マヤは大学のキャンパスを歩いていた。歩きながら、ノーパンで授業を受けようとしていることばかり考えていた。
陰核は、女性の快楽をもたらすだけでなく、女性の自己実現にもつながるのだ。そのことを学んだ「陰核文化社会論」の授業に、ノーパンで出席するのだから気持ちが昂っていたのだ。まだノーパンではないのに、歩き方や周りの視線が違うようにも感じられ、掻痒感のような不思議な感じが火照り始めた全身にあった。

彼女は、大学に着くとトイレに向かい、パンツを脱いだ。マヤの下半身を覆っているのは、スカートだけになった。
周囲にはいつもより多くの人がいるような気がして、大勢の視線を感じながら歩くことになる。空気の動きや裏地の感触、そして視線に対して、感覚が増幅されるようだった。
彼女は不安になりながらも、期待に胸を膨らませて教室に入っていった。

授業開始前の他愛のない会話を聞き流しながら、マヤは周りを見渡した。誰かにバレているのではないかと、緊張していた。友人たちが話すことに集中することができなかった。彼女は自分自身が「ノーパン」であることによって、気持ちが高ぶっていることにも気づいていた。それが自分でもわかっていたが、なぜそうなのかは理解できなかった。

まだ授業が始まっていないのに、カラダが熱くなり、陰核が充血し、そして濡れていることに彼女は気づいた。下半身に触れる布地の感覚、椅子の冷たさが、いつもと違うからなのか。自分が「ノーパン」であることが原因だとマヤは自覚した。

「本当にこれで授業を最後まで受けられるのかな...」

こんな状態では授業に集中できないのではないかと焦燥感を覚え始めていると、いよいよ今日の「陰核文化社会論」の授業がはじまった。

今日の授業では「ノーパン」概念の説明があった。

先生は、女性がなぜノーパンになるのかについて説明した。マヤは、自分がノーパンであることに興奮しながら、先生が話す内容に耳を傾けていた。

「ノーパン」になる理由はいくつか考えられると先生は説明をはじめた。１つ目は、下着による圧迫感や不快感を避け、快適性を求めてノーパンになる人がいること。2つ目は、夏に水着のままプールへ行き、着替えを忘れてノーパンで帰ることになったというようなケース。3つ目は、ファッション面での理由で、薄手の素材であったりタイトなデザインの服装の場合に、パンツラインを目立たなくするため。そして、4つ目として、性的快楽を追求するためにノーパンになる人もいるということを説明した。

マヤは、自分がノーパンを選んだ理由について考え始めた。明らかに３つ目までではないことは、すぐにわかった。それなら、性的快楽の追求のため？
彼女は、下着をつけていないことがバレたら恥ずかしいという不安をずっと抱いていたが、同時にそれが陰核への刺激となっていることにも気づいた。

「ノーパンで得られる性的快楽には、直接的な刺激による快感と心理的な快感があります。」

先生の言葉を聞いて、マヤは「これが、心理的な快感…」と心の中でつぶやいていた。

自分の性的な欲求や感情に正直になることが自己実現に繋がるのは分かっているけれど、社会的な制約や他者の目が気になって、躊躇してしまう。そこが、いま自分が悩んでいるところだとマヤは思えた。

「みなさんの中には、いまノーパンの人がいるかもしれません。」

先生のその言葉を聞いて、マヤは息が止まりそうになった。教室のあちこちから控え目な笑い声が聞こえてきた。マヤは、ノーパンでいることがバレてしまったのではないかと恥ずかしくなってきた。
そして先生は言葉をつづけた。

「先ほども説明したように、ノーパンになる理由はいくつか考えられます。なかには、ノーパンでいることがその人の自己表現にとって重要だということもあります。だから、ノーパンでいることを選んだ人は、その決断をした自分自身を否定する必要はありません。」

教室から笑い声は消え、マヤも先生の言葉に集中していた。
先生は最後に、下着こそ女性の身体や性に対する社会的な制約を象徴するものであるという考え方から、ノーパンでいることは、下着により抑圧されている女性の性的自己表現を解放する手段となるということを語った。この言葉に勇気づけられ、マヤは自分がノーパンであることを自然な自己表現だと思うことにした。