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紅の企み

いいお茶とお菓子が手に入った。
今日の午後は兄上のところに行って、ゆっくりとお茶を楽しむとしよう…

口の端をあげて機嫌よく歩く冷血長官・紅黎深は回廊を歩く
いつもの冷徹な表情と異なるその姿に周囲は気味の悪いものを見たかのようにさっと端により道を開ける。
もともと、黎深に関わりたいと思う人はいないし、一部を除いてぺんぺん草なのでお互いにいつものことなのだが。



府庫に近づくと、窓のそばに兄の姿を認めた。
「あに・・・?」
兄上〜と大きな声で叫ぼうとしたら、横に女人が二人。

浮かれた気持ちがズーンと沈んだが、ふと気になって顔を上げる。

一人は兄のところによくきている後宮女官長の珠翠(人の名前に興味はないが兄上の近くにいるものは兄と私の邪魔をする敵なので認識している)。
もう一人は・・・

珠翠ほど着飾っておらず、珠翠ほど美しくないが
整った顔立ちの女官。
あれは、確か・・・


しかし、普段兄上のところに来る者ではない。
別の意味で有名で黎深でさえも覚えがあった。


ニヤリ

悪戯を思いついた子供のような顔をして
踵を返し走り出す。
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