黄色の想い
明後日の公休日に一緒に出かける約束をし、
[#da=2#]を送った足で府庫に回る。
時間的に今日会えなかったら、どんなに非常識でも黎深に邪魔される前に
至急使いを出して夜のお宅訪問をしなければと思っていたが、府庫の主はまだいるらしくあかりがついていた。
「遅くに申し訳ございません、邵可殿」
「黄尚書、こんな時間にどうしたのですか?」
「長くはかかりません、少しお話をしたいのでお願いできるでしょうか?」
「構わないよ、お茶は・・・さっき入れてもらったのがあるから冷茶でいいかい?と言っても、もう冷えていないが」
「構いません、ありがとうございます」
(あのお茶じゃなくてよかった!)本心から安堵する。
「それで、話とは?」
こんな時間に訪ねているのだから常のことではない、と思われているだろう。普段と異なり邵可の目が鋭い。
少し緊張が走るが、仮面を外し目を見返してはっきりと伝えた。
「後宮女官の[#da=2#]殿のことです。先程ではありますが、お付き合いを申し込み、受けていただきました。彼女から、紅家の方であること、あなたが後見されていると聞いていますので、ご了承を頂きにまいりました」
といい、立ち上がり一礼する。
「さすが、黄尚書だね。まぁおかけになって・・・彼女が受けたなら、私は何も言わないよ。あなたなら、紅家も文句は出ないでしょうし、私と黎深がそれは止めることができる。まぁ黎深は別の意味で騒ぎそうだがね・・・」
邵可は苦笑いだ。
「逆に、家を出た紅家本家の後見があるとはいえ[#da=2#]は両親もいないし、傍流だが黄家の方は大丈夫かね?難しいようだったら黎深か末の弟に頼むけど」
「いえ、そちらは私がなんとかします。邵可殿なら嬉しいが、黎深が義理の父になるのは・・・いや失礼・・・」
「くくく、それもそうだね、友達の義理の父というのはおかしいかもしれないね」
笑う邵可に対し、何やら苦い顔をしている鳳珠。
「そういうことであれば、あとは二人の関係だ。私にわざわざ言いに来てくれたこともそうだし、義理の父、ということは、将来は一緒になるつもりでいるということでいいよね?」
「もちろんです」
(もちろんだ、この歳まで一人だったということを抜きにしても生半可な気持ちで告白したわけではない)
「私からの一つのお願いは、[#da=2#]は私たちはいるが、本当の意味での家族がいない状態で育っている。今すぐ、ということではないだろうけれど、結婚するのであればあなたがしっかり家族として[#da=2#]を守ってほしい。私からはそれだけだよ」
「ありがとうございます。お言葉は必ずお守りいたします」
”花嫁の父”にお願いに来る気持ちはこういうものだったのかなと思い、大きく息をつく。
[#da=2#]に気持ちを伝えたときより緊張していたようで、ぬるい茶を一気に飲んだ。