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緑の風−2



程なく、[#da=2#]は筆頭女官姿の珠翠を連れて府庫に戻ってきた。
珠翠は膝を突き、前日の非礼を詫びてから座る。

徐に黎深が口を開く。
「冗官処分の話は聞いているか」
「はい」
「これから一か月、冗官の吏部査定がある。悪いが、今回の件もあり、後宮も対象にしたい。今の後宮は妃嬪もいない、儀式も少ないのに全体的に圧倒的に人が多く玉石混合だ。昨日の件が全部門から苦情が上がったのがいいきっかけになった。それを…二人に頼みたい。」

「かしこまりました」
珠翠は顔色を変えずに頷く。

「くれぐれも周りに悟られないように、明日から早速頼む。吏部との連絡は[#da=2#]がする。週に一度できたところまであげろ。」
「はい」

[#da=2#]はお茶のお代わりを足して一息つき、
「それと、この件とは別にして、わたくしが不在時の代わりのものですが…」と珠翠に水を向ける。


「梨園の楽士で碧家の者のうち、一人適任者がおります。他には紅家、黄家、茶家ぐらいですが、尚書方のことと先だっての茶家の騒動を考えると、対象から外した方がよろしいでしょうか。黒家、白家はもともと後宮女官はそこまで多くなく、藍家は藍姓官吏の一斉退官の際に女官も一斉に辞しました。その分、全体数として圧倒的に貴族派の後見が多くなっています。中には優秀なのもおりますが…」

「…碧家の者がいいだろう。[#da=2#]と同じような服を用意しておこう。準備ができたら届ける。」
「ありがとうございます。名は碧花蓮です。吏部の碧官吏の従姉にあたります。まだ話しておりませんので、念の為、事前にもう一度しっかり確認はいたしますが、必要であれば碧官吏に確認をお願いします。」
黎深が頷き「伝える時期はこちらから示す」と言って話は終わった。


「[#da=2#]、今日の仕事はどうする?」
「外朝は全て回りましたので、戸部で例の件を…」

「昨日のこともある。凌晏樹たちがいつ寄ってくるかわからんからな、なるべく一人にならない方がいい、鳳珠が一緒に帰れないようだったら知らせろ」
「ありがとうございます」

”影”をつけてくれていることも[#da=2#]は知っていた。だから、昨日すぐに助けに来てくれたことも。
にこりと笑いながら話す[#da=2#]の言葉の全てを汲んで、黎深はデレっと破顔した。

「大事な”覆面”を送るよ」
と冗談めかして府庫を出た。









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