青い嵐
「藍家の姫が後宮に入る?」
帰りの俥の中で、[#da=2#]から聞いた鳳珠は驚いた。
「えぇ、まだそんなに話題にはなっていませんけれど、藍家から正式に話があったようで、準備が始まりました。おそらく、近日中に後宮から予算案が上がると思います。先日の後宮監査で浮いたお金はそのままそこに回るでしょうね。わたくしが思いますに半分以下で賄えると思いますが」
鳳珠は考え事をしながら黙って聞いている。
「今回、今までと異なり本当に異例づくめなんです。後宮警備に兵部が手を挙げたそうです。それから、御史台も」
「御史台?」
[#da=2#]の顔が沈む。
「珠翠が準備しています…こちらも、追加予算の依頼が来ると思います」
「自前で賄え、と言って終わりだな。兵部だって戦の最中ではあるまいし、御史台はなんのための莫大な工作費だ。それにしても、少し調べる必要があるな…」
忌々しく言い放ったところで、俥は邸に着いた。
「同期で宴会?」
次の日の朝議のあと、悠舜に呼び止められた。
「はい、ひと段落したでしょう?帰ってきてからなかなか機会もなかったので、ここでぜひ。鳳珠の邸がいいですね」
基本、鳳珠は悠舜に頼まれたことは断らない。
「まぁ、構わないが…」
「日にちは鳳珠が決めてください。誰が参加するかは事前に伝えます。あと、[#da=2#]は同席させてくださいね。凜もだしますので」
「わかった」
[#da=2#]が戸部に来たときに、朝の話を伝える。
公休日前がみなさんよろしいのではないかしら?というので、[#da=2#]を使って悠舜に届けさせた。
次の日、また書簡周りで来た[#da=2#]が、
「鄭尚書令からです」と恭しく渡してきた紙を開くと
黎深、飛翔、欧陽侍郎、景侍郎、悠舜、凜
とだけ書いてあった。
ペラリと[#da=2#]に見せながら
「柚梨、悠舜から誘われたか?」
「ハイ。同期の皆さんに混ぜていただいていいのですかね?」
「悠舜が誘ったならかまわん」
「管尚書と欧陽侍郎は凜の関係でしょうね」
「飛翔がくるなら酒屋への注文を増やすように指示しておこう」
家人に指示を出すために手紙を書き始めた
「よく飲み比べされてますものね」
「[#da=2#]、飛翔には近づくと飲み比べの挑戦させられるから気をつけろよ。柚梨、欧陽侍郎によく言っておいてくれ。頼む」