緑の風−2
見上げられた視線を受けて、鳳珠は少しだけ視線を合わせる。
(御史台が絡むとなると・・・少し厄介だがそれはどこでも同じだ・・・)
全体にしっかりと聞こえるように少し声を張って答える。
「戸部は…そうだな、確実にどこよりも働かされる。知っての通り、”魔の戸部”だからな、どこぞの吏部や執務室と違って、茶など悠長に飲んで座っているわけにはいかない。」
まぁ、そうだよな、と皆納得顔で聞いている。
「景侍郎にも手伝ってもらいたいので、そ子についてはは主上、鄭尚書令ご了承をいただきたく。守秘義務からこれに関わる案件は私と景侍郎と3人だけで対応する。普段の出入りがあるから、戸部官吏は気にしなくていいだろう。私たちはあくまで新貨幣の側だけの関わりになるからおそらく問題ないと思うが、仮にこの件に関わって危険なことがあったとしても、私が全力で守る。」
と一気に言い切った。
「さすがですね」
「本当に」
「チッ!」
(あぁもう…この人は…)
真っ直ぐで自分を思っていてくれる言葉に心が温かくなる。
きっと仮面の下で、どうだ?って片眉を上げて得意げに見ているのだわ、と思うと少し口角が上がる。
[#da=2#]はパッと顔を上げ、背筋をただしてまっすぐ前を見る。
「主上、紅尚書、お心遣いありがとうございます。どちらも魅力的ですが、今のお仕事に加えてやらせていただくのであれば、もし希望を叶えていただけるなら、戸部でお願いします。黄尚書、足手まといにならないように頑張りますのでご指導お願いいたします」
ときちんと礼をとった。
仮面の下で、鳳珠が満足げに頷いてたのを見て[#da=2#]はにっこりと笑った。