じてもいる。
ので、仕方ねぇから寝かしといてやる。仕方ねぇから。
あぁ、そういや…傷の手当やら武器の手入れやらその他諸々バタついててお礼も言えてなかったな。
お礼はちゃんと言えって、師匠も言ってたし。
寝てる相手に向けて言うのもどうなんだと思いもしたが、起きてからまた言えばいいだろ。
まずは今、この場で『言葉』にしてぇ。そう思った。
「……手間かけさせて悪かった。ありがとう」
勢いをつけすぎて、角をぶつけないようにゆっくりと顔を寄せ、エレゼン特有の細く尖った耳の先に、前に伸びるあたしの角を擦り付ける。
硬さのないその長い耳は、押し付ける力に合わせて動くものだから、不思議なものだとあたしは口に笑みを浮かべた。
「…気にするな、別にあれくらいどうということは無い」
「うおっ!起きたのかよ!」
てっきり爆睡してるもんだと思っていたら、そんな事を言ってきやがったもんだから、思わず後ずさっちまった。
閉じられていた目を薄らと開いたエスティニアンは、そのまま目を優しく細めてこっちを見てくる。むず痒いったらありゃしねぇ。
忙しなく揺れる尾を、後ろ手で掴んで動きを止める。
そんなあたしに気づいてるのかいないのか、まだ少し夢の中に足を踏み込ませてるこいつは、ゆっくりと瞬きをして片手をこっちに伸ばし、指を数回曲げてあたしを呼ぶ。
それに応えて再びベッドの近くに足を運べば、大きな手があたしの腕をやわく引き寄せその長い腕の中に閉じ込められた。
「どうせ礼をするのなら、共寝を頼む」
「はっ、また角刺さっても知らねぇぞ」
ついこの間、その胸に角を突き立てて呻いた声を、あたしはまだ忘れていねぇ。
とは言うが、あたしもエスティニアンと一緒に寝る事は嫌じゃねぇ。
すっぽりと包まれる感覚も、暖かな体温も、疲れた体を眠りに誘うには効果的過ぎて、意識が少しずつぼやけてくる。
男の胸にそっと触れた角に、小さくて低い笑い声が心地よく響く。
「目が覚めたら、耳と角じゃなくて今度は口と口で頼む」
頭を撫で、首の後ろをなぞられる感覚を最後に、あたしの意識はぷつりと途切れた。