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黄色の想い


約束の公休日、「少し遠出をしたい」と伝えてあったためか、[#da=2#]は簡単なお弁当を持って現れた。
服装は、外朝に来る時ではなく普通の格好で来て欲しいと頼んであったので支給の外朝服とは印象とはまた違いとても女性らしい。
この姿を見ているのが自分だけだと思うと嬉しくなる。

「お口にあうかわかりませんけれど、少しだけ作ってきました」
と包みを持ち上げて、可愛く言ってくれた。


出かけた先は桜と菜の花が名所の川辺。
遠いこともありあまり人が多くなく、以前通った時から鳳珠が気に入っていたところだ。

「今がちょうどいい時期だからあなたにこの景色を見せたくてね」
「なかなか出る機会がないので嬉しいです、ありがとうございます」

少し歩いてから適当に座り、仮面を外してお弁当をいただく。
少量だがきちんと作られていた。
「とてもおいしい、ありがとう。料理が得意なんだね」
「ありがとうございます。下手の横好きですけど、そう言っていただけると嬉しいですわ」

ぽつりぽつりと会話を交わしていく。
ゆったりとした時間にお腹だけでなく、心も満たされる気持ちがした。
そっと[#da=2#]の肩を抱き寄せる。

「いつもと異なる今日の装いを独り占めできるのは嬉しいものだな」
綺麗に結い上げられた髪に目をやる。
「今日も使ってくれているのだね」
簪と髪紐をうまく使ってまとめられている。
こういう時も使ってもらえると素直に嬉しい。

「お会いできない時も、その・・・鳳珠様が近くにいてくださるような感じがして・・・」
「[#da=2#]・・・」
本当は初めての逢引となる今日ではなく
近いうちに伝えようと思っていた想いが愛しさから溢れてきた。


「私たちはまだ始まったばかりだし、互いのことをそんなに多くは知らない。だがお互いを知りながら人生をともに歩んで行けたらと思っている。
もちろん、返事は今すぐでなくて構わないが、あなたに知っておいてもらいたい。」

鳳珠はじっと[#da=2#]の目を見て伝えた。

「私はあなたを愛している。これからのあなたの人生を、私の妻としてともに歩んでもらいたいと思っている。」

[#da=2#]は告白された時と同じように目を丸くしていたが
すぐに頷いた。
「わたくしも…お慕いしております。あなたとご一緒したい…鳳珠様・・・」

「ありがとう」
と言って、鳳珠は[#da=2#]に口付けた。
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