緑の風−1
戸部は公休日の出仕は当たり前だが、悠舜邸から帰った夜のうちに柚梨に文を出し、休みにしようと伝えた。
そんなわけで、休日の朝らしい微睡を楽しんでいる。
腕の中の[#da=2#]は、まだ夢の中だ。
軽く頭を撫でると、夜着の胸の辺りを掴んで擦り寄ってきた。
閨事の時は年相応の大人の色香を纏った顔になるが
無防備な姿は童顔で可愛らしい。
(骨抜きにされてるな・・・)
と喉の奥で笑って、鳳珠はもう一度目を閉じた。
「えぇ?昨日言ってくださればよかったのに!」
少し遅めの軽い朝餉をいただきながら、[#da=2#]は膨れて鳳珠を睨む。
「済まない、言おうと思っていたのだがすっかり忘れていた・・・」
忘れていたことは、例の謎解きの件を今日話し合う、ということ。
昨日の悠舜邸でそういうことになっていたが、その後の話と寝台の中の可愛い[#da=2#]ですっかり忘れていたのだ。
「いくらお仕事の話とはいえ、おもてなししないわけにもいかなのに・・・」
「それなら侍女たちがやるから問題ないだろう」
「でもっ・・・」
せっかくきてくださるなら、何かしたいとは思う・・・
「それで、お時間は何時ですの?」
「昼過ぎにした。昼は食べてからくるそうだ」
「悠舜様と凛のほかはどなたが?」
「・・・呼びたくはなかったが黎深だ。ただ、まだ文は出していない。
呼ばなくても公休日の行動からすると昼には確実に邪魔しに来る奴だから、直前でいいだろう」
(あぁ・・影・・というか、もう知っているんだろうなぁ。
この時間まで来ないということは、今は百合さんいないから、邵可様のところかしら?)
「少し、用意をしてきますね」
昨夜の余韻でかなり無理をして起き上がっていたので、もう少しゆっくりしたかったのに・・・と
心の中で幸せなため息をついてから室を出た。