紅の企み
「紅尚書、仮面はお返しして差し上げた方がよろしいのではなくて?」
静かに[#da=2#]が言った。
その言葉に、鳳珠は顔を二人に向ける。
「[#da=2#]、どう思う?」
「どう思う、とは?」
「この顔」
扇で頬を突かれ、鳳珠はまた青筋を立てて扇ごとはたき落とした。
「どうって・・・もちろん、美しいし麗しいと思いますわ」
少しほおを赤くして桃華は答えた。
(あぁ、やはりそうだ、美しさだけだ・・・)
鳳珠は心の中で少し落胆しかかった時だった
「でも・・・」
「でも?」
[#da=2#]は何か言おうとして少し迷って視線をおとした。
「でも?なんだい?」
邵可が助け舟を出す。
「失礼なことを申し上げてお気を悪くされたら申し訳ございません。
もちろん、その少しこわそうな仮面から想像できないぐらい麗しいですし、お声も素敵だと思いますわ。でも・・・その・・・」
少し逡巡してから、意を決したように、顔を上げ鳳珠の目を見つめる。
「お顔の美しさだけが黄尚書を形成してるわけではないでしょう?」