桃色吐息
と、いうことがあってね、それからそう答えているの。
と[#da=2#]はお茶を飲みながら話した。
「はいはい、ごちそうさま。黄尚書の素顔を見せない仮面の下は愛妻家通り越して妻溺愛、ということね。そんな方だったとはね。」
これは大変だ、と珠翠はまたため息をつく。
意外と[#da=2#]は自分に向けられる好意に疎いのか、首を傾げていてわかっていないことは明白だ。
おそらく、左手の指輪も、愛の証ではあるのだろうけれど
虫除けの意味もあって贈ったものだろう。
数日前に劉輝様のところで会ったときに同じような指輪をしていた。
[#da=2#]が無自覚なのも含め、起こるであろうことを想定されて準備していたのがよくわかる。
ただ、残念なことにそれ以上に[#da=2#]が輝いてしまったのが誤算だろう。
(そうしたのも黄尚書、だろうけどねぇ・・・)
「ねぇ[#da=2#]、あなたのその首飾り、外朝に行く時はしていないわよねぇ?」
珠翠は後宮での姿の時は表に出している首飾りに目を向ける。
「えぇ、実はしているんだけれど、外朝には華美すぎるから中に入れているのよ」
「それ、外朝の時も、表に出したら?」
「どうして?」
「だって、もっと派手な紅い人もいるわけだし・・・黄家の者です、って感じするもの。指輪の石も見ればわかるけど、首飾りの方が主張すると思って」
言われた途端、ボンっ!と音がしたかの様に真っ赤になった[#da=2#]。
「そ、そんな、恥ずかしいじゃない、それにわたくしが妻だと知っている人にとってはあからさますぎるし、知らないひとにとっては気づかないわよ」
アワアワとしながら否定してくる。
「そんな真っ赤にならなくても。事実、今は黄家の人なんだし」
クスクスと笑いながら、これは黄尚書は可愛くて仕方がないはずだわ、と
超絶美人を思い浮かべて苦笑いするのだった。