黄色の想い
ここ数日、吏部はブリザード状態である。
公休日が明けたらますますひどくなっていた。
日頃、大して仕事をしない尚書であるが、ここ数日は完全放棄、その上機嫌が頗る悪い。
吏部官吏は瀕死の状態だし、取りなしは絳攸一人の手にかかっているが
それも甲斐ないことを知って吏部には絶望という言葉しかない状態である。
「紅尚書、こちらの仕事を・・・」
おずおずと絳攸は書簡を机の載せる。
バン!と音をたて、扇で書簡を飛ばし横を向く黎深。
「あの、黎深様、いったい何が・・・」
検討のつかない絳攸は目を白黒させている。
おそらく2、3日のことだがこれといって黎深の機嫌が悪くなるような情報は自分の耳には入っていない。
だが邸でも吏部でもこの調子である。
「お前は周りのことに疎すぎる!もう少し広い視野で見るものだな!」
言い捨てでどこかへ出かけてしまった。
今までもこんなことは何度もあったが、今までになく手がつけられない状態である。
(せめて百合さんがいてくれたら、うまく聞き出してくれたかもしれないのに)
願いは叶わない。紅州に仕事で行きっぱなしになっている百合に心の中で助けを求めてから盛大にため息をついて、絳攸は仕事に取り掛かった。