青い嵐
当日、帰宅してから「[#da=2#]は着替えてくるように」と言われて自分の室に入ると、すでに衣装は用意されていた。
侍女から「お館様からの指定です」と言われたのは鳳珠と同じ準禁色の衣。
「いいのかしら?」
「お館様からのご指定なので大丈夫ですよ。髪も少し直しましょう」
と着替えてから座らされて結い直される。
「内輪の宴会だし、そこまでしなくても…唯一の女性の凜はいつも男装なのよ」
「黄家の侍女としては奥方様を美しく飾るのも仕事の一つです。今日は美意識の高い方が参加されると聞いていますから、張り切らないといけませんね」
欧陽侍郎の話を引き合いに出したのだろう、と思いながらされるがままになる。
だが実は鳳珠が着飾らせたがって侍女に相談したことを[#da=2#]は知らない。
長い髪を細く綺麗に編み込み、高い位置で結ばれてあとはいつものように肩に流される。
あれよあれよというまに髪型ができ、侍女たちが飾りを選び始めたが、
「簪は…これだけでいいですわ」
日頃使っている鳳凰の簪を刺してもらう。
「その”美意識の高い方”、かなり飾り立てている方なのよ。計算されているからいやらしくないんだけれど。すぐわかるからお出迎えの時に見てみて」
欧陽侍郎を思い浮かべて伝える。
「だから、わたくしは引き算の方がいいいとおもうわ」
「そうなんですね。それでは…少し寂しいので、後ろに仕掛けをしますね」
自分では見えないが、流した髪に細い金の鎖をいくつか垂らし、途中に石のついた花留のような飾りをつけられているようだ。
「髪が揺れると光って綺麗ですよ」
軽く化粧を直して、完成となった。
室に入った時に感嘆の声が上がったのは、言うまでもない。