紅の企み
おそらく、先ほどの[#da=2#]の言葉。
あれで何か期待しているな・・・
黎深は乙女のように下を向き思い悩んでいる様子の美人を目の端に入れながら
兄と女二人の会話を聞いている。
珠翠のことは調べた。兄との繋がりも。
弟に見せない領分のことなので口には出さないが兄の仕事もほぼ理解しているつもりだ。
だが、知らないふりをしている。これが兄と自分のやり方だ。
邵可が密かに大切に思う、秀麗や静蘭とは違った形ではあるが兄が関わる二人なら、ただ鳳樹の顔に耐性があると踏んで、鳳珠から見れば暴挙に出たのだ。
多少やり方が子供っぽかったが、黎深の無意識下にある
鳳樹へのいたずら心という甘えもあるだろう。
(兄上は全てわかってくださっている)
もちろん、邵可が鳳珠の顔を知っているというのもあるが
それだけではない黎深の兄への絶対的な思いが根底にあるから
あの行動に出たのだ。
(なぜ外したか?そう簡単には言ってやらんが)
突撃してきた弟(と連れてこられた黄尚書)が会話に入らなくなってきたので
邵可はそれとなく話題を変えることにした。
ただ、このメンバーでの話となると・・・
秀麗のことが共通項だが、黎深が暴走しかねないので珠翠と桃華の話をすることにした。
「黎深や黄尚書からみて、この二人のことはどう見えるかな?
私は以前から知っているんだけど、ほとんどここにいるから、周りの噂には疎くてね。」
突然の邵可の振りに、言われた二人は顔を見合わせた。