黄色の想い
「だがっ!!!」
突然立ち上がり扇を突きつけてきた。
「[#da=2#]を不幸にしたら、完膚なきまでに君と君の一族を叩き潰すからそう思え!!」
あぁ、いつもの黎深だ。ニヤリと笑って答える。
「君にそんなことを言われるようなことにはならないから、安心しろ。」
「それと!!」
なんだ、まだあるのか?
「酒を出せ」
「え?」
「生涯独り身の君に恋人ができたのだから一緒に飲んでやろうと言うのだ、ありがたく酒を出せ」
「・・・」
言っていることはいつも通りおかしいが
おそらくこれは祝福しているということの表れだろう。
今日のところは素直に従うことにし、酒の用意をさせる。
なんだかんだ言ってこうやって黎深を受け入れるようになって何年経ったか。
「それにしても、君は意外と独占欲の強い男だな」
何杯か重ねたのち、黎深は唐突に言ってきた。
「何がだ?」
「[#da=2#]の髪紐だ!桃色の組紐に黄色の石など、独占欲の現れではないか!」
どうだ、と言わんばかりの黎深。
情報が早いのはいつものことだが、そこまで見抜かれていたのか。
というか、貴様のその才と紅家の影をそんなことに使うな。
「ふふ・・そうだな。
でも。」
「でも、なんだ?せいぜい[#da=2#]に”束縛が強いから嫌いです”、とか言われないようにしろよ」
(それはお前だ!)と言いそうになったが
この流れで百合姫の話になると面倒なので言葉を飲み込む。
「今はまだ[#da=2#]は紅家の姫だからな。ちゃんと弁えているさ」
そう、桃色の組紐の先に、二つの黄色い石をつけた。
間に挟まれているのは、紅い石。