サンクレッド×リーオ
風に靡き、見た目より少しだけ癖のある紫の髪がさらさらと揺れている。
かつては愛の吟遊詩人と名乗っていたとは言え、そこまで花に詳しい訳では無い俺はその色をラベンダーのようだ、とぼんやりと思う。
毛先が少しだけ色落ちしたような淡い色をしているのが、かの人物の体調を表しているようで。
最も、魂だけの今となっては体調などは体に引っ張られているだけなんだろうが…。
先の戦闘で疲れた体を休ませるべく、すぐ側でリーオとミンフィリアが共に菓子を食べている様子は微笑ましくもあり、少しだけ…羨ましいとも思った。
……どちらが、だろう。
そんな事を思っても仕方が無いと俺は頭をゆるりと振り、再び風に揺れるラベンダーを眺める。
楽しげに跳ねる耳は、きっと微笑んでいるのだろうと察することが出来た。
「わっ!」
突然びくりと体を跳ねさせ、声を上げて体ごと振り返ったリーオは、驚いた顔でこちらを見て、次に視線を伸ばされている俺の手に移す。
…………は?
いつの間に伸ばしていた?指先に残る感触は、これはそう……無意識にラベンダーへと指先を触れさせていた、ようだ。
「リーオ?どう、しました?」
突然声を荒らげたリーオを不思議がったミンフィリアが、事を把握しようとリーオの向こう側から身を乗り出して俺を見てくる。
どう弁解する、無意識でしたと素直に言うか?
少しだけ沈黙を作れば、驚いた顔のままのリーオが己がされた事を理解したのか、頬が赤く染まっている、ようにも見え―――
「…っ、ゴミがついていた」
テンプレのような三流の答えしか出てこなく、俺は誤魔化すように立ち上がり、二人に背を向けた。
「少し辺りを見回ってくる」
そうして俺は、逃げるようにその場を後にして離れすぎないよう気を付けつつ距離を取った。
脳裏に焼き付いたリーオの表情に、髪に触れた指先と、胸がジリジリと甘く痺れる。
(ダメだ…)
落ち着けるようにと、握った拳を額にぶつけた。
己に言い聞かせるように、気の所為だと強く押し込める。
ミンフィリアを助ける為にと手を貸してくれた仲間に、それを向けるなと。それに、今は優先すべき事は別にあるのだと。
何度も、何度も。
「ふー…………………」
これで大丈夫だと俺は強く閉じていた目を開き、残した言葉に従って辺りの様子を見回る為に足を進めた。
かつては愛の吟遊詩人と名乗っていたとは言え、そこまで花に詳しい訳では無い俺はその色をラベンダーのようだ、とぼんやりと思う。
毛先が少しだけ色落ちしたような淡い色をしているのが、かの人物の体調を表しているようで。
最も、魂だけの今となっては体調などは体に引っ張られているだけなんだろうが…。
先の戦闘で疲れた体を休ませるべく、すぐ側でリーオとミンフィリアが共に菓子を食べている様子は微笑ましくもあり、少しだけ…羨ましいとも思った。
……どちらが、だろう。
そんな事を思っても仕方が無いと俺は頭をゆるりと振り、再び風に揺れるラベンダーを眺める。
楽しげに跳ねる耳は、きっと微笑んでいるのだろうと察することが出来た。
「わっ!」
突然びくりと体を跳ねさせ、声を上げて体ごと振り返ったリーオは、驚いた顔でこちらを見て、次に視線を伸ばされている俺の手に移す。
…………は?
いつの間に伸ばしていた?指先に残る感触は、これはそう……無意識にラベンダーへと指先を触れさせていた、ようだ。
「リーオ?どう、しました?」
突然声を荒らげたリーオを不思議がったミンフィリアが、事を把握しようとリーオの向こう側から身を乗り出して俺を見てくる。
どう弁解する、無意識でしたと素直に言うか?
少しだけ沈黙を作れば、驚いた顔のままのリーオが己がされた事を理解したのか、頬が赤く染まっている、ようにも見え―――
「…っ、ゴミがついていた」
テンプレのような三流の答えしか出てこなく、俺は誤魔化すように立ち上がり、二人に背を向けた。
「少し辺りを見回ってくる」
そうして俺は、逃げるようにその場を後にして離れすぎないよう気を付けつつ距離を取った。
脳裏に焼き付いたリーオの表情に、髪に触れた指先と、胸がジリジリと甘く痺れる。
(ダメだ…)
落ち着けるようにと、握った拳を額にぶつけた。
己に言い聞かせるように、気の所為だと強く押し込める。
ミンフィリアを助ける為にと手を貸してくれた仲間に、それを向けるなと。それに、今は優先すべき事は別にあるのだと。
何度も、何度も。
「ふー…………………」
これで大丈夫だと俺は強く閉じていた目を開き、残した言葉に従って辺りの様子を見回る為に足を進めた。
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